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加給年金とは?受給条件・金額・手続きと2025年改正を解説

加給年金とは?受給条件・金額・手続きと2025年改正を解説
最終更新:2026年4月24日

「年金に家族手当があるなんて知らなかった」
「申請しないともらえないって本当?」
——そんな声をよく耳にします。

加給年金は、厚生年金に20年以上加入した方が65歳になったとき、年下の配偶者や子どもがいれば老齢厚生年金に上乗せされる制度です。

配偶者1人で年額約42万円が加算されますが、届出をしなければ1円も受け取れません。

さらに2025年6月に成立した年金制度改正法により、2028年4月から配偶者分の加給年金額は約1割減額されます(新規受給者のみ)。

この手続きガイドでは、加給年金の受給条件・金額・申請手続き・2025年改正の影響・振替加算への移行まで、わかりやすく解説します。

1. 加給年金とは?

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加給年金とは、老齢厚生年金に上乗せされる「年金版の家族手当」です。

厚生年金保険の被保険者期間が20年(240月)以上ある方が、65歳到達時点で生計を維持している65歳未満の配偶者や子がいる場合に加算されます。

会社の給与に扶養手当が上乗せされるように、年金にも家族を扶養する方への上乗せがあるイメージです。

ただし、加給年金は自動的に支給されるわけではありません

届出をしないと受け取れないため、条件を満たしている方は必ず手続きを行いましょう。

注意

加給年金は厚生年金の制度です。
自営業やフリーランスなど国民年金(第1号被保険者)のみの方は対象外です。
また、加給年金は配偶者や子に直接支払われるものではなく、年金を受け取る本人の老齢厚生年金に上乗せされる形で支給されます。

2. 加給年金の受給条件

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加給年金を受け取るには、年金を受ける本人と、対象となる家族の両方が条件を満たしている必要があります。

2-1. 年金を受け取る本人の条件

  • 厚生年金保険の被保険者期間が20年(240月)以上あること
    共済組合等の加入期間を除いた厚生年金期間で判定されます。
    なお、中高齢の特例として、40歳(女性と坑内員・船員は35歳)以降の被保険者期間が15年〜19年ある方も対象となる場合があります。
  • 65歳到達時点で、配偶者や子を扶養していること
    65歳到達後に被保険者期間が20年以上となった場合も、在職定時改定時・退職改定時・70歳到達時に加算の対象となります。

2-2. 配偶者の条件

配偶者について、以下のすべてを満たす必要があります。

  • 65歳未満であること
    配偶者が65歳に達すると加給年金は終了します。
  • 生計を維持されていること
    前年の収入が850万円未満(所得655万5,000円未満)が目安です。
  • 配偶者自身が20年以上の厚生年金加入期間のある老齢厚生年金の受給権を持っていないこと
    配偶者がこの受給権を得た時点で、加給年金は停止されます。
    (詳しくは「5. 加給年金が停止・終了するケース」で解説します)
事実婚・別居でも対象になります

法律上の婚姻関係がなくても、事実婚(内縁関係)で生計を維持していれば加給年金の対象です。
別居中であっても、定期的な仕送りなど経済的な支援を行っている場合は対象となります。

2-3. 子の条件

  • 18歳到達年度の末日(3月31日)までの子
    高校を卒業する年度の3月末が上限です。
  • 障害等級1級・2級の状態にある20歳未満の子
    障害がある場合は、20歳まで加給年金が加算されます。

3. 加給年金の金額

3-1. 配偶者の加給年金額(令和8年度)

配偶者の加給年金は、加給年金の本体に「特別加算」が上乗せされます。

特別加算額は、老齢厚生年金を受ける本人の生年月日によって異なります。

受給権者の生年月日特別加算額加給年金額の合計(年額)
昭和9/4/2〜昭和15/4/136,000円279,800円
昭和15/4/2〜昭和16/4/171,900円315,700円
昭和16/4/2〜昭和17/4/1108,000円351,800円
昭和17/4/2〜昭和18/4/1143,900円387,700円
昭和18/4/2以後179,900円423,700円

