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相続手続き完全ガイド — 相続税の計算から生前贈与・遺産分割まで

相続手続き完全ガイド — 相続税の計算から生前贈与・遺産分割まで
最終更新:2026年4月17日

「親が亡くなったけれど、相続の手続きは何から始めればいいの?」
「うちは相続税がかかるのだろうか…」

相続は、多くの方にとって人生で初めて経験する手続きです。

やるべきことが多い上に期限もあり、不安を感じるのは当然のことでしょう。

ただし、相続税が実際にかかるのは、亡くなった方全体の約1割にすぎません。

まずは基礎控除で自分のケースを確認し、全体の流れを把握するところから始めましょう。

この手続きガイドでは、相続手続きの流れ、相続税の計算方法、遺産分割のポイント、そして生前にできる相続対策まで、一つひとつ丁寧に解説していきます。

1. 相続の基本 — まず知っておくべきこと

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1-1. 相続とは?誰が相続人になるのか

相続とは、亡くなった方(被相続人)の財産を、一定の親族(相続人)が引き継ぐことです。

相続人になれる人の範囲と優先順位は、民法で次のように定められています。

法定相続人の範囲と順位

  • 配偶者
    常に相続人になります(離婚した元配偶者は含まれません)。
  • 第1順位: 子(直系卑属)
    子がすでに亡くなっている場合は、孫が代わりに相続人になります(代襲相続)。
  • 第2順位: 父母(直系尊属)
    子も孫もいない場合に相続人になります。 父母がいない場合は祖父母が対象です。
  • 第3順位: 兄弟姉妹
    子・孫も父母・祖父母もいない場合に相続人になります。 兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合は、その子(甥・姪)が代襲相続します。

法定相続分の割合

相続人の組み合わせによって、法定相続分(法律上の取り分の目安)が異なります。

相続人の組み合わせ配偶者の相続分他の相続人の相続分
配偶者 + 子1/2子が1/2を均等分割
配偶者 + 父母2/3父母が1/3を均等分割
配偶者 + 兄弟姉妹3/4兄弟姉妹が1/4を均等分割
配偶者のみ全部
子のみ子が均等分割
法定相続分はあくまで「目安」

法定相続分は、遺言書がなく相続人全員で話し合いがまとまらない場合の基準です。
遺言書があればその内容が優先されますし、相続人全員の合意があれば法定相続分と異なる割合で分けることもできます。

1-2. 相続財産の範囲 — 何が対象になるのか

相続の対象となる財産は、預貯金や不動産だけではありません。

金銭的な価値があるものは、原則としてすべて相続財産に含まれます。

プラスの財産

  • 現金・預貯金
  • 不動産(土地・建物)
  • 有価証券(株式・投資信託・国債など)
  • 自動車
  • 貴金属・美術品
  • ゴルフ会員権
  • 貸付金・売掛金
  • 著作権・特許権

故人がどの金融機関・証券会社に口座を持っていたか分からない場合は、以下の制度で調べることができます。

マイナスの財産

  • 借金(住宅ローン・カードローンなど)
  • 未払いの税金(固定資産税・住民税など)
  • 未払いの医療費
  • 保証債務(連帯保証人になっていた場合)

みなし相続財産

被相続人が亡くなったことで支払われる以下の金銭は、相続財産ではありませんが、相続税の計算上は相続財産とみなされます。

  • 死亡保険金(生命保険金)
    受取人が指定されているため遺産分割の対象にはなりませんが、相続税の課税対象です。
    ただし、500万円 × 法定相続人の数までは非課税です。
  • 死亡退職金
    生命保険金と同じく、500万円 × 法定相続人の数までは非課税です。

故人がどの保険会社と契約していたか分からない場合は、生命保険契約照会制度を利用して調べることもできます。

相続財産に含まれないもの

  • 墓地・墓石・仏壇・仏具(日常礼拝に使用するもの)
  • 国や地方公共団体などへの寄付財産(一定の要件あり)

2. 相続手続きの全体の流れとスケジュール

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相続に関する手続きには期限があるものが多く、優先順位をつけて進める必要があります。

