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自己破産の手続きの流れー費用・条件・必要書類・デメリットを解説

自己破産の手続きの流れー費用・条件・必要書類・デメリットを解説
最終更新:2026年1月12日

「毎月の返済が苦しい」
「借金を返すために借金をしている」
——そんな状況に追い込まれていませんか?

自己破産は、借金の返済が困難になった人が経済的に再スタートするための法的な制度です。

「人生が終わる」
「家族に迷惑がかかる」
といったイメージがあるかもしれませんが、実際には多くの人が自己破産後に生活を立て直しています。

この手続ガイドでは、自己破産の手続きの流れ、費用、条件、デメリットなど、検討する上で知っておきたい情報をわかりやすく解説します。

1. 自己破産とは?借金がゼロになる仕組み

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1-1. 自己破産の基本的な仕組み

自己破産とは、裁判所に申立てを行い、借金の返済義務を免除してもらう法的な手続きです。

自己破産の手続きは、大きく分けて2つのステップで構成されています。

  1. 破産手続
    財産を調査・換金し、債権者に分配する手続き
  2. 免責手続
    残った借金の支払い義務を免除する手続き

この2つの手続きを経て「免責許可決定」が出されると、原則としてすべての借金がゼロになります。

1-2. 自己破産するとどうなる?

自己破産が認められると、次のようなメリットがあります。

  • 借金がゼロになる
    免責が認められれば、原則としてすべての借金の支払い義務がなくなります
  • 督促がストップする
    弁護士に依頼した時点で、債権者からの督促が止まります
  • 生活を立て直せる
    借金のプレッシャーから解放され、新しいスタートを切れます

また、「すべての財産を失う」というイメージがあるかもしれませんが、実際には一定の財産は手元に残せます。

  • 99万円までの現金
  • 生活に必要な家財道具
  • 仕事に必要な道具

これらは「自由財産」として保護されます。

1-3. 債務整理の種類と自己破産の位置づけ

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借金問題を解決する方法は、自己破産だけではありません。

状況に応じて最適な方法を選ぶことが大切です。

方法概要借金の減額向いている人
任意整理債権者と直接交渉して返済条件を見直す利息カット返済能力がある人
個人再生裁判所を通じて借金を大幅に減額最大1/5〜1/10に住宅を残したい人
自己破産裁判所を通じて借金を免除ゼロに返済が困難な人

どの方法が適しているかは、借金の額や収入、財産の状況によって異なります。

まずは弁護士に相談して、自分に合った方法を見つけることをおすすめします。

任意整理、自己再生のメリット・詳細の手続きについてはそれぞれ以下の手続ガイドで解説しています。

2. 自己破産の条件 - 手続きできる人・できない人

「自分は自己破産できるのだろうか」と不安に思う方も多いでしょう。

ここでは、自己破産が認められるための条件を解説します。

2-1. 自己破産が認められる条件

自己破産が認められるためには、破産法で定められた要件を満たす必要があります。

法律上の要件:支払不能であること

自己破産の最も重要な要件は、「支払不能」の状態にあることです(破産法第15条)。

破産法第2条11項では、支払不能を次のように定義しています。

「債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態」

簡単に言えば、現在の収入や財産では借金を返済し続けることが困難な状態です。

借金額がいくら以上という明確な基準はなく、収入・財産・借金額の総合的なバランスで判断されます。

免責に関する要件

破産手続が開始されても、「免責」が認められなければ借金は残ります。

免責が認められるためには、原則として免責不許可事由に該当しないことが必要です。

ただし、該当する場合でも「裁量免責」で認められるケースがほとんどです(後述)。

実務上の注意点

以下は法的な「条件」ではありませんが、手続きを進める上で知っておくべき点です。

  • 手続き費用について
    裁判所への予納金が払えない場合は手続きが進められません(破産法第30条)。
    ただし、法テラスを利用すれば費用の立替えや分割払いが可能なので、お金がないこと自体は障害になりません。

  • 非免責債権について
    税金や養育費など、自己破産しても免除されない借金(非免責債権)だけの場合は、自己破産しても支払い義務が残ります。
    手続き自体は可能ですが、実益がありません。

2-2. 免責不許可事由とは?ギャンブルが原因でも大丈夫?

