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年金手取りはいくら?天引きされる5つと控除申告

年金手取りはいくら?天引きされる5つと控除申告
最終更新:2026年7月7日

「ねんきん定期便では月18万円ともらえるはずが、実際に振り込まれたのは15万円だった」——年金生活が始まってから、額面と手取りのギャップに驚く方は少なくありません。

年金からは税金と保険料が自動的に差し引かれ、額面のまま受け取れるわけではないからです。

この手続きガイドでは、年金から天引きされる5つのお金の内訳、額面から手取りを計算する方法、そして控除申告で手取りを増やす手続きまで、わかりやすく解説します。

1. 年金の額面と手取りはなぜ違う?

年金の「額面(額面年金額)」とは、税金や保険料が引かれる前の金額です。

実際に口座へ振り込まれる「手取り」は、そこから所得税や住民税、社会保険料が差し引かれた後の金額になります。

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課税対象になること=税金が引かれること、ではない

まず押さえておきたいのが、「課税対象になること」と「実際に税金が引かれること」は別だという点です。

一定額以上の老齢年金は所得税の課税対象ですが、公的年金等控除や基礎控除などを差し引いた結果、税額が0円になる人も多くいます。

一方で、税金がかからない人でも、介護保険料や医療保険料は年金から天引きされます。

障害年金・遺族年金は非課税

障害年金と遺族年金は、所得税・住民税ともに非課税です。
ただし非課税であっても、65歳以上の介護保険料などの社会保険料は年金から天引きされます。
「税金がかからない=何も引かれない」ではない点に注意してください。

「特別徴収」と「普通徴収」の違い

年金からの天引きは、正式には「特別徴収」と呼ばれます。

  • 特別徴収
    年金の支払いのたびに、税金や保険料が自動的に差し引かれる方式です。
    受給者が自分で納付する手間がありません。
  • 普通徴収
    自治体から届く納付書や口座振替で、自分で納める方式です。
    年金額が少ない場合や、特別徴収の条件を満たさない場合に適用されます。

どの保険料・税金が特別徴収されるかは、年金額や年齢によって決まります。

次の章で、天引きされる5つの内訳を見ていきましょう。

2. 年金から天引きされる5つのお金

年金から天引き(特別徴収)される可能性があるのは、次の5つです。

税金が2つ、社会保険料が3つあります。

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区分項目主な対象
税金所得税・復興特別所得税課税対象となる年金額の人
税金住民税(+森林環境税)65歳以上で年金年額18万円以上
保険料介護保険料65歳以上で年金年額18万円以上
保険料国民健康保険料65〜74歳で年金年額18万円以上
保険料後期高齢者医療保険料75歳以上で年金年額18万円以上

国民健康保険料と後期高齢者医療保険料は、年齢で切り替わるため同時には引かれません。

そのため実際に引かれるのは「税金2つ+介護保険料+医療保険料(国保 or 後期)」の最大4つになるのが一般的です。

天引き(特別徴収)される条件

社会保険料や住民税が年金から天引きされるには、一定の条件があります。

日本年金機構「年金から介護保険料・国民健康保険料(税)・後期高齢者医療保険料・住民税および森林環境税を特別徴収されるのはどのような人ですか」によると、主な条件は次のとおりです。

  • 介護保険料
    65歳以上で、老齢・退職・障害・遺族を事由とする年金の年間受給額が18万円以上の人。
  • 国民健康保険料(税)
    65歳以上75歳未満で、年金年額18万円以上の人。
    国保料と介護保険料の合計が、年金支払額の2分の1を超える場合は普通徴収になります。
  • 後期高齢者医療保険料
    75歳以上(または65〜74歳で該当)で、年金年額18万円以上の人。
    後期高齢者医療保険料と介護保険料の合計が、年金支払額の2分の1を超える場合は普通徴収になります。
  • 住民税・森林環境税
    65歳以上で、老齢・退職を事由とする年金の年間受給額が18万円以上の人。