現在65歳前後の方のほとんどは昭和18年4月2日以後の生まれに該当するため、配偶者1人あたり年額423,700円(月額約35,300円)が加算されます。

3-2. 子の加給年金額(令和8年度)

対象加給年金額(年額)
1人目・2人目の子各243,800円
3人目以降の子各81,300円

3-3. 受給期間と総額の目安

配偶者の加給年金は、配偶者が65歳になるまで支給されるため、年齢差が大きいほど総額が増えます。

年齢差受給期間の目安総額の目安
3歳差約3年間約127万円
5歳差約5年間約212万円
10歳差約10年間約424万円
15歳差約15年間約636万円
ポイント

年齢差が5歳以上ある場合、加給年金の総額は200万円を超えます。
配偶者が年下の方は、申請忘れのないよう特に注意しましょう。

4. 加給年金の申請手続き

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4-1. いつ申請する?

加給年金の申請タイミングは、次の2つのパターンがあります。

  • パターン1: 老齢厚生年金の請求時(基本パターン)
    65歳の誕生月の3カ月前に日本年金機構から届く「年金請求書」に配偶者や子の情報を正しく記入して提出すれば、老齢厚生年金の請求と同時に加給年金の届出が完了します。
  • パターン2: すでに年金を受給中で、あとから条件を満たした場合
    65歳到達後に厚生年金の加入期間が20年以上に達した場合や、年金受給後に結婚した場合などは、別途「加給年金額加算開始事由該当届」を提出する必要があります。

4-2. どこに届け出る?

  • 最寄りの年金事務所
  • 街角の年金相談センター
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予約するとスムーズ

年金事務所への来訪は電話予約がおすすめです。
予約なしでも相談できますが、待ち時間が長くなる場合があります。
ねんきんダイヤル(0570-05-1165)で電話相談も可能です。

4-3. 必要書類

届出に必要な書類は以下のとおりです。

  • 老齢厚生年金・退職共済年金 加給年金額加算開始事由該当届
    年金事務所の窓口に備え付けてあります。

マイナンバーを届出書に記載すれば、以下の添付書類を省略できます

マイナンバーを記載しない場合は、以下の書類が必要です(すべて原本)。

添付書類目的
受給権者の戸籍抄本または戸籍謄本配偶者・子との続柄確認
世帯全員の住民票の写し(続柄・筆頭者の記載あり)生計同一関係の確認
配偶者や子の所得証明書または非課税証明書生計維持の確認
注意

戸籍謄本・住民票は加算開始日より後に発行され、かつ提出日から6カ月以内のものが必要です。
マイナンバーを記載した場合でも、追加で戸籍謄本等の提出を求められることがあります。

4-4. 申請を忘れた場合

加給年金の届出を忘れていた場合でも、過去5年以内であれば遡って受給できます

年金事務所に相談すれば、遡及分をまとめて受け取ることが可能です。

「もしかして届出を忘れているかも」と思ったら、ねんきんダイヤル(0570-05-1165)や最寄りの年金事務所に問い合わせてみましょう。

5. 加給年金が停止・終了するケース

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加給年金は、以下のいずれかに該当すると停止または終了します。

  • 配偶者が65歳に到達したとき
    加給年金は終了し、配偶者の老齢基礎年金に「振替加算」が行われる場合があります(詳しくは次のセクションで解説)。
  • 配偶者が20年以上の厚生年金加入期間のある老齢厚生年金の受給権を得たとき
    配偶者自身が老齢厚生年金(被保険者期間20年以上)を受け取れる権利を持った時点で停止されます。
  • 配偶者が障害年金を受給しているとき
    障害基礎年金または障害厚生年金を受けられる間は停止されます。
  • 離婚したとき
    婚姻関係の解消により終了します。
  • 死亡したとき
    受給権者または対象者の死亡により終了します。
  • 子が18歳年度末を過ぎたとき(障害のある子は20歳)
    子に関する加給年金は年齢到達で終了します。

