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出社停止中の給料は出る?出勤停止・自宅待機の賃金

出社停止中の給料は出る?出勤停止・自宅待機の賃金
最終更新:2026年6月21日

会社から突然「しばらく出社しなくていい」と言われたとき、いちばん気になるのは「その間の給料はどうなるのか」ではないでしょうか。

「出勤停止=無給」と思い込んで、もらえるはずの賃金をあきらめてしまう人は少なくありません。

しかし実際には、出社停止中の給料は「どんな理由で出社を止められたのか」によって、全額もらえる場合・6割もらえる場合・無給になる場合に分かれます。

この手続きガイドでは、ケースごとの賃金の扱いと、納得できないときの対処法を、労働基準法・民法の条文にもとづいてわかりやすく解説します。

1. 結論〜出社停止中の給料は「理由」で決まる

「出社停止」「出勤停止」「自宅待機」は、似た言葉ですが法律上の扱いは同じではありません。

給料が出るかどうかは、会社が出社を止めた「理由」と「法的な性質」で決まります。

まずは全体像を早見表で確認してください。

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ケース法的な性質給料の扱い
会社都合の自宅待機(業務命令)使用者の責任による休業全額(100%)請求できる。最低でも休業手当60%
懲戒処分としての出勤停止制裁(ペナルティ)原則として無給
病気・感染症で会社が出勤停止を命令会社都合の休業休業手当60%以上
自分の体調不良で自発的に休む労働者の自己都合無給(有給休暇を使えば有給)
天災・大規模停電など不可抗力労使どちらの責任でもない原則として無給

ポイントは、「会社の都合で休ませた」のか「あなた側の事情・制裁で休んだ」のかという線引きです。

会社の都合で出社させなかった場合は、原則として給料を払う義務が会社にあります。

まず確認したいこと

自分のケースがどれに当たるか分からないときは、会社に「これは懲戒処分ですか、それとも業務命令(自宅待機)ですか」と確認してください。
制裁(懲戒)か業務命令かで、給料が出るかどうかが正反対になります。

2. 「出社停止」「出勤停止」「自宅待機」の違い

賃金の扱いを理解するために、まず言葉の違いを整理します。

会社が使う「出社停止」という言葉は、法律上の正式な用語ではなく、次の2つのどちらかを指していることがほとんどです。

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2-1. 業務命令としての「自宅待機」

会社が、雇用契約上の指揮監督権にもとづいて「自宅で待機していてください」と命じるものです。

懲戒処分(ペナルティ)ではなく、あくまで業務上の指示にあたります。

代表的な例は次のとおりです。

  • 不祥事・トラブルの調査中
    ハラスメントや問題行動の事実を調べる間、当事者を職場から離す場合。
  • 退職予定者の情報持ち出し防止
    退職届が出たあと、機密情報の持ち出しを防ぐために待機させる場合。
  • 業績悪化で仕事がない
    経営状況が悪化し、出社させても業務がない場合(一時帰休と呼ばれることもあります)。

業務命令としての自宅待機は、会社の都合で労働者を働かせていない状態なので、後述のとおり原則として給料の支払い義務があります

2-2. 懲戒処分としての「出勤停止」

就業規則に定めた懲戒(制裁)の一種として、一定期間の出勤を禁止するものです。

遅刻・無断欠勤の繰り返し、業務命令違反、重大な規律違反などに対するペナルティとして科されます。

懲戒処分としての出勤停止は制裁なので、後述のとおりその期間は原則として無給になります。

「無給」と言われても鵜呑みにしない

会社が「出勤停止だから無給」と説明しても、その実態が調査中の自宅待機(業務命令)であれば、本来は賃金を請求できる可能性があります。
懲戒処分なら、就業規則のどの条文にもとづく処分なのか、必ず書面で確認しましょう。

3. 会社都合の自宅待機〜給料は全額もらえる

会社の都合で自宅待機を命じられた場合、給料の扱いには2つの法律が関係します。

結論から言うと、全額(100%)請求できるのが原則で、少なくとも平均賃金の60%は法律で保障されています。

3-1. 民法536条2項〜全額(100%)請求できる

会社(使用者)の責任で働けなくなった場合、労働者は賃金の全額を請求できます。

根拠は民法第536条第2項です。

民法第536条第2項(債務者の危険負担等)

債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。
この場合において、債務者は、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。

労働契約では、会社が「債権者」、労働者が「債務者」にあたります。

会社の都合(責任)で労働者が働けなくなったのなら、会社は給料の支払いを拒めない、つまり全額を支払う必要があるという意味です。

ただし、後半部分のとおり、自宅待機中に別の勤務先などで収入(これを中間収入といいます)を得た場合は、その分が差し引かれることがあります。

もっとも判例では、控除できる中間収入には上限があり、平均賃金の6割にあたる部分(休業手当に相当する金額)は控除できないとされています。

つまり、他で収入を得ても、最低でも平均賃金の6割は確保される扱いです。

3-2. 労働基準法26条〜最低でも休業手当60%

民法とは別に、労働基準法は最低限の生活保障として「休業手当」を定めています。

根拠は労働基準法第26条です。

労働基準法第26条(休業手当)

