年金生活者支援給付金の申請方法 - 対象者・金額・手続きを解説
「年金だけでは生活が苦しい」
「年金に上乗せできる給付金があるって本当?」
「ハガキが届いたけど、何のことかわからない」
――こんな声をよく耳にします。
年金生活者支援給付金は、年金を受け取っていても所得が低い方の生活を支えるために、年金に上乗せして支給される制度です。
2026年度は月額5,620円(前年度比+170円)に増額されました。
ただし申請しないと1円も受け取れない「申請主義」の制度です。
この手続きガイドでは、対象者の条件・金額・申請方法・ハガキが届かない場合の対処法まで、わかりやすく解説します。
1. 年金生活者支援給付金とは
年金生活者支援給付金は、公的年金等の収入やその他の所得額が一定基準以下の年金受給者に、年金に上乗せして支給される給付金です。
2019年10月、消費税率が10%に引き上げられた際に「年金生活者支援給付金の支給に関する法律」に基づいて創設されました。
財源は消費税の引き上げ分が充てられており、一時的な給付ではなく恒久的な制度です。
一度支給が決定すれば、条件を満たす限り年金と同じ口座に継続して振り込まれます。
給付金は受給している基礎年金の種類によって、以下の3種類(+補足的1種類)に分かれます。
| 種類 | 対象となる年金 | 主な対象者 |
|---|---|---|
| 老齢年金生活者支援給付金 | 老齢基礎年金 | 65歳以上で所得が基準以下の方 |
| 補足的老齢年金生活者支援給付金 | 老齢基礎年金 | 所得がわずかに基準を超えた方 |
| 障害年金生活者支援給付金 | 障害基礎年金 | 障害等級1級または2級の方 |
| 遺族年金生活者支援給付金 | 遺族基礎年金 | 遺族基礎年金を受給している方 |
年金生活者支援給付金は申請しないと受け取れません。
対象であっても、請求書を提出しなければ1円も支給されない「申請主義」の制度です。
また、請求した月の翌月分からの支給となり、原則として遡っての支給はありません。
2. 2026年度の給付額 - いくらもらえる?
年金生活者支援給付金は毎年度、物価の変動に応じて給付額が改定(物価スライド改定)されます。
2026年度(令和8年度)は前年度から+3.2%の引き上げとなりました。
| 種類 | 2025年度 | 2026年度 | 増加額 |
|---|---|---|---|
| 老齢年金生活者支援給付金(基準額) | 月額5,450円 | 月額5,620円 | +170円 |
| 障害年金生活者支援給付金(1級) | 月額6,813円 | 月額7,025円 | +212円 |
| 障害年金生活者支援給付金(2級) | 月額5,450円 | 月額5,620円 | +170円 |
| 遺族年金生活者支援給付金 | 月額5,450円 | 月額5,620円 | +170円 |
年金と同様に偶数月(2月・4月・6月・8月・10月・12月)の中旬に、2ヶ月分がまとめて支給されます。
2026年度の増額は4月分から適用されますが、実際に増額後の金額が口座に反映されるのは2026年6月15日支給分(4月・5月分)からです。
夫婦それぞれが老齢年金生活者支援給付金の対象であれば、2人分で月額11,240円(年間約134,880円)を受け取れます。
3. 対象者の条件 - 自分は対象?
3-1. 老齢年金生活者支援給付金の3条件
老齢年金生活者支援給付金を受け取るには、以下の3つの条件すべてを満たす必要があります。
- 条件1
65歳以上で、老齢基礎年金を受給している - 条件2
同一世帯の全員が市町村民税非課税である - 条件3
前年の公的年金等の収入金額とその他の所得の合計額が所得基準額以下である
条件3の所得基準額は、生年月日によって異なります。
| 生年月日 | 所得基準額 |
|---|---|
| 昭和31年4月2日以後生まれ | 809,000円以下 |
| 昭和31年4月1日以前生まれ | 806,700円以下 |
「その他の所得」には、給与所得や事業所得、不動産所得などが含まれます。
ただし、障害年金や遺族年金などの非課税収入は判定に含まれません。
本人の年金収入が少なくても、同居する家族に住民税が課税されていると対象外になります。
「収入が少ないのに対象外になった」というご相談の多くは、この世帯要件が原因です。
3-2. 補足的老齢年金生活者支援給付金
所得がわずかに基準額を超える方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が用意されています。
| 生年月日 | 対象となる所得範囲 |
|---|---|
| 昭和31年4月2日以後生まれ | 809,001円〜909,000円 |
| 昭和31年4月1日以前生まれ | 806,701円〜906,700円 |
所得基準額をわずかに超えても、給付金がゼロにならない仕組みになっています。
該当する方には、所得に応じた一定額が支給されます。
3-3. 障害年金生活者支援給付金の条件
障害年金生活者支援給付金を受け取るには、以下の2つの条件を満たす必要があります。
- 条件1
障害基礎年金を受給している - 条件2
前年の所得が4,794,000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額)
障害厚生年金のみを受給している方は対象外です。
あくまで障害基礎年金の受給者が対象となります。
障害等級3級の方は障害基礎年金の対象外のため、この給付金も受け取れません。
障害年金生活者支援給付金の給付額
| 障害等級 | 月額 |
|---|---|
| 1級 | 7,025円 |
| 2級 | 5,620円 |
障害基礎年金の申請方法について、詳しくは以下の手続きガイドをご覧ください。
3-4. 遺族年金生活者支援給付金の条件
遺族年金生活者支援給付金を受け取るには、以下の2つの条件を満たす必要があります。
- 条件1
遺族基礎年金を受給している - 条件2
前年の所得が4,794,000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額)
給付額は月額5,620円です。
2人以上の子が遺族基礎年金を受給している場合は、5,620円を子の数で割った金額がそれぞれに支給されます。
遺族厚生年金のみを受給している方は対象外です。
遺族基礎年金を受給している方が対象です。
遺族年金の申請手続きについて、詳しくは以下の手続きガイドをご覧ください。
4. 厚生年金を受給していても対象になる?
