退職後にやることリスト - 会社都合・早期退職の手続きまとめ
「突然リストラを告げられた」
「希望退職に応じたけれど、何から手をつければいいか分からない」
「倒産で職を失い、生活が不安」
——そんな方に向けて、退職後に必要な手続きを期限順にまとめました。
会社都合退職や早期退職には、自己都合退職にはない有利な制度が用意されています。
失業給付(雇用保険の基本手当)の給付制限なし、国民健康保険料の軽減措置、国民年金の特例免除など、知らずに申請しないままだと大きく損をしてしまいます。
この手続きガイドでは、退職後にやるべきことを期限の短い順に整理し、会社都合退職・早期退職の方が活用できる制度を詳しく解説します。
1. 退職後にやることチェックリスト(期限順)
退職後の手続きには、それぞれ期限があります。
まずは全体像をつかんでおきましょう。
退職した年の12月31日時点で再就職していない場合は、翌年2月16日〜3月15日に確定申告が必要です。
e-Taxなら1月から提出可能です。
1-1. 退職時に会社から受け取る書類
退職後の手続きには、会社から受け取る書類が必要です。
退職前または最終出勤日に、以下の書類を受け取れるか人事担当者に確認しておきましょう。
- 離職票(1・2)
失業給付の申請に必要です。
通常は退職後10日〜2週間ほどで郵送されます。
- 健康保険資格喪失証明書
国民健康保険への切り替えに必要です。
退職日に受け取れる場合もあります。
- 源泉徴収票
確定申告や転職先での年末調整に使用します。
退職後1ヶ月以内に届くのが一般的です。 - 雇用保険被保険者証
転職先で雇用保険に再加入する際に必要です。
- 年金手帳または基礎年金番号通知書
年金の切り替えに使用します。
マイナポータルでも基礎年金番号を確認できます。
退職後2週間を過ぎても離職票が届かない場合は、まず会社に催促しましょう。
それでも届かないときは、退職日の翌日から12日経過していればハローワークで「仮申請」ができます。
仮申請をしておけば、離職票が届き次第、正式な受給手続きに切り替えられます。
1-2. 退職後にやることの全体像
退職後にやるべき手続きを期限の短い順にまとめました。
| 期限 | 手続き | 届出先 |
|---|---|---|
| 5日以内 | 家族の扶養に入る届出 | 配偶者や親の勤務先 |
| 14日以内 | 国民健康保険への加入 | 市区町村の窓口 |
| 14日以内 | 国民年金への切り替え | 市区町村の窓口 |
| 20日以内 | 健康保険の任意継続申請 | 退職前の健康保険組合・協会けんぽ |
| 離職票受領後すぐ | 失業給付(基本手当)の申請 | ハローワーク |
| 翌年3月15日 | 確定申告(年末調整を受けていない場合) | 税務署またはe-Tax |
国民健康保険と国民年金の切り替えは、どちらも市区町村の窓口で行います。
同日にまとめて手続きすれば、一度の来庁で済みます。
2. 会社都合退職と自己都合退職の違い
退職理由が「会社都合」か「自己都合」かで、受けられる制度に大きな差が出ます。
会社都合退職の方は「特定受給資格者」に分類され、失業給付や国民健康保険料の面で優遇措置を受けられます。
2-1. 特定受給資格者とは
特定受給資格者とは、倒産や解雇など会社側の都合によって離職を余儀なくされた人を指します。
ハローワーク「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」では、具体的に以下のケースが挙げられています。
- 倒産による離職
破産・民事再生・会社更生などの倒産手続きの申立て、手形取引の停止に伴う離職 - 解雇による離職
普通解雇、整理解雇(リストラ)など(自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇を除く) - 希望退職・早期退職募集への応募
人員整理などを目的とした希望退職の募集に応じた離職 - 労働条件の著しい変更
賃金の大幅低下、勤務地の大幅変更などにより離職した場合
従来から恒常的に設けられている「早期退職優遇制度」(定年前の退職を奨励する制度)に自ら応募して退職した場合は、特定受給資格者に該当しません。
人員削減を目的とした希望退職募集に応じた場合は、特定受給資格者に該当します。
2-2. 会社都合退職の3つのメリット
| 項目 | 会社都合退職(特定受給資格者) | 自己都合退職(一般受給資格者) |
|---|---|---|
| 失業給付の給付制限 | なし(7日間の待期期間のみ) | 1ヶ月(2025年4月以降) |
| 失業給付の給付日数 | 90〜330日 | 90〜150日 |
| 国民健康保険料 | 軽減あり(給与所得を30%で計算) | 通常どおり |
会社が希望退職・早期退職を募り、それに応じて退職した場合は、原則として「会社都合退職(特定受給資格者)」に該当します。
会社側から「自己都合退職になります」と言われても、離職票の退職理由欄に異議がある場合は、ハローワークに申し出てください。
ハローワークが事実を調査し、退職理由を判定します。
3. 健康保険の切り替え — 3つの選択肢を比較
退職すると、在職中の健康保険(社会保険)から脱退します。
