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準確定申告の手続き - 期限・必要書類・やり方をわかりやすく解説

準確定申告の手続き - 期限・必要書類・やり方をわかりやすく解説
最終更新:2026年5月2日

「準確定申告って何?自分がやるの?」
「父は年金暮らしだったけど、申告は必要?」
「期限が4ヶ月しかないって本当?」
——家族が亡くなった直後、聞き慣れない「準確定申告」に戸惑う方は少なくありません。

準確定申告とは、亡くなった方の代わりに相続人が行う確定申告のことです。

期限は相続の開始を知った日の翌日から4ヶ月以内と短く、葬儀や相続手続きに追われる中で見落としがちです。

この手続きガイドでは、準確定申告が必要な人の判定方法から、必要書類・具体的な手順・期限を過ぎた場合の対処法まで、ステップごとにわかりやすく解説します。

1. 準確定申告とは — 亡くなった人の確定申告を相続人が行う手続き

1-1. 準確定申告の概要

準確定申告とは、年の途中で亡くなった方について、相続人が代わりに所得税の確定申告を行う手続きです。

通常の確定申告は1月1日〜12月31日の1年間の所得を翌年3月15日までに申告しますが、準確定申告では1月1日から死亡した日までの所得を計算して申告します。

申告と納税の義務を負うのは相続人(包括受遺者を含む)です。

根拠法令は所得税法第124条・第125条に定められています。

1-2. 通常の確定申告との主な違い

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項目通常の確定申告準確定申告
対象期間1月1日〜12月31日1月1日〜死亡日
申告する人本人相続人(包括受遺者を含む)
申告期限翌年2月16日〜3月15日相続開始を知った翌日から4ヶ月以内
申告書の様式確定申告書通常の確定申告書を使用(専用様式なし)
提出先本人の住所地の税務署被相続人の死亡当時の納税地の税務署
電子申告確定申告書等作成コーナー/e-Taxe-Taxソフトのみ(作成コーナーは不可)

1-3. 相続手続き全体の中での位置づけ

家族が亡くなった後は、複数の手続きが期限つきで次々と発生します。

準確定申告は、相続放棄の判断(3ヶ月)より後、相続税の申告(10ヶ月)より前に期限が来ます。

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2. 準確定申告が必要な人・不要な人

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2-1. 申告が必要なケース

以下のいずれかに該当する場合、相続人は準確定申告を行う義務があります。

  • 個人事業主・フリーランスだった
    事業所得がある場合は原則として申告が必要です。

  • 不動産賃貸収入があった
    アパート経営や土地の貸付けなど、不動産所得がある場合は申告が必要です。

  • 給与収入が年間2,000万円を超えていた
    高額給与所得者は年末調整の対象外のため、確定申告が必要です。

  • 2か所以上から給与を受けていた
    副業先の給与等が年間20万円を超える場合は申告が必要です。

  • 公的年金等の収入が年間400万円を超えていた
    年金収入が多い場合は「確定申告不要制度」の対象外です。

  • 公的年金等以外の所得が年間20万円を超えていた
    年金に加えて株の売却益や不動産所得などがある場合です。

  • 年の途中で退職し、年末調整が済んでいなかった
    退職後に再就職しなかった場合などが該当します。

2-2. 申告が不要なケース

以下の両方に該当する場合は、準確定申告の義務はありません。

  • 公的年金等の収入金額が年間400万円以下
  • 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が年間20万円以下
年金受給者の多くは申告不要の可能性があります

公的年金の平均受給額は月額約14万円(年間約170万円)です。
他に収入がなければ「確定申告不要制度」に該当し、準確定申告の義務はありません。
ただし、源泉徴収された税金が還付される可能性があるため、次の「申告したほうが得なケース」も確認してください。

また、給与所得のみで年末調整が済んでおり、他に所得がない場合も申告は不要です。

2-3. 義務はないが「申告したほうが得」なケース

準確定申告の義務がない場合でも、以下に該当するなら任意で申告することで税金が還付される可能性があります。

  • 年金から所得税が源泉徴収されていた
    各種控除を適用することで、天引きされた税金の一部または全部が戻ってくることがあります。

  • 医療費が多額だった
    死亡日までに被相続人本人が支払った医療費が10万円(または所得の5%)を超える場合、医療費控除で還付を受けられる可能性があります。