「ギャンブルで借金を作ったから自己破産できないのでは」と心配される方がいますが、必ずしもそうではありません。

破産法では、以下のような行為を「免責不許可事由」として定めています。

  • 財産を隠したり、壊したりする行為
  • 浪費やギャンブルによる借金
  • クレジットカードの現金化
  • 特定の債権者にだけ返済する行為(偏頗弁済)
  • 嘘をついて借入をする行為
  • 過去7年以内に免責を受けている

しかし、これらに該当する場合でも、裁判所が事情を考慮して免責を認める「裁量免責」という制度があります。

実際には、ギャンブルや浪費が原因の借金でも、本人が反省し、正直に申告していれば、多くのケースで免責が認められています。

ポイントは、すべてを正直に申告することです。

隠し事をすると、それ自体が免責不許可事由に該当してしまいます。

2-3. 免責されない借金(非免責債権)

自己破産で免責が認められても、以下の借金は支払い義務が残ります。

  • 税金・社会保険料
    住民税、所得税、国民健康保険料、年金保険料など
  • 養育費・婚姻費用
    離婚後の養育費の支払い義務
  • 罰金・過料
    交通違反の罰金など
  • 悪意による不法行為の損害賠償
    故意に他人に損害を与えた場合の賠償金
  • 従業員への給与
    事業主が従業員に支払う給与

これらの支払い義務は自己破産後も残るため、注意が必要です。

3. 自己破産の手続きの流れと期間

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自己破産の手続きは、弁護士に依頼してから免責が確定するまで、数か月から1年程度かかります。

ここでは、具体的な流れと期間の目安を解説します。

3-1. 手続きの全体像

自己破産の手続きは、以下の流れで進みます。

  1. 弁護士への相談・依頼
    まずは弁護士に相談し、自己破産が適切かどうか判断してもらいます。 依頼すると正式に手続きが始まります。

  2. 受任通知の送付
    弁護士から各債権者へ「受任通知」が送られます。 この時点で、債権者からの督促がストップします。

  3. 書類の準備・申立書の作成
    住民票や通帳のコピー、収入証明など必要書類を集めます。 弁護士と一緒に申立書を作成します。

  4. 裁判所への申立て
    管轄の地方裁判所に破産手続開始を申し立てます。

  5. 破産手続開始決定
    裁判所が申立てを審査し、破産手続の開始を決定します。

  6. 免責審尋または債権者集会
    裁判所で裁判官と面談し、借金の経緯などを説明します。

  7. 免責許可決定
    問題がなければ、免責許可が決定されます。 決定から約1か月で確定し、借金がゼロになります。

3-2. 同時廃止と管財事件の違い

自己破産の手続きには「同時廃止」と「管財事件」の2種類があります。

どちらになるかで、期間や費用が大きく変わります。

項目同時廃止管財事件
対象財産がほぼない場合財産がある、または調査が必要な場合
管財人選任されない選任される
期間3〜4か月程度4か月〜1年程度
費用低い高い(予納金20万円〜)

同時廃止とは

分配すべき財産がほとんどない場合、破産手続開始と同時に手続きを終了(廃止)させる方法です。

管財人が選任されないため、手続きがシンプルで期間も短くなります。

個人の自己破産では、同時廃止になるケースが多いです。

管財事件とは

一定以上の財産がある場合や、免責不許可事由の調査が必要な場合は、「破産管財人」という弁護士が選任されます。

管財人が財産を調査・換価し、債権者に分配する手続きを行うため、期間が長くなります。

同時廃止と管財事件の振り分け基準

どちらの手続きになるかは、裁判所の判断で決まります。

振り分けの基準は裁判所ごとに異なりますが、参考として東京地方裁判所では以下のような場合に管財事件として扱われます。

管財事件として扱われる場合の例(東京地裁):

  • 33万円以上の現金がある場合
  • 20万円以上の換価対象資産がある場合(預貯金、保険の解約返戻金、未払報酬・賃金など)
  • 不動産の被担保債権額が処分価格の1.5倍未満の場合
  • 資産調査が必要な場合
  • 法人またはその代表者、個人事業者の場合
  • 免責調査を経ることが相当な場合

参考:東京地方裁判所 よくある質問(破産手続)

注意:
上記は東京地裁の基準例です。他の裁判所では異なる運用がされていることがあります。
実際にどちらになるかは、弁護士に相談して確認しましょう。

3-3. 手続きにかかる期間の目安

自己破産の手続きにかかる期間の目安は以下のとおりです。

  • 弁護士への依頼から申立てまで:

