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住宅ローン名義人の死亡後は?団信と相続の手続き

住宅ローン名義人の死亡後は?団信と相続の手続き
最終更新:2026年6月23日

「親が返済中だった住宅ローン、残りは誰が払うの?」
「相続放棄をしたら、実家は手放すしかないの?」
「団信に入っていればチャラと聞いたけど、本当?」

住宅ローンの名義人である親が亡くなったとき、残った返済がどうなるかは、団体信用生命保険(団信)に加入していたかどうかで結末が大きく変わります。

この手続きガイドでは、団信ありの場合・なしの場合それぞれの手続きの流れ、子どもが家を残してローンを引き継ぐ方法、相続放棄や連帯保証人の落とし穴まで、順を追ってわかりやすく解説します。

1. 住宅ローン名義人の死亡後はどうなる?まず知るべき基本

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住宅ローンは、名義人(債務者)の死亡によって自動的になくなるわけではありません。

残ったローン(残債)は「借金」として、預貯金や不動産などのプラスの財産と同じく、相続の対象になります。

つまり、何もしなければ残債は相続人に引き継がれるのが原則です。

ただし、ここで大きな分かれ道になるのが団体信用生命保険(団信)の存在です。

  • 団信に加入していた場合
    保険金でローンの残債が全額返済され、相続人が返済を続ける必要はなくなります。
  • 団信に加入していなかった場合
    残債は借金として相続人に引き継がれ、誰かが返済を続けるか、相続放棄や売却で対応することになります。

同じ「親の住宅ローン」でも、団信の有無によって結末が真逆になるのです。

重要

名義人が亡くなったら、まず最初にすべきことは「借入先の金融機関に連絡し、団信に加入していたかどうかを確認する」ことです。
団信の有無で、その後の手続きも選択肢もまったく変わります。

なお、住宅ローン以外にも、死亡後には死亡届や年金、預貯金など多くの手続きが必要になります。全体の流れは次の手続きガイドも参考にしてください。

2. 最初にやること - 金融機関への連絡と団信の確認

名義人が亡くなったら、できるだけ早く借入先の金融機関へ連絡します。

2-1. 誰が、どこに連絡する?

連絡するのは、相続人(配偶者や子)など家族です。

連絡先は、住宅ローンを借りている金融機関(銀行・信用金庫など)です。

フラット35を利用していた場合は、申し込みをした取扱金融機関に連絡します(保険の引受は住宅金融支援機構などが行っています)。

2-2. 確認すること

金融機関への連絡時には、次の点を確認しておきましょう。

  • 団信に加入しているか
    そもそも団信に入っていたかどうかが最大の確認ポイントです。
  • 団信の種類
    死亡のみを保障するものか、がん団信や三大疾病など疾病も保障するものか。
    がん団信・三大疾病団信などでは、死亡だけでなく所定の疾病・状態と診断された場合にも残債が弁済されることがあります。
  • 残債の金額
    現時点で残っているローンの金額を確認します。
  • 必要な手続きと書類
    団信の有無に応じて、提出する書類と今後の流れを案内してもらえます。
注意

口座が凍結されると、住宅ローンの引き落としも止まります。
団信ありでも、保険金で完済されるまでの間に引き落としができず延滞扱いになるケースがあるため、死亡を連絡する際に「完済までの引き落としの取扱い(延滞にしない方法)」を金融機関に必ず確認しておきましょう。

3. 団信に加入していた場合の手続き(ローンは完済される)

団信に加入していれば、名義人の死亡によって支払われる保険金で住宅ローンの残債が全額弁済されます。

相続人がローンの返済を引き継ぐ必要はありません。

ただし、保険金は自動では支払われず、所定の請求手続きが必要です。

3-1. 手続きの流れ

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団信ありの場合、おおまかに次の流れで進みます。

  1. 借入先の金融機関に名義人の死亡を連絡する
  2. 団信弁済届(死亡用)など所定の書類を提出する
  3. 保険会社の審査を経て、住宅ローンが完済される
  4. 金融機関から完済の通知と抵当権抹消に必要な書類が届く
  5. 不動産の相続登記(名義変更)と抵当権抹消登記を行う

団信で完済されても、家の名義は亡くなった親のままです。あわせて相続登記(名義変更)と、設定されている抵当権の抹消登記が必要になります。

抵当権抹消登記は、完済後に金融機関から届く弁済証書・登記識別情報・委任状などの書類を使って法務局へ申請します。相続登記(所有権移転)とあわせて司法書士に依頼することも多い手続きです。

3-2. 主な必要書類

保険金の請求にあたって、一般的に次のような書類を求められます。

書類入手先・備考
団信弁済届(死亡用)金融機関所定の用紙
死亡診断書または死体検案書の写し病院・医師が発行
名義人の死亡が分かる戸籍謄本(除籍)または住民票の除票市区町村役場
その他金融機関が指定する書類金融機関の案内に従う

必要書類は金融機関や加入している団信によって異なります。連絡時に必ず確認してください。

注意

保険金の請求には期限があります。
約款で「死亡を知った日から一定期間内(おおむね2か月程度)に請求」と定められていることが多いため、団信に加入していたことが分かったら、できるだけ速やかに金融機関へ連絡しましょう。