  • 生命保険料や地震保険料を支払っていた
    死亡日までに支払った保険料について、控除を適用できます。

還付金は相続財産に含まれます

準確定申告で還付を受けた場合、その還付金は相続財産として相続税の課税対象になります。
逆に、準確定申告で追加の税金を納付した場合は、その金額を相続税の計算で債務控除できます。

3. 準確定申告の期限 — 4ヶ月以内に申告・納税

3-1. 期限の計算方法

準確定申告の期限は「相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内」です。

通常は亡くなった日に相続の開始を知るため、「死亡日の翌日から4ヶ月以内」と考えて問題ありません。

たとえば、4月15日に亡くなった場合の期限は8月15日です。

期限日が土日・祝日にあたる場合は、翌営業日が期限になります。

死亡月別の申告期限の目安

死亡した月申告期限の目安
1月5月中旬
2月6月中旬
3月7月中旬
4月8月中旬
5月9月中旬
6月10月中旬
7月11月中旬
8月12月中旬
9月翌年1月中旬
10月翌年2月中旬
11月翌年3月中旬
12月翌年4月中旬

3-2. 確定申告期間中(1月1日〜3月15日)に亡くなった場合

前年分と当年分の2つの準確定申告が必要になることがあります

確定申告の義務がある方が、翌年の確定申告書を提出する前に亡くなった場合、前年分と当年分の2つの準確定申告が必要です。
どちらも「相続の開始を知った翌日から4ヶ月以内」が期限です。

たとえば、確定申告が必要な方が2月20日に亡くなった場合は、次の2つを提出します。

  1. 前年分(1月1日〜12月31日)の準確定申告
  2. 当年分(1月1日〜2月20日)の準確定申告

どちらも6月20日が提出期限です。

3-3. 期限を過ぎたらどうなる?

期限を過ぎても申告自体は可能ですが、以下のペナルティが発生する場合があります。

  • 無申告加算税
    納付すべき税額に対して15%(50万円超〜300万円以下は20%、300万円超は30%)が課されます。
    ただし、税務署の調査を受ける前に自主的に期限後申告をすれば5%に軽減されます。

  • 延滞税
    法定納期限の翌日から納付日までの日数に応じて課されます。
    年率は期間によって異なり、おおむね年2%〜9%程度です(年度ごとに変動)。

還付申告ならペナルティなし

準確定申告の結果が「還付」になる場合(源泉徴収で税金が天引きされていた場合など)は、期限を過ぎて申告してもペナルティはありません。
還付を受ける権利は、申告期限から5年間有効です。

4. 準確定申告の必要書類

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4-1. 全員が必要な書類

  • 確定申告書
    通常の確定申告書と同じ様式を使用します。
    準確定申告だけの専用用紙はありません。
    国税庁の確定申告書様式ページからダウンロードできます。

  • 相続人全員のマイナンバー関係書類(本人確認書類)
    マイナンバーカードをお持ちの場合はカードの写し(表裏)を提出します。
    マイナンバーカードがない場合は、通知カード等の「番号確認書類」と運転免許証等の「身元確認書類」の両方が必要です。

4-2. 該当者のみ必要な書類

書類名必要になるケース
確定申告書付表相続人が2人以上いる場合(e-Taxでは1人でも必要)
準確定申告の確認書相続人が2人以上でe-Taxにより提出する場合
委任状(準確定申告用)還付金を相続人の代表者がまとめて受け取る場合
源泉徴収票年金受給者・給与所得者の場合
青色申告決算書 または 収支内訳書個人事業主・不動産賃貸をしていた場合
医療費の領収書医療費控除を適用する場合
生命保険料等の控除証明書保険料控除を適用する場合
付表と確認書の違いに注意

「確定申告書付表」は相続人の情報や相続分を記載する書類で、紙でもe-Taxでも相続人が複数いれば必要です。
「準確定申告の確認書」はe-Tax提出時のみ必要な書類で、代表以外の相続人が申告内容を確認した旨を記入します。