以下のチェックリストで全体像を把握しましょう。

  • 【7日以内】
    • 死亡届の提出
    • 火葬許可証の受取
  • 【14日以内】
    • 年金受給停止の届出
    • 健康保険・介護保険の資格喪失届
    • 世帯主の変更届(必要な場合)
  • 【3ヶ月以内】
    • 遺言書の有無を確認
    • 相続財産の調査
    • 相続放棄・限定承認の検討・申述(家庭裁判所へ)
  • 【4ヶ月以内】
    • 故人の所得税の確定申告(準確定申告)
  • 【10ヶ月以内】
    • 遺産分割協議
    • 相続税の申告・納付
  • 【1年以内】
    • 遺留分侵害額請求(遺留分を侵害された場合)
  • 【3年以内】
    • 相続登記(不動産の名義変更) ※2024年4月〜義務化

手続きスケジュールを自動計算

亡くなった日を入力すると、各手続きの期限が自動で表示されます。

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重要

相続放棄の期限「3ヶ月」は特に短いため、借金やトラブルの可能性がある場合は早めに判断してください。
相続放棄の詳しい手続きは後述のセクションで紹介しています。

3. 相続税の基礎知識 — いくらからかかる?計算方法は?

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「相続税がかかるのでは」と不安に感じる方は多いですが、まず基礎控除という大きな非課税枠があります。

この基礎控除を超えなければ、相続税はかからず、申告も不要です。

3-1. 基礎控除で「相続税がかかるか」を判定する

相続税の基礎控除額は、以下の計算式で求めます。

ポイント

基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
遺産の総額がこの金額以下であれば、相続税はかからず、税務署への申告も不要です。

法定相続人の数え方の注意点

  • 相続放棄した人も「法定相続人の数」に含めます。
    基礎控除額の計算では、相続放棄がなかったものとして人数をカウントします。
  • 養子の人数には制限があります。
    実子がいる場合は養子1人まで、実子がいない場合は養子2人までが法定相続人としてカウントされます。

基礎控除額の早見表

法定相続人の数基礎控除額
1人3,600万円
2人4,200万円
3人4,800万円
4人5,400万円
5人6,000万円

例えば、配偶者と子2人が相続人の場合、法定相続人は3人なので、基礎控除額は4,800万円です。

遺産の総額が4,800万円以下であれば、相続税はかかりません。

3-2. 相続税の計算方法と税率

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基礎控除額を超える場合は、以下の手順で相続税を計算します。

計算の流れ

  1. 課税遺産総額を求める
    遺産の総額(プラスの財産 + みなし相続財産 + 生前贈与加算分)から、マイナスの財産・葬式費用・基礎控除額を差し引きます。
  2. 法定相続分で按分する
    課税遺産総額を、各相続人の法定相続分に従って仮の取得金額を計算します。
  3. 税率を適用して各人の税額を求める
    仮の取得金額に以下の速算表の税率を掛け、控除額を引きます。
  4. 相続税の総額を求める
    各人の税額を合計します。
  5. 実際の相続割合で按分する
    相続税の総額を、実際の相続割合に応じて各人に振り分けます。
  6. 各種控除を適用する
    配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例などを適用し、最終的な納付額を算出します。

相続税の速算表

法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1,000万円以下10%
1,000万円超〜3,000万円以下15%50万円
3,000万円超〜5,000万円以下20%200万円
5,000万円超〜1億円以下30%700万円
1億円超〜2億円以下40%1,700万円
2億円超〜3億円以下45%2,700万円
3億円超〜6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

出典: 国税庁「相続税の税率」

計算例: 遺産1億円を配偶者と子2人で相続する場合

  1. 基礎控除: 3,000万円 + 600万円 × 3人 = 4,800万円
  2. 課税遺産総額: 1億円 − 4,800万円 = 5,200万円
  3. 法定相続分で按分
  • 配偶者(1/2): 5,200万円 × 1/2 = 2,600万円
  • 子A(1/4): 5,200万円 × 1/4 = 1,300万円
  • 子B(1/4): 5,200万円 × 1/4 = 1,300万円
  1. 速算表で税額を計算
  • 配偶者: 2,600万円 × 15% − 50万円 = 340万円
  • 子A: 1,300万円 × 15% − 50万円 = 145万円
  • 子B: 1,300万円 × 15% − 50万円 = 145万円
  1. 相続税の総額: 340万円 + 145万円 + 145万円 = 630万円
  2. 実際の相続割合で按分(配偶者が自宅と預貯金の大半を取得し80%、子各10%と仮定)
  • 配偶者: 630万円 × 0.8 = 504万円 → 配偶者の税額軽減で0円
  • 子A: 630万円 × 0.1 = 63万円
  • 子B: 630万円 × 0.1 = 63万円

