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入院費が高い!高額医療費制度で自己負担を抑える方法

入院費が高い!高額医療費制度で自己負担を抑える方法
最終更新:2026年3月31日

「入院や手術が決まったけれど、医療費がいくらかかるか不安…」
「何十万円も請求されたらどうしよう」
「払えなかったらどうなる?」
と心配していませんか?

安心してください。実は、医療費の自己負担には上限があります。

日本の公的医療保険には「高額医療費制度」(正式名称:高額療養費制度)という仕組みがあり、1ヶ月の医療費が一定額を超えた場合、超えた分が払い戻されます。

この手続きガイドでは、入院費や手術費の負担を軽減する高額医療費制度について、申請方法から計算例まで、わかりやすく解説します。

1. 高額医療費制度(高額療養費制度)とは

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1-1. 自己負担には上限がある

高額医療費制度(正式名称:高額療養費制度)とは、1ヶ月の医療費が一定額(自己負担限度額)を超えた場合、超えた分が払い戻される制度です。

この制度は、すべての公的医療保険で利用できます。

  • 会社員の健康保険(社保)
  • 自営業などの国民健康保険(国保)
  • 75歳以上の後期高齢者医療制度

民間の医療保険に入っていなくても、公的医療保険に加入していれば利用できます。

「保険に入っていないから入院できない」と思い込んでいる方もいますが、日本では原則としてすべての国民が公的医療保険に加入する「国民皆保険制度」があります。

そのため、高額な医療費が発生しても、自己負担には上限があるのです。

1-2. 自己負担限度額は所得によって異なる

自己負担限度額は、所得(収入)によって5段階に分かれています。

所得が高いほど限度額も高く、所得が低いほど限度額も低くなる仕組みです。

また、高額療養費制度では70歳を境に計算方法が異なります

これは後期高齢者医療制度(75歳以上)の区切りとは別で、70歳以上の方は外来と入院で別々の限度額が設けられるなど、より手厚い仕組みになっています。

70歳未満の自己負担限度額

区分年収の目安自己負担限度額(月額)4回目以降
約1,160万円〜252,600円+(医療費−842,000円)×1%140,100円
約770〜1,160万円167,400円+(医療費−558,000円)×1%93,000円
約370〜770万円80,100円+(医療費−267,000円)×1%44,400円
〜約370万円57,600円44,400円
住民税非課税35,400円24,600円
※上記の「年収の目安」はあくまで目安です

正確な区分は、健康保険料の算定基礎となる「標準報酬月額」によって決まります。
標準報酬月額は、給与明細や健康保険組合のお知らせで確認できます。

一般的な会社員の方は「区分ウ」に該当することが多く、1ヶ月の医療費の自己負担は約8万円程度が上限となります。

「4回目以降」とは、直近12か月以内に3回以上高額療養費の支給を受けた場合、4回目からは限度額がさらに下がる仕組みで、これを「多数該当」と言います。

具体的な金額は?

具体的な計算例は「2. 入院費・手術費はいくらかかる?計算例で解説」で詳しく説明しています。

70歳以上の自己負担限度額

70歳以上の方は、以下の2段階で限度額が計算されます。

  1. 外来(個人ごと)
    まず、個人の外来費用だけで限度額を適用します。
  2. 外来・入院(世帯)
    次に、入院費用を含めた世帯全体の医療費に対して、世帯単位の限度額を適用します。

つまり、外来だけで通院している方は「外来(個人ごと)」の限度額が上限となり、入院した場合や家族の医療費と合算する場合は「外来・入院(世帯)」の限度額が適用されます。

区分課税所得の目安外来(個人ごと)外来・入院(世帯)
現役並み所得Ⅲ課税所得690万円以上252,600円+(医療費−842,000円)×1%同左
現役並み所得Ⅱ課税所得380万円以上167,400円+(医療費−558,000円)×1%同左
現役並み所得Ⅰ課税所得145万円以上80,100円+(医療費−267,000円)×1%同左
一般課税所得145万円未満18,000円(年間上限14.4万円)57,600円
低所得Ⅱ住民税非課税8,000円24,600円
低所得Ⅰ住民税非課税かつ所得0円8,000円15,000円