3-3. フラット35(住宅金融支援機構)の場合

フラット35などで住宅金融支援機構の団信(機構団信)に加入していた場合は、保険金(共済金)によって機構の債務が全額返済されます。

家族が取扱金融機関へ連絡し、医師の死亡診断書を提出するのが基本的な流れです。詳しくは住宅金融支援機構「ご本人がなくなられたとき」で確認できます。

4. 団信に入っていなかった/加入できなかった場合

健康上の理由で団信に加入できず保障が付かなかった(不担保の)場合や、もともと団信なしのローンだった場合は、残債は原則どおり相続人に引き継がれます。

この場合、相続人は大きく3つの選択肢から対応を選ぶことになります。

選択肢内容向いているケース
引き継いで返済する家を相続し、残りのローンも返済し続ける実家を残したい・返済を続けられる
相続放棄する残債も家も含め、すべての相続を放棄する残債が大きい・他にも借金がある・家にこだわらない
売却して返済する家を売り、その代金で残債を返す返済は難しいが、なるべく負担を残したくない
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どれを選ぶかは、残債の金額・家の価値・他の相続財産や借金の状況によって変わります。

次のドロップダウンで、家を残したいかどうかから選んで、進むべき方向を確認してみましょう。

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5. 子どもがローンを引き継いで家を残す方法

団信なしで実家を残したい場合は、子どもがローンを引き継いで返済を続けることになります。

主に次の3つの手続きが必要です。

5-1. 遺産分割協議で引き継ぐ人を決める

相続人が複数いる場合は、遺産分割協議で「誰が家を相続し、誰がローンを引き継ぐか」を話し合って決めます。

住宅金融支援機構の例では、相続人が複数いる場合、法定相続人のうち返済能力のある人が一人で債務を引き継ぐよう求められます。

決まった内容は遺産分割協議書にまとめ、相続人全員の実印を押し、印鑑証明書を添付します。

5-2. 相続登記(名義変更)を行う

家の名義を、亡くなった親から引き継ぐ人へ変更する相続登記を行います。

注意

2024年4月1日から相続登記が義務化されました。
不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に登記をしないと、正当な理由がない限り10万円以下の過料の対象になります。詳しくは法務省「相続登記の申請義務化について」を確認してください。

5-3. 金融機関で債務者変更の手続き・再審査を受ける

ローンを引き継ぐには、金融機関で債務者を変更する手続きが必要です。

このとき、新しく債務者になる相続人について返済能力の審査(再審査)が行われます。収入や年齢によっては、そのままの条件では引き継げないこともあります。

住宅金融支援機構の場合は「相続届」を取扱金融機関に提出し、次のような書類を添付します。

書類備考
法定相続人全員が分かる戸(除)籍謄本または抄本等市区町村役場
債務を相続したことを証明できる書類遺産分割協議書(相続人全員の印鑑証明書を添付)、家庭裁判所の調停書など
相続登記後の建物・土地の登記事項証明書法務局
その他金融機関が依頼する書類金融機関の案内に従う

相続税や遺産分割協議書の作り方など、相続全体の手続きについては次の手続きガイドも参考にしてください。

6. 相続放棄を選ぶ場合の注意点【最重要】

残債が大きく家にも価値がない、他にも多額の借金がある、といった場合は、相続放棄で残債の支払い義務を免れる方法があります。

相続放棄をすると、最初から相続人でなかったことになり、住宅ローンを含むすべての借金を引き継がずに済みます。

相続放棄は3か月以内

相続放棄は、自分のために相続が開始したことを知った日から3か月以内に、家庭裁判所へ申述する必要があります。
期限を過ぎると原則として放棄できなくなります。判断に迷う場合は早めに専門家へ相談しましょう。

ただし、相続放棄をすると預貯金や自宅などプラスの財産もすべて相続できません。実家を残すことはできなくなります。

6-1. 相続放棄しても連帯保証人の義務は消えない

相続放棄を考えるうえで、もっとも見落とされやすく、被害が大きいのがこの点です。

連帯保証人・連帯債務者は要注意

あなた自身が住宅ローンの連帯保証人や連帯債務者になっている場合、相続放棄をしても残債の支払い義務は消えません。
連帯保証・連帯債務は「亡くなった人の借金」ではなく「あなた自身の借金」なので、相続放棄では免れられないのです。

実際に、「親の死後に相続放棄をしたのに、連帯保証人として残債の一括請求を受けた」という事例も起きています。

自分が保証人や連帯債務者になっていないか、契約内容を必ず確認してください。

相続放棄の期限や費用、手続きの進め方は、次の手続きガイドで詳しく解説しています。

7. ペアローン・連帯債務・親子リレーローンの落とし穴

ローンの組み方によっては、名義人の片方が亡くなっても残債が全部は消えないことがあります。

「団信に入っているから安心」と思い込まず、契約形態ごとの違いを確認しておきましょう。

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契約形態仕組み一方が死亡したときの団信の効果
ペアローン夫婦などが別々に2本のローンを組む死亡した人のローンのみ完済。
もう一方のローンは残る
連帯債務型(収入合算)1本のローンを2人で返す団信の対象者が誰かで変わる。
対象外の人が死亡すると残ることがある
親子リレーローン親子で1本のローンを引き継いで返す団信加入者の死亡時のみ完済。
どちらが加入者かは契約により異なり、親が加入者でなければ親が先に亡くなっても消えないことがある
ポイント