3-3. 相続税を計算してみよう

以下のシミュレーターに遺産の総額と法定相続人の数を入力すると、基礎控除額と相続税の概算額を確認できます。

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3-4. 主な控除・特例で相続税を軽減できる

相続税には、税負担を大幅に軽減できる控除や特例があります。

配偶者の税額軽減

配偶者が相続した財産が、以下のいずれか大きい方までであれば、配偶者に相続税はかかりません。

  • 1億6,000万円
  • 配偶者の法定相続分に相当する金額

つまり、配偶者の場合は1億6,000万円までの相続であれば相続税がゼロになります。

注意

配偶者の税額軽減を受けるためには、たとえ相続税がゼロになる場合でも相続税の申告書の提出が必要です。
申告しないと特例が適用されず、本来不要な税金を支払うことになります。

小規模宅地等の特例

被相続人が住んでいた土地や事業に使っていた土地について、一定の要件を満たせば評価額を大幅に減額できます。

区分限度面積減額割合
特定居住用宅地等(自宅の敷地)330㎡まで80%減額
特定事業用宅地等(店舗等の敷地)400㎡まで80%減額
貸付事業用宅地等(賃貸不動産の敷地)200㎡まで50%減額

例えば、自宅の土地の評価額が5,000万円の場合、特定居住用宅地等の特例が適用されると、評価額が1,000万円(80%減額)になります。

注意

小規模宅地等の特例を受けるためにも、相続税の申告書の提出が必要です。
特例の適用で基礎控除内に収まる場合でも、申告を忘れないようにしましょう。

その他の税額控除

  • 未成年者控除
    相続人が18歳未満の場合、18歳に達するまでの年数 × 10万円を控除
  • 障害者控除
    相続人が障害者の場合、85歳に達するまでの年数 × 10万円(特別障害者は20万円)を控除
  • 相次相続控除
    10年以内に2回以上の相続が発生した場合、前回の相続税の一部を控除

3-5. 相続税の申告と納付

相続税の申告が必要な場合は、期限内に手続きを行いましょう。

  • 申告期限
    被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内
  • 申告先
    被相続人の住所地の所轄税務署
  • 納付方法
    金融機関・税務署の窓口での現金納付のほか、e-Taxやクレジットカードでの納付も可能
注意

申告期限を過ぎると、無申告加算税(原則15%)や延滞税が課されます。
遺産分割が期限までにまとまらない場合でも、いったん法定相続分で仮の申告を行い、後から修正申告することが可能です。

4. 遺産分割の進め方

相続財産を「誰がどれだけ受け取るか」を決めるのが遺産分割です。

遺言書がある場合とない場合で進め方が異なります。

4-1. 遺言書がある場合

遺言書がある場合は、原則としてその内容に従って遺産を分けます。

遺言書の種類

  • 自筆証書遺言
    遺言者が全文を自筆で書いた遺言書です。
    費用がかからず手軽ですが、形式不備で無効になるリスクがあります。
    2020年7月からは法務局の保管制度が利用でき、紛失や改ざんのリスクを防げます。
  • 公正証書遺言
    公証人が作成する遺言書です。
    形式不備の心配がなく、確実性が高いため最も推奨されます。
    作成には証人2名の立会いと公証人手数料が必要です。
  • 秘密証書遺言
    遺言の内容を秘密にしたまま、その存在だけを公証人に証明してもらう方式です。
    実務ではほとんど使われていません。

検認手続き(自筆証書遺言の場合)

