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高額介護サービス費とは?上限額・申請方法・いくら戻るか解説

高額介護サービス費とは?上限額・申請方法・いくら戻るか解説
最終更新:2026年5月25日

「親の介護費用が毎月こんなにかかるなんて…」
「自己負担を減らせる制度があるなんて知らなかった」
「申請しないともらえないって本当?」

高額介護サービス費は、1か月に支払った介護サービスの自己負担額が上限を超えた場合に、超えた分が払い戻される制度です。

しかし、自分から申請しなければ一切受け取れないため、制度を知らないまま損をしている方が少なくありません。

この手続きガイドでは、高額介護サービス費の仕組みから所得段階別の上限額、申請方法、払い戻し額の計算例までわかりやすく解説します。

1. 高額介護サービス費とは?仕組みをわかりやすく解説

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高額介護サービス費とは、介護保険サービスを利用したときの1か月の自己負担合計額が、所得に応じた上限額を超えた場合に、超過分が払い戻される制度です。

医療費における「高額療養費制度」の介護版とイメージするとわかりやすいでしょう。

たとえば、自己負担の上限額が月44,400円の方が1か月に60,000円を支払った場合、差額の15,600円が申請により戻ってきます。

高額介護サービス費の3つのポイント
  • 自己負担が上限額を超えた分が払い戻される
  • 申請しないと受け取れない(初回のみ申請が必要)
  • 同じ世帯の介護サービス利用者の自己負担を合算できる

なお、要支援1・2の方が利用する介護予防サービスについても、「高額介護予防サービス費」として同じ仕組みで払い戻しを受けられます。

1-1. 対象になるサービス・ならないサービス

高額介護サービス費の対象になるのは、介護保険が適用されるサービスの自己負担分(1割〜3割)のみです。

対象になるもの

  • 訪問介護、訪問看護、訪問リハビリテーション
  • 通所介護(デイサービス)、通所リハビリテーション(デイケア)
  • 短期入所生活介護(ショートステイ)
  • 特別養護老人ホーム・介護老人保健施設などの施設サービスの介護費用
  • 居宅療養管理指導
  • 地域密着型サービス

対象にならないもの

  • 介護保険施設での食費・居住費(部屋代)
  • 福祉用具購入費の自己負担分
  • 住宅改修費の自己負担分
  • 介護保険の支給限度額を超えて利用した分(全額自己負担分)
  • 日常生活費やその他の保険給付外の費用
住宅型有料老人ホームにお住まいの方へ

住宅型有料老人ホームのサービス費のうち、介護保険が適用される部分(訪問介護など)は対象になりますが、施設独自のサービス費用は対象外です。
入居中の方は、どの費用が介護保険適用かをケアマネジャーに確認しましょう。

2. 所得段階別の自己負担上限額一覧

高額介護サービス費の自己負担上限額は、本人や世帯の所得に応じて7つの段階に分かれています。

上限額が低いほど、払い戻しを受けやすくなります。

段階対象者上限額(月額)
第1段階生活保護を受給している方15,000円(個人・世帯)
第2段階市町村民税が世帯全員非課税で、老齢福祉年金を受給している方15,000円(個人) / 24,600円(世帯)
第3段階市町村民税が世帯全員非課税で、合計所得金額+課税年金収入額の合計が82.65万円以下の方15,000円(個人) / 24,600円(世帯)
第4段階市町村民税が世帯全員非課税で、第2・第3段階に該当しない方24,600円(世帯)
第5段階市町村民税課税世帯で、課税所得380万円未満の方44,400円(世帯)
第6段階市町村民税課税世帯で、課税所得380万円以上690万円未満の方93,000円(世帯)
第7段階市町村民税課税世帯で、課税所得690万円以上の方140,100円(世帯)
令和8年8月利用分からの基準額改定

第3段階の「年金収入等の合計額」の基準は、老齢基礎年金(満額)の支給額に連動して見直されます。
令和8年8月利用分から、基準額が80.9万円→82.65万円に改定されます。

「個人」と「世帯」の上限の違い

第2段階・第3段階には「個人」と「世帯」の2つの上限があります。
「個人」は本人の自己負担のみで計算した上限額(15,000円)、「世帯」は同じ世帯の利用者全員の自己負担を合算した上限額(24,600円)です。
それぞれの上限を超えた分が払い戻されます。

