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老人扶養控除とは?親を扶養に入れる条件・控除額・手続きを解説

老人扶養控除とは?親を扶養に入れる条件・控除額・手続きを解説
最終更新:2026年4月21日

「離れて暮らす親に毎月仕送りをしている」
「同居する高齢の親の生活費や医療費を負担している」
——このような状況にある方は、老人扶養控除を使うことで、所得税や住民税の負担を年間数万円〜十数万円軽くできる可能性があります。

老人扶養控除は、70歳以上の親族を税法上の扶養に入れることで受けられる所得控除です。

同居している場合は最大58万円、別居していても48万円が課税所得から差し引かれます。

さらに、2025年(令和7年)の税制改正で扶養親族の所得要件が緩和され、これまで対象外だった親も新たに対象となるケースが出てきました。

この手続きガイドでは、老人扶養控除の仕組みから対象となる条件、年金収入の上限額、年末調整・確定申告での具体的な手続き方法、そしてデメリットや注意点まで、わかりやすく解説します。

1. 老人扶養控除とは?制度の仕組み

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老人扶養控除とは、70歳以上の親族を扶養に入れている納税者が受けられる所得控除の制度です。

通常の扶養控除(38万円)よりも控除額が大きく設定されており、高齢の親を経済的に支えている人の税負担を軽減する目的があります。

ポイントは「税法上の扶養」

「扶養」には大きく分けて次の2種類があります。

種類対象メリット
税法上の扶養所得税・住民税扶養する側の税金が安くなる
健康保険上の扶養社会保険(健康保険)扶養される側の保険料が不要になる

老人扶養控除は税法上の扶養に該当し、扶養する側(子など)の所得税・住民税が安くなる制度です。

重要

75歳以上の親は後期高齢者医療制度に加入するため、健康保険上の扶養には入れません
ただし、税法上の扶養(老人扶養控除)は75歳以上でも利用可能です。
この2つを混同して「75歳以上は扶養に入れない」と思い込んでいる方が少なくありませんが、税法上の扶養は年齢の上限なく申告できます。

2. 老人扶養控除の控除額 — 同居・別居でいくら節税できる?

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所得税の控除額

区分控除額
同居老親等58万円
同居老親等以外(別居など)48万円
一般の控除対象扶養親族(16歳〜69歳)(参考)38万円

住民税の控除額

区分控除額
同居老親等45万円
同居老親等以外(別居など)38万円
一般の控除対象扶養親族(16歳〜69歳)(参考)33万円

年収別の節税効果シミュレーション

老人扶養控除を使うと、具体的にどれくらい税金が安くなるのでしょうか。

同居老親等の控除額(所得税58万円+住民税45万円)の場合の目安は次のとおりです。

扶養する側の年収所得税率所得税の節税額住民税の節税額(税率10%)合計の節税額
300万円5%29,000円45,000円約74,000円
400万円10%40,500円45,000円約85,500円
600万円20%106,000円45,000円約151,000円
800万円20%116,000円45,000円約161,000円

別居の場合(所得税48万円+住民税38万円)でも、年収400万円の方で約73,500円の節税になります。

ご自身の年収から節税額を計算したい場合は、以下のシミュレーターをご利用ください。

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3. 老人扶養控除を受けるための4つの条件

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老人扶養控除を受けるには、扶養に入れたい親族が以下の4つの条件をすべて満たす必要があります。

条件1. その年の12月31日時点で70歳以上であること

老人扶養親族の年齢要件は70歳以上です。

2025年(令和7年)分の場合、1955年(昭和30年)以前に生まれた方が対象となります。

69歳以下の親族は「一般の控除対象扶養親族」として38万円の控除が適用されます。

条件2. 納税者と「生計を一にしている」こと

「生計を一にする」とは、日常の生活費を共にしていることを意味します。

  • 同居の場合
    一緒に暮らしていれば原則として「生計を一にしている」とみなされます。
  • 別居の場合
    常に生活費や療養費などを仕送りしていれば「生計を一にしている」と認められます。
ポイント