自筆証書遺言が見つかった場合、開封前に家庭裁判所で「検認」の手続きが必要です。

勝手に開封してしまっても遺言が無効になるわけではありませんが、5万円以下の過料の対象になります。

ただし、法務局の保管制度を利用している場合は検認不要です。

遺留分に注意

遺言書で「全財産を特定の人に渡す」と書かれていても、一定の相続人(配偶者・子・父母)には遺留分(最低限の取り分)が保障されています。

  • 遺留分の割合
    • 配偶者・子の場合: 法定相続分の1/2
    • 父母のみの場合: 法定相続分の1/3
    • 兄弟姉妹: 遺留分なし

遺留分を侵害された場合は、「遺留分侵害額請求」により金銭での支払いを求めることができます。

請求の期限は相続の開始と遺留分侵害を知った時から1年以内です。

4-2. 遺言書がない場合 — 遺産分割協議

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遺言書がない場合は、相続人全員で話し合い、遺産の分け方を決めます。

これを「遺産分割協議」といいます。

遺産分割協議のポイント

  • 相続人全員の合意が必要
    1人でも欠けると協議は無効です。
    音信不通の相続人がいる場合は、家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任を申し立てるなどの対応が必要です。
  • 法定相続分と異なる分割も可能
    相続人全員が合意すれば、法定相続分と異なる割合で分けることができます。
  • 合意内容は「遺産分割協議書」に書面で残す
    口約束だけでは、後からトラブルの原因になります。

遺産分割協議書の作成ポイント

遺産分割協議書には、以下の内容を記載します。

  • 被相続人の氏名・生年月日・死亡日・最後の住所
  • 相続人全員の氏名・住所・生年月日
  • 財産の具体的な内容(不動産は登記簿の表記どおり、預貯金は金融機関名・支店名・口座番号)
  • 各相続人が取得する財産の明細
  • 相続人全員の署名・実印の押印
  • 印鑑証明書の添付
重要

遺産分割協議書は、銀行口座の解約・不動産の名義変更(相続登記)・相続税の申告など、多くの手続きで必要になります。
正確に作成しましょう。

4-3. 遺産分割で揉めないために

「うちは資産が少ないから揉めない」と思っていても、実際には遺産額が少ない家庭ほどトラブルになりやすいというデータがあります。

特に、遺産の大部分が自宅などの不動産の場合、現金のように均等に分けることができないため、揉めやすくなります。

不動産がある場合の分割方法

  • 換価分割
    不動産を売却して、売却代金を分ける方法です。
    公平に分けやすいですが、売却に時間がかかることがあります。
  • 代償分割
    1人が不動産を取得し、他の相続人に対して代償金(差額分の現金)を支払う方法です。
    不動産を手放さずに済みますが、代償金を支払う資力が必要です。
  • 共有
    不動産を複数の相続人で共有する方法です。
    ただし、後々の売却や活用に全員の同意が必要となり、将来トラブルの原因になりやすいため、可能な限り避けるのが賢明です。

話し合いがまとまらない場合

相続人同士で合意できない場合は、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てることができます。

調停でもまとまらない場合は「遺産分割審判」に移行し、裁判官が分割方法を決定します。

4-4. 預貯金の仮払い制度 — 口座凍結でも引き出せる

故人の銀行口座は、金融機関が死亡を把握した時点で凍結されます。

しかし、葬儀費用や当面の生活費が必要になるケースは多いため、遺産分割協議がまとまる前でも一定額を引き出せる預貯金の仮払い制度が設けられています(民法909条の2)。

仮払いで引き出せる金額

  • 計算式: 各口座の残高 × 法定相続分 × 1/3
  • ただし、1つの金融機関あたり150万円が上限

例えば、故人の口座に900万円の残高があり、相続人が配偶者(法定相続分1/2)の場合、900万円 × 1/2 × 1/3 = 150万円まで単独で引き出せます。

必要書類(金融機関ごとに異なる場合あり)

  • 故人の戸籍謄本(死亡の記載があるもの)
  • 相続人の戸籍謄本
  • 相続人の印鑑証明書
  • 金融機関所定の請求書
ポイント

仮払い制度は家庭裁判所の手続きなしで利用できます。
葬儀費用や未払いの医療費など、急ぎの支払いがある場合は早めに金融機関の窓口に相談しましょう。

5. 相続放棄・限定承認

5-1. 相続放棄

故人に多額の借金がある場合など、相続したくないときは「相続放棄」の手続きを行うことで、プラスの財産もマイナスの財産もすべて放棄することができます。

  • 期限: 相続の開始を知った時から3ヶ月以内
  • 手続き先: 被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所
  • 費用: 収入印紙800円 + 連絡用郵便切手(数百円程度)
注意