退職日の翌日から「無保険」の状態になるため、速やかに以下の3つの選択肢から加入先を決める必要があります。
3-1. 3つの選択肢の比較
| 任意継続 | 国民健康保険(国保) | 家族の扶養 | |
|---|---|---|---|
| 届出期限 | 退職後20日以内 | 退職後14日以内 | 退職後5日以内 |
| 届出先 | 退職前の健康保険組合・協会けんぽ | 市区町村の窓口 | 配偶者・親の勤務先 |
| 保険料 | 退職前の約2倍(上限あり) | 前年所得で計算 | 0円 |
| 扶養家族 | 扶養に入れる | 家族ごとに保険料が発生 | — |
| 加入期間 | 最長2年 | 制限なし | 条件を満たす限り |
- 扶養に入れるなら「家族の扶養」が最もお得です。
保険料が0円になります。ただし年収130万円未満(60歳以上は180万円未満)の条件があります。 - 前年所得が高い場合は「任意継続」がお得になることが多いです。
国保は前年所得で保険料が決まるため、在職中の収入が高いと保険料も高くなります。 - 迷ったらまず市区町村の窓口で国保の保険料を試算してもらいましょう。
任意継続の保険料と比較して、安い方を選ぶのが確実です。
3-2. 会社都合退職者は国保が大幅に安くなる
会社都合退職(特定受給資格者・特定理由離職者)の方は、国民健康保険料の軽減措置を受けられます。
- 軽減内容
給与所得を100分の30(30%)として保険料を算定 - 軽減期間
離職日の翌日から翌年度末まで - 対象者
離職日時点で65歳未満の特定受給資格者・特定理由離職者 - 必要書類
雇用保険受給資格者証(原本) - 申請先
市区町村の国民健康保険窓口
この軽減措置は自動的に適用されるものではなく、自分で申請する必要があります。
ハローワークで雇用保険受給資格者証を受け取ったら、市区町村の国保窓口に持参して軽減申請を行いましょう。
この軽減があるため、会社都合退職の方は国保が任意継続より大幅に安くなるケースが多いです。
4. 年金の切り替え手続き
退職すると厚生年金の資格を喪失するため、国民年金第1号被保険者への切り替えが必要です。
4-1. 国民年金への切り替え
- 届出期限
退職日の翌日から14日以内 - 届出先
市区町村の窓口(国民年金担当課) - 必要書類
年金手帳または基礎年金番号通知書、離職票または退職証明書、本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
14日を過ぎても手続きは可能です。罰則はありません。
ただし、手続きが遅れた期間も退職日の翌日にさかのぼって国民年金に加入する扱いになります。
未手続きのまま放置すると、障害基礎年金や遺族基礎年金の受給資格に影響する可能性があるため、気づいた時点で速やかに手続きしましょう。
4-2. 配偶者の扶養に入る場合(第3号被保険者)
配偶者が会社員・公務員(第2号被保険者)で、自分の年収が130万円未満の見込みであれば、国民年金第3号被保険者に切り替えられます。
第3号被保険者は国民年金保険料の負担がありません。
届出は配偶者の勤務先経由で行います。
4-3. 国民年金保険料の免除制度(失業特例)
退職後に国民年金保険料を支払うのが難しい場合は、「失業による特例免除」を申請できます。
- 対象者
退職(失業)した本人 - 特例の内容
本人の前年所得にかかわらず、世帯の所得状況に応じて審査される(通常は本人の所得も審査対象) - 必要書類
離職票、雇用保険受給資格者証、または雇用保険被保険者離職票のいずれか - 免除の種類と将来の年金額への反映
全額免除の場合でも、将来の年金額の2分の1が保障されます(通常の納付は全額反映)
詳しくは日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」をご確認ください。
50歳未満の方は「納付猶予制度」も利用できます。
免除は将来の年金額に一部反映されますが、猶予は追納しなければ反映されません。
一方、猶予は世帯所得の要件がないため、配偶者の所得が高くても利用できるメリットがあります。
5. 失業給付(雇用保険の基本手当)の申請
失業給付は、一般に「失業保険」とも呼ばれる、雇用保険の基本手当のことです。
雇用保険に加入していた方が退職後にハローワークで申請する手当です。
会社都合退職の方は「特定受給資格者」として、給付制限なしで受給を開始できます。
5-1. ハローワークでの手続きの流れ
- 離職票を受け取る
退職後10日〜2週間で会社から届きます。 - ハローワークに行く
住所地を管轄するハローワークに離職票と必要書類を持参し、求職の申し込みと受給手続きを行います。 - 7日間の待期期間
すべての受給者に共通の待期期間です。 この間は給付されません。 - 雇用保険説明会に出席
受給資格決定後に日程が指定されます。 雇用保険受給資格者証が交付されます。 - 初回認定日にハローワークへ
求職活動の実績を報告し、給付が決定します。 - 約1週間後に初回入金
指定の口座に振り込まれます。
ハローワークに持参するもの
- 離職票(1・2)
- マイナンバーカードまたは個人番号が分かる書類+本人確認書類