    • 1〜6か月程度
    • 必要書類の準備状況によって変わります
  • 申立てから免責決定まで:

    • 同時廃止の場合:
      3〜4か月程度
    • 管財事件の場合:
      4か月〜1年程度
  • トータルの期間:

    • 早い場合:
      4〜6か月程度
    • 長い場合:
      1年〜1年半程度

手続きを早く進めるためには、弁護士の指示に従って必要書類を速やかに準備することが大切です。

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4. 自己破産の費用|弁護士費用と法テラスの活用

「自己破産したいけれど、費用が払えない」という方も多いでしょう。

ここでは、自己破産にかかる費用と、費用を抑える方法を解説します。

4-1. 自己破産にかかる費用の内訳

自己破産にかかる費用は、主に以下の3つです。

項目費用の目安備考
弁護士費用30万円〜80万円事務所により異なる
裁判所費用約1.5万円〜3万円収入印紙、予納郵券など
管財人予納金20万円〜50万円管財事件の場合のみ

弁護士費用

弁護士費用は、着手金と成功報酬で構成されることが多いです。

事務所によって料金体系が異なるため、事前に確認しましょう。

分割払いに対応している事務所も多いです。

裁判所費用

裁判所への申立てに必要な費用です。

  • 収入印紙:
    約1,500円
  • 予納郵券(切手代):
    約4,000円〜8,000円
  • 予納金(官報公告費):
    約1万円〜1.5万円

注意:
裁判所費用は裁判所ごとに金額が異なります。
詳しくは、申立てを行う裁判所の窓口や裁判所のホームページでご確認ください。

管財人予納金

管財事件になった場合、破産管財人の報酬として予納金が必要です。

種類予納金対象となるケース
少額管財20万円〜財産が少なく、調査が比較的簡単な場合
通常管財50万円〜財産が多い、または複雑な調査が必要な場合
少額管財と通常管財の違い
  • 少額管財:
    手続きを簡略化して費用を抑えた管財事件です。
    弁護士に依頼していることが条件で、東京地裁など一部の裁判所で運用されています。
    期間も3〜6か月程度と短めです。
  • 通常管財:
    財産が多い場合や、事業者の破産など調査に時間がかかるケースで適用されます。
    期間は半年〜1年以上かかることもあります。

弁護士に依頼すれば、少額管財が利用できる可能性が高くなります。

同時廃止の場合は、この費用は不要です。

4-2. 法テラスを利用すれば費用を抑えられる

「法テラス」(日本司法支援センター)を利用すれば、弁護士費用を大幅に抑えられます。

法テラスとは

法テラスは、経済的に余裕のない方が法的サービスを受けられるよう、国が設立した機関です。

弁護士費用を立て替えてもらい、分割で返済できる「民事法律扶助」という制度があります。

法テラス利用時の費用(立替基準額)

法テラスでは、弁護士費用の立替基準額が以下のように定められています。

債権者数着手金実費合計
1〜10社132,000円23,000円155,000円
11〜20社154,000円23,000円177,000円
21社以上187,000円23,000円210,000円

※管財事件の場合は着手金が最大220,000円まで増額される場合があります。

一般の法律事務所に依頼する場合(30万円〜80万円)と比べて、大幅に費用を抑えられます。

法テラスを利用するメリット

  • 費用が安い
    一般の弁護士費用より大幅に安く済みます
  • 分割払いができる
    月5,000円〜1万円程度の分割払いが可能です
  • 支払い猶予・免除がある
    生活保護を受けている場合は、支払いが免除になることもあります

法テラスの利用条件

法テラスを利用するには、収入と資産に関する要件を満たす必要があります。

収入要件(手取り月収)
世帯人数収入基準
単身約18.2万円以下
2人約25.1万円以下
3人約27.2万円以下
4人約29.9万円以下

※東京・大阪などの大都市では、1割増しの基準が適用されます。

資産要件
世帯人数資産基準
単身180万円以下
2人250万円以下
3人270万円以下
4人以上300万円以下

法テラスへの相談方法や利用条件、費用などの詳細については「 法テラスの無料相談と費用立替 - 条件・予約方法を解説 」の手続きガイドで詳細を解説しています。

4-3. 弁護士と司法書士、どちらに依頼すべき?