相続放棄をすると、プラスの財産も含めて一切の相続権を失います。
また、一度受理されると原則として撤回はできません。

相続放棄の詳しい手続き(必要書類・申述書の書き方・専門家への依頼方法など)については、以下の手続きガイドで詳しく解説しています。

5-2. 限定承認

「プラスの財産の範囲内でのみマイナスの財産を引き継ぐ」という方法が限定承認です。

  • 期限: 相続の開始を知った時から3ヶ月以内(相続放棄と同じ)
  • 条件: 相続人全員で共同して家庭裁判所に申述する必要がある
  • 財産の全容が不明な場合に有効な選択肢ですが、手続きが煩雑なため、実務ではあまり利用されていません。

6. 相続登記(不動産の名義変更)

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相続した不動産は、被相続人の名義から相続人の名義に変更する必要があります。

6-1. 2024年4月から相続登記が義務化

2024年4月1日から、相続登記が法律で義務化されました。

  • 期限
    不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内
  • 罰則
    正当な理由なく期限内に登記しなかった場合、10万円以下の過料
  • 過去の相続も対象
    2024年4月1日より前に相続した不動産も対象です。 この場合の期限は2027年3月31日です(経過措置)。
注意

相続登記を放置すると、過料だけでなく、将来の売却や担保設定ができなくなるリスクもあります。
また、代が進むと相続人の数が増え、手続きがさらに複雑になります。

6-2. 相続登記の手続き

必要書類

  • 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
  • 被相続人の住民票除票(または戸籍の附票)
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 不動産を取得する相続人の住民票
  • 遺産分割協議書 + 相続人全員の印鑑証明書(協議で分割する場合)
  • 対象不動産の固定資産評価証明書
  • 登記申請書

費用

  • 登録免許税
    不動産の固定資産税評価額の0.4% (例: 評価額2,000万円の場合 → 8万円)
  • 戸籍謄本等の取得費用
    数千円〜1万円程度
法定相続情報証明制度を活用しよう

法務局に戸籍謄本の束を一度提出して「法定相続情報一覧図」の保管を申し出ると、以後5年間、無料で法務局の証明付き一覧図の写しを取得できます。
金融機関・税務署・法務局など複数の窓口に戸籍謄本の束を何度も提出する手間を省けるため、積極的に利用しましょう。

自分でやる場合の流れ

  1. 必要書類を収集する(戸籍謄本の取得が最も時間がかかります)
  2. 遺産分割協議書を作成する(必要な場合)
  3. 登記申請書を作成する(法務局のウェブサイトで書式をダウンロード可能)
  4. 管轄の法務局に申請する(窓口・郵送・オンライン)
ポイント

法務局では無料の登記相談を実施しています。
予約が必要な場合が多いので、事前に電話で確認しましょう。

司法書士に依頼する場合の費用

  • 報酬の目安: 5〜15万円程度(不動産の数や案件の複雑さによる)
  • 書類収集から申請まで一括で任せられるため、時間がない方や不安な方にはおすすめです。
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6-3. 相続人申告登記(簡易な義務履行)

遺産分割がまとまらず期限内に正式な相続登記ができない場合、相続人申告登記という簡便な制度も利用できます。

  • 自分が相続人であることを法務局に申告するだけで、過料を回避できます。
  • ただし、これは暫定的な措置であり、最終的には正式な相続登記が必要です。

7. 生前にできる相続対策

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相続は「亡くなってから」の手続きですが、生前に対策をしておくことで、相続税の負担を減らしたり、相続トラブルを防いだりすることができます。

7-1. 生前贈与で財産を移す

生前に財産を家族に贈与することで、相続財産を減らし、相続税の負担を軽くすることができます。

暦年贈与(年間110万円の非課税枠)

贈与税には年間110万円の基礎控除があり、1年間に贈与を受けた金額が110万円以下であれば、贈与税はかかりません。

申告も不要です。

例えば、毎年110万円ずつ10年間贈与すれば、合計1,100万円を非課税で移転できます。

2024年の税制改正に注意(持ち戻し期間の延長)