70歳以上で住民税非課税の方は、外来の自己負担限度額が8,000円と、かなり低く設定されています。

補足

「低所得Ⅱ」は世帯全員が住民税非課税の方、「低所得Ⅰ」は世帯全員が住民税非課税かつ所得0円(年金収入80万円以下が目安)の方です。

1-3. 高額医療費制度の対象にならないもの

高額医療費制度は、保険適用の医療費が対象です。

以下のものは対象外となります。

  • 差額ベッド代
    個室や少人数部屋を希望した場合のベッド代
  • 入院時の食事代
    1食510円程度(住民税非課税世帯は軽減あり)
  • 先進医療の自己負担分
    保険適用外の最新治療
  • 保険適用外の治療・薬
    美容整形、自由診療など

これらは自己負担限度額の計算に含まれないため、別途支払いが必要です。

2. 入院費・手術費はいくらかかる?計算例で解説

「具体的にいくら戻ってくるのか」が気になる方も多いでしょう。

ここでは、実際の計算例を使って解説します。

2-1. 医療費100万円の場合(区分ウの例)

例えば、総医療費100万円の手術を受けた場合を考えてみましょう。

条件:

  • 総医療費: 100万円
  • 所得区分: ウ(年収約370〜770万円の会社員)

計算:

通常、窓口では3割負担となるため、30万円を支払うことになります。

しかし、高額医療費制度を利用すると…

自己負担限度額 = 80,100円 +(1,000,000円 − 267,000円)× 1%
              = 80,100円 + 7,330円
              = 87,430円

結果:

  • 窓口で支払った金額: 300,000円
  • 自己負担限度額: 87,430円
  • 払い戻される金額: 212,570円

つまり、約21万円が戻ってきます

実質的な自己負担は約8.7万円程度で済むのです。

2-2. 多数該当でさらに負担が減る

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がんなどの長期治療で、毎月高額な医療費がかかる場合は「多数該当」という仕組みがあります。

直近12か月以内に3回以上高額療養費の支給を受けた場合、4回目からは自己負担限度額がさらに下がります。

例: 区分ウの場合

  • 1〜3回目: 約87,000円/月
  • 4回目以降: 約44,400円/月

継続的な治療が必要な方にとって、大きな負担軽減になります。

2-3. 世帯合算で限度額を超えやすくなる

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同じ月に、同じ世帯の複数人が医療費を支払った場合は「世帯合算」ができます。

個人では限度額に届かなくても、世帯で合算することで限度額を超え、超えた分が払い戻されます。

条件:

  • 同じ月の医療費であること
  • 同じ健康保険に加入していること(被扶養者も対象)
  • 各人の自己負担額が21,000円以上であること(70歳未満の場合)

限度額の計算方法:

世帯合算の場合、被保険者(世帯主)の所得区分に基づく限度額が適用されます。

夫が被保険者で区分ウに該当し、妻が被扶養者のケースを考えます。

夫婦それぞれが21,000円以上の医療費を支払った場合、合算して計算できます。

このとき適用される限度額は、夫の区分ウの限度額(約8万円)です。

注意

共働きで夫婦それぞれが別の健康保険に加入している場合は、世帯合算できません。
それぞれの保険で別々に計算されます。

家族で医療費がかさんだ月は、世帯合算を活用しましょう。

3. 事前に窓口負担を抑える方法

入院や手術の予定がある場合、事前に手続きをしておくと、窓口での支払いを最初から限度額までに抑えることができます。

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4. 後から払い戻しを受ける方法(高額療養費の申請)

事前に限度額適用認定証を取得せず、窓口で医療費を支払った場合でも、後から申請することで払い戻しを受けられます。

4-1. 申請先は加入している保険によって異なる

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国民健康保険に加入している方で、お住まいの地域の問い合わせ先を知りたい場合は、以下から調べることができます。

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4-2. 申請期限は2年以内

高額療養費の申請期限は、医療費を支払った翌月1日から2年以内です。

2年を過ぎると時効となり、払い戻しを受ける権利がなくなります。

過去に高額な医療費を支払ったことがある方は、2年以内であれば今からでも申請できます。

領収書を確認してみましょう。

4-3. いつ戻ってくる?