加給年金の対象者が条件から外れた場合は、速やかに「加給年金額対象者不該当届」を年金事務所に提出する必要があります。

届出を怠ると、本来受け取るべきでない年金を受給し続けることになり、後日返還を求められる可能性があります。

配偶者が厚生年金20年以上でも停止されないケースがあります

「配偶者が厚生年金に20年以上加入していると、加給年金はもらえない」と誤解されがちですが、正確には「20年以上の老齢厚生年金の受給権が発生した時点」で停止されます。
昭和41年4月2日以降生まれの方は特別支給の老齢厚生年金の対象外のため、配偶者が65歳になるまで加給年金が支給される可能性があります。
ご自身のケースについては年金事務所にご確認ください。

令和4年4月改正による停止ルールの変更

令和4年(2022年)4月から、配偶者が20年以上の老齢厚生年金の受給権を持っている場合は、実際に年金を受け取っていなくても(在職老齢年金により全額停止中であっても)加給年金が停止されるようになりました。

ただし、以下の経過措置が設けられています。

  • 令和4年3月時点で加給年金が支給されていた方
  • かつ、配偶者が20年以上の老齢厚生年金の受給権を持ちながら全額停止だった方

この場合は、引き続き加給年金が支給されます。

6. 振替加算とは?加給年金終了後の仕組み

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配偶者が65歳に達すると加給年金は終了しますが、一定の条件を満たす場合は配偶者自身の老齢基礎年金に「振替加算」が上乗せされます。

6-1. 振替加算の仕組み

加給年金が「夫(妻)の年金への上乗せ」だったのに対し、振替加算は「配偶者自身の年金への上乗せ」に切り替わる制度です。

配偶者が65歳になって自分の老齢基礎年金を受け取り始めるタイミングで、加給年金が振替加算に移行します。

6-2. 対象者と金額

振替加算の対象は、大正15年4月2日から昭和41年4月1日までに生まれた配偶者です。

昭和41年4月2日以降生まれの方には振替加算はありません(金額ゼロ)。

金額は配偶者の生年月日によって異なり、生まれが遅いほど少なくなります。

配偶者の生年月日振替加算の年額(目安)
昭和2年4月1日まで243,100円
昭和15/4/2〜昭和16/4/1152,424円
昭和25/4/2〜昭和26/4/187,516円
昭和35/4/2〜昭和36/4/122,673円
昭和41/4/2以後0円

6-3. 振替加算の手続き

振替加算は、配偶者が老齢基礎年金を請求する際の年金請求書に、夫(妻)の年金証書の基礎年金番号・年金コード・氏名・生年月日を正確に記入することで手続きが行われます。

重要

年金請求書の配偶者欄の記入漏れがあると、振替加算が行われない可能性があります。
記入する際は夫(妻)の年金証書を手元に用意し、番号を正確に転記してください。

7. 2025年年金制度改正法で加給年金はどう変わる?

2025年6月に成立した年金制度改正法により、2028年4月から加給年金制度に重要な変更が行われます。

7-1. 配偶者の加給年金額は約1割減額

項目現行(令和6年度価格)改正後(令和6年度価格)
配偶者の加給年金額(特別加算込み)年額408,100円年額367,200円

2028年4月以降に新たに加給年金の受給を開始する方が対象です。

すでに受給中の方は、現行の金額がそのまま維持されます。

7-2. 子の加給年金額は増額

子に対する加給年金額は、子育て支援の強化を目的に引き上げられます。

項目現行(令和6年度価格)改正後(令和6年度価格)
第2子まで各234,800円一律281,700円
第3子以降各78,300円一律281,700円

第3子以降の金額が大幅に引き上げられ、すべての子が同額になります。

また、障害厚生年金・遺族厚生年金にも子の加給年金額が新設されるほか、老齢基礎年金にも子の加算が設けられます。

7-3. 加給年金は廃止されるのか?