これまで、相続開始前3年以内の暦年贈与は相続財産に加算(持ち戻し)されていましたが、2024年1月以降の贈与から、この期間が7年に延長されました。

重要

持ち戻し期間の延長は、2024年1月1日以降の贈与から段階的に適用されます。
すぐに7年前まで遡るわけではなく、2031年以降の相続で完全に7年が適用されます。
なお、延長された4年間(3年超〜7年以内)の贈与については、総額100万円まで相続財産に加算されません。

暦年贈与で気をつけるポイント

  • 贈与契約書を作成する
    口約束だけでは税務署に贈与の事実を認めてもらえない可能性があります。
  • 受贈者名義の口座に振り込む
    贈与者が管理している口座に入金しても「名義預金」として相続財産に含まれるリスクがあります。
  • 毎年同額・同日を避ける
    毎年同じ日に同じ金額を贈与すると、「定期贈与(最初から総額を決めた贈与)」とみなされ、一括で贈与税が課されるリスクがあります。

教育資金一括贈与の非課税措置は2026年3月で終了

祖父母から孫などへ教育資金を一括贈与した場合に最大1,500万円まで非課税になる特例措置は、2026年3月31日をもって終了しました。

今後、孫への教育資金を非課税で贈与したい場合は、暦年贈与(年間110万円)や相続時精算課税制度を活用する方法が中心になります。

7-2. 相続時精算課税制度

60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与について、累計2,500万円まで贈与税がかからない特別な制度です。

2024年の改正で使いやすくなった

2024年1月から、相続時精算課税制度に年間110万円の基礎控除が新設されました。

  • 年110万円以下の贈与であれば、贈与税の申告が不要
  • この基礎控除分は、相続時の持ち戻し(加算)も不要
  • 累計2,500万円を超えた分に一律20%の贈与税が課される(相続時に精算)

暦年贈与と相続時精算課税制度の比較

項目暦年贈与相続時精算課税制度
非課税枠年間110万円年間110万円 + 累計2,500万円
相続時の持ち戻し7年以内の贈与を加算基礎控除(年110万円)部分を除き全額加算
適用対象誰から誰へでもOK60歳以上の父母・祖父母 → 18歳以上の子・孫
申告110万円以下なら不要110万円以下なら不要(2024年〜)
選択デフォルト届出が必要(一度選択すると撤回不可)
ポイント

相続時精算課税制度を一度選択すると、その贈与者からの贈与については暦年贈与に戻せません。
どちらが有利かは家庭の状況によって異なりますので、慎重に検討しましょう。

7-3. 遺言書を作成する

遺言書は、自分の財産を「誰に・何を・どのくらい」渡すかを生前に決めておくための書面です。

遺言書を作成するメリット

  • 遺産分割協議が不要になり、相続手続きがスムーズになる
  • 「不動産は長男に、預貯金は次男に」など、具体的な分け方を指定できる
  • 法定相続人以外(孫、お世話になった方など)にも財産を渡せる
  • 相続トラブルの防止になる

おすすめは公正証書遺言

自筆証書遺言よりも公正証書遺言のほうが確実です。

  • 公証人が作成するため、形式不備で無効になるリスクがない
  • 原本が公証役場に保管されるため、紛失・改ざんの心配がない
  • 作成費用の目安: 財産の額に応じて3〜10万円程度(公証人手数料)

自筆証書遺言の法務局保管制度

2020年7月から、自筆証書遺言を法務局に保管してもらえる制度が始まっています。

  • 保管料: 3,900円
  • 紛失・改ざんのリスクがなくなる
  • 家庭裁判所の検認手続きが不要になる
  • 形式のチェックも受けられる(ただし内容の有効性は保証されない)

7-4. 生命保険を活用する

死亡保険金(生命保険金)には、相続税の非課税枠があります。

ポイント

生命保険金の非課税枠 = 500万円 × 法定相続人の数
例えば、法定相続人が3人の場合、1,500万円までの保険金は相続税がかかりません。

生命保険が相続対策に有効な理由

  • 非課税枠を活用して相続税を軽減できる
  • 受取人を指定できるため、遺産分割の対象にならない
  • 現金をすぐに受け取れるため、相続税の納税資金や葬儀費用に充てられる

故人が加入していた生命保険が不明な場合は、生命保険契約照会制度で確認できます。

8. 専門家への依頼 — 誰に何を頼む?

