60歳以上の申請しないともらえない給付金5選 - 条件と手続き
「定年後にもらえるお金って、年金だけじゃないの?」
「申請しないともらえないなんて知らなかった…」
——こうした声がSNSでもたくさん見られます。
実は、60歳以上のシニア世代を対象とした公的給付金の多くは「申請主義」。
申請しないともらえないお金がたくさんあり、自分から手続きしなければ条件を満たしていても1円も受け取れません。
この手続きガイドでは、60歳・65歳以上が対象の「申請しないともらえない給付金・手当」を5つ厳選し、対象条件・金額の目安・申請方法をわかりやすく解説します。
申請しないともらえない!60歳・65歳以上の給付金一覧
まず、5つの制度を一覧で確認しましょう。
| # | 制度名 | 対象年齢 | 金額の目安 | 申請先 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 高年齢雇用継続給付金 | 60歳〜64歳 | 賃金の最大10% | ハローワーク |
| 2 | 特別支給の老齢厚生年金 | 60歳〜64歳 | 年数十万円 | 年金事務所 |
| 3 | 年金生活者支援給付金 | 65歳以上 | 月額5,620円 | 日本年金機構 |
| 4 | 高額介護サービス費 | 65歳以上 | 上限超過分を払戻し | 市区町村 |
| 5 | 介護保険負担限度額認定 | 65歳以上 | 月数万円の軽減 | 市区町村 |
いずれも「申請しなければ受け取れない」制度です。
条件に該当していても、手続きをしないままだと給付金は支給されません。
以下、それぞれの制度を詳しく見ていきましょう。
高年齢雇用継続給付金(60歳〜64歳)
高年齢雇用継続給付金は、60歳以降も働き続けているものの、賃金が大幅に下がった方に対して支給される雇用保険の給付金です。
定年再雇用などで給与が下がった場合に、収入の低下分を補う目的があります。
対象者の条件
以下のすべてを満たす方が対象です。
- 60歳以上65歳未満の雇用保険の一般被保険者
- 雇用保険の被保険者期間が通算5年以上ある
- 60歳到達時点(または被保険者期間5年到達時点)の賃金と比べて、現在の賃金が75%未満に低下している
支給額の目安
支給額は、60歳到達時の賃金に対する現在の賃金の低下率によって決まります。
2025年4月1日以降に60歳に到達した方は、支給率の上限が15%から10%に引き下げられました。
2025年3月31日以前に60歳に到達した方は、従来の支給率(最大15%)が適用されます。
- 賃金の低下率が61%以下の場合
各月に支払われた賃金の10%(改正前は15%)が支給されます。 - 賃金の低下率が61%超75%未満の場合
低下率に応じて、10%から逓減した率が支給されます。 - 賃金の低下率が75%以上の場合
支給されません。
支給額の計算例
60歳時点の賃金が月額40万円で、再雇用後の賃金が月額22万円の場合:
- 低下率: 22万円 ÷ 40万円 = 55%(61%以下)
- 支給額: 22万円 × 10% = 月額2万2,000円(2025年4月以降に60歳到達の場合)
支給額シミュレーション
以下のシミュレーターで、ご自身のおおよその支給額を確認できます。
申請方法
高年齢雇用継続給付金の申請は、原則として事業主(会社)がハローワークに行います。
- 申請先
事業所の所在地を管轄するハローワーク - 申請時期
初回: 最初に支給対象月の初日から起算して4ヶ月以内
2回目以降: ハローワークが指定する支給申請月 - 必要書類
高年齢雇用継続給付金支給申請書、雇用保険被保険者六十歳到達時等賃金証明書、賃金台帳・出勤簿など
会社が手続きしてくれない場合や、本人が希望する場合は、自分でハローワークに申請することも可能です。
管轄のハローワークに相談してください。
特別支給の老齢厚生年金(60歳〜64歳)
特別支給の老齢厚生年金は、65歳より前に受け取れる厚生年金です。
かつて年金の支給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられた際、激変緩和措置として設けられた制度で、対象となる方は65歳を待たずに年金を受け取れます。
対象者
以下のすべてを満たす方が対象です。
- 男性
1961年(昭和36年)4月1日以前に生まれた方 - 女性
1966年(昭和41年)4月1日以前に生まれた方 - 厚生年金保険の被保険者期間が1年以上ある
- 老齢基礎年金の受給資格期間(10年以上)を満たしている
対象の生年月日に該当しない方(男性で1961年4月2日以降生まれ、女性で1966年4月2日以降生まれ)は、この制度の対象外です。
65歳からの老齢厚生年金のみの受給となります。
金額の目安