使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。

ここでいう「使用者の責に帰すべき事由」は、民法536条2項よりも広く解釈されるのが通説です。

たとえば次のような場合でも、休業手当の支払い対象になります。

  • 機械の検査や原材料不足による操業停止
  • 監督官庁の勧告による操業停止
  • 親会社の経営難による資金・資材の不足
  • 自治体からの休業要請

天災事変などの不可抗力にあたらない限り、会社都合の休業として休業手当の対象になると考えてよいでしょう。

なお、労基法26条は最低保障のルールです。

会社都合の自宅待機で民法536条2項が成立する場合は、本来は全額を請求できるため、「60%だけ払えばよい」という会社の説明は誤りになることがあります。

休業手当を払わないと罰則がある

休業手当の不払いは労働基準法違反で、30万円以下の罰金の対象になります。
裁判では、未払いの休業手当と同額の「付加金」の支払いを命じられることもあります。

3-3. 休業手当の金額をシミュレーションする

休業手当は「平均賃金の60%以上」が基準です。

平均賃金は、原則として直近3か月の賃金総額を、その期間の暦日数(土日も含む日数)で割って計算します。

おおよその金額を以下のシミュレーターで確認してみましょう。

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4. 懲戒処分としての出勤停止〜原則無給

懲戒処分として出勤停止を科された場合は、その期間は働いていないため、原則として給料は支払われません(ノーワーク・ノーペイの原則)。

ただし、会社が自由に出勤停止にできるわけではありません。

4-1. 正当な出勤停止の要件

懲戒処分が有効になるには、次の要件を満たす必要があります。

  • 就業規則に定めがあること
    懲戒の理由(事由)と手段(出勤停止)が、あらかじめ就業規則に明記されている必要があります。
  • 客観的に合理的な理由があること
    処分に値する規律違反などが実際にあったことが前提です。
  • 社会通念上、相当であること
    違反の程度に対して、処分が重すぎないこと(労働契約法15条)。

これらを欠く出勤停止は、懲戒権の濫用として無効になる可能性があります。

無効と判断されれば、本来は働けたはずなので、その期間の賃金をさかのぼって請求できる余地があります。

4-2. 「減給」との違いに注意

出勤停止による賃金の不支給は、働いていない分を支払わないだけなので、法律上の「減給の制裁」とは区別されます。

減給の制裁には労働基準法第91条による上限(1回の額が平均賃金1日分の半額まで、総額が一賃金支払期の賃金総額の10分の1まで)がありますが、出勤停止中の無給はこの上限とは別の扱いです。

そのため、出勤停止の期間が長くなるほど、収入への影響は大きくなります。

期間が長すぎる出勤停止は無効の可能性

出勤停止の期間が違反の重さに比べて不相当に長い場合、その処分自体が無効と判断されることがあります。
一般的には数日〜2週間程度が目安とされ、何か月にも及ぶ出勤停止は問題になりやすいです。

5. 病気・感染症・天災による出勤停止

病気や感染症、天災を理由に出社を止められた場合は、「会社が命じたのか」「自分から休んだのか」で扱いが変わります。

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5-1. 会社の命令で休む場合は休業手当の対象

インフルエンザやコロナなどで、会社が業務上の判断として「出勤しないように」と命じた場合は、会社都合の休業にあたります。

この場合は、平均賃金の60%以上の休業手当が必要です。

ただし、感染症法にもとづく就業制限(一部の指定感染症など、法令で就業が制限されるケース)による休業は、会社都合ではないため休業手当の対象外です。

この場合でも、業務外の病気であれば健康保険の傷病手当金の対象になりえます。

5-2. 自分の体調不良で自発的に休む場合は無給

一方、高熱や体調不良で自分から欠勤を選んだ場合は、労働者側の自己都合となり、休業手当の対象にはなりません。

この場合は欠勤(無給)になり、年次有給休暇を使えば有給で休めます。

病気で無給になっても傷病手当金がある

業務外の病気やケガで連続して仕事を休み、給料が支払われない場合は、健康保険の「傷病手当金」を受け取れる可能性があります。
条件や金額、申請方法は以下の手続きガイドで確認できます。

5-3. 天災・不可抗力による休業

地震・大規模停電・自然災害など、会社にも労働者にも責任がない不可抗力で休業した場合は、ノーワーク・ノーペイの原則により無給が原則です。

ただし、就業規則で特別休暇(有給)などが定められていれば、その定めに従います。

6. 納得できない出社停止への対処法

「これは不当ではないか」「給料が出ないのはおかしい」と感じたときの対処手順を紹介します。

実際に、退職に追い込む目的や見せしめのために自宅待機を悪用するケースもあり、こうした濫用的な命令は無効と判断されることがあります。

請求には時効があります

未払いの賃金や休業手当を請求できる権利には時効があり、現在は支払日の翌日から3年で消滅します(当分の間の経過措置)。
放置すると請求できなくなる場合があるため、おかしいと感じたら早めに動きましょう。