国保料・後期高齢者医療保険料の特別徴収は、「介護保険料が特別徴収されていること」が前提です。

年金額が少ないと普通徴収になる

年金の年間受給額が18万円未満の場合、これらの保険料・住民税は年金天引き(特別徴収)にならず、納付書や口座振替による普通徴収になります。
「天引きされていないから払わなくてよい」わけではないため、納付書が届いたら必ず納めましょう。

保険料の金額は、お住まいの市区町村や前年の所得によって大きく変わります。

自分の地域の保険料を調べたい場合は、次のツールを活用してください。

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定年直後は、国保・住民税・国民年金が前年所得をもとに重なり、支出が膨らみやすい時期です。

負担を抑える手続きについては、次の手続きガイドもあわせて確認してください。

3. 年金手取りの計算方法(公的年金等控除)

年金の手取りは、次の流れで計算します。

まず所得税と住民税の計算のもとになる「所得」を求め、そこから税額を算出し、社会保険料とあわせて額面から差し引きます。

ステップ1: 公的年金等控除を引いて「雑所得」を求める

公的年金は税法上「雑所得」として扱われ、年金収入から「公的年金等控除」を差し引いて所得を計算します。

国税庁「No.1600 公的年金等の課税関係」の速算表(令和2年分以後、公的年金等以外の所得が1,000万円以下の場合)は次のとおりです。

65歳以上の公的年金等控除

年金収入(年額)雑所得の計算式
110万円以下0円
110万円超330万円未満収入−110万円
330万円以上410万円未満収入×75%−27万5,000円
410万円以上770万円未満収入×85%−68万5,000円
770万円以上1,000万円未満収入×95%−145万5,000円

65歳未満の公的年金等控除

年金収入(年額)雑所得の計算式
60万円以下0円
60万円超130万円未満収入−60万円
130万円以上410万円未満収入×75%−27万5,000円
410万円以上770万円未満収入×85%−68万5,000円
770万円以上1,000万円未満収入×95%−145万5,000円

たとえば65歳以上で年金収入が216万円(月18万円)なら、雑所得は「216万円−110万円=106万円」です。

ステップ2: 各種控除を引いて所得税・住民税を計算する

雑所得から、社会保険料控除・基礎控除・配偶者控除などの所得控除を差し引いた金額(課税所得)に税率をかけて、所得税と住民税を計算します。

年金からの所得税の源泉徴収では、復興特別所得税を含めた5.105%の税率が使われます。

住民税は、所得割(おおむね課税所得の10%)と均等割で構成されます。

ステップ3: 源泉徴収されない年金額のライン(令和8年度改正)

令和8年度(2026年度)の税制改正により、所得税の基礎控除が引き上げられました。

これにともない、公的年金の源泉徴収(所得税の天引き)の対象とならない年金額が引き上げられています。

日本年金機構「令和8年度税制改正による公的年金等に係る主な改正事項」によると、令和8年分の源泉徴収の対象とならない年金額は次のとおりです。

  • 65歳以上
    年金額214万円未満
  • 65歳未満
    年金額164万円未満
12月に精算・還付される

令和8年分の所得税は、11月の年金支払いまでは改正前の控除額で源泉徴収され、12月の年金支払い時に1年分の税額を精算します。
精算の結果、払いすぎた税金があれば還付されます。

4. 年金手取りをシミュレーションしてみよう

ここまでの計算を、次のシミュレーターでまとめて概算できます。

65歳以上・単身・年金収入のみ(年金収入330万円程度まで)の場合の、手取りの目安を確認してみましょう。

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モデルケース: 額面月18万円(年216万円)の場合

65歳以上・単身で、社会保険料を年金額の約9%と仮定した場合の概算は次のとおりです。

項目金額(概算)
年金の額面(年額)2,160,000円
社会保険料(介護・医療)約194,000円
所得税・復興特別所得税約0円
住民税(所得割)約44,000円
天引き合計約238,000円
手取り(年額)約1,922,000円
手取り(月額)約160,000円

