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中高齢寡婦加算とは?金額・条件と2028年廃止の経過措置を解説

中高齢寡婦加算とは?金額・条件と2028年廃止の経過措置を解説
最終更新:2026年5月24日

「夫が亡くなったあと、遺族年金だけで生活できるのだろうか」
「中高齢寡婦加算があると聞いたけど、自分はもらえるの?」
「2028年から廃止されるって本当?」
——こうした不安を抱えている方は少なくありません。

中高齢寡婦加算は、夫を亡くした40歳以上65歳未満の妻に対し、遺族厚生年金に上乗せして支給される加算制度です。

この手続きガイドでは、中高齢寡婦加算の受給条件や金額、2028年から始まる段階的廃止の経過措置、新たに設けられる有期給付加算との違いまでをわかりやすく解説します。

中高齢寡婦加算とは?制度の基本をわかりやすく解説

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中高齢寡婦加算(ちゅうこうれいかふかさん)とは、遺族厚生年金を受給する妻に上乗せされる加算制度です。

遺族基礎年金は「子のある配偶者」または「子」にしか支給されません。

そのため、子がいない妻や、子が18歳の年度末を過ぎて遺族基礎年金を受給できなくなった妻は、遺族厚生年金のみで生活しなければなりません。

中高齢寡婦加算は、こうした妻の生活を支えるために設けられた制度で、妻が40歳から65歳になるまでの間、遺族厚生年金に加算されます。

金額はいくら?

令和8年度(2026年度)の中高齢寡婦加算の金額は以下のとおりです。

項目金額
年額635,500円
月額(目安)約52,958円

この金額は、老齢基礎年金の満額の4分の3に相当する額です。

毎年度の物価や賃金の変動に応じて改定されます。

中高齢寡婦加算の受給条件

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中高齢寡婦加算を受給するには、以下のいずれかに該当する必要があります。

なお、ここでの「妻」には法律上の婚姻関係にある妻だけでなく、事実婚(内縁関係)の妻も含まれます。

条件1: 夫の死亡時に40歳以上65歳未満で子がいない妻

夫が亡くなったとき、妻が40歳以上65歳未満であり、生計を同じくしている子(18歳年度末まで、または20歳未満で障害等級1級・2級の子)がいない場合に加算されます。

条件2: 子のある妻が遺族基礎年金を受給できなくなったとき

遺族厚生年金と遺族基礎年金を受けていた子のある妻が、子が18歳の年度末に達した(障害のある子は20歳に達した)ことにより遺族基礎年金を受給できなくなったとき、その時点で妻が40歳以上であれば加算されます。

重要

条件2の場合、40歳に到達した当時に子がいるため遺族基礎年金を受けている妻が対象です。
夫の死亡時に39歳以下でも、子の年齢要件で遺族基礎年金が終了する時点で40歳以上であれば対象になります。

夫の厚生年金加入期間に関する要件

夫が老齢厚生年金の受給権者または受給資格期間を満たしている場合は、夫の厚生年金保険の被保険者期間が20年以上あることが必要です。

夫が在職中(厚生年金の被保険者である間)に死亡した場合や、在職中の傷病が原因で5年以内に死亡した場合は、被保険者期間の長さに関わらず対象となります。

中高齢寡婦加算をもらえないケース

以下に該当する場合は中高齢寡婦加算を受給できません。

  • 夫の死亡時に妻が40歳未満で、かつ子もいない場合
  • 夫の死亡時に妻が65歳以上の場合
  • 夫が国民年金のみの加入(自営業など)で厚生年金に加入していなかった場合
  • 妻自身が老齢厚生年金の受給権者で、夫の被保険者期間が20年未満の場合
ポイント

中高齢寡婦加算は遺族厚生年金に加算される制度です。
夫が自営業者で国民年金のみに加入していた場合は、遺族厚生年金そのものが支給されないため、中高齢寡婦加算も受給できません。

中高齢寡婦加算の金額と支給期間

支給期間

中高齢寡婦加算は、妻が40歳から65歳になるまでの間、遺族厚生年金に加算されます。

65歳になると中高齢寡婦加算は終了し、妻自身の老齢基礎年金を受給することになります。

65歳以降の「経過的寡婦加算」

昭和31年(1956年)4月1日以前に生まれた妻の場合、65歳になって中高齢寡婦加算が終了した後も「経過的寡婦加算」が遺族厚生年金に加算されます。

経過的寡婦加算は、妻自身の老齢基礎年金と合わせた額が、中高齢寡婦加算の額と同程度になるように設計されています。

昭和31年4月2日以降に生まれた妻は経過的寡婦加算の対象外です。

老齢基礎年金との関係

65歳以降は中高齢寡婦加算が終了し、妻自身の老齢基礎年金の受給が始まります。

遺族厚生年金と老齢基礎年金は併給できるため、65歳以降は「遺族厚生年金 + 老齢基礎年金(+ 老齢厚生年金がある場合はその調整額)」という形で受給します。

2028年改正で中高齢寡婦加算は段階的に廃止

改正法の成立

令和7年(2025年)6月13日、「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律」が成立しました。