特別支給の老齢厚生年金の金額は、厚生年金の加入期間と加入中の平均報酬額によって決まります。
一般的な目安として、厚生年金に20年以上加入していた方で、年額数十万円〜100万円程度になります。
請求手続き
特別支給の老齢厚生年金は年金の請求手続きが必要です。自動的に支給が始まるわけではありません。
- 受給開始年齢の3ヶ月前に、日本年金機構から「年金請求書(事前送付用)」が届く
- 届いた年金請求書に必要事項を記入し、添付書類とともに年金事務所に提出
- 受給開始年齢の誕生日の前日(受給権発生日)以降に提出する
必要書類
- 年金請求書(日本年金機構から届くもの)
- 戸籍謄本または住民票(マイナンバー登録済みの場合は原則不要)
- 受取先金融機関の通帳コピー(公金受取口座を利用する場合は不要)
- 雇用保険被保険者証(雇用保険に加入中または過去7年以内に加入していた方)
特別支給の老齢厚生年金には「繰下げ制度」がありません。
受給権が発生したら速やかに請求してください。
請求しないまま5年を過ぎると、時効により一部受け取れなくなる場合があります。
よくある請求忘れのパターン
Yahoo!知恵袋やSNSでは、以下のような声が多数見られます。
- 「年金は65歳からだと思い込んでいた」
- 「届いた書類を放置してしまった」
- 「転居して届かなかった」
年金請求書が届いたら、後回しにせず手続きを進めましょう。
年金生活者支援給付金(65歳以上)
年金生活者支援給付金は、所得が低い年金受給者に対して年金に上乗せして支給される給付金です。
2019年10月の消費税率引き上げに伴い創設された制度で、老齢・障害・遺族の各基礎年金受給者が対象になります。
対象者の3つの条件(老齢年金生活者支援給付金)
以下のすべてを満たす方が対象です。
- 65歳以上で老齢基礎年金を受給している
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税である
- 前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が一定基準額以下である
金額
2026年度の基準額は月額5,620円です。
実際の支給額は、保険料納付済期間に応じて計算されます。
- 保険料納付済期間のみの方(480月)
月額5,620円(満額) - 保険料免除期間がある方
免除期間に応じた金額が加算されます
申請方法
- 新たに対象になった方
毎年9月頃に日本年金機構から「緑色の封筒」が届きます。同封のハガキ(年金生活者支援給付金請求書)に記入して返送するだけで手続きは完了です。 - 65歳になって年金を請求する方
年金の請求手続きと同時に、年金生活者支援給付金の請求書も提出できます。
対象条件を満たしているのにハガキが届かない場合は、最寄りの年金事務所または「ねんきんダイヤル」(0570-05-1165)に問い合わせてください。
注意点
- 申請した翌月分からの支給になるため、早めの手続きが大切です
- 一度申請すれば、翌年以降は条件を満たす限り自動的に支給が継続されます
- 所得が基準を超えると支給停止になります
高額介護サービス費(65歳以上)
高額介護サービス費は、1ヶ月に支払った介護サービスの自己負担額が上限を超えた場合に、超過分が払い戻される制度です。
医療費の「高額療養費制度」の介護版と考えるとわかりやすいでしょう。
対象者
介護保険サービスを利用し、1ヶ月の自己負担合計額が所得に応じた上限額を超えた方が対象です。
同じ世帯に複数の利用者がいる場合は、世帯全体で合算できます。
所得段階別の自己負担上限額
| 所得区分 | 上限額(月額) |
|---|---|
| 生活保護受給者 | 15,000円(個人) |
| 世帯全員が住民税非課税で年金収入等80万9,000円以下 | 15,000円(個人)/24,600円(世帯) |
| 世帯全員が住民税非課税 | 24,600円(世帯) |
| 住民税課税世帯(一般) | 44,400円(世帯) |
| 現役並み所得(年収約770万円〜約1,160万円) | 93,000円(世帯) |
| 現役並み所得(年収約1,160万円以上) | 140,100円(世帯) |
申請方法
- 初回
自己負担額が上限を超えた月の約2ヶ月後に、市区町村から「高額介護サービス費支給申請書」が届きます。
届いた申請書に記入して提出してください。申請書が届かない場合は、お住まいの市区町村の介護保険担当窓口に問い合わせてください。 - 2回目以降
一度申請すれば、口座情報が登録されるため、次回以降は自動的に振り込まれます。
高額介護サービス費の申請期限は、サービスを利用した月の翌月1日から2年以内です。
届いた申請書を放置しないよう注意してください。