払い戻しまでの期間は、一般的に3〜4ヶ月程度かかります。

これは、医療機関から保険者(健康保険組合など)にレセプト(診療報酬明細書)が届き、審査が行われるためです。

場合によっては6ヶ月以上かかることもあります。

このため、入院前には「限度額適用認定証」の取得や「マイナ保険証」の準備をしておくことをおすすめします。

事前に手続きしておけば、一時的に高額な医療費を立て替える必要がなくなります。

5. 損をしないための注意点

高額医療費制度を上手に活用するために、知っておきたい注意点を解説します。

5-1. 月またぎに注意

高額療養費は月ごと(1日〜末日)に計算されます。

同じ総医療費でも、1ヶ月で収まる場合と2ヶ月にまたがる場合で、自己負担額が変わります。

なぜ月またぎで負担が増えるのか

高額療養費制度は「月単位」で限度額を適用するため、月をまたぐと各月それぞれに限度額がかかります

例: 総医療費100万円の手術(区分ウ)の場合

パターン医療費の内訳限度額の適用自己負担額
1月のみで完結1月: 100万円1月分のみ約8.7万円
月またぎ(1月末〜2月初)1月: 50万円、2月: 50万円1月分+2月分約17.4万円

同じ手術・同じ総医療費でも、月をまたぐだけで自己負担が約2倍になる可能性があります。

長期入院の場合は「多数該当」で負担が軽減

「10ヶ月入院したら限度額も10倍になるのか?」という疑問があるかもしれません。

実際には、4ヶ月目以降は「多数該当」が適用されるため、限度額が下がります。

例: 10ヶ月入院した場合(区分ウ)

期間限度額(月額)小計
1〜3ヶ月目約87,000円 × 3ヶ月約26万円
4〜10ヶ月目約44,400円 × 7ヶ月約31万円
合計約57万円

単純に10倍(約87万円)ではなく、多数該当により負担が軽減されます。

対策

  • 可能であれば月初めに入院して、月内に退院するスケジュールを相談
  • ただし、医療上の都合が最優先です(無理に調整する必要はありません)
  • 手術日を選べる場合は、月初めを検討してみましょう

5-2. 複数の病院を受診した場合

同じ月に複数の病院を受診した場合も、条件を満たせば合算できます。

合算の条件

70歳未満の方:

  • 同じ月の医療費であること
  • 各病院での自己負担が21,000円以上であること
  • 同じ健康保険に加入していること

70歳以上の方:

  • 同じ月の医療費であること
  • 同じ健康保険に加入していること
  • 21,000円の要件はなく、すべての自己負担を合算できます

注意点

マイナ保険証を使っても、複数の医療機関の合算は自動では適用されません。

後日、高額療養費の申請が必要になります。

各病院の領収書を保管しておきましょう。

5-3. 入院と外来は別計算

70歳未満の方の場合、同じ病院でも「入院」と「外来」は別々に計算されます。

例えば、同じ月に同じ病院で入院と外来の両方で医療費がかかった場合、それぞれが21,000円以上でないと合算できません。

70歳以上の方は、外来と入院を合算できるルールになっています。

6. 医療費が払えないときの相談先

高額医療費制度を使っても、経済的に支払いが難しい場合は、以下の窓口に相談しましょう。

6-1. まず病院の相談窓口へ

多くの病院には「地域連携室」や「医療相談室」があり、医療ソーシャルワーカーが相談に乗ってくれます。

相談できる内容の例を挙げます。

  • 分割払いの相談
    一括で払えない場合、分割払いに応じてもらえることがあります。
  • 支払い猶予の相談
    高額療養費の払い戻しを待って支払う方法など。
  • 利用できる制度の案内
    高額療養費制度以外にも利用できる制度がないか確認してもらえます。

入院前でも相談できますので、費用面で不安がある方は、遠慮なく病院に相談してみてください。

6-2. 役所の福祉窓口へ

生活全般が困難な場合は、市区町村の福祉窓口に相談しましょう。

相談先

  • 市区町村の福祉課・福祉事務所
  • 地域の福祉保健センター

利用できる可能性がある制度

  • 生活保護(医療扶助)
    医療費の自己負担がなくなります。
  • 一部負担金減免制度
    災害や失業などで収入が大幅に減った場合、医療費の自己負担が減免される場合があります。