- 証明写真(縦3cm×横2.4cm)2枚(マイナンバーカードを提示する場合は不要)
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
- 印鑑(認印)
5-2. 会社都合退職の給付日数
特定受給資格者(会社都合退職)の所定給付日数は、年齢と被保険者期間(雇用保険に加入していた期間)で決まります。
| 被保険者期間 | 30歳未満 | 30〜34歳 | 35〜44歳 | 45〜59歳 | 60〜64歳 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1年未満 | 90日 | 90日 | 90日 | 90日 | 90日 |
| 1年〜5年未満 | 90日 | 120日 | 150日 | 180日 | 150日 |
| 5年〜10年未満 | 120日 | 180日 | 180日 | 240日 | 180日 |
| 10年〜20年未満 | 180日 | 210日 | 240日 | 270日 | 210日 |
| 20年以上 | — | 240日 | 270日 | 330日 | 240日 |
自己都合退職の給付日数が90日〜150日であるのに比べて、会社都合退職は最大330日と大幅に手厚い保障になっています。
5-3. 基本手当日額の計算方法
失業給付で1日あたりに受け取れる金額(基本手当日額)は、退職前6ヶ月間の賃金をもとに計算されます。
- 賃金日額を算出する
退職前6ヶ月間に支払われた賃金の総額 ÷ 180 - 基本手当日額を算出する
賃金日額 × 給付率(おおむね50%〜80%)
給付率は賃金日額が低いほど高くなる仕組みで、低所得の方ほど手厚い給付になっています。
失業給付の受給中に早期に再就職が決まった場合、「再就職手当」が支給されます。
所定給付日数の3分の2以上を残して再就職すると基本手当日額の70%、3分の1以上残していれば60%が一括で支給されます。
「失業給付をもらいきってから就職しよう」と考えがちですが、再就職手当を加味すると早めの再就職のほうがトータルで得になることもあります。
6. 住民税の支払い
住民税は前年の所得に対して課税されるため、退職後も支払いが必要です。
在職中は毎月の給与から天引き(特別徴収)されていましたが、退職後は自分で納付(普通徴収)する形に切り替わります。
6-1. 退職月による住民税の取り扱い
退職月によって、住民税の徴収方法が異なります。
6-2. 住民税の減免・猶予
退職後に収入が大幅に減少し、住民税の支払いが困難な場合は、市区町村の窓口で以下の相談ができます。
- 分割納付
一度に支払えない場合、分割での納付を相談できます。 - 徴収猶予
災害や失業など特別な事情がある場合に、最長1年間の猶予が認められることがあります。 - 減免
自治体によっては、失業を理由とした住民税の減免制度を設けている場合があります。
住民税を滞納すると、延滞金が加算されるほか、最終的には財産の差し押さえに至る可能性もあります。
支払いが難しいと感じたら、滞納する前に市区町村の窓口に相談してください。
7. 確定申告
退職した年の12月31日時点で再就職しておらず、年末調整を受けていない場合は、翌年に確定申告が必要です。
7-1. 確定申告が必要なケース
- 年内に再就職せず、年末調整を受けていない場合
- 退職金について「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合
- 退職後に副業やフリーランスとして収入があった場合
7-2. 確定申告のメリット
多くの場合、確定申告をすると税金が還付されます。
在職中は年収の見込みに基づいて毎月所得税が源泉徴収されていますが、年の途中で退職すると実際の年収が見込みより少なくなるため、払い過ぎた所得税が戻ってきます。
- 申告期間
翌年2月16日〜3月15日(還付申告は1月から可能) - 申告方法
e-Tax(マイナンバーカードがあればスマホからも可能)、税務署への書面提出 - 必要書類
源泉徴収票、各種控除の証明書(社会保険料、生命保険料など)
7-3. 退職金の税金
退職金にも税金がかかりますが、「退職所得控除」により税負担は大幅に軽減されます。
退職時に「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出していれば、適正な税額が源泉徴収されているため、退職金について確定申告をする必要はありません。
提出していない場合は退職金に対して一律20.42%が源泉徴収されるため、確定申告をすることで過大に徴収された税金が還付されます。
退職所得控除額の計算
| 勤続年数 | 控除額 |
|---|---|
| 20年以下 | 40万円 × 勤続年数(最低80万円) |
| 20年超 | 800万円 + 70万円 ×(勤続年数 - 20年) |
たとえば勤続25年で退職金が1,500万円の場合、退職所得控除額は800万円 + 70万円 × 5 = 1,150万円です。
課税対象となる退職所得は(1,500万円 - 1,150万円)× 1/2 = 175万円で、この金額に所得税率が適用されます。
よくある質問(FAQ)