夫婦連生団信(ペア団信)のように、2人のどちらが亡くなっても残債全額が完済されるタイプの団信もあります。
自分たちの団信がどこまでカバーするのか、加入時の書類や金融機関で確認しておくと安心です。

8. 相続税はどうなる?団信あり・なしで違う債務控除

住宅ローンの残債は、相続税の計算で「債務控除」として遺産から差し引けるのが原則です。ただし、団信の有無で扱いが変わります。

区分残債の債務控除補足
団信あり控除できない保険金で完済され、債務そのものが消えるため。保険金は金融機関へ直接支払われるので相続税の課税対象にもならない
団信なし控除できる相続人が引き継ぐ残債は、遺産から差し引ける

8-1. 団信ありでも自宅は課税対象

団信で住宅ローンが完済された場合、残債は債務控除できません。

一方で、自宅の不動産そのものは相続財産として相続税の課税対象になります。「ローンが消えたから相続税もかからない」とは限らない点に注意しましょう。

団信付き住宅ローンと債務控除の考え方は、国税庁の事例集(PDF)でも確認できます。

ポイント

相続税がかかるかどうかは、自宅以外の財産も含めた全体額と基礎控除額の比較で決まります。
個別の税額は事案によって変わるため、心配な場合は税理士に相談すると安心です。

9. 親が元気なうち・余命があるうちにできること

名義人が亡くなる前にできる備えもあります。親が元気なうちに、家族で確認しておくと、いざというときに慌てずに済みます。

  • 団信の加入有無・種類を確認する
    「住宅ローン、団信に入ってる?」と聞くだけでも大きな備えになります。
  • 返済が苦しい場合は借り換えや承継を検討する
    高齢で返済が厳しい場合、子世代名義への借り換えや親子間での承継を生前に検討する方法もあります。
  • 専門家に相談しておく
    返済や相続に不安があれば、FP・司法書士・税理士などに早めに相談しておきましょう。
注意

「うちは団信に入っているから大丈夫」と思い込んでいても、実際には未加入だったり、保障範囲が限られていたりするケースがあります。
思い込みで判断せず、契約内容を実際に確認することが大切です。

10. よくある質問(FAQ)

Q. 団信に入っているかどうかは、どう確認すればいいですか?

A. 借入先の金融機関に問い合わせるのが確実です。

住宅ローンの契約書類や、加入時に受け取った団信の保険証券・加入証明書でも確認できます。

書類が見つからない場合は、金融機関に名義人の死亡を伝えたうえで、団信の加入状況を確認してもらいましょう。

Q. 相続放棄をすれば、連帯保証人でも払わなくて済みますか?

A. いいえ、連帯保証人としての支払い義務は残ります。

相続放棄で免れられるのは「亡くなった人の借金」を相続人として引き継ぐ義務です。

連帯保証人や連帯債務者としての義務は、あなた自身の債務なので、相続放棄をしても消えません。

Q. 残債のある家を売って、ローンを完済できますか?

A. 売却代金で残債を返す方法があります。

売却代金がローン残債を上回れば、完済して残りを手元に残せます。

残債が売却代金を上回る場合は、不足分の対応について金融機関と相談する任意売却などの方法を検討します。家の売却手続きの流れは次の手続きガイドが参考になります。

Q. 団信で完済されたのに、相続税はかかりますか?

A. 自宅などの財産には相続税がかかる可能性があります。

団信で完済された残債は債務控除できませんが、自宅の不動産は相続財産として課税対象になります。

財産全体の額が基礎控除額を超える場合は、相続税の申告・納付が必要になることがあります。

Q. 相続登記(名義変更)はいつまでにすればいいですか?

A. 取得を知った日から3年以内です。

2024年4月1日から相続登記が義務化され、不動産の取得を知った日から3年以内の登記が必要です。

正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象になります。

11. まとめ

親の住宅ローンは、名義人の死亡で自動的になくなるわけではなく、団信の有無で結末が大きく変わります。

  • まず団信の加入有無を金融機関に確認する
    ここですべての方向性が決まります。
  • 団信ありなら保険金で完済
    速やかに請求手続きを行い、抵当権抹消と相続登記を進めます。
  • 団信なしなら「引き継ぐ・放棄・売却」を期限内に判断
    家を残すなら相続登記と債務者変更(再審査)が必要です。
  • 連帯保証人・連帯債務者は相続放棄でも逃れられない
    契約内容を必ず確認しましょう。
  • 相続放棄は3か月、相続登記は3年が期限
    迷ったら早めに金融機関や専門家へ相談を。

期限のある手続きが多いため、名義人が亡くなったら、まずは借入先の金融機関への連絡から始めてください。

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