4-3. 書類の入手先

書類名入手先
確定申告書・付表・委任状国税庁ホームページからダウンロード、または税務署窓口
準確定申告の確認書国税庁ホームページからダウンロード
源泉徴収票(年金)日本年金機構から相続人宛に送付される。届かない場合は年金事務所に問い合わせ
源泉徴収票(給与)亡くなった方の勤務先に依頼
医療費の領収書お手元のものを整理
控除証明書保険会社等から届いたものを整理

5. 準確定申告のやり方 — 5つのステップ

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5-1. ステップ1: 必要書類を集める

まず、申告に必要な書類を集めます。

  • 源泉徴収票
    年金受給者の場合、日本年金機構から「公的年金等の源泉徴収票」が送付されます。
    届いていない場合は、最寄りの年金事務所に問い合わせてください。
    給与所得者の場合は、勤務先に依頼して発行してもらいます。

  • 医療費の領収書(医療費控除を受ける場合)
    死亡日までに被相続人本人が支払った医療費の領収書を整理します。

  • 控除証明書
    生命保険料や地震保険料の控除証明書を確認します。

  • マイナンバー関係書類
    相続人全員のマイナンバーカードの写し等を準備します。

5-2. ステップ2: 所得と控除を計算する

1月1日から死亡日までの所得金額を計算し、適用できる控除を確認します。

計算の対象期間

所得は1月1日から死亡日までに確定したものが対象です。

年金の場合、死亡日までに支給期が到来した分(実際に受け取った分)が対象です。

控除の適用ルール

所得控除の適用は、原則として死亡日までに被相続人が支払った金額に基づきます。

  • 医療費控除
    死亡日までに被相続人が支払った医療費が対象です。
    死亡後に相続人が支払った入院費等は、被相続人の準確定申告では控除できません(相続人自身の確定申告で控除可能な場合があります)。

  • 社会保険料控除
    死亡日までに被相続人が支払った社会保険料が対象です。

  • 生命保険料控除・地震保険料控除
    死亡日までに被相続人が支払った保険料が対象です。

  • 配偶者控除・扶養控除
    死亡日の時点での状況で判定します。
    月割計算は行いません(年間を通じて適用)。

5-3. ステップ3: 申告書を作成する

確定申告書に必要事項を記入します。

手書きで作成する場合

通常の確定申告書の様式を使い、以下の点に注意して記入します。

  • 申告書の上部余白に「準確定申告」と赤字で記載する
  • 被相続人の氏名・住所・マイナンバーを記入する
  • 相続人が2人以上いる場合は、付表に各相続人の氏名・住所・続柄・相続分などを記入する

e-Taxソフトで作成する場合

e-Taxソフト(パソコン版)を使えば、電子申告も可能です。

確定申告書等作成コーナーでは作成できません

国税庁の確定申告書等作成コーナーでは、準確定申告書を作成することができません。
電子申告する場合は、e-Taxソフト(デスクトップ版)を使用してください。
e-Taxソフトは国税庁のe-Taxホームページからダウンロードできます。

5-4. ステップ4: 税務署に提出する

作成した申告書を、被相続人の死亡当時の納税地(住所地)を管轄する税務署に提出します。

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提出方法

  • 窓口で提出
    税務署の窓口に直接持参します。

  • 郵送で提出
    税務署宛に郵送します。
    信書として送付するため、レターパックや簡易書留の利用がおすすめです。
    郵便物の消印日が提出日として扱われます。