別居している親への仕送りの方法について、詳しくは「6. 別居している親を扶養に入れる方法」で解説しています。

条件3. 年間の合計所得金額が58万円以下であること

扶養に入れたい親の年間の合計所得金額が58万円以下であることが必要です。

重要

この金額は2025年(令和7年)の税制改正で、従来の48万円から10万円引き上げられました。
詳しくは「4. 2025年(令和7年)税制改正 — 所得要件が緩和」をご覧ください。

「所得」と「収入」は異なります。

年金収入や給与収入から各種控除を差し引いた後の金額が「所得」です。

具体的な計算方法は「5. 年金を受給している親は対象になる?所得の計算方法」で解説します。

条件4. 事業専従者でないこと

扶養に入れたい親が、青色申告者の事業に従事して給与を受けている場合や、白色申告者の事業専従者である場合は、扶養控除の対象にはなりません。

会社員の家庭であれば、この条件は通常問題になりません。

4. 2025年(令和7年)税制改正 — 所得要件が緩和

2025年(令和7年)の税制改正により、扶養親族の合計所得金額の要件が引き上げられました。

項目改正前改正後(令和7年分〜)
扶養親族の合計所得金額の上限48万円以下58万円以下
年金収入のみの場合の上限(65歳以上)158万円以下168万円以下

この改正により、年金収入が158万円を超えて168万円以下の親は、新たに老人扶養控除の対象になりました。

ポイント

この改正は令和7年12月1日に施行され、令和7年分の所得税から適用されます。
令和7年分の年末調整(2025年12月)で反映されるため、これまで対象外だった親がいる場合は、勤務先に扶養控除等(異動)申告書を再提出しましょう。

過去に申告し忘れていた場合

今まで老人扶養控除の存在を知らず申告していなかった方も、過去5年分まで遡って還付申告(確定申告)をすることが可能です。

たとえば親の年金収入が150万円で長年扶養に入れていなかった場合、5年分の所得税が還付される可能性があります。

5. 年金を受給している親は対象になる?所得の計算方法

70歳以上の親の多くは年金を受給しています。

「年金をもらっている親は扶養に入れないのでは?」と思われがちですが、年金収入が一定額以下であれば対象になります。

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年金のみの場合

65歳以上の方の公的年金等控除額は110万円です。

所得は次のように計算します。

年金収入 − 公的年金等控除額(110万円) = 合計所得金額

合計所得金額が58万円以下であればよいので、年金収入に換算すると次のようになります。

110万円 + 58万円 = 168万円

つまり、年金収入が年間168万円以下(月額約14万円以下)であれば、老人扶養控除の対象になります。

ポイント

公的年金等控除額の110万円は、年間の年金収入が330万円未満の場合に適用される金額です。
大多数の70歳以上の年金受給者はこの範囲に収まります。

年金と給与の両方がある場合

70歳以上でパートやアルバイトをしている場合は、年金所得と給与所得を合計して判定します。

収入の種類金額(例)控除額所得
年金収入120万円公的年金等控除 110万円10万円
給与収入100万円給与所得控除 55万円45万円
合計所得55万円

この例では合計所得が55万円で、58万円以下の要件を満たすため、老人扶養控除の対象となります。

ただし、年金所得と給与所得の両方がある場合で、それぞれの所得の合計が10万円を超える場合は、所得金額調整控除(最大10万円)が適用され、合計所得金額がさらに下がることがあります。

遺族年金・障害年金は非課税

遺族年金や障害年金は所得税法上の非課税所得です。

いくら受給していても所得には含まれません。

たとえば遺族年金を年間150万円受給している親は、所得税法上は所得0円として扱われるため、老人扶養控除の対象になります。

6. 別居している親を扶養に入れる方法

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離れて暮らす親でも、「生計を一にしている」と認められれば老人扶養控除の対象になります。

「生計を一にする」ための要件

別居の場合、常に生活費や療養費等の送金をしていることが必要です。

重要

税法上の扶養では、仕送りの金額に明確な最低基準はありません。
健康保険の扶養では「被扶養者の収入以上の仕送り」が求められますが、税法上はそのような基準は定められていません。
ただし、仕送りの実態があることが重要です。

仕送りの証明方法

年末調整や確定申告で直接的な送金証明の提出は通常求められませんが、税務署から確認を受けた場合に備えて、送金の記録を残しておきましょう。

  • 銀行振込
    振込明細・通帳の記録
  • 現金書留
    郵便局の受領証
  • 送金アプリ(PayPay、LINE Payなど)
    送金履歴のスクリーンショット

別居でも「同居老親等」に該当するケース

以下の場合は別居していても「生計を一にしている」と認められます。

  • 子どもが転勤や就学のために一時的に別居している場合
  • 親が病気療養のために入院している場合(長期でも可)

ただし、それぞれ独立した生活を営んでいると認められる場合は「生計を一にしている」とはいえません。

7. 「同居老親等」の範囲 — 老人ホーム・入院中の場合は?