額面18万円に対して、手取りは月およそ16万円が目安です。

このケースでは、公的年金等控除110万円と基礎控除95万円、社会保険料控除でほぼ課税所得がなくなるため、所得税はほぼかかりません。

年金額が214万円をわずかに超えても、毎月の源泉徴収は12月の精算で調整され、最終的な所得税がほぼ0円になることもあります。

社会保険料や住民税は自治体・所得によって変わるため、実際の手取りには幅があります。

5. 控除申告で手取りを増やす手続き

年金の手取りは、控除の申告をきちんと行うことで増やせる場合があります。

「確定申告は不要」と思い込んで控除の申告をせず、受けられるはずの還付を取り逃しているケースは少なくありません。

ここでは2つの手続きを解説します。

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5-1. 扶養親族等申告書を提出する

課税対象となる年金受給者には、毎年秋ごろに日本年金機構などから「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」が送られてきます。

この申告書を提出すると、翌年の源泉徴収の段階で各種控除が反映され、天引きされる所得税が少なくなります。

反映される主な控除は次のとおりです。

  • 配偶者控除
    控除対象となる配偶者がいる場合。
  • 扶養控除
    16歳以上の扶養親族がいる場合(19歳以上23歳未満・70歳以上は区分あり)。
  • 障害者控除
    本人・配偶者・扶養親族が障害の状態にある場合。
  • 寡婦控除・ひとり親控除
    一定の要件を満たすひとり親などの場合。
提出しないと源泉徴収税額が増えることがある

扶養親族等申告書を提出しないと、配偶者控除や扶養控除などが源泉徴収に反映されず、天引きされる所得税が多くなる場合があります。
控除の対象となる配偶者・扶養親族がいる人は、忘れずに提出しましょう。なお、本人が障害者・寡婦・ひとり親に該当せず、控除対象の配偶者・扶養親族もいない人は提出の必要はありません。

年金収入のある親を扶養に入れる側の手続きについては、次の手続きガイドで詳しく解説しています。

5-2. 確定申告(還付申告)で払いすぎた税金を取り戻す

扶養親族等申告書では反映されない控除は、確定申告(還付申告)で申告することで、払いすぎた所得税の還付を受けられます。

還付申告で受けられる主な控除は次のとおりです。

  • 医療費控除
    1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合。
    年金生活では医療費がかさみやすく、対象になりやすい控除です。
  • 社会保険料控除
    国民健康保険料や介護保険料などを支払った場合。
    普通徴収で家族の分を払った場合などにも使えます。
  • 生命保険料控除・地震保険料控除
    対象の保険に加入している場合。
  • 雑損控除
    災害や盗難で資産に損害を受けた場合。
少額でも住民税に波及することがある

還付される所得税がわずかでも、確定申告をすることで住民税にも控除が反映され、翌年度の住民税や保険料が下がることがあります。
「数百円の還付だから申告しない」と決めつけず、控除できるものがあれば申告を検討しましょう。

6. 確定申告は必要?不要?

年金受給者には、確定申告の手間を軽くする「確定申告不要制度」があります。

確定申告が不要になる2つの条件

国税庁「No.1600 公的年金等の課税関係」によると、次の2つを両方満たす場合、所得税の確定申告は不要です。詳しくは政府広報オンライン「ご存じですか?年金受給者の確定申告不要制度」でも確認できます。

  1. 公的年金等の収入金額の合計が400万円以下(かつ、その全部が源泉徴収の対象)
  2. 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下

年金収入だけで暮らしている多くの人は、この条件に当てはまります。

不要でも「還付申告」はできる

確定申告が不要な人でも、5-2. 確定申告(還付申告)で払いすぎた税金を取り戻すで紹介した医療費控除などを使う場合は、確定申告(還付申告)をすることで税金の還付を受けられます。

住民税の申告が必要な場合がある

所得税の確定申告が不要な場合でも、各種控除を住民税に反映させるために、お住まいの市区町村への住民税の申告が必要になることがあります。
控除を申告したい場合は、税務署への確定申告か、市区町村への住民税申告のどちらが必要かを確認しましょう。

