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定年退職1年目の支出の山〜国保・住民税・年金を抑える

定年退職1年目の支出の山〜国保・住民税・年金を抑える
最終更新:2026年6月7日

「退職金が入ったから、しばらくは安心」

そう思っていたのに、退職した翌年から国民健康保険料・住民税・国民年金保険料の請求が次々と届き、貯金が思った以上に減っていく——。

これは「定年1年目の支出の山」と呼ばれる、多くの退職者が直面する現象です。

無収入になったのに負担が重いのは、これらの保険料や税金が前年(現役時代)の所得をもとに計算される「後払い」だからです。

この手続きガイドでは、支出の山が生まれる仕組みと、国民健康保険・住民税・国民年金それぞれで負担を抑える手続きを、順番に解説します。

1. なぜ定年退職1年目に「支出の山」が来るのか

定年退職をすると、現役時代は給与から天引きされていた負担を、自分で納めることになります。

しかも、その金額は「退職した年」ではなく「前の年(現役で働いていた年)」の所得をもとに計算されます。

収入がゼロになっても、前年の高い所得をベースにした請求が来るため、「無収入なのにこんなに払うの?」と驚く人が後を絶ちません。

1-1. 後払いでやってくる3つの負担

定年退職の翌年にのしかかる主な負担は、次の3つです。

項目計算のもと支払いのタイミング
国民健康保険料前年(1〜12月)の所得退職翌年度(6月〜翌3月など)
住民税前年(1〜12月)の所得退職翌年6月〜翌々年5月
国民年金保険料定額(所得に関係なし)退職後すぐ〜60歳まで

国民健康保険料と住民税は前年所得ベースのため、退職直後の1〜2年目がもっとも高くなります。

国民年金保険料は所得に関係なく定額ですが、これまで会社が半分負担していた厚生年金と違い、全額が自己負担になります。

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1-2. 退職翌年の負担はどのくらいになるか

具体的な金額は前年の収入や自治体によって変わりますが、現役時代に一定の収入があった人の場合、退職翌年は次のような規模になることがあります。

  • 国民健康保険料
    年間40万〜80万円程度になるケースもある(前年所得が高い場合)。
  • 住民税
    前年の課税所得のおよそ10%。
    数十万円になることも珍しくない。
  • 国民年金保険料
    月額17,920円(令和8年度)。
    配偶者の分もあれば2人分。

合計すると、退職翌年の1年間で数十万円〜100万円規模の負担になることもあります。

注意

退職金がまとまって入ると気が大きくなりがちですが、その一部は「翌年やってくる支出の山」のために取り分けておく必要があります。
何にいくらかかるのかを早めに把握しておくことが、貯金を守る第一歩です。

2. 退職直後にやる手続きと期限

支出の山に備える前に、まず退職直後にやるべき切り替え手続きがあります。

会社の健康保険(被用者保険)と厚生年金から外れるため、新しい医療保険と年金へ自分で切り替える必要があります。

特に健康保険の任意継続は「退職後20日以内」と期限が短いため、退職前から準備しておきましょう。

2-1. 退職日から計算する手続きスケジュール

退職日を基準に、主な手続きの期限を計算できます。

以下のツールに退職予定日を入力して、いつまでに何をすべきかを確認してください。

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国民健康保険・国民年金の切り替えは、お住まいの市区町村の窓口で同時に手続きできます。

詳しい必要書類や流れは、次の手続きガイドを参考にしてください。

3. 国民健康保険料 — 高くなる理由と3つの選択肢

定年退職後の医療保険は、何も手続きしなければ自動的に国民健康保険(国保)になるわけではありません。

実は、退職後の医療保険には大きく分けて3つの選択肢があり、どれを選ぶかで保険料が数十万円単位で変わることもあります。

3-1. なぜ退職後の保険料は高く感じるのか

現役時代の健康保険料が安く感じられたのは、保険料の半分を会社が負担していたからです。

退職後は、次の理由で負担が重く感じられます。

  • 会社負担がなくなる
    これまで労使折半だった分が、すべて自己負担になる。
  • 前年の高い所得で計算される
    国保は前年(1〜12月)の所得をもとに算定されるため、退職直後がもっとも高い。
  • 世帯単位で計算される
    国保は世帯主にまとめて請求され、配偶者など扶養家族の分も加算される。