同居しているか別居しているかで、所得税の控除額が10万円変わります(同居: 58万円、別居: 48万円)。

「同居老親等」の条件

以下の両方を満たす場合に「同居老親等」に該当します。

  • 納税者本人または配偶者の直系尊属(父母・祖父母)であること
  • 納税者本人または配偶者と同居を常としていること
ポイント

配偶者の父母(義父母)も対象です。
たとえば妻の母と同居している場合、夫が「同居老親等」として控除を受けられます。

入院中の場合

重要

病気やケガの治療のために入院している場合は、入院期間が1年以上の長期にわたっても「同居」として扱われます
(出典: 国税庁 No.1180)

老人ホーム等に入所している場合

注意

老人ホーム(特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅など)に入所している場合は、その施設が居所となるため「同居」には該当しません

この場合、老人扶養控除の対象にはなりますが、区分は「同居老親等以外」(控除額48万円)となります。

8. 75歳以上(後期高齢者)の親を扶養に入れる場合の注意点

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75歳以上の親を扶養に入れる場合、税法上の扶養と健康保険上の扶養を区別することが大切です。

項目税法上の扶養(老人扶養控除)健康保険上の扶養
75歳以上の利用可否利用できる利用できない
理由年齢の上限なし後期高齢者医療制度に加入するため
メリット扶養する側の所得税・住民税が安くなる扶養される側の保険料が不要

75歳以上の親は後期高齢者医療制度に加入するため、子の健康保険(社会保険)の扶養に入ることはできません。

しかし、税法上の扶養(老人扶養控除)には75歳以上でも問題なく入れることができます。

「75歳以上だから扶養に入れない」と思い込んで申告していない方は、節税のチャンスを逃している可能性があります。

9. 老人扶養控除の手続き方法

老人扶養控除を受けるための手続きは、会社員か個人事業主かによって異なります。

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10. 老人扶養控除のデメリットと注意点

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老人扶養控除は税法上の制度であり、申告すること自体にデメリットはほとんどありません

ただし、関連する以下の点には注意が必要です。

注意点1. 介護保険料・高額療養費への影響

老人扶養控除の申告そのものは、親の介護保険料や高額療養費の自己負担限度額に直接影響しません。

ただし、扶養に入れる際に住民票を同一世帯にすると、世帯全体の所得で判定される介護保険料や高額療養費の自己負担限度額が上がる可能性があります。

対策: 世帯分離

同居していても住民票上の世帯を別にすること(世帯分離)は可能です。

世帯分離をすれば、税法上の「生計を一にする」要件は満たしつつ、介護保険料等の判定は別世帯として扱われます。

注意

介護保険料を下げることのみを目的とした世帯分離は、自治体によっては認められない場合があります。 事前にお住まいの市区町村の窓口でご相談ください。

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注意点2. 非課税世帯向け給付金の対象外になる可能性

国や自治体から支給される一部の給付金(非課税世帯向けの臨時給付金など)は、「他の者の控除対象扶養親族になっている人を除く」という条件が付く場合があります。

親が住民税非課税で、こうした給付金を受け取っている場合は、扶養に入れることで給付金の対象外になるリスクがあります。

親の給付金額と、扶養控除による節税額を比較して、トータルで有利な方を選びましょう。

注意点3. 兄弟間での重複控除に注意

1人の親を複数の子どもが同時に扶養控除の対象にすることはできません

たとえば、兄と弟がいる場合、どちらか1人だけが母親を扶養控除の対象にできます。 兄弟間で事前に話し合い、所得税率が高い(年収が高い)方が申告するほうが節税効果は大きくなります。