一方で、確定申告をすると、かえって住民税や保険料が増えてしまうケースもあります。

申告すべきかどうかの判断基準は、次の手続きガイドで詳しく解説しています。

年金を受け取りながら働いている人の確定申告や社会保険については、次の手続きガイドも参考にしてください。

7. 非課税世帯を意識した年金の受け取り方

年金の手取りを考えるうえで、「住民税が非課税になるかどうか」は大きな分かれ目です。

住民税が非課税になると、所得割・均等割がかからないだけでなく、介護保険料や医療費の自己負担割合が軽くなるなど、さまざまな面で負担が下がります。

住民税非課税の目安

住民税が非課税になる年金収入の目安(非課税限度額)は、お住まいの地域の級地区分によって異なります。

日本年金機構が示す、65歳以上の年金収入ベースの目安は次のとおりです。

級地区分65歳以上の目安
1級地年金収入155万円以下
2級地年金収入151.5万円以下
3級地年金収入148万円以下
わずかな超過で保険料が上がることがある

非課税のラインをわずかに超えただけで、住民税がかかるようになり、介護保険料などが一段上がることがあります。
実際の非課税判定は世帯構成や自治体によって異なるため、正確なラインはお住まいの市区町村で確認してください。

繰下げ受給で額面を増やすと負担も増える

年金の繰下げ受給で額面を増やすと、その分だけ課税対象の所得も増え、所得税・住民税・社会保険料の負担が上がることがあります。

額面が増えても手取りが同じ割合で増えるとは限らない点に注意が必要です。

繰上げ・繰下げの損益分岐点や手続きについては、次の手続きガイドで解説しています。

よくある質問(FAQ)

Q. 年金からいくら引かれますか?手取りは何割くらいですか?

A. 年金額や世帯によりますが、額面のおおむね85〜95%程度が手取りの目安です。

たとえば65歳以上・単身で年金月18万円の場合、手取りは月およそ16万円が目安です。

税金がかからない低所得の人は天引きが保険料のみになるため、手取りの割合はもう少し高くなります。

正確な金額は4. 年金手取りをシミュレーションしてみようのシミュレーターで概算できます。

Q. 障害年金や遺族年金からも天引きされますか?

A. 税金は非課税ですが、社会保険料は天引きされます。

障害年金と遺族年金は所得税・住民税ともに非課税のため、これらの年金に税金はかかりません。

ただし、65歳以上の介護保険料など、社会保険料は障害年金・遺族年金からも天引きされます。

Q. 扶養親族等申告書を出し忘れたらどうなりますか?

A. 確定申告で控除を申告すれば取り戻せます。

申告書を出し忘れると、配偶者控除や扶養控除が源泉徴収に反映されず、所得税が多めに天引きされます。

ただし、翌年の確定申告(還付申告)でこれらの控除を申告すれば、払いすぎた税金の還付を受けられます。

Q. 確定申告が不要なのに、還付申告をする意味はありますか?

A. あります。医療費控除などで税金が戻る場合があります。

確定申告不要制度はあくまで「申告しなくてもよい」制度で、「申告してはいけない」制度ではありません。

医療費控除・生命保険料控除・社会保険料控除などがある人は、還付申告をすることで所得税が戻り、翌年度の住民税が下がることもあります。

Q. 年金の手取りを増やす方法はありますか?

A. 受けられる控除をもれなく申告することが基本です。

扶養親族等申告書の提出と、医療費控除などの還付申告で、天引きされる税金を適正な額まで減らせます。

また、住民税非課税のラインを意識することで、保険料負担を抑えられる場合があります。

まとめ

年金の手取りは、額面から税金と社会保険料を差し引いた後の金額です。

  • 天引きされるのは最大5項目
    所得税・住民税(+森林環境税)・介護保険料・国民健康保険料または後期高齢者医療保険料。
  • 手取りの目安は額面の約85〜95%
    公的年金等控除や基礎控除で、税金が0円になる人も多くいます。
  • 控除申告で手取りを増やせる
    扶養親族等申告書の提出と、医療費控除などの還付申告が基本の手続きです。
  • 確定申告が不要でも還付申告はできる
    医療費控除などがある人は、申告することで税金が戻る場合があります。

「年金だから申告は関係ない」と思い込まず、受けられる控除をもれなく申告して、手取りを適正に確保しましょう。

保険料や非課税判定など、地域によって異なる部分は、お住まいの市区町村や年金事務所で確認することをおすすめします。

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