なお、国保の保険料には上限(賦課限度額)があります。

法定の限度額(令和7年度)は、医療分66万円・後期高齢者支援金分26万円・介護分(40〜64歳)17万円で、合計すると最大109万円です。

3-2. 退職後の医療保険「3つの選択肢」を比較する

退職後に選べる医療保険は、次の3つです。

選択肢保険料の目安加入期間・条件手続き先
健康保険の任意継続在職時の約2倍(上限あり)最長2年・退職後20日以内に申請加入していた健保・協会けんぽ
国民健康保険前年所得で変動(自治体差)制限なし市区町村
家族の扶養に入る0円年収要件あり(60歳以上は180万円未満)家族の勤務先

それぞれの特徴を見ていきましょう。

任意継続(在職時の健康保険を続ける)

退職後も、最長2年間は在職時の健康保険を続けられます。

保険料はこれまで会社が負担していた分も自分で払うため、原則として在職時の約2倍になります。

ただし保険料には上限があり、協会けんぽの場合、保険料計算のもとになる標準報酬月額の上限は令和8年度で32万円です。

そのため、現役時代の給与が高かった人ほど、上限の効果で「2倍」よりも安く収まることが多くなります。

任意継続は20日以内

任意継続の申請期限は、退職日の翌日から20日以内です。
1日でも過ぎると原則として加入できなくなるため、退職前に保険料を確認し、早めに申請しましょう。

国民健康保険(市区町村の保険)

任意継続を選ばない場合や、任意継続より安い場合は国民健康保険を選びます。

保険料は前年の所得をもとに自治体ごとの料率で計算されるため、同じ所得でも住む市区町村によって金額が変わります。

退職翌年は前年所得が高いため割高ですが、2年目以降は所得が下がるぶん安くなっていきます。

家族の扶養に入る

配偶者や子どもが会社の健康保険に加入していれば、その被扶養者になる方法もあります。

被扶養者になれば保険料の負担はゼロです。

ただし収入要件があり、原則は年収130万円未満、60歳以上または障害のある人は年収180万円未満であることが必要です。

退職後にパートや再雇用で働く場合は、この収入要件に収まるかを確認しましょう。

なお、失業給付(基本手当)を受給している間は、日額が一定額(60歳以上は5,000円程度)以上だと扶養に入れないことが多い点にも注意が必要です。

扶養に入る手続きの詳しい流れは、次の手続きガイドで解説しています。

3-3. 「1年目は任意継続→2年目は国保」という乗り換え戦略

3つの選択肢は、退職してから2年間ずっと同じものを選ぶ必要はありません。

一般的に保険料を抑えやすいのは、次の組み合わせです。

  1. 1年目: 任意継続を選ぶ
    前年所得が高く国保が割高な時期は、上限のある任意継続のほうが安いことが多い。
  2. 2年目: 国民健康保険に切り替える
    前年所得(退職した年の所得)が下がり、国保の保険料が任意継続を下回ったタイミングで切り替える。

まずは退職前に、任意継続と国保の両方の保険料を試算し、初年度にどちらが得かを比べておくことが大切です。

ポイント

任意継続は、2年の途中でも「国保に切り替えたい」と申し出れば資格を喪失できます(保険料を納めなければ自動的に喪失する扱いもあります)。
2年目に国保のほうが安くなったら、忘れずに切り替えましょう。

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3-4. 高くて払えないときの軽減・減免・分割

国保が高額で支払いが難しいときは、自治体の制度で負担を抑えられる場合があります。

  • 法定軽減(7割・5割・2割)
    世帯の所得が一定基準を下回ると、保険料のうち均等割などが自動で軽減される。
    申請は原則不要。
  • 減免・徴収猶予
    災害や所得の著しい減少などがある場合、申請により減免や納付の猶予を受けられることがある。
  • 分割納付の相談
    一括が難しい場合は、市区町村の窓口で分割納付を相談できる。
定年退職は「非自発的失業の軽減」の対象外

