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失業保険はいくら?払う保険料との関係を年収別に試算

失業保険はいくら?払う保険料との関係を年収別に試算
最終更新:2026年6月10日

毎月の給与明細にある「雇用保険料」。

「これだけ払っているけれど、失業したらいくら戻ってくるの?」
「払っている保険料に見合う金額をもらえるの?」
——そんな疑問を持ったことはありませんか。

雇用保険料と、失業時に受け取れる失業保険(基本手当)は、実は「払った額がそのまま戻る」という関係ではありません。

この手続きガイドでは、年収300万円・500万円・700万円のケースを使って、毎月支払う雇用保険料と、もらえる失業保険の金額をシミュレーションします。

シミュレーターも用意したので、ご自身の数字でも試してみてください。

なお、失業保険を受け取るための申請手続きの詳しい流れは、別の手続きガイドで解説しています。

雇用保険料と失業保険の関係をまず整理

最初に、両者の関係でつまずきやすいポイントを整理します。

毎月の雇用保険料は「将来もらえる失業保険を積み立てている」というイメージを持たれがちですが、実際は少し違います。

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  • 掛け捨て型の保険である
    雇用保険は貯金ではなく保険です。失業しなければ受け取りはなく、払った保険料は戻りません。
  • 受給資格がないともらえない
    原則として、離職前2年間に雇用保険の被保険者期間が12か月以上ないと、失業保険(基本手当)は受け取れません。
  • 受給額は「払った保険料の総額」と無関係
    もらえる金額は、これまで払った保険料の合計ではなく、離職前6か月の賃金と給付日数で決まります。
まず押さえておきたい大原則

失業保険でもらえる額は、過去に払った保険料の総額では決まりません。
「離職前6か月の賃金」と「所定給付日数」で計算されます。
つまり、長年たくさん保険料を払った人ほど多くもらえる、という仕組みではありません。

「払った分の元を取れるのか」を考える前に、まずは「いくら払っていて」「いくらもらえるのか」を順番に見ていきましょう。

あなたが払う雇用保険料はいくら?(年収別)

失業保険の話に入る前に、毎月いくら雇用保険料を払っているのかを確認します。

雇用保険料は、給与(税引き前の総支給額)に保険料率を掛けて計算します。

会社員(一般の事業)の場合、労働者が負担する保険料率は次のとおりです。

  • 令和8年度(2026年度)の労働者負担分: 5/1,000(0.5%)
    令和7年度の5.5/1,000から引き下げられました。
  • 通勤手当や残業手当も含めた総支給額が対象です。
  • 賞与(ボーナス)にも同じ率で雇用保険料がかかります。

出典は厚生労働省「令和8(2026)年度 雇用保険料率のご案内」です。

年収別に、1年間に払う雇用保険料(労働者負担分)の目安を示します。

年収年間の雇用保険料月額の目安
300万円約15,000円約1,250円
500万円約25,000円約2,083円
700万円約35,000円約2,917円

年収の0.5%なので、年収が上がるほど負担額も比例して増えます。

ご自身の年収で計算したい場合は、以下のシミュレーターをお使いください。

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失業保険(基本手当)の金額が決まる仕組み

失業保険の中心となる給付が「基本手当」です。

基本手当の1日あたりの金額(基本手当日額)は、次の3ステップで決まります。

  1. 賃金日額を出す
  2. 賃金日額に給付率を掛けて、基本手当日額を出す
  3. 上限額・下限額の範囲に収める
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ひとつずつ見ていきましょう。

賃金日額の出し方

賃金日額は、離職前6か月間に支払われた賃金をもとに計算します。

  • 計算式: 離職前6か月の賃金合計 ÷ 180
    ボーナス(賞与)や退職金は含めません。
  • 通勤手当・残業手当など、毎月決まって支払われる賃金は含みます。
  • 「手取り」ではなく「額面(税引き前)」で計算します。

たとえば離職前6か月の月給が額面30万円なら、賃金合計は180万円、賃金日額は180万円 ÷ 180 = 10,000円です。

給付率(賃金が低い人ほど高い)

賃金日額に「給付率」を掛けたものが、基本手当日額です。

給付率は一律ではなく、賃金日額が低い人ほど高く設定されています。

  • 賃金の低い人: 最大80%
  • 賃金の高い人: 50%(60〜64歳は45%)

これは、収入が低かった人ほど生活への影響が大きいため、手厚く保障する仕組みです。

現役時代の給料が高かった人ほど、戻ってくる割合(給付率)は下がっていきます。

上限額・下限額(年齢別)