2026年4月時点で、加給年金の「廃止」は決定されていません。

今回の改正は、共働き世帯の増加を踏まえた配偶者分の「縮小」と、子育て支援のための子の分の「拡充」が柱です。

ただし、今後の年金制度見直し(5年ごとの財政検証)で、さらなる縮小・廃止が議論される可能性はあります。

既受給者への影響はありません

2028年3月以前にすでに加給年金を受給している方は、改正後も現行の金額が維持されます。
「廃止」や「既存の受給者から取り上げる」という改正ではありませんので、ご安心ください。

8. 繰り下げ受給と加給年金の注意点

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老齢年金の受給開始を66歳以降に繰り下げると、年金額が増額されます。

しかし、加給年金との関係で注意すべき重要なポイントがあります。

老齢厚生年金を繰り下げると、待機中は加給年金が支給されない

老齢厚生年金の受給を繰り下げている間(待機中)は、加給年金も支給されません。

加給年金は繰り下げによる増額の対象にもならないため、繰り下げ期間中の加給年金は丸ごと受け取れなくなります。

基礎年金だけ繰り下げる方法が有効

老齢基礎年金と老齢厚生年金は、それぞれ別に繰り下げることが可能です。

「加給年金を受け取りながら年金を増やしたい」場合は、以下の戦略が有効です。

  1. 老齢厚生年金は65歳から受給開始(加給年金を確保)
  2. 老齢基礎年金だけ繰り下げ(繰り下げ増額の恩恵を受ける)
年齢差が大きい方は特に注意

配偶者との年齢差が5歳以上ある場合、加給年金の総額は200万円以上になります。
老齢厚生年金を繰り下げると、この金額を丸ごと失うことになるため、繰り下げの損得は慎重に計算しましょう。
判断に迷う場合は、年金事務所の相談窓口で試算してもらうことをおすすめします。

よくある質問(FAQ)

Q. 共働きでも加給年金はもらえますか?

A. 配偶者の年収が850万円未満であればもらえます。

共働きであっても、配偶者の前年の収入が850万円未満(所得655万5,000円未満)で生計維持関係が認められれば、加給年金の対象です。

ただし、配偶者自身が厚生年金保険の被保険者期間20年以上の老齢厚生年金の受給権を持った時点で、加給年金は停止されます。

Q. 加給年金は課税されますか?

A. はい、老齢厚生年金の一部として課税対象になります。

加給年金は老齢厚生年金に上乗せされる形で支給されるため、所得税・住民税の課税対象です。

確定申告や年金からの源泉徴収の際に、加給年金を含む年金総額で計算されます。

Q. 加給年金は廃止されるのですか?

A. 現時点では廃止は決定されていません。

2025年の年金制度改正法では、配偶者分の加給年金額が2028年4月から約1割減額されますが、制度自体の廃止は含まれていません。

すでに受給中の方への影響もありません。

Q. 障害厚生年金にも加給年金はつきますか?

A. はい、障害厚生年金の1級または2級を受給している方には、配偶者の加給年金が加算されます。

障害厚生年金の場合、老齢厚生年金のような「20年以上の加入期間」の要件はありません。

65歳未満の配偶者がいて、生計維持関係が認められれば、配偶者加給年金額(令和8年度は243,800円)が加算されます。

まとめ

加給年金は、厚生年金に20年以上加入し、65歳到達時に配偶者や子を扶養している方が受け取れる「年金版の家族手当」です。

最後に、申請前の確認ポイントを整理します。

  • 厚生年金の加入期間は20年(240月)以上あるか
  • 65歳到達時に65歳未満の配偶者、または18歳年度末までの子がいるか
  • 配偶者の年収は850万円未満か
  • 年金請求書の配偶者欄を正しく記入したか(マイナンバーの記載で書類省略可)
  • 配偶者が20年以上の厚生年金期間の老齢厚生年金の受給権を持っていないか
  • 老齢厚生年金の繰り下げを検討する場合、加給年金を受け取れなくなるリスクを確認したか

2025年改正により、2028年4月以降の新規受給者は配偶者分の加給年金額が約1割減額されますが、制度自体は存続します。

届出を忘れていた場合でも、5年以内なら遡って受け取ることが可能です。

不明点がある場合は、ねんきんダイヤル(0570-05-1165)や最寄りの年金事務所に相談しましょう。

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