倒産・解雇などで離職した人は、前年の給与所得を30%とみなして国保料を大きく軽減できる制度があります。
しかし、この軽減の対象は雇用保険の特定受給資格者・特定理由離職者に限られ、定年退職・自己都合退職・65歳以上での離職は対象外です。
定年退職の場合は基本的に使えないため、軽減をあてにした資金計画は立てないようにしましょう。

4. 住民税 — 後払いの正体と退職月別の払い方

「支出の山」のなかでも、もっとも誤解されやすいのが住民税です。

退職して収入がなくなったのに、翌年6月ごろに高額な納付書が届いて驚く人が大勢います。

4-1. 住民税は1年遅れの「後払い」

住民税は、前年(1〜12月)の所得に対して課税され、その翌年の6月から翌々年の5月にかけて納めます。

つまり、現役で働いていた年の所得に対する住民税を、退職した翌年に支払うことになります。

この1年のタイムラグがあるため、無収入の年でも前年の高い所得分の住民税がかかるのです。

所得が発生した年住民税を納める時期
退職した年(現役最後の年)退職翌年の6月〜翌々年5月

4-2. 退職した月によって払い方が変わる

在職中の住民税は給与から天引き(特別徴収)されていますが、退職するとその後の住民税の払い方が退職月によって変わります。

  • 1月〜5月に退職した場合
    5月までの残りの住民税が、最後の給与や退職金からまとめて差し引かれる(一括徴収)。
    これは法律で定められた扱いのため、本人が分割を選ぶことはできない。
  • 6月〜12月に退職した場合
    残りの住民税を、最後の給与から一括徴収してもらうか、自分で納付書で納める普通徴収に切り替えるかを選べる。

普通徴収に切り替えると、通常は年4回(6月・8月・10月・翌1月)の納期で、自分で納めることになります。

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退職翌年は「2年分」が重なる感覚に

定年退職して翌年から無収入でも、退職した年の所得に対する住民税が翌年6月から1年かけて請求されます。
退職翌年は「収入はないのに住民税の請求が続く」状態になるため、納税資金をあらかじめ確保しておきましょう。

4-3. 払えないときは分割・減免・徴収猶予を相談する

住民税が一度に払えないときは、納付書をそのまま放置せず、早めに市区町村へ相談しましょう。

  • 分割納付
    納期を分けて少しずつ納める相談ができる。
  • 減免
    退職や失業で所得が激減した場合など、要件に当てはまれば減免される可能性がある。
  • 徴収猶予
    一定期間、納付を待ってもらえる制度がある。

退職後の住民税の払い方や、払えないときの対処法は、次の手続きガイドで詳しく解説しています。

注意

「家族の健康保険の扶養に入ったから住民税もかからない」と考えるのは誤りです。
健康保険の扶養と住民税はまったく別の制度です。
扶養に入っても、前年に所得があれば本人あてに住民税が課税されます。

5. 国民年金保険料 — 切り替えと支払い

退職して厚生年金から外れると、年金の手続きも必要になります。

ただし、定年退職する年齢によって、やるべきことが変わります。

5-1. 60歳の定年退職なら原則は納付終了

国民年金保険料の納付義務は、原則として20歳から60歳になるまで(480月)です。

そのため、60歳で定年退職する場合は、すでに国民年金保険料の納付期間は終わっており、退職後に新たに国民年金保険料を払う必要は基本的にありません。

ただし、過去に未納や免除の期間があり受給額を満額に近づけたい場合は、60歳以降に任意加入して保険料を納めることもできます。

5-2. 60歳より前の早期退職は第1号への切り替えが必要

60歳になる前に退職する場合(早期退職など)は、厚生年金(第2号被保険者)から国民年金(第1号被保険者)へ切り替え、60歳になるまで国民年金保険料を自分で納めます。

令和8年度(2026年度)の国民年金保険料は、月額17,920円です。

切り替えは、退職後14日以内に市区町村の窓口で行います。

5-3. 配偶者が60歳未満なら配偶者の切り替えも忘れずに

会社員(第2号被保険者)に扶養されていた配偶者は、これまで保険料負担のない第3号被保険者でした。

退職して扶養から外れると、配偶者が60歳未満の場合は第3号から第1号被保険者に切り替わり、配偶者分の国民年金保険料も発生します。

  • 本人
    60歳未満なら第1号被保険者として60歳まで納付。
  • 60歳未満の配偶者
    第3号から第1号に切り替わり、60歳まで国民年金保険料が必要。