3. いくら戻る?高額介護サービス費の計算例

高額介護サービス費として戻ってくる金額は、次の計算式で求められます。

払い戻し額 = 1か月の自己負担合計額 − 自己負担上限額

以下のシミュレーターで、ご自身の場合にいくら戻るかを確認してみましょう。

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3-1. 計算例で確認

例1: 非課税世帯で在宅サービスを利用している場合

  • 要介護3の母親がデイサービスとショートステイを利用
  • 月の自己負担額: 50,000円
  • 所得段階: 第4段階(非課税世帯・上限24,600円)

払い戻し額: 50,000円 − 24,600円 = 25,400円

例2: 課税世帯で施設に入所している場合

  • 要介護4の父親が特別養護老人ホームに入所
  • 月の介護サービス自己負担額: 80,000円(食費・居住費を除く)
  • 所得段階: 第5段階(課税世帯・課税所得380万円未満・上限44,400円)

払い戻し額: 80,000円 − 44,400円 = 35,600円

年間で見ると大きな金額に

例2のケースでは、月35,600円 × 12か月 = 年間427,200円の払い戻しになります。
申請を忘れていると、この金額を受け取り損ねてしまいます。

4. 高額介護サービス費の申請方法と必要書類

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4-1. 申請の流れ

高額介護サービス費の申請は、以下の流れで進めます。

  1. 介護サービスの自己負担額が上限を超えた月の約3か月後に、お住まいの市区町村から「お知らせ」と「支給申請書」が届く
  2. 申請書に必要事項(氏名・住所・振込先口座など)を記入する
  3. 市区町村の介護保険課(介護保険担当窓口)に提出する(多くの自治体で郵送での提出も可能)
  4. 審査後、おおむね1〜2か月程度で指定した口座に払い戻し金が振り込まれる(自治体によりタイミングが異なります)
初回申請のみでOK

申請が必要なのは初回の1回だけです。
一度申請して口座情報を登録すれば、2回目以降は自動的に計算・振り込みされます。
ただし口座を変更した場合は、届出が必要です。

4-2. 必要書類

申請に必要な書類は以下のとおりです。

  • 高額介護サービス費支給申請書
    市区町村から届く用紙、または窓口で入手できます
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  • 介護保険被保険者証
    コピーの可否は自治体により異なります
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  • 振込先の口座情報
    本人名義の口座(通帳やキャッシュカードのコピーなど)
  • 印鑑
    自治体によっては不要な場合もあります
申請書が届かない場合

申請書は対象月の約3か月後に届きますが、届かない場合はお住まいの市区町村の介護保険課に問い合わせてください。
窓口で直接申請書をもらうこともできます。

4-3. 申請期限は2年以内

高額介護サービス費の申請期限は、サービスを利用した月の翌月1日から2年間です。

期限内であれば、過去にさかのぼって申請することも可能です。

「数か月前に上限を超えていたのに気づかなかった」という場合でも、2年以内なら申請できるので、利用明細を確認してみましょう。

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5. 施設に入所している場合の注意点

特別養護老人ホームや介護老人保健施設などに入所している場合、高額介護サービス費の適用にはいくつかの注意点があります。

5-1. 食費・居住費は対象外

施設での食費居住費(部屋代)は介護保険の給付対象外のため、高額介護サービス費の計算には含まれません。

食費・居住費の負担を軽減したい場合は、「介護保険負担限度額認定」の制度を利用できます。

5-2. 受領委任払い制度を活用しよう

一部の自治体では、施設入所者向けに受領委任払い制度を実施しています。

この制度を利用すると、高額介護サービス費が自治体から施設に直接支払われるため、利用者は窓口で自己負担上限額を支払うだけで済みます。

いったん高額な自己負担を支払い、後から払い戻しを受けるという手間がなくなるメリットがあります。

対象施設や手続き方法はお住まいの自治体にお問い合わせください。

6. 高額介護サービス費と他の制度の違い・併用

介護費用を軽減する制度は複数あり、それぞれ対象が異なります。

混同しやすい3つの制度の違いを整理しましょう。

制度名対象となる費用軽減の仕組み
高額介護サービス費介護サービスの自己負担(1〜3割)月の上限を超えた分を払い戻し
介護保険負担限度額認定施設の食費・居住費所得に応じて食費・居住費を軽減
高額医療合算介護サービス費医療費+介護費の合算年間合算の上限を超えた分を払い戻し
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6-1. 介護保険負担限度額認定との違い