自己破産の手続きは、弁護士だけでなく司法書士にも依頼できます。

それぞれの違いを理解して、自分に合った専門家を選びましょう。

項目弁護士司法書士
代理権あり(すべての手続きを代理)なし(書類作成のみ)
裁判所対応同行・代理が可能本人が出廷
費用高め安め

弁護士がおすすめのケース

  • 財産が多く管財事件になりそうな場合
  • 免責不許可事由に該当する可能性がある場合
  • 債権者との交渉が必要な場合
  • 手続きを任せたい場合

司法書士がおすすめのケース

  • 財産がほとんどなく同時廃止になりそうな場合
  • 費用を抑えたい場合
  • 自分で裁判所に出廷することに抵抗がない場合

迷った場合は、まず弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士であれば、すべての手続きを任せられるため安心です。

4-4. 自分で(本人申立て)できる?

「弁護士費用を節約するために、自分で自己破産の手続きをしたい」と考える方もいるでしょう。

結論から言うと、本人申立て(自分で申立てをすること)は法律上可能です。

ただし、以下のような理由から、弁護士への依頼を強くおすすめします

本人申立てのデメリット

  • 書類準備の負担が大きい
    自己破産の申立てには多くの書類が必要です。
    専門知識がないと、不備や記載ミスが生じやすくなります。

  • 裁判所からの補正対応
    書類に不備があると、裁判所から補正を求められます。
    何度も裁判所に足を運ぶ必要が出てくることもあります。

  • 少額管財が利用できない可能性
    東京地裁などでは、弁護士が代理人についていることが少額管財の条件とされています。
    本人申立てでは通常管財(予納金50万円〜)になる可能性があります。

  • 免責不許可事由の対応が難しい
    ギャンブルや浪費が原因の場合、裁判所への説明が重要です。
    専門家のサポートなしでは不利になる可能性があります。

  • やってはいけない行為をしてしまうリスク
    偏頗弁済(へんぱべんさい - 特定の債権者への返済)や財産隠しなど、知らずにやってしまうと免責されなくなる可能性があります。

費用が心配な場合は法テラスへ

「費用が払えない」という方こそ、法テラスを利用してください。

  • 弁護士費用を立て替えてもらえる
  • 月5,000円〜の分割払いが可能
  • 生活保護を受けている場合は免除されることも

本人申立てで苦労するよりも、法テラスを利用して専門家のサポートを受ける方が、結果的にスムーズに手続きが進みます。

5. 自己破産のデメリット|生活への影響は?

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自己破産には借金がゼロになるメリットがある一方で、いくつかのデメリットもあります。

正しく理解した上で、手続きを検討しましょう。

5-1. 信用情報への登録(ブラックリスト)

自己破産すると、信用情報機関に事故情報が登録されます。

いわゆる「ブラックリスト」に載る状態です。

登録期間は5〜10年程度で、この間は以下の制限があります。

  • クレジットカードが作れない
    既存のカードも解約になります
  • ローンが組めない
    住宅ローン、自動車ローンなどが利用できません
  • スマートフォンの分割購入ができない
    端末代金の分割払いができません
  • 保証人になれない
    家族のローンの保証人にもなれません

対処法

  • 現金生活
    現金で生活することで問題なく暮らせます
  • デビットカード
    銀行口座から即時引き落としのため、審査なしで作れます
  • プリペイドカード
    事前にチャージするタイプで、ネットショッピングにも使えます

信用情報は永久に残るわけではなく、5〜10年で削除されます。

その後は再びクレジットカードを作ったり、ローンを組んだりできるようになります。

5-2. 官報への掲載

自己破産すると、「官報」という国の機関紙に氏名と住所が掲載されます。

掲載されるタイミングは以下の2回です。

  1. 破産手続開始決定時
  2. 免責許可決定時

実際の影響は?