夫婦そろって60歳未満で退職する場合は、2人分の国民年金保険料がかかる点に注意しましょう。

5-4. 払えないときは免除・猶予を申請する

退職で収入が下がり国民年金保険料の納付が難しいときは、未納のまま放置せず、免除・納付猶予を申請しましょう。

退職(失業)を理由とする特例免除では、本人の前年所得を除外して審査されるため、退職直後でも免除が認められやすくなります。

免除や猶予の申請、未納のリスクについては、次の手続きガイドも参考になります。

6. 退職金の税金 — 「支出の山」を増やさない仕組み

「退職金にも税金がかかって、翌年の住民税や国保がさらに高くなるのでは」と心配する人がいます。

結論からいうと、退職金は手厚く優遇されており、翌年の住民税や国保を押し上げることは基本的にありません。

6-1. 退職金は「退職所得」として優遇される

退職金は給与とは別に「退職所得」として扱われ、次の2つの優遇があります。

  • 退職所得控除
    勤続年数に応じた大きな控除があり、控除額までは非課税になる。
  • 2分の1課税
    控除を引いた残りの、さらに半分だけが課税対象になる。

退職所得控除の額は、勤続年数によって次のように計算します。

  • 勤続20年以下
    40万円 × 勤続年数(80万円に満たないときは80万円)
  • 勤続20年超
    800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年)

たとえば勤続38年なら、控除額は800万円 + 70万円 ×(38 − 20)= 2,060万円になり、退職金がこの額までは課税されません。

6-2. 退職所得控除と課税対象額を試算する

自分の退職金がどのくらい優遇されるのか、以下のシミュレーターで確認できます。

勤続年数と退職金の額を入力すると、控除額と課税対象になる金額の目安がわかります。

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課税対象となる退職所得が0円なら、退職金に所得税・住民税はかかりません。

6-3. 退職金は翌年の保険料・税金の計算に含まれない

退職金が「支出の山」を増やさない最大の理由は、退職所得が分離課税だからです。

分離課税とは、給与などほかの所得と切り離して、その年のうちに課税を完結させる仕組みです。

そのため、退職金は翌年の住民税・国民健康保険料・介護保険料を計算するもとになる所得(総所得金額等)には含まれません。

つまり、支出の山を作っているのはあくまで「前年の給与所得」であり、退職金そのものが翌年の負担を押し上げることはないのです。

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ポイント

退職金は、受け取った年に税金が天引きされて課税が完結します。
勤務先に「退職所得の受給に関する申告書」を提出していれば、退職金について原則として確定申告は不要です。

iDeCoや確定拠出年金を一時金で受け取る場合も、退職所得控除が関係します。

退職金と受け取る時期によって控除の扱いが変わるため、次の手続きガイドもあわせて確認してください。

7. 貯金を守る年間キャッシュフロー計画

支出の山は、仕組みを理解して前もって備えれば、慌てずに乗り越えられます。

ここでは、貯金を守るための考え方を時系列で整理します。

7-1. 退職前にやっておくこと

退職してからではなく、退職前に準備しておくことが何より重要です。

  • 翌年の負担を概算する
    前年の所得をもとに、国保(または任意継続)・住民税・国民年金のおおよその年間負担を見積もる。
  • 任意継続と国保を比較する
    退職前に両方の保険料を試算し、初年度に得な方を選べるようにしておく。
  • 納税・保険料用の資金を取り分ける
    退職金や貯金のうち、支出の山に充てる分を生活費と分けて確保しておく。

7-2. 1年目に効く負担軽減の手

退職した年(1年目)は前年所得が高く負担が重いため、使える手を組み合わせます。

  • 医療保険は安い方を選ぶ
    任意継続・国保・扶養のうち、初年度にもっとも安い選択肢を選ぶ。
  • 前納割引を使う
    国民年金保険料や任意継続の保険料は、まとめて前払いすると割引がある。
  • 分割・猶予を活用する
    一度に払うのが難しいときは、分割納付や徴収猶予を早めに相談する。