介護保険負担限度額認定は、施設入所時の食費・居住費を所得に応じて軽減する制度です。

高額介護サービス費とは対象となる費用が異なるため、両方の制度を併用できます。

施設に入所している方は、両方の制度を活用することで自己負担を大幅に減らせる可能性があります。

6-2. 高額医療合算介護サービス費

高額医療合算介護サービス費は、1年間(毎年8月〜翌年7月)の医療費と介護費の自己負担を合算し、所得段階ごとの限度額を超えた分が払い戻される制度です。

高額介護サービス費とは別の制度で、月単位ではなく年単位で計算される点が異なります。

医療費と介護費の両方が高額な方は、この制度も確認しましょう。

6-3. 医療費控除との関係

介護サービスの一部(訪問看護、通所リハビリなど)は、確定申告の医療費控除の対象になります。

ただし、高額介護サービス費として払い戻しを受けた金額は、医療費控除の対象金額から差し引く必要があります。

確定申告で医療費控除を受ける場合は、高額介護サービス費の支給額を確認したうえで申告してください。

7. 世帯分離で上限額を下げられる?

SNSや口コミで「世帯分離をすると介護費用が安くなる」という情報を見かけることがあります。

世帯分離とは、同じ住所に住んでいても住民票上の世帯を分けることで、それぞれの世帯の所得状況に応じた上限額が適用される仕組みです。

たとえば、課税世帯(上限44,400円)に属する要介護の親を世帯分離して非課税世帯にすると、上限額が24,600円に下がる可能性があります。

世帯分離のリスクと注意点

世帯分離にはメリットだけでなくリスクもあります。

  • 国民健康保険料が世帯ごとに計算されるため、合計で増える場合がある
  • 扶養控除が適用できなくなる可能性がある
  • 自治体の各種サービスで世帯収入を基準としているものに影響が出る場合がある

安易に判断せず、必ずケアマネジャーや市区町村の窓口に相談してから手続きしましょう。

よくある質問(FAQ)

Q. 申請書が届かないのですが、どうすればいいですか?

A. お住まいの市区町村の介護保険課に問い合わせてください。

申請書は対象月の約3か月後に届きますが、届かない場合は窓口で直接申請書をもらえます。

自治体によっては通知のタイミングが異なることもあるため、利用明細で自己負担が上限を超えていないか確認してみましょう。

Q. 家族が代理で申請できますか?

A. はい、家族(親族)による代理申請が可能です。

本人が申請できない場合は、家族が代わりに申請書を記入・提出できます。

自治体によっては委任状が必要な場合もあるため、事前に窓口へ確認してください。

Q. 高額介護サービス費は確定申告が必要ですか?

A. 高額介護サービス費の受給自体に確定申告は不要です。

ただし、介護サービスの自己負担を医療費控除として確定申告する場合は、高額介護サービス費で戻ってきた金額を差し引く必要があります。

国税庁の「医療費控除の対象となる介護保険制度下での施設サービスの対価」で対象となるサービスを確認できます。

Q. 本人が亡くなった場合も申請できますか?

A. はい、相続人が代わりに申請できます。

申請期限(サービス利用月の翌月1日から2年以内)を過ぎていなければ、相続人が過去にさかのぼって申請可能です。

亡くなった方が高額介護サービス費を受け取っていなかった場合は、市区町村に問い合わせてみましょう。

Q. 前月まで振り込まれていたのに、届かなくなりました。なぜですか?

A. 所得段階の見直しやサービス利用量の変動が原因の可能性があります。

所得段階は毎年8月に更新されるため、段階が変わり上限額が上がった結果、自己負担が上限を超えなくなった可能性があります。

また、介護サービスの利用量が減った月は、自己負担合計額が上限額を下回ることもあります。

利用明細を確認しても原因がわからない場合は、お住まいの市区町村の介護保険課に問い合わせてみましょう。

まとめ

高額介護サービス費は、介護費用の負担を軽減できる重要な制度です。

最後に、この手続きガイドのポイントをまとめます。

  • 1か月の介護サービス自己負担が上限額を超えた分が払い戻される
  • 上限額は所得段階により15,000円〜140,100円の7段階
  • 申請しないと受け取れない — ただし初回申請のみで、2回目以降は自動支給
  • 申請書は対象月の約3か月後に届く。届かなければ窓口で入手可能
  • 申請期限は2年以内 — 過去にさかのぼって申請できる
  • 食費・居住費は対象外 → 「介護保険負担限度額認定」で別途軽減できる
  • 医療費が高額な場合は「高額医療合算介護サービス費」も確認を

介護保険サービスを利用している方やそのご家族は、毎月の利用明細を確認して、上限を超えていないかチェックしてみてください。

制度を知っているだけで、年間数十万円の差が出ることもあります。

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