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相続手続きは自分で行うこともできますが、複雑な場合や時間がない場合は専門家に依頼するのも選択肢です。

専門家主な依頼内容費用の目安
税理士相続税の申告・節税対策遺産総額の0.5〜1%程度
司法書士相続登記(不動産の名義変更)5〜15万円程度
弁護士遺産分割の交渉・調停・審判着手金20〜50万円 + 報酬金
行政書士遺産分割協議書の作成・戸籍収集5〜10万円程度

自分で手続きする場合の判断基準

以下のケースは、自分で手続きしやすい傾向があります。

  • 相続人が少なく(2〜3人)、全員の関係が良好
  • 相続財産がシンプル(預貯金と自宅のみなど)
  • 相続税がかからない(基礎控除内)

一方、以下のケースは専門家への依頼を検討しましょう。

  • 相続人の数が多い、または相続人間で対立がある
  • 不動産が複数ある、事業用の財産がある
  • 相続税の申告が必要
  • 海外に財産がある

よくある質問(FAQ)

Q. 相続税はいくらからかかりますか?

A. 「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」の基礎控除額を超えた場合にかかります。

例えば、法定相続人が配偶者と子2人(計3人)の場合、遺産の総額が4,800万円以下であれば相続税はかかりません。

実際に相続税が課されるのは、亡くなった方全体の約1割にとどまります。

Q. 相続手続きは自分でできますか?

A. はい、相続登記も相続税の申告も、自分で行うことは可能です。

ただし、戸籍謄本の収集や遺産分割協議書の作成、相続税の計算には手間と専門知識が求められます。

相続人の数が少なく、財産がシンプルなケースであれば自分で進めやすいですが、複雑な場合は専門家への相談をおすすめします。

Q. 生前贈与は年間いくらまで非課税ですか?

A. 暦年贈与の場合、年間110万円まで非課税です。

1年間に受け取った贈与の合計額が110万円以下であれば、贈与税はかからず申告も不要です。

ただし、2024年1月以降の贈与は、相続開始前7年以内の分が相続財産に加算される点に注意が必要です。

Q. 遺産分割協議書は必ず必要ですか?

A. 相続人が1人の場合や、遺言書どおりに分ける場合は不要です。

相続人が2人以上いて、法定相続分と異なる分け方をする場合は、遺産分割協議書が必要です。

銀行口座の解約や不動産の名義変更(相続登記)の際に提出を求められます。

Q. 相続登記をしないとどうなりますか?

A. 2024年4月から相続登記が義務化され、正当な理由なく3年以内に登記しないと10万円以下の過料が科される可能性があります。

過料以外にも、登記をしないまま放置すると、将来その不動産を売却したり、担保に入れたりすることができなくなります。

また、世代をまたぐと相続人の数が増え、全員の合意を得ることがさらに難しくなります。

Q. 相続放棄をしたら借金を引き継がなくて済みますか?

A. はい、相続放棄が家庭裁判所に受理されれば、借金を含む一切の相続権を失います。

ただし、プラスの財産(預貯金や不動産など)もすべて放棄することになります。

期限は相続の開始を知った時から3ヶ月以内です。

詳しくは以下の手続きガイドをご確認ください。

まとめ

相続は、多くの手続きと判断が求められる一大イベントです。

この手続きガイドの要点を改めて整理します。

  • 相続税は基礎控除(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)以下なら課税されない
  • 相続手続きには期限がある(相続放棄は3ヶ月、相続税の申告は10ヶ月、相続登記は3年)
  • 遺産分割は相続人全員の合意が必要(遺言書があればスムーズ)
  • 相続登記は2024年4月から義務化(過去の相続も2027年3月末まで)
  • 生前対策(生前贈与・遺言書・生命保険の活用)で相続税の軽減やトラブル防止が可能

相続は事前の準備と知識があるかどうかで、手続きの負担や税額が大きく変わります。

「まだ先のこと」と思っていても、いざというとき慌てないために、少しずつ準備を始めてみてはいかがでしょうか。

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