一部負担金減免制度の詳細については以下の手続きガイドで解説しています。

6-3. 保険証を忘れて10割払ってしまった場合

高額医療費制度とは別のケースですが、保険証を忘れたり、資格確認ができなかったりして10割(全額)を支払ってしまった場合は、「療養費支給申請」で払い戻しを受けられます。

この場合は高額療養費制度ではなく、別の手続きになります。

詳しくは以下の手続きガイドをご確認ください。

7. 2026年8月以降の制度改正について

高額療養費制度は、2026年8月以降に改正が予定されています。

以下の内容は、政府の検討案・見直し案であり、最終決定ではありません。

今後の国会審議や社会情勢によって変更される可能性があります。

7-1. 2026年8月〜(第1段階)

  • 自己負担限度額が4〜7%程度引き上げ予定
  • 長期治療者への配慮として「年間上限」を導入予定

7-2. 2027年8月〜(第2段階)

  • 所得区分が現在の5段階から12段階に細分化予定
  • 高所得者層の負担がさらに増加する見込み

7-3. 改正の背景

  • 医療費の継続的な増加(高齢化、医療技術の高度化)
  • 現役世代の保険料負担の軽減
  • 「応能負担」(所得に応じた負担)の考え方に基づく見直し

ただし、改正内容は今後変更される可能性があります。

最新の情報は、厚生労働省のWebサイトや、加入している健康保険の窓口でご確認ください。

8. よくある質問

Q. 高額医療費制度と高額療養費制度の違いは?

A. 同じ制度です。

正式名称は「高額療養費制度」ですが、「高額医療費制度」と呼ばれることも多くあります。

どちらも同じ制度を指しています。

Q. 限度額適用認定証と高額療養費制度の違いは?

A. どちらも同じ「高額療養費制度」の利用方法です。

  • 限度額適用認定証
    事前に取得して、窓口負担を最初から限度額までに抑える方法。
  • 高額療養費の申請
    後から申請して、払いすぎた分の払い戻しを受ける方法。

最終的な自己負担額は同じですが、事前に認定証を取得しておく方が立て替えの負担がなくなります。

Q. いくらから高額療養費制度が使える?

A. 所得区分によって異なります。

一般的な会社員(区分ウ)の場合、1ヶ月の医療費が約8万円を超えた分が払い戻されます。

住民税非課税の方は約3.5万円が上限です。

Q. 申請しないと戻ってこない?

A. 原則として申請が必要です。

ただし、以下の場合は例外があります。

  • マイナ保険証を使った場合
    自動的に限度額が適用されるため、事後申請は不要です。
  • 国保の場合
    対象者に市区町村から申請書が届くことがあります。
  • 一部の健康保険組合
    自動的に払い戻しされる場合があります。

Q. 入院前に何かしておくことはある?

A. 入院予定がある場合は、以下の準備をおすすめします。

  1. マイナ保険証の確認
    マイナンバーカードが保険証として使える状態か確認しましょう。
  2. 限度額適用認定証の取得
    マイナ保険証がない場合は、事前に認定証を取得しておきましょう。
  3. 所得区分の確認
    自分がどの区分に該当するか、おおよその自己負担額を把握しておくと安心です。

Q. 差額ベッド代も高額療養費制度の対象になる?

A. 差額ベッド代は対象外です。

個室や少人数部屋を希望した場合の差額ベッド代、入院時の食事代、保険適用外の治療費などは、高額療養費制度の対象になりません。

これらは別途、全額自己負担となります。

まとめ

入院や手術で高額な医療費がかかっても、高額医療費制度(高額療養費制度)を利用すれば、自己負担には上限があります。

ポイントをおさらいします。

  • 1ヶ月の医療費には自己負担限度額(上限)がある
  • 所得によって限度額は異なる(一般的な会社員は月約8万円程度)
  • マイナ保険証があれば、事前申請なしで限度額が適用される
  • マイナ保険証がない場合は限度額適用認定証を事前に取得
  • 後からの払い戻しは3〜4ヶ月かかるため、事前の手続きがおすすめ
  • 月またぎに注意(月ごとの計算のため、2ヶ月分かかる場合も)
  • 申請期限は2年以内

「医療費が払えない」と不安に感じている方も、まずは高額医療費制度を利用することで、負担を大幅に軽減できます。

入院や手術の予定がある方は、マイナ保険証の確認や、限度額適用認定証の取得を忘れずに行いましょう。

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