「厚生年金をもらっているから対象外だろう」と考える方が多くいますが、これはよくある勘違いです。
日本の公的年金は「2階建て構造」になっています。
会社員や公務員として働いた方の多くは、1階部分の老齢基礎年金(国民年金)と2階部分の老齢厚生年金を両方受給しています。
年金生活者支援給付金は、この1階部分である老齢基礎年金を受給していれば対象になる可能性があります。
ただし、厚生年金の収入額も所得基準の判定に含まれるため、厚生年金を多く受け取っている方は所得要件を超えて対象外になるケースもあります。
同居していても住民票上の世帯を分ける「世帯分離」により、非課税世帯の要件を満たせる場合があります。
ただし、国民健康保険料や介護保険料の算定、扶養控除などに影響する可能性があるため、実施前にお住まいの市区町村の窓口に相談してください。
5. 給付額の計算方法
老齢年金生活者支援給付金の計算式
老齢年金生活者支援給付金の給付額は、国民年金の保険料を納めた期間に応じて算出されます。
以下の(1)と(2)の合計額が給付額です。
- 保険料納付済期間に基づく額(月額)
5,620円 × 保険料納付済期間 ÷ 480月 - 保険料免除期間に基づく額(月額)
11,768円 × 保険料免除期間 ÷ 480月
※保険料「1/4免除」期間については、11,768円ではなく5,884円で計算されます。 詳しくは厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」をご確認ください。
計算例: 保険料を40年間(480月)すべて納付した場合
- (1) 5,620円 × 480月 ÷ 480月 = 5,620円
- (2) 0円(免除期間なし)
- 合計: 月額5,620円(年額67,440円)
計算例: 保険料納付済期間が360月、免除期間が120月の場合
- (1) 5,620円 × 360月 ÷ 480月 = 4,215円
- (2) 11,768円 × 120月 ÷ 480月 = 2,942円
- 合計: 月額7,157円(年額85,884円)
障害・遺族年金生活者支援給付金
障害年金生活者支援給付金と遺族年金生活者支援給付金は、納付期間に関係なく定額です。
| 種類 | 月額 |
|---|---|
| 障害年金生活者支援給付金(1級) | 7,025円 |
| 障害年金生活者支援給付金(2級) | 5,620円 |
| 遺族年金生活者支援給付金 | 5,620円 |
6. 申請方法と手続きの流れ
年金生活者支援給付金を受け取るには、「年金生活者支援給付金請求書」の提出が必要です。
状況に応じて手続きの方法が異なります。
6-1. 新たに65歳になる方(老齢基礎年金を新規請求)
65歳の誕生日を迎え、老齢基礎年金を新たに請求する方は、年金請求書と同時に年金生活者支援給付金請求書を提出します。
年金事務所や市区町村の窓口で年金の請求手続きをする際に、給付金の請求書も渡されるので、一緒に記入・提出してください。
6-2. 新たに対象になった方(はがき型請求書)
すでに年金を受給していて、所得の低下などにより新たに給付金の対象となった方には、毎年9月頃に日本年金機構から緑色の封筒で「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が届きます。
手続きは3ステップで完了します。
- 届いた封筒の中のはがきに氏名・電話番号等を記入する(記入欄は3カ所)
- 切手を貼る
- ポストに投函する
はがき型請求書には切手を貼る必要があります。
切手を貼り忘れると届かず、請求が遅れる原因になります。
6-3. 電子申請の方法
マイナンバーカードとスマートフォンをお持ちの方は、日本年金機構の電子申請ページから電子申請が可能です。
はがきの投函や年金事務所への来所が不要になるため、手軽に手続きできます。
6-4. 障害基礎年金・遺族基礎年金を新規請求する方
障害基礎年金や遺族基礎年金を新たに請求する方は、年金事務所で年金の請求手続きをする際に、支援給付金の請求も希望する旨を伝えてください。
年金機構で支給要件を確認のうえ、該当する場合は請求書が送られてきます。
6-5. 自筆が困難な場合は代筆も可能
目の不自由な方、肢体の不自由な方、闘病中の方、認知症の方など自筆で書くことが困難な場合は、代理人が代筆して請求手続きができます。
耳や発声が不自由な方は、お近くの年金事務所へファクシミリでも相談できます。
6-6. 支給開始までの流れ
- 年金生活者支援給付金請求書を提出する
- 提出から1〜2ヶ月後に「年金生活者支援給付金 支給決定通知書」が届く
- 初回支払月の上旬に、日本年金機構から振込通知書が届く
- 年金と同じ口座に、年金とは別途振り込まれる