基本手当日額には、年齢ごとに上限が設けられています。賃金日額が高くても、基本手当日額はこの上限で頭打ちになります。

以下は、令和7年8月1日からの上限額・下限額です(出典: 厚生労働省「雇用保険の基本手当日額の変更について」)。

離職時の年齢基本手当日額の上限
29歳以下7,255円
30〜44歳8,055円
45〜59歳8,870円
60〜64歳7,623円

下限額は年齢に関係なく、一律2,411円です。

ここで、保険料との関係で見落としがちな点があります。

保険料と受給額の「非対称性」

雇用保険料は賞与にもかかりますが、基本手当日額の計算には賞与は含まれません。
また、賃金が高い人は上限額で頭打ちになります。
つまり、高収入の人ほど「払う保険料」は増えても「もらえる割合」は下がる、という関係になっています。

所定給付日数〜自己都合と会社都合で大きく差がつく

基本手当を何日分もらえるか(所定給付日数)は、次の3つで決まります。

  • 離職の理由(自己都合か、会社都合か)
  • 雇用保険の被保険者期間(加入年数)
  • 離職時の年齢

同じ給料でも、自己都合か会社都合かで総額が大きく変わるのがポイントです。

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自己都合・定年などで辞めた場合

自分の都合で退職した一般の離職者の所定給付日数は、次のとおりです。

被保険者期間1年以上10年未満10年以上20年未満20年以上
全年齢90日120日150日

年齢に関係なく、加入年数だけで決まります。最長でも150日です。

会社都合(倒産・解雇など)で辞めた場合

倒産や解雇などで離職した「特定受給資格者」や、一部の「特定理由離職者」は、自己都合より手厚く、年齢と加入年数に応じて最長330日まで給付されます。

年齢\被保険者期間1年未満1〜5年5〜10年10〜20年20年以上
30歳未満90日90日120日180日
30〜35歳90日120日180日210日240日
35〜45歳90日150日180日240日270日
45〜60歳90日180日240日270日330日
60〜65歳90日150日180日210日240日

同じ加入年数でも、会社都合は自己都合の2倍前後の日数になることがわかります。

受給が始まるまでの期間(給付制限)

辞めてからすぐに振り込まれるわけではない点にも注意が必要です。

  • 待期期間(全員共通): 7日間
    ハローワークで求職の申込みをした後、最初の7日間は誰でも支給されません。
  • 給付制限(自己都合): 原則1か月
    2025年(令和7年)4月1日以降の自己都合離職から、給付制限が従来の2か月から1か月へ短縮されました。
2025年4月から給付制限が短縮されました

かつて「自己都合だと3か月待ち」と言われていましたが、これは古い情報です。
2025年4月以降の離職では、自己都合でも給付制限は原則1か月になりました。
ただし、5年間で3回以上自己都合で離職した場合は、給付制限が3か月になります。

会社都合(特定受給資格者)や特定理由離職者には、この給付制限がありません。待期7日間の後に支給が始まります。

また、基本手当を受け取れる期間(受給期間)は、原則として離職日の翌日から1年間です。手続きが遅れると、給付日数が残っていても1年を過ぎた分は受け取れなくなるため、早めの申請が大切です。

【年収別】失業保険はいくらもらえる?シミュレーション

ここまでの仕組みを使って、年収300万円・500万円・700万円のケースで実際の受給額を試算します。

試算は次の前提で行います。

  • 離職時の年齢: 40歳(基本手当日額の上限は30〜44歳の8,055円)
  • 被保険者期間: 15年(10年以上20年未満)
  • 自己都合の給付日数120日、会社都合の給付日数240日(35〜45歳・10〜20年)
  • 賞与はないものとし、月収=年収÷12として賃金日額を計算
年収月収賃金日額基本手当日額自己都合(120日)会社都合(240日)
300万円25.0万円約8,333円約5,707円約68万円約137万円
500万円約41.7万円約13,889円約6,944円約83万円約167万円
700万円約58.3万円約19,444円8,055円(上限)約97万円約193万円

ここからわかる傾向は次のとおりです。

  • 年収が2倍以上違っても、もらえる総額は2倍までは差がつかない(給付率の低下と上限のため)。
  • 年収700万円のケースは基本手当日額が上限に達しており、それ以上収入が高くても受給額は増えない。
  • 同じ年収でも、会社都合は自己都合の約2倍の総額になる。

あなたの条件でシミュレーションしてみよう

以下のシミュレーターに、離職前6か月の平均月収(額面・賞与を除く)、離職時の年齢、所定給付日数を入力すると、おおよその基本手当日額と総受給額がわかります。

所定給付日数は、前の「所定給付日数〜自己都合と会社都合で大きく差がつく」の表でご自身に当てはまる日数を確認してください。

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払う保険料に見合う受給額なのか?