この法律により、遺族厚生年金制度が大幅に見直され、中高齢寡婦加算は2028年4月1日(令和10年)の施行日以降、25年かけて段階的に廃止されることになりました。

なぜ廃止されるのか

中高齢寡婦加算は妻のみに支給される加算であり、夫を亡くした妻と妻を亡くした夫との間に制度上の男女差が存在します。

女性の就業率の向上や共働き世帯の増加といった社会経済状況の変化を踏まえ、遺族厚生年金の男女差を解消する改正の一環として段階的廃止が決まりました。

段階的廃止の仕組み(逓減率)

2028年4月1日以降に新たに中高齢寡婦加算の受給権が発生する妻は、その年度に応じた「逓減率」が適用されます。

施行年度逓減率加算額(概算)
N年度(令和10年度/2028年度)25/26 ≒ 0.962約611,351円
N+5年度(令和15年度/2033年度)20/26 ≒ 0.769約488,700円
N+10年度(令和20年度/2038年度)15/26 ≒ 0.577約366,694円
N+15年度(令和25年度/2043年度)10/26 ≒ 0.385約244,668円
N+20年度(令和30年度/2048年度)5/26 ≒ 0.192約122,016円
N+25年度(令和35年度/2053年度)0廃止(新規なし)

※ 上記の加算額は令和8年度の635,500円を基準にした概算です。

実際の金額はその年度の物価・賃金改定後の額に逓減率を乗じて計算されます。

重要

一度受け取り始めた加算額は、翌年度以降も変わりません。
逓減率は受給権が発生した年度で固定されるため、年々さらに減額されることはありません。

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影響を受けない方

以下に該当する方は、今回の見直しの影響を受けません。

  • 既に中高齢寡婦加算を受給している方
    施行日(2028年4月1日)前から加算を受け取っている妻は、現行の金額のまま65歳まで受給できます。
  • 2028年度に40歳以上になる女性
    昭和63年(1988年)4月1日以前に生まれた女性は、仮に2028年度以降に中高齢寡婦加算の受給権が発生しても、5年有期給付の対象にはなりません。
    ただし、中高齢寡婦加算の金額自体は逓減率の影響を受けます。
  • 60歳以降に遺族厚生年金の受給権が発生する方
    現行制度と同じく無期給付として受給できます。
  • 18歳年度末までの子を養育している間の給付内容
    子が18歳年度末になるまでは現行制度と同じです。
注意

「2028年度に40歳以上になる女性」は5年有期給付の対象外ですが、中高齢寡婦加算の金額は逓減率の影響を受けます。
たとえば2030年度に受給権が発生した場合、逓減率0.885が適用され、満額より約11.5%少ない金額となります。

廃止後に新設される「有期給付加算」とは

2028年の改正では、中高齢寡婦加算の段階的廃止と並行して、「有期給付加算」が新設されます。

有期給付加算の概要

有期給付加算は、5年間の有期給付として遺族厚生年金を受給する方に上乗せされる加算です。

有期給付加算の金額は「夫の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の1に相当する額」で、有期給付加算が加わることにより、5年有期の遺族厚生年金の総額は現行制度の約1.3倍になります。

5年経過後の「継続給付」

5年間の有期給付が終了した後も、以下に該当する方は引き続き遺族厚生年金(増額された額)を受給できます(継続給付)。

  • 障害年金の受給権者
  • 収入が十分でない方(就労収入が月額約10万円以下の場合は全額支給)

継続給付は最長で65歳まで受給でき、収入が増えるにつれて年金額が調整されます。

概ね月収20万〜30万円を超えると継続給付は全額支給停止となります。

中高齢寡婦加算との違い

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比較項目中高齢寡婦加算(現行)有期給付加算(2028年〜)
対象者40歳以上65歳未満の妻のみ男女共通
金額年額635,500円(定額)夫の老厚年金の1/4(報酬比例)
支給期間40歳〜65歳(最長25年)5年間(有期給付期間中)
収入要件なし(生計維持のみ)なし(有期給付は収入要件撤廃)
ポイント