給付金は原則として、請求した月の翌月分からの支給です。
過去の対象期間に遡って支給されることはないため、対象になったら早めに請求してください。
7. ハガキが届かない場合の対処法
「対象のはずなのにハガキが届かない」という場合は、以下の方法で対処してください。
- 給付金専用ダイヤルに電話する
0570-05-4092(ナビダイヤル)
050から始まる電話の場合: 03-5539-2216
受付時間: 月曜 8:30〜19:00 / 火〜金曜 8:30〜17:15 / 第2土曜 9:30〜16:00 - 最寄りの年金事務所に相談する
基礎年金番号がわかるものを持参してください - 電子申請で請求する
ねんきんネットからマイナンバーカードを使って申請できます
ハガキが届かない主な理由としては、以下が考えられます。
- 所得条件や世帯条件を満たしていない
- 引っ越しなどで住所が変わっている
- ハガキを紛失した(再発行を依頼できます)
8. すでに受給している方の手続き
すでに年金生活者支援給付金を受給している方は、新たな手続きは不要です。
毎年度、日本年金機構が所得情報をもとに自動で支給判定を行うため、継続して受給できます。
給付額が改定された場合は、「年金生活者支援給付金 支給金額(改定)通知書」が届きます。
ただし、以下の場合は届出が必要です。
- 海外に転居した(日本国内に住所がなくなった)場合
- 刑事施設等に収容された場合
これらの届出先は、給付金専用ダイヤル(0570-05-4092)またはお近くの年金事務所です。
9. 確定申告での扱い
年金生活者支援給付金は非課税です。
確定申告をする際に、給付金の額を収入や所得に加算する必要はありません。
また、翌年度の給付金の所得判定にも含まれません。
確定申告書の「公的年金等の収入金額」の欄には、あくまで年金本体の金額のみを記入してください。
10. 詐欺にご注意ください
年金生活者支援給付金をかたる詐欺が発生しています。
日本年金機構や厚生労働省が、電話で以下のことを行うことは絶対にありません。
- 家族構成を聞く
- 金融機関の口座番号や暗証番号を聞く
- 手数料や振込を求める
不審な電話や訪問を受けた場合は、すぐに以下に連絡してください。
- お近くの年金事務所
- 警察相談専用電話: #9110
よくある質問(FAQ)
Q. 申請を忘れていた場合、過去の分も遡ってもらえますか?
A. 原則として遡っての支給はありません。
年金生活者支援給付金は「認定請求」に基づく制度のため、請求した月の翌月分からの支給が原則です。
過去に対象だった期間があっても、請求していなかった分は受け取れません。
対象になっていることがわかったら、すぐに請求手続きをしてください。
Q. 毎年申請が必要ですか?
A. 初回の請求以降は、毎年の申請は不要です。
一度請求書を提出すれば、翌年以降は日本年金機構が所得情報をもとに自動的に支給判定を行います。
ただし、所得の変動や世帯構成の変更により対象外になる場合があります。
その場合は「年金生活者支援給付金 不該当通知書」が届きます。
Q. 年金と同じ口座に振り込まれますか?
A. はい、年金と同じ口座に振り込まれます。
ただし、年金とは別途(別の入金として)振り込まれます。
振込時期も年金と同じ偶数月(2月・4月・6月・8月・10月・12月)の中旬です。
Q. 不支給になるのはどんな場合ですか?
A. 以下の3つの場合は支給されません。
- 日本国内に住所がないとき
- 年金が全額支給停止のとき
- 刑事施設等に拘禁されているとき
1または3に該当した場合は届出が必要です。
給付金専用ダイヤル(0570-05-4092)またはお近くの年金事務所にお問い合わせください。
Q. 年金生活者支援給付金は非課税ですか?
A. はい、非課税です。
給付金は所得税・住民税の課税対象になりません。
確定申告時に収入として計上する必要はなく、翌年度の所得判定にも影響しません。
まとめ
年金生活者支援給付金は、年金を受け取っていても所得が低い方の生活を支える大切な制度です。
2026年度は月額5,620円(障害1級は7,025円)に増額されています。
あらためて、対象者の条件を確認しましょう。
- 65歳以上で老齢基礎年金(または障害・遺族基礎年金)を受給している
- 世帯全員が市町村民税非課税(老齢年金の場合)
- 所得が基準額以下(老齢: 809,000円〜909,000円 / 障害・遺族: 4,794,000円)
申請しないと1円も受け取れない制度のため、対象になる可能性がある方は早めに手続きしてください。
対象かどうかわからない場合や、ハガキが届かない場合は、給付金専用ダイヤル(0570-05-4092)またはお近くの年金事務所にご相談ください。