最初の疑問「払っている保険料に見合う金額をもらえるのか」に戻ります。

年収500万円の人を例に考えてみましょう。

  • 1年間に払う雇用保険料(労働者負担): 約25,000円
  • 自己都合で離職したときの受給総額(120日): 約83万円

つまり、一度失業保険を受け取れば、約33年分の雇用保険料に相当する金額が戻る計算になります。

会社都合(240日)なら約167万円で、約67年分に相当します。

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  • 「保険料に見合うか」という点では、十分に見合う
    失業して受給資格を満たせば、払った保険料を大きく上回る額を受け取れます。
  • ただし「掛け捨て」である点は変わらない
    一度も失業しなければ、受け取りはゼロです。
    元本が返る貯蓄ではありません。
  • 高収入ほど「回収効率」は下がる
    保険料は収入に比例して増えますが、給付率は下がり、基本手当日額には上限があります。

なお、所定給付日数を使い切る前に早く再就職できた場合でも、損になるとは限りません。

給付日数を一定以上残して就職が決まると「再就職手当」が支給されるため、残りの基本手当の一部を一時金として受け取れます。

失業保険は「損得」より「保険」で考える

失業保険は、失業という万一のリスクに備えるセーフティネットです。
払った保険料の元を取ること自体が目的ではなく、収入が途絶えたときの生活を支える仕組みと考えると、その価値が見えてきます。

失業保険をもらうための手続き(概要)

失業保険(基本手当)は、自動では支払われません。

離職後にハローワークで手続きをする必要があります。

大まかな流れは次のとおりです。

  1. 離職票を受け取る
    退職後、会社から「離職票」が送られてきます。
  2. ハローワークで求職の申込みをする
    住所地を管轄するハローワークで求職申込みと受給資格の決定を受けます。
  3. 待期期間(7日間)を過ごす
    この期間は誰でも支給されません。
  4. 雇用保険説明会・失業認定を受ける
    原則4週間(28日)ごとに失業の認定を受け、基本手当が振り込まれます。

「月いくら振り込まれるのか」がわかりにくいのは、給与のように月単位ではなく、28日ごとの認定期間単位で支給されるためです。

申請に必要な書類や、認定日のルール、再就職手当などの詳しい手続きは、以下の手続きガイドで解説しています。

なお、60〜64歳で退職して年金を受け取れる方は、失業保険と年金の関係に注意が必要です。詳しくは以下を参照してください。

よくある質問(FAQ)

Q. 失業保険の計算は手取りと総支給のどちらで行いますか?

A. 総支給(額面)で計算します。

賃金日額は、税金や社会保険料を引く前の額面で計算します。

通勤手当や残業手当など、毎月決まって支払われる賃金は含みますが、賞与(ボーナス)は含みません。

Q. ボーナスは受給額の計算に含まれますか?

A. 含まれません。

基本手当日額の計算に使う賃金日額は、離職前6か月に毎月決まって支払われた賃金が対象です。

賞与は計算に含まれませんが、雇用保険料は賞与にもかかります。保険料を払う側と、受給額を計算する側で扱いが異なる点に注意してください。

Q. 失業保険は月いくら振り込まれますか?

A. 28日ごとにまとめて振り込まれます。

基本手当は給与のように毎月一定額が振り込まれるのではなく、原則4週間(28日)ごとの失業認定にあわせて支給されます。

「基本手当日額 × 認定された日数(原則28日)」が、その都度振り込まれるイメージです。

Q. パートやアルバイトでも失業保険はもらえますか?

A. 雇用保険に加入していればもらえます。

週の所定労働時間が20時間以上などの加入要件を満たして雇用保険に入っていれば、パート・アルバイトでも受給資格の対象です。

ただし、原則として離職前2年間に被保険者期間が12か月以上(会社都合などは1年間に6か月以上)必要です。

Q. 失業保険を一度も使わなかったら、払った保険料は戻りますか?

A. 戻りません。

雇用保険は掛け捨て型の保険です。失業せずに退職・転職した場合や、受給資格を満たさない場合、払った保険料は返金されません。

ただし、被保険者期間は次の就職先に引き継がれ、将来の受給資格の計算に通算されます。

Q. 受け取った失業保険に税金はかかりますか?

A. かかりません。

基本手当(失業給付)は非課税です。所得税や住民税の対象にならず、確定申告で収入として申告する必要もありません。

まとめ

毎月払う雇用保険料と、失業時にもらえる失業保険(基本手当)の関係を、年収別に見てきました。

最後に要点を整理します。

  • 雇用保険料(労働者負担)は年収の0.5%。年収500万円で年間約25,000円。
  • 受給額は「払った保険料総額」ではなく、離職前6か月の賃金と給付日数で決まる。
  • 賃金が低い人ほど給付率が高く、高い人は上限で頭打ちになる。
  • 自己都合か会社都合かで、もらえる総額が約2倍変わる。
  • 2025年4月から、自己都合の給付制限は原則1か月に短縮された。
  • 一度受給できれば、払った保険料の数十年分に相当する額が戻る。ただし掛け捨て型である点は変わらない。

「払った保険料の元を取る」という発想よりも、収入が途絶えたときに生活を支えてくれるセーフティネットとして捉えるのが、失業保険との正しい付き合い方です。

実際に退職・転職を考え始めたら、早めにご自身の給付日数と受給額の見込みを確認し、申請手続きの準備を進めておきましょう。

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