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6-1. 対処の手順

順を追って準備を進めましょう。

  1. 通知書・就業規則を確認する
    出社停止が「懲戒処分」か「業務命令(自宅待機)」かを書面で確認します。
  2. 証拠を保全する
    出社停止を命じる通知・メール・チャット、就業規則、給与明細などを保存します。
  3. 会社に書面で説明・支払いを求める
    理由と賃金の扱いについて、口頭ではなく書面(メールを含む)で確認・請求します。
  4. 公的な相談窓口に相談する
    会社が応じない場合は、外部の専門窓口に相談します。

6-2. 相談先

会社との話し合いで解決しない場合は、次の窓口が利用できます。

  • 労働基準監督署・総合労働相談コーナー
    総合労働相談コーナー全国労働基準監督署の所在案内から、休業手当の不払いなどを相談できます。
  • 労働組合(ユニオン)
    社内に組合がなくても、個人で加入できる地域ユニオンがあります。
  • 弁護士
    賃金の請求や処分の無効を争う場合に、法的手段(労働審判・訴訟)を相談できます。

退職を迫る目的の自宅待機や、ハラスメントを伴う場合は、次の手続きガイドもあわせて確認してください。

7. 企業の人事担当者が押さえる注意点

出社停止を命じる側の立場でも、賃金と手続きのルールを誤ると、後でトラブルや未払い賃金の請求につながります。

7-1. 自宅待機命令を出すときの注意点

業務命令として自宅待機を命じる場合は、次の点に注意します。

  • 目的が正当であること
    退職強要や見せしめなど、不当な目的での自宅待機は権限の濫用として無効になり得ます。
  • 期間を区切ること
    調査中などと称して、長期間にわたり放置しないようにします。
  • 賃金の扱いを明確にすること
    会社都合の自宅待機は、原則として給与の支払い義務がある点を前提に判断します。
  • 書面で命じること
    命令の理由・期間・賃金の扱いを書面で通知し、記録を残します。

7-2. 出勤停止処分を行うときの注意点

懲戒処分として出勤停止を行う場合は、次の点に注意します。

  • 就業規則の根拠を確認すること
    懲戒事由と出勤停止の定めが就業規則にあるか確認します。
  • 懲戒事由を厳密に確認すること
    処分に値する事実が実際にあるか、証拠とともに確認します。
  • 処分の重さが相当であること
    違反の程度に見合った期間にとどめ、過度に長い出勤停止は避けます。

よくある質問(FAQ)

Q. 自宅待機中に有給休暇を使わされるのは合法ですか?

A. 会社が一方的に有給休暇を消化させることは原則できません。

年次有給休暇は、労働者が自分の意思で取得するのが原則です。

会社都合の自宅待機なら、有給を使わなくても休業手当や賃金を請求できる場面なので、勝手に有給を消化させられた場合は会社に確認しましょう。

Q. パート・アルバイト・派遣でも休業手当はもらえますか?

A. 雇用形態にかかわらず対象になります。

休業手当(労働基準法26条)は、正社員だけでなくパート・アルバイト・契約社員にも適用されます。

派遣社員の場合は、原則として雇用主である派遣会社が支払い義務を負います。

Q. 自宅待機中にアルバイトをしてもいいですか?

A. 就業規則や命令の内容によります。

多くの会社では、就業規則で兼業(副業)に許可制や届出制を定めています。

無断でアルバイトをすると別のトラブルになりかねないため、事前に会社へ確認してください。

なお、会社都合の自宅待機で全額の賃金を請求する場合、待機中に他で得た収入(中間収入)は賃金から差し引かれることがあります。

Q. 就業規則に「自宅待機中は無給」と書いてあれば無給で確定ですか?

A. 必ずしも確定ではありません。

会社都合の自宅待機には、最低でも平均賃金の60%の休業手当を支払う義務があります。

就業規則の定めがこの最低基準を下回る場合、その部分は無効と考えられるため、休業手当を請求できる可能性があります。

Q. インフルエンザで会社から出勤停止と言われたら給料は出ますか?

A. 会社が命じたなら休業手当の対象になります。

会社が業務判断として出勤停止を命じた場合は、会社都合の休業として平均賃金の60%以上の休業手当が必要です。

一方、自分の体調不良で自発的に休んだ場合は欠勤扱い(無給)となり、有給休暇を使えば有給で休めます。

まとめ

出社停止中の給料は、「会社の都合で休ませたのか」「制裁や自己都合で休んだのか」で扱いが大きく変わります。

  • 会社都合の自宅待機
    民法536条2項により全額(100%)請求できるのが原則。
    最低でも休業手当60%は保障される。
  • 懲戒処分としての出勤停止
    原則として無給。
    ただし就業規則の根拠や処分の相当性がなければ無効になり得る。
  • 病気・感染症
    会社命令の出勤停止は休業手当の対象。
    自発的な欠勤は無給(有給休暇は利用可)。
  • 天災・不可抗力
    原則として無給。
    就業規則の特別休暇があればそれに従う。

「出勤停止だから無給」と言われても、その実態が会社都合の自宅待機であれば、賃金を請求できる可能性があります。

通知書と就業規則を確認し、納得できないときは労働基準監督署や弁護士などの窓口に早めに相談しましょう。

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