有期給付加算は中高齢寡婦加算に「代わる」制度ではありません。
2028年以降の経過期間中は、逓減された中高齢寡婦加算と有期給付加算の両方を受給できるケースがあります。

中高齢寡婦加算の請求手続き

中高齢寡婦加算は、遺族厚生年金の裁定請求と同時に手続きします。

別途あらためて申請する必要はありません。

提出先

最寄りの年金事務所または街角の年金相談センターに提出します。

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必要書類

遺族厚生年金の裁定請求に必要な主な書類は以下のとおりです。

  • 年金請求書(様式第105号)
  • 亡くなった方の年金手帳または基礎年金番号通知書
  • 死亡診断書のコピーまたは死亡届の記載事項証明書
  • 戸籍謄本(死亡した方との続柄が確認できるもの)
  • 世帯全員の住民票の写し(マイナンバーを記載した場合は省略可)
  • 請求者の収入が確認できる書類(所得証明書、課税証明書など)
  • 亡くなった方の住民票の除票
  • 受取先金融機関の通帳またはキャッシュカードのコピー
注意

遺族年金の請求には5年の時効があります。
5年を過ぎると、時効にかかった分の年金は受け取れなくなりますので、早めに手続きしましょう。

請求から受給までの流れ

  1. 年金事務所に年金請求書と必要書類を提出
  2. 日本年金機構で審査(通常1〜2か月程度)
  3. 「年金証書・年金決定通知書」が届く
  4. 届いてから約1〜2か月後に初回の年金が振り込まれる

中高齢寡婦加算の要件を満たしている場合は、遺族厚生年金の決定と同時に加算額が含まれた年金額が通知されます。

よくある質問(FAQ)

Q. 中高齢寡婦加算の読み方は?

A. 「ちゅうこうれいかふかさん」と読みます。

「中高齢」は40歳以上65歳未満を指し、「寡婦」は夫を亡くした女性を意味します。

Q. 経過的寡婦加算との違いは?

A. 支給される年齢が異なります。

中高齢寡婦加算は40歳から65歳まで、経過的寡婦加算は65歳以降に支給されます。

経過的寡婦加算は、65歳で中高齢寡婦加算が終了した後、妻自身の老齢基礎年金が少ない場合に補うための加算です。

ただし、経過的寡婦加算の対象は昭和31年(1956年)4月1日以前に生まれた妻に限られます。

Q. 今すでに受給中の人も廃止の影響を受けますか?

A. 受けません。

2028年4月1日(施行日)の時点で既に中高齢寡婦加算を受給している方は、現行の金額のまま65歳まで受給を続けられます。

逓減率が適用されるのは、施行日以降に新たに受給権が発生する方のみです。

Q. 夫が自営業(国民年金のみ)の場合はもらえますか?

A. もらえません。

中高齢寡婦加算は遺族厚生年金に加算される制度です。

夫が厚生年金に加入していなかった場合は遺族厚生年金そのものが支給されないため、中高齢寡婦加算も対象外となります。

なお、国民年金の第1号被保険者としての加入期間が一定以上ある夫が死亡した場合は、「寡婦年金」(60歳〜65歳の妻に支給)を受給できる場合があります。

Q. 再婚したら中高齢寡婦加算はどうなりますか?

A. 再婚すると受給権が消滅し、中高齢寡婦加算も終了します。

遺族厚生年金は妻が再婚(事実婚を含む)すると受給権が消滅します。

中高齢寡婦加算は遺族厚生年金に加算される制度のため、遺族厚生年金の失権にともない中高齢寡婦加算も終了します。

Q. 中高齢寡婦加算と遺族基礎年金は両方もらえますか?

A. 同時には受給できません。

中高齢寡婦加算は、遺族基礎年金を受給できない妻のために設けられた制度です。

子がいる間は遺族基礎年金が支給され、中高齢寡婦加算は支給停止となります。

子が18歳の年度末を迎えて遺族基礎年金の支給が終了した時点で、中高齢寡婦加算の支給停止が解除されます。

まとめ

中高齢寡婦加算は、夫を亡くした40歳以上65歳未満の妻の生活を支える重要な制度です。

令和8年度(2026年度)の支給額は年額635,500円(月額約52,958円)で、遺族厚生年金に上乗せして受け取れます。

2028年4月から25年かけて段階的に廃止されますが、既に受給中の方は現行額のまま継続受給できます。

新たに受給権が発生する方も、逓減率は受給開始時点で固定されるため、年々さらに減額されることはありません。

受給漏れを防ぐためにも、要件に該当する方は早めに年金事務所で手続きを行いましょう。

遺族年金の申請手続き全般については、以下の手続きガイドもあわせてご確認ください。

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