官報は一般の人が日常的に見るものではありません。

図書館やインターネットで閲覧できますが、わざわざ自己破産者を探す人はほとんどいないでしょう。

ただし、以下の点には注意が必要です。

  • 闇金業者からのDM
    官報を見た闇金業者からダイレクトメールが届くことがあります。
    絶対に利用しないでください。

5-3. 資格・職業の制限

自己破産すると、一部の資格や職業に制限がかかります。

制限を受ける主な職業・資格:

  • 弁護士、司法書士、税理士、公認会計士
  • 警備員
  • 生命保険募集人
  • 宅地建物取引士
  • 旅行業務取扱管理者

制限期間

資格制限は、破産手続開始決定から免責許可決定の確定までの期間です。

同時廃止の場合は3〜4か月程度、管財事件でも半年〜1年程度で制限が解除されます。

免責が確定すれば「復権」し、再び資格を使って働けるようになります。

一般的な会社員・公務員への影響

上記のような資格制限がない一般的な会社員の場合はどうでしょうか。

労働契約法第16条により、客観的に合理的な理由のない解雇は無効とされています。

自己破産は私的な問題であり、通常は解雇の正当な理由になりません。

つまり、自己破産したことだけを理由に解雇されることは、基本的にないと考えてよいでしょう。

ただし、一部の国家公務員(人事官、教育委員会委員など)は、各法律の規定により失職する場合があります。

ご自身の職業が該当するか不安な場合は、弁護士に確認することをおすすめします。

5-4. 財産の処分

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自己破産では、一定以上の財産は処分して債権者に分配されます。

東京地方裁判所をはじめ多くの裁判所では、評価額20万円を基準として、これを超える財産が処分対象となります。

注意:
この基準は裁判所ごとに異なる場合があります。
また、現金については「33万円以上」で管財事件に振り分けられることがあるなど、財産の種類によって基準が異なります。
詳しくは弁護士にご確認ください。

処分対象となる主な財産

  • 20万円以上の価値がある財産
    • 自動車(20万円以上の価値がある場合)
    • 生命保険の解約返戻金(20万円以上)
    • 株式・投資信託などの有価証券
    • 暗号資産(仮想通貨)
    • 高額なコレクション品(トレーディングカード、時計、貴金属など)
  • 預貯金(20万円を超える部分)
    ※手元の現金(33万円基準)とは別の判断基準です
  • 不動産(持ち家など)
  • 退職金見込額の一部
「20万円」の基準について

この金額は、「今売却したらいくらになるか」という時価(評価額)で判断されます。

財産の種類によって評価方法が異なります。

以下で代表的な例を説明していますが、詳しくは弁護士に確認することをおすすめします。

自動車の取り扱い

自動車の評価額は、以下の方法で査定します。

  • 日本自動車査定協会(JAAI)での査定
    信頼性が高く、この査定結果があれば複数社の査定は不要とされることが多いです。
    査定料は5,000円〜1万円程度かかります。
  • 自動車ディーラーや中古車販売業者での査定
    複数社から査定を取ると、より正確な評価額を把握できます。
  • 初年度登録からの経過年数
    裁判所によっては、初年度登録から5〜7年以上経過した車は、査定書なしで「20万円以下」と推定する運用もあります(外国車など高額車両は除く)。

20万円以下と認められた場合は、自由財産として処分対象から外れ、引き続き所有・運転できます

生命保険の取り扱い

生命保険は、解約返戻金の合計額で判断されます。

  • 解約返戻金が20万円以下の場合
    → 解約せずに継続できる可能性が高いです
  • 解約返戻金が20万円を超える場合
    → 原則として解約となり、返戻金が債権者への配当に充てられます

ただし、掛け捨て型の保険(解約返戻金がない保険)は、そもそも処分対象になりません。

また、過去に病歴があり新たに保険に加入できない場合など、特別な事情があれば解約を免れるケースもあります。

株式・投資信託などの有価証券

株式、投資信託、債券などの有価証券は、価額にかかわらず処分対象となる可能性があります。

証券口座は破産管財人によって調査され、売却されます。

  • 評価方法
    破産手続開始決定時点の時価(市場価格)で評価されます
  • 処分方法
    破産管財人が証券会社を通じて売却し、債権者への配当に充てます

株価が下がっていても、価値がある限り処分対象になります。

暗号資産(仮想通貨)

ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)も、財産として申告が必要です。

  • 評価方法
    破産手続開始決定時点の時価で評価されます
  • 申告が必要な取引所
    国内・海外を問わず、すべての取引所のウォレットを申告する必要があります
  • 処分方法
    時価が20万円を超える場合は、破産管財人が取引所を通じて売却します

暗号資産は自由財産拡張の対象にならないため、原則として20万円を超える場合は処分されます。

注意:
暗号資産を隠して申告しないと「財産隠し」として免責不許可事由に該当し、最悪の場合は詐欺破産罪に問われる可能性もあります。

高額なコレクション品

トレーディングカード、時計、貴金属、フィギュアなどのコレクション品も、価値が20万円を超える場合は処分対象です。

  • 評価方法
    個々の品の価値、またはコレクション全体の価値で判断されます
  • 処分方法
    破産管財人が買取業者やオークションなどを通じて売却します