注意点4. 配偶者控除との二重適用はできない

両親が揃っている場合、たとえば父が母を配偶者控除の対象にしている場合に、子が同じ母を扶養控除の対象にすることはできません。

父が母の配偶者控除を受けていない場合に限り、子が母を扶養控除に入れることが可能です。

注意点5. 年の途中で親が亡くなった場合

扶養親族に該当するかどうかの判定は、原則としてその年の12月31日時点の状況で行います。

ただし、年の途中で親が亡くなった場合は、死亡時点の状況で判定します。

つまり、年の途中で親が亡くなった場合でも、亡くなった時点で扶養の要件を満たしていれば、その年の老人扶養控除を受けることができます

障害者控除との併用

扶養に入れる親が障害者手帳を持っている場合や、要介護認定を受けている(自治体によっては障害者控除の対象になる)場合は、老人扶養控除に加えて障害者控除(27万円〜75万円)を併用できます。

区分老人扶養控除障害者控除合計控除額
同居老親等 + 同居特別障害者58万円75万円133万円
同居老親等 + 特別障害者58万円40万円98万円
同居老親等 + 一般障害者58万円27万円85万円
ポイント

自治体によっては、要介護認定を受けている高齢者に「障害者控除対象者認定書」を発行しています。
障害者手帳がなくても障害者控除を受けられる場合がありますので、お住まいの市区町村にお問い合わせください。

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よくある質問(FAQ)

Q. 過去に申告し忘れていた場合、遡って控除を受けられますか?

A. 過去5年分まで遡って還付申告が可能です。

確定申告(還付申告)を行うことで、払いすぎた所得税が戻ってきます。

会社員の方でも、還付申告は確定申告で行います。

たとえば2021年分〜2025年分について老人扶養控除を申告していなかった場合、それぞれの年分の確定申告書を作成して税務署に提出しましょう。

国税庁の確定申告書等作成コーナーで過去分の申告書も作成できます。

Q. 兄弟で一人の親を分けて扶養控除できますか?

A. できません。1人の親は1人の納税者しか扶養控除の対象にできません。

兄弟のうちどちらか1人が扶養控除を受けることになります。

所得税率が高い(年収が高い)方が申告したほうが、節税効果が大きくなります。

Q. 世帯分離していても扶養控除は受けられますか?

A. 受けられます。

税法上の「生計を一にする」と、住民票上の「世帯」は別の概念です。

住民票で世帯を分けていても、実際に生活費を共にしているなど「生計を一にしている」実態があれば、扶養控除の対象となります。

Q. 親が途中で亡くなった場合はどうなりますか?

A. 亡くなった年の扶養控除は受けられます。

年の途中で親が亡くなった場合、亡くなった時点で扶養の要件を満たしていれば、その年分の老人扶養控除を受けることができます。

なお、亡くなった親が他の納税者(たとえば配偶者)の年末調整で扶養控除の対象とされていた場合でも、亡くなった後にあなたの確定申告で扶養控除の対象とすることが可能です(重複しない限り)。

Q. 年金から天引きされている介護保険料は、所得から引けますか?

A. 年金から天引きされている介護保険料は、その年金を受給している本人の社会保険料控除の対象です。

子が社会保険料控除として申告することはできません。

ただし、子が口座振替で親の介護保険料を支払っている場合は、子の社会保険料控除として申告できます。

まとめ

老人扶養控除のポイントを整理します。

  • 老人扶養控除は、70歳以上の親族を税法上の扶養に入れることで、所得税・住民税が安くなる制度
  • 控除額は同居で所得税58万円+住民税45万円、別居で所得税48万円+住民税38万円
  • 2025年(令和7年)の税制改正で所得要件が緩和され、年金収入168万円以下(従来は158万円以下)の親が対象に
  • 75歳以上(後期高齢者)の親でも、税法上の扶養控除は利用可能
  • 別居していても、仕送り等で生計を一にしていれば対象
  • 手続きは年末調整または確定申告で行う
  • 過去5年分まで遡って還付申告が可能
  • 障害者控除との併用で、さらに大きな控除を受けられる場合がある

高齢の親を経済的に支えている方は、老人扶養控除を活用することで、家計の負担を軽くできる可能性があります。

年末調整の時期が来る前に、親の年金収入額を確認して、控除の対象になるかチェックしてみましょう。

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