対象外の費用
以下の費用は高額介護サービス費の計算対象に含まれません。
- 施設の食費・居住費(日常生活費)
- 福祉用具購入費・住宅改修費の自己負担分
- 支給限度額を超えて利用した分(全額自己負担分)
介護保険負担限度額認定(65歳以上)
介護保険負担限度額認定は、特別養護老人ホーム(特養)やショートステイなどの施設を利用する際の食費・居住費を軽減する制度です。
通常、施設の食費・居住費は全額自己負担ですが、この認定を受けることで大幅に減額されます。
対象者の条件
以下のすべてを満たす方が対象です。
- 本人および配偶者(内縁関係を含む)が住民税非課税であること
- 本人と同一世帯の全員が住民税非課税であること
- 預貯金等の資産が一定額以下であること(段階により異なる)
利用者負担段階と資産要件
| 段階 | 所得要件 | 預貯金等の基準 |
|---|---|---|
| 第1段階 | 生活保護受給者/老齢福祉年金受給者 | 単身1,000万円以下/夫婦2,000万円以下 |
| 第2段階 | 年金収入等80万9,000円以下 | 単身650万円以下/夫婦1,650万円以下 |
| 第3段階① | 年金収入等80万9,000円超120万円以下 | 単身550万円以下/夫婦1,550万円以下 |
| 第3段階② | 年金収入等120万円超 | 単身500万円以下/夫婦1,500万円以下 |
軽減される金額の目安
認定を受けると、食費・居住費が以下のように軽減されます。
たとえば特養(多床室)の場合:
- 認定なし(第4段階)
食費1,445円/日 + 居住費915円/日 = 約70,800円/月 - 第2段階に認定
食費390円/日 + 居住費430円/日 = 約24,600円/月 - 差額
月約46,200円の軽減
申請方法
- 申請先
お住まいの市区町村の介護保険担当窓口 - 必要書類
介護保険負担限度額認定申請書、本人および配偶者の預貯金等の通帳のコピー(直近2ヶ月分)、同意書 - 有効期間
毎年8月1日〜翌年7月31日(毎年更新手続きが必要)
負担限度額認定証の有効期間は1年間です。
毎年7月頃に市区町村から更新の案内が届くので、忘れずに手続きしてください。
申請窓口・必要書類・期限まとめ
5つの給付金の申請情報を一覧表で整理します。
| 制度名 | 申請先 | 主な必要書類 | 期限・タイミング |
|---|---|---|---|
| 高年齢雇用継続給付金 | ハローワーク | 支給申請書、賃金証明書、出勤簿 | 初回は4ヶ月以内 |
| 特別支給の老齢厚生年金 | 年金事務所 | 年金請求書、戸籍謄本、通帳コピー | 受給開始年齢到達後すみやかに |
| 年金生活者支援給付金 | 日本年金機構(郵送) | 届いたハガキに記入して返送 | 届いたら早めに |
| 高額介護サービス費 | 市区町村 | 届いた申請書に記入して提出 | 利用月の翌月から2年以内 |
| 介護保険負担限度額認定 | 市区町村 | 認定申請書、通帳コピー | 施設利用前に/毎年更新 |
よくある質問(FAQ)
Q. 申請期限を過ぎてしまったらどうなりますか?
A. 制度によって扱いが異なります。
特別支給の老齢厚生年金は5年の時効がありますが、5年以内であれば遡って請求できます。
高額介護サービス費は利用月の翌月から2年で時効になり、それ以降は払い戻しを受けられません。
年金生活者支援給付金は翌月分からの支給となるため、遅れた分は遡って支給されません。
いずれにしても、対象だとわかったら早めに手続きすることが大切です。
Q. 家族が代わりに申請できますか?
A. いずれの制度も、家族による代理申請が可能です。
年金の請求手続きは、委任状を添付すれば代理人が年金事務所で行えます。
介護保険関連の申請(高額介護サービス費・負担限度額認定)は、家族やケアマネジャーが代行することも一般的です。
高年齢雇用継続給付金は原則として事業主が申請するため、本人が直接手続きする場面は限定的です。
Q. 複数の給付金を同時に受け取ることはできますか?
A. はい、条件を満たせば複数の制度を同時に利用できます。
たとえば、65歳以上で年金生活者支援給付金を受給しながら、介護サービスを利用して高額介護サービス費の払い戻しを受けることは可能です。
ただし、高年齢雇用継続給付金と在職老齢年金を同時に受け取る場合は、年金の一部が支給停止になる「併給調整」が行われる点に注意してください。
Q. 年金請求書が届かない場合はどうすればよいですか?
A. 最寄りの年金事務所に問い合わせてください。
転居などで届かないケースがあります。
「ねんきんネット」で自身の年金記録を確認するか、年金事務所(または「ねんきんダイヤル」0570-05-1165)に連絡しましょう。