  • e-Taxで電子送信
    e-Taxソフトから電子送信します。
    マイナンバーカードとICカードリーダーが必要です。

相続人が複数いる場合の提出方法

相続人が2人以上いる場合、以下の2つの方法があります。

  • 連署して1通を提出(一般的な方法)
    相続人全員が署名した申告書を1通提出します。

  • 各人が別々に提出
    各自が申告書を提出することも可能です。
    この場合、提出した相続人は他の相続人に申告内容を通知する義務があります。

5-5. ステップ5: 納税または還付を受ける

納付の場合

期限内に所轄税務署、金融機関の窓口、またはコンビニ(30万円以下)で納付します。

クレジットカード納付(国税クレジットカードお支払サイト)やスマホアプリ納付(30万円以下)も利用可能です。

振替納税は準確定申告では利用できない点に注意してください。

還付の場合

申告後、おおむね1〜2ヶ月で指定した口座に振り込まれます。

還付金の受取先は、原則として各相続人がそれぞれの口座で受け取ります。

代表者がまとめて受け取る場合は、付表への記載に加えて委任状の提出が必要です。

6. よくある質問(FAQ)

Q. 年金月15万円だった親が亡くなりました。準確定申告は必要ですか?

A. 他に収入がなければ、申告の義務はありません。

公的年金のみの収入で年間400万円以下(月額約33万円以下)、かつ年金以外の所得が20万円以下の場合は「確定申告不要制度」に該当し、準確定申告は不要です。

ただし、年金から所得税が源泉徴収されていた場合は、任意で申告すれば税金が還付される可能性があります。

源泉徴収票を確認して、「源泉徴収税額」の欄に金額が記載されていれば還付を受けられる可能性が高いです。

Q. e-Taxで準確定申告はできますか?

A. はい、e-Taxソフト(デスクトップ版)で電子申告が可能です。

ただし、国税庁の確定申告書等作成コーナーでは準確定申告書を作成できません。

e-Taxソフトをパソコンにインストールし、マイナンバーカードとICカードリーダーを使って電子署名・送信する方法で提出します。

e-Taxを利用する場合、相続人が1人でも「確定申告書付表」と「準確定申告の確認書」の提出が必要です。

Q. 期限(4ヶ月)を過ぎてしまいました。どうすればいいですか?

A. できるだけ早く自主的に申告してください。

期限後でも申告は受け付けてもらえます。

税務署の調査を受ける前に自分から期限後申告をすれば、無申告加算税が本来の15%(50万円超〜300万円以下は20%、300万円超は30%)から5%に軽減されます。

また、準確定申告の結果が「還付」になる場合は、期限を過ぎてもペナルティはかかりません。

還付を受ける権利は申告期限から5年間有効です。

Q. 相続放棄したら準確定申告はしなくてよいですか?

A. はい、相続放棄をした場合は準確定申告の義務はありません。

相続放棄をすると初めから相続人でなかったものとみなされるため(民法第939条)、準確定申告の義務も免除されます。

ただし、相続放棄の手続きは「相続の開始を知った時から3ヶ月以内」に家庭裁判所に申述する必要があります。

Q. 税理士に依頼すべきですか?費用はどのくらいですか?

A. 年金・給与のみの場合は自分でも対応可能です。事業所得がある場合は税理士への依頼をおすすめします。

年金や給与のみの準確定申告であれば、源泉徴収票をもとに比較的シンプルに作成できます。

税理士に依頼する場合の費用の目安は以下のとおりです。

所得の種類費用の目安(税込)
年金・給与のみ1.5万〜3万円程度
不動産所得・事業所得あり7万〜10万円程度

相続税の申告も必要な場合は、準確定申告とセットで依頼すると割安になるケースがあります。

まとめ

準確定申告は、亡くなった方の所得税を相続人が代わりに申告・納税する手続きです。

最後に、準確定申告のポイントを確認しましょう。

  • 申告が必要かチェック — 年金収入のみで年間400万円以下、かつ他の所得が20万円以下なら義務なし
  • 期限は4ヶ月以内 — 相続の開始を知った翌日から4ヶ月以内に申告・納税
  • 確定申告シーズン(1〜3月)の死亡に注意 — 前年分と当年分の2つが必要な場合あり
  • 必要書類を早めに収集 — 源泉徴収票、医療費の領収書、マイナンバー関係書類
  • 還付の可能性も確認 — 源泉徴収で天引きされた税金が戻る場合がある

悲しみの中での手続きは大変ですが、ひとつずつ進めていけば自分でも対応できます。

不安な場合は税務署の窓口(無料)や税理士に相談することも検討してみてください。

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