ポケモンカードや遊戯王カードなど高騰しているトレーディングカードは、1枚で数十万円以上の価値があるものもあり、注意が必要です。

レアカードを複数所有している場合は、合計額で評価されることもあります。

❌やってはいけないこと:
自己破産前にコレクションを隠したり、友人に安く譲ったりする行為は「財産隠し」とみなされ、免責が認められなくなる可能性があります。

持ち家について

持ち家がある場合は原則として手放すことになります。

住宅ローンが残っている場合は、債権者(銀行など)が抵当権を実行して売却されます。

住宅を残したい場合は、「個人再生」という別の方法を検討するとよいでしょう。

個人再生では、「住宅ローン特則」を利用して住宅を残しながら借金を減額できる場合があります。

個人再生については「 個人再生とは?費用・デメリット・手続きの流れをわかりやすく解説 」で詳細を解説しています。

退職金の取り扱い

退職金は「退職時にもらえるもの」ですが、自己破産では将来受け取る見込み額も財産として評価されます。

状況処分対象となる金額
退職の予定がない(在職中)退職金見込額の8分の1
退職が決まっている・退職間近退職金見込額の4分の1
すでに退職金を受け取った預貯金として全額評価

例: 在職中で退職金見込額が400万円の場合
→ 8分の1である50万円が財産として評価されます。

ただし、8分の1の金額が20万円未満(退職金見込額が160万円未満)の場合は、処分対象にならない運用が多いです。

なお、実際に退職する必要はなく、在職したまま8分の1相当額を自分で用意して支払うことで手続きを進められます。

処分されない財産(自由財産)

以下の財産は、自己破産しても処分されず手元に残せます。

  • 99万円までの現金
  • 生活に必要な家財道具(家具、家電など)
  • 仕事に必要な道具
  • 年金受給権
  • iDeCo(個人型確定拠出年金)・企業型確定拠出年金(企業型DC)
iDeCo(個人型確定拠出年金)・企業型確定拠出年金(企業型DC)の取り扱い

iDeCo(個人型確定拠出年金)や企業型確定拠出年金(企業型DC)は、自己破産しても原則として処分されません

確定拠出年金法第32条により、給付を受ける権利は差し押さえが禁止されているためです。

「給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。」
——確定拠出年金法第32条

つまり、iDeCoで積み立てた資産は、老後資金として法的に保護されています。

ただし、以下の点に注意が必要です:

  • 受け取り後は預貯金扱い
    iDeCoの給付金が銀行口座に振り込まれた場合、そのお金は預貯金と同じ扱いになります。
    大きな金額が口座に入っていると、処分対象になる可能性があります。

  • 税金滞納の場合は例外
    老齢給付金については、国税滞納処分による差し押さえが可能です(確定拠出年金法第32条ただし書き)。
    つまり、税金を滞納している場合は、iDeCoの給付金が差し押さえられる可能性があります。

iDeCoと退職金の違い:

項目iDeCo・企業型DC退職金
差押え禁止(法律で保護)可能(一部が財産として評価)
処分対象原則ならない8分の1〜4分の1が対象

iDeCoや企業型DCで老後資金を準備している方は、自己破産後もその資産は守られると考えてよいでしょう。

ただし、具体的な取り扱いは裁判所や破産管財人の判断に委ねられる部分もあるため、弁護士に確認することをおすすめします。

5-5. 手続き中の生活と制限

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自己破産の手続き中(申立てから免責確定まで)は、いくつかの制限があります。

返済について

弁護士に依頼した時点で、借金の返済はストップします。

債権者には弁護士から「受任通知」が送られ、督促も止まります。

ただし、手続き中に特定の債権者にだけ返済すること(偏頗弁済)は禁止されています。

これをすると、免責不許可事由に該当する可能性があります。

生活上の注意点

手続き中の生活について、主な注意点は以下のとおりです。

  • 給料は受け取れる
    生活に必要な収入は引き続き受け取れます
  • 新たな借金は禁止
    クレジットカードの使用も避けてください
  • 高額な買い物・浪費は避ける
    免責調査に影響する可能性があります
  • 財産の処分・隠匿は厳禁
    免責不許可事由に該当します