Q. 退職後にまず何をすれば良いですか?
A. まず健康保険と年金の切り替え手続きを行いましょう。
退職日の翌日から無保険・無年金の状態になるため、最優先で対応すべきは健康保険と国民年金の切り替えです。
退職後最初の平日に市区町村の窓口で手続きするのが理想です。
Q. 離職票が届かない場合はどうすれば良いですか?
A. まず会社に催促し、それでも届かなければハローワークで仮申請ができます。
退職日の翌日から12日経過していれば、離職票がなくてもハローワークで失業給付の仮申請が可能です。
仮申請日から待期期間(7日)のカウントが始まるため、離職票の到着を待つよりも早く受給を開始できるメリットがあります。
Q. 任意継続と国保ではどちらが安いですか?
A. 会社都合退職の方は、国保の軽減措置が適用されるため国保のほうが安くなるケースが多いです。
国保の軽減措置では給与所得を30%として保険料を計算するため、会社都合退職の方は大幅に保険料が下がります。
自己都合退職の場合は前年所得がそのまま保険料に反映されるため、任意継続のほうが安くなることもあります。
市区町村の窓口で国保の保険料を試算してもらい、比較するのが確実です。
Q. 年金の切り替え手続きが14日を過ぎてしまいました。どうなりますか?
A. 14日を過ぎても手続きはできます。罰則もありません。
ただし、退職日の翌日にさかのぼって国民年金に加入する扱いになります。
手続きをしないまま放置すると、万が一のときに障害基礎年金や遺族基礎年金が受給できなくなるリスクがあるため、遅れても必ず手続きしてください。
Q. 退職金に税金はかかりますか?
A. かかりますが、退職所得控除により税負担は大幅に軽減されます。
退職時に「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出していれば、適正な税額が天引きされているため、確定申告は原則不要です。
詳しくは「7-3. 退職金の税金」をご確認ください。
Q. 企業型DC(確定拠出年金)はどうなりますか?
A. 退職後6ヶ月以内に移換手続きが必要です。
企業型DCに加入していた方は、退職後に以下のいずれかへ移換する必要があります。
- iDeCo(個人型確定拠出年金) — 転職先に企業型DCがない場合や、しばらく再就職しない場合
- 転職先の企業型DC — 転職先に企業型DCがある場合
6ヶ月以内に移換手続きを行わないと、国民年金基金連合会に自動移換され、運用されないまま手数料だけが差し引かれるため注意が必要です。
まとめ
会社都合退職・早期退職の後にやるべき手続きを、改めて整理します。
- 退職後5日以内
家族の扶養に入れるか確認し、届出を行う - 退職後14日以内
国民健康保険と国民年金の切り替え手続き(市区町村の窓口で同時に) - 退職後20日以内
健康保険の任意継続を選ぶ場合はこの期限までに申請 - 離職票が届いたらすぐ
ハローワークで失業給付の申請 - 翌年2月〜3月
確定申告(還付金が戻る可能性大)
会社都合退職の方は、以下の制度を忘れずに活用しましょう。
- 失業給付の給付制限なし(7日の待期期間のみで受給開始)
- 国民健康保険料の軽減措置(給与所得を30%で計算)
- 国民年金保険料の失業特例免除
突然の退職で不安を感じている方も、一つひとつ手続きを進めれば大丈夫です。
この手続きガイドのチェックリストを参考に、期限を逃さず対応していきましょう。