7-3. 2年目以降は負担が軽くなっていく

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支出の山がもっとも高いのは退職翌年です。

退職した年は収入が大きく減るため、その所得をもとに計算される2年目の住民税・国保は、1年目よりも下がります。

再雇用やアルバイトをする場合は収入によって変わりますが、完全にリタイアする場合は、年を追うごとに負担が軽くなっていくのが一般的です。

ポイント

「一番きついのは最初の1年」と知っておくだけでも、心の準備が変わります。
1年目を乗り切る資金さえ確保できれば、その後は徐々に落ち着いていきます。

7-4. 65歳・75歳で変わる負担も知っておく

年齢が上がると、保険料の仕組みそのものも変わっていきます。

中長期の見通しを立てるうえで、次の節目を知っておきましょう。

  • 65歳になったとき
    介護保険が第1号被保険者になり、介護保険料は原則として年金から天引きされる。
    国民健康保険料に上乗せされていた介護分はなくなる。
  • 75歳になったとき
    全員が後期高齢者医療制度に移行し、国保や任意継続から自動的に切り替わる。
    保険料は原則として年金から天引きされる。

8. よくある質問(FAQ)

Q. 退職して無収入なのに、なぜ住民税が来るのですか?

A. 住民税が前年の所得に対する「後払い」だからです。

住民税は前年(1〜12月)の所得をもとに計算され、その翌年6月から納めます。

そのため、退職して収入がなくなった年でも、現役で働いていた前年の所得に対する住民税が請求されます。

Q. 任意継続と国民健康保険は、どちらが得ですか?

A. 退職1年目は任意継続が得なことが多いですが、必ず両方を試算して比べてください。

任意継続は保険料に上限があるため、現役時代の給与が高かった人は割安になりやすい傾向があります。

一方、扶養家族が少ない人や前年所得がそれほど高くない人は、国保のほうが安い場合もあります。

退職前に、加入していた健康保険と市区町村の両方で保険料を確認しましょう。

Q. 退職金にも翌年の住民税や国保がかかりますか?

A. かかりません。

退職金は分離課税のため、受け取った年に課税が完結し、翌年の住民税・国民健康保険料・介護保険料を計算するもとになる所得には含まれません。

支出の山を作っているのは前年の給与所得であり、退職金そのものが翌年の負担を増やすことはありません。

Q. 配偶者の扶養に入れば、支出の山は解決しますか?

A. 医療保険の負担はゼロにできますが、住民税は別に課税されます。

家族の健康保険の扶養に入れば、国民健康保険料の負担はなくなります。

ただし健康保険の扶養と住民税は別の制度のため、前年に所得があれば本人あてに住民税が課税されます。

また、扶養には年収要件(60歳以上は180万円未満など)がある点にも注意が必要です。

Q. 国保や住民税が高くて払えないときはどうすればよいですか?

A. 放置せず、早めに市区町村の窓口へ相談してください。

分割納付や徴収猶予、所得が激減した場合の減免など、負担を抑える制度があります。

納付書を放置すると延滞金や差し押さえにつながるおそれがあるため、支払いが難しいと感じたら早めに相談することが大切です。

9. まとめ

定年退職1年目の「支出の山」は、国民健康保険・住民税・国民年金保険料が前年所得をもとに後払いでやってくることが原因です。

ポイントを整理します。

  • 仕組みを理解する
    国保・住民税は前年所得ベースの後払い。
    退職翌年が最も高く、2年目以降は下がる。
  • 医療保険は比較して選ぶ
    任意継続・国保・扶養を試算し、1年目は安い方を選ぶ。
    乗り換えも検討する。
  • 退職金は守られている
    分離課税で翌年の負担を増やさない。
    退職所得控除も大きい。
  • 払えないときは相談する
    分割・減免・猶予、年金の免除など、早めの相談で負担を抑えられる。

支出の山は、前もって資金を取り分け、使える手続きを組み合わせれば乗り越えられます。

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