居住・旅行の制限

管財事件の場合、手続き中は以下の制限があります。

  • 引っ越し
    裁判所の許可が必要です
  • 長期の旅行・海外渡航
    裁判所の許可が必要です

同時廃止の場合は、これらの制限はありません。

いずれの場合も、免責が確定すれば制限は解除されます。

資格・職業の制限

一部の資格は手続き中に制限を受けます(「5-3. 資格・職業の制限」参照)。

免責が確定すれば「復権」し、再び資格を使って働けるようになります。

郵便物について

管財事件の場合、破産者宛ての郵便物は破産管財人に転送されます。

管財人が内容を確認した後、本人に返却されます。

これは財産を把握するための措置で、同時廃止の場合は転送されません。

免責が確定すれば、郵便物の転送も終了し、通常どおり届くようになります。

5-6. 誤解されやすいデメリット

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自己破産についてはさまざまな誤解があります。

正しい情報を確認しましょう。

よくある誤解事実
戸籍に記載されるされません
選挙権がなくなるなくなりません
会社をクビになる通常は解雇の正当な理由にならない(一部の国家公務員は例外あり)
年金がもらえなくなるもらえます(年金受給権は差押え禁止)
海外旅行ができないできます(手続き中を除く)
引っ越しができないできます(手続き中は許可が必要な場合あり)
家族の信用情報に影響する影響しません

自己破産は法律で認められた正当な手続きです。

「人生が終わる」わけではなく、むしろ新しいスタートを切るための制度と考えてください。

6. 自己破産すると家族はどうなる?

「自己破産したら家族に迷惑がかかるのでは」と心配される方は多いです。

ここでは、家族への影響と、家族に知られずに手続きできるかどうかを解説します。

6-1. 家族への法的な影響

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結論から言うと、自己破産しても家族に法的な影響はほとんどありません

  • 家族の借金が増えるわけではない
    自己破産者の借金は、家族に引き継がれません
  • 家族の信用情報には影響しない
    配偶者や子供がクレジットカードを作ったり、ローンを組んだりすることに支障はありません
  • 家族の財産は処分されない
    家族名義の財産は、自己破産者の財産ではないため処分対象外です

注意が必要なケース

ただし、以下のケースでは家族に影響があります。

  • 家族が借金の保証人になっている場合
    保証人には請求が行くため、支払い義務が生じます
  • 家族と共有名義の財産がある場合
    共有持分が処分対象になる可能性があります
  • 家族カードを利用している場合
    本会員が自己破産すると、家族カードも使えなくなります

6-2. 家族にバレるケースとバレないケース

「家族に内緒で自己破産したい」という方のために、状況別に解説します。

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7. 自己破産の必要書類と準備するもの

自己破産の申立てには、多くの書類が必要です。

事前に確認して、スムーズに準備を進めましょう。

7-1. 主な必要書類一覧

自分で作成する書類

弁護士のサポートを受けながら作成します。

  • 破産申立書
    自己破産の開始を求める書類
  • 陳述書
    借金をした経緯、反省点などを記載
  • 債権者一覧表
    借入先、借入金額、借入時期などの一覧
  • 財産目録
    所有する財産をすべて記載
  • 家計収支表
    1〜2か月分の収入と支出を記録

役所で取得する書類

  • 住民票
    世帯全員が記載されたもの、本籍地の記載あり、1か月以内に取得
  • 戸籍謄本
    本籍地の市区町村で取得
  • 課税証明書または非課税証明書
    市区町村の税務課で取得

勤務先から取得する書類

  • 給与明細
    直近2〜3か月分
  • 源泉徴収票
    直近1〜2年分
  • 退職金見込額証明書
    退職金制度がある場合

自分で用意する書類

  • 通帳のコピー
    すべての口座の過去2年分程度
  • 保険証券のコピー
    生命保険、損害保険など
  • 車検証のコピー
    自動車を所有している場合
  • 不動産登記簿謄本
    不動産を所有している場合(法務局で取得)
  • 賃貸借契約書のコピー
    賃貸住宅に住んでいる場合

7-2. 同居家族がいる場合に追加で必要な書類

配偶者や親と同居している場合、以下の書類も必要になることがあります。

  • 同居家族の収入証明
    給与明細、源泉徴収票など
  • 同居家族の通帳コピー
    メインで使用している口座

これらの書類は、家計全体の状況を把握するために必要です。

弁護士に相談すれば、どの書類が必要か具体的に教えてもらえます。

8. 自己破産に関するよくある質問

Q1. 自己破産したら仕事をクビになりますか?

A. 一般的な会社員の場合、自己破産を理由とした解雇は認められにくいです。

労働契約法第16条により、客観的に合理的な理由のない解雇は無効とされています。

自己破産は私的な問題であり、通常は解雇の正当な理由になりません。

ただし、警備員や生命保険募集人など一部の職業では、手続き中に資格制限を受けることがあります。

また、一部の国家公務員(人事官、教育委員会委員など)は失職する場合があります。

免責が確定すれば「復権」し、再び資格を使って働けるようになります。

Q2. 自己破産後、何年でクレジットカードが作れますか?

A. 一般的に5〜10年程度で信用情報から記録が消え、再びクレジットカードを作れるようになります。

ただし、自己破産した金融機関やそのグループ会社では、社内情報として記録が残っているため、審査に通りにくい場合があります。

別の金融機関に申し込むことをおすすめします。

Q3. ギャンブルが原因でも自己破産できますか?

A. できます。

ギャンブルや浪費は「免責不許可事由」に該当しますが、裁判所の「裁量免責」により、ほとんどのケースで免責が認められています。

大切なのは、すべてを正直に申告することです。

隠し事をすると、それ自体が免責不許可事由に該当してしまいます。

反省していることをしっかり伝えれば、裁判所も理解してくれます。

Q4. 自己破産すると持ち家はどうなりますか?

A. 原則として手放すことになります。

持ち家は20万円以上の価値がある財産に該当するため、処分対象となります。

住宅ローンが残っている場合は、債権者(銀行など)が抵当権を実行して売却されます。

住宅を残したい場合は、「個人再生」という別の方法を検討してください。

個人再生では、「住宅ローン特則」を利用して住宅を残しながら借金を減額できる場合があります。

個人再生については「 個人再生とは?費用・デメリット・手続きの流れをわかりやすく解説 」で詳細を解説しています。

Q5. 家族に内緒で自己破産できますか?

A. 状況によります。

  • 一人暮らしの場合
    家族と別居していれば、内緒で手続きできる可能性があります
  • 同居している場合
    同居家族の書類が必要になるため、バレる可能性が高いです

同居している場合は、正直に相談することをおすすめします。

弁護士に相談すれば、家族への説明方法もアドバイスしてもらえます。

Q6. 自己破産にかかる費用が払えません

A. 法テラスを利用すれば、費用の立替えと分割払いが可能です。

法テラス経由で弁護士に依頼すると、15万円〜18万円程度の費用で済み、月5,000円〜の分割払いができます。

生活保護を受けている場合は、支払いが免除されることもあります。

お金がないことを理由に自己破産を諦める必要はありません。

まずは法テラスに相談してみてください。

Q7. 2回目の自己破産はできますか?

A. 前回の免責許可から7年以上経過していれば可能です。

7年以内の場合は、原則として免責不許可事由に該当しますが、裁量免責により認められるケースもあります。

2回目の自己破産を検討している場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

Q8. 自己破産すると年金はどうなりますか?

A. 年金は引き続き受け取れます。

年金受給権は「差押禁止財産」に該当するため、自己破産しても失われません。

すでに受給している方はそのまま受給を続けられますし、将来の年金受給にも影響しません。

まとめ

この手続ガイドでは、自己破産の手続きの流れ、費用、条件、デメリットについて解説しました。

自己破産のポイントをおさらい

  • 自己破産は、借金の支払い義務を免除してもらう法的な手続き
  • ギャンブルや浪費が原因でも、「裁量免責」で認められるケースがほとんど
  • 費用は法テラスを利用すれば15万円〜18万円程度、分割払いも可能
  • 信用情報への登録(ブラックリスト)は5〜10年で解消
  • 一定の財産は手元に残せる(99万円までの現金、生活必需品など)
  • 家族に法的な影響はほとんどない(保証人になっている場合を除く)

自己破産は「終わり」ではなく「再スタート」です

借金の苦しみから解放され、新しい人生を歩み始めるための制度として、法律で認められています。

一人で抱え込まず、まずは弁護士や法テラスに相談してみてください。

専門家のサポートを受けることで、最適な解決方法が見つかります。

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