児童手当は誰がもらえる?離婚・別居・施設入所のケース別
「別居しているのに、児童手当が元配偶者の口座に入り続けている」
「単身赴任で子どもと離れたら、手当は止まってしまうの?」
——そんな不安や疑問を抱えていませんか?
児童手当は、子どもを養育していれば自動的にもらい続けられるわけではありません。
誰が受け取るかは「監護」と「生計同一」という要件で決まり、家庭の状況が変わると受給者が変わったり、支給が止まったりします。
この手続きガイドでは、離婚・別居、単身赴任、施設入所、海外転居など、実際に起こりやすいケースごとに、児童手当が止まる条件と受給者を変更する手続きを解説します。
児童手当は「監護」と「生計同一」で受給者が決まる
まず、児童手当が「どんな条件でもらえるのか」という基本を押さえておきましょう。
ここを理解すると、なぜ離婚や別居で受給者が変わるのかが見えてきます。
支給の対象と金額
児童手当は、0歳から18歳に達する日以後の最初の3月31日まで(高校生年代まで)の子どもを養育している方に支給されます。
金額は子どもの年齢と出生順で決まります。
| 支給対象児童 | 1人あたり月額 |
|---|---|
| 3歳未満 | 15,000円(第3子以降は30,000円) |
| 3歳以上〜高校生年代 | 10,000円(第3子以降は30,000円) |
支給は偶数月(2月・4月・6月・8月・10月・12月)に、それぞれの前月分まで(2か月分)まとめて行われます。
なお、令和6年10月分から制度が拡充され、所得制限は撤廃されました。
詳しくは、こども家庭庁の「児童手当制度のご案内」で確認できます。
受給者を決める2つの要件
児童手当を受け取るには、子どもについて次の2つの要件を満たす必要があります(児童手当法第4条)。
- 監護(かんご)していること
子どもの生活を継続的に見守り、育てていることをいいます。 - 生計を同じくしていること
子どもと生活の一体性があること、つまり生活費を共にしていることをいいます。
この2つのどちらかを満たさなくなると、児童手当の受給資格を失います。
離婚・別居や施設入所で受給者が変わったり支給が止まったりするのは、この「監護」「生計同一」の要件が根拠になっています。
父母がそろっているときは「所得が高い方」に支給
子どもを養育する人が父母2人いる場合、児童手当は原則として「生計を維持する程度が高い人」(一般的には所得の高い方)に支給されます。
ただし、父母が別居して生計を同じくしていないときは、子どもと同居している方に支給されます。
これを「同居優先ルール」と呼びます。
この手続きガイドで扱う「児童手当」は、すべての子育て家庭が対象の制度です。
ひとり親家庭が対象の「児童扶養手当」とは支給要件も金額も異なります。
離婚後は両方の対象になることが多いため、混同しないようにしましょう。
児童扶養手当について詳しく知りたい方は、次の手続きガイドも参考にしてください。
また、第3子以降のカウントや「監護相当・生計費の負担についての確認書」については、次の手続きガイドで詳しく解説しています。
【ケース別】児童手当が止まる・受給者が変わる条件早見表
家庭の状況が変わったときに、児童手当が誰に支給され、どんな手続きが必要になるかを一覧にまとめました。
各ケースの詳細は、以降のセクションで解説します。
| ケース | 誰に支給されるか | 主な手続き |
|---|---|---|
| 離婚・別居(生計別) | 子どもと同居している親 | 現受給者が受給事由消滅届、新受給者が認定請求 |
| DVで避難 | 避難した親(住民票を移さなくても可) | 受給者変更(確認資料の提出) |
| 単身赴任(生計同一) | これまでの受給者のまま | 転居先で申請・養育確認書類 |
| 施設入所・里親委託 | 施設の設置者・里親 | 保護者は受給事由消滅届 |
| 子どもが海外居住 | 原則不支給(留学は例外) | 受給事由消滅届(留学は別途申立書) |
| 親が海外・子は国内 | 父母指定者 | 父母指定者の指定届・認定請求 |
離婚・別居したとき〜子と同居している親に支給
児童手当をめぐる相談で最も多いのが、離婚・別居のケースです。
「子どもと暮らしているのは自分なのに、手当が相手に入り続けている」という悩みは少なくありません。
離婚協議中・別居なら同居している親に支給される
父母が離婚協議中(離婚が成立している場合を含みます)のために別居していて、生計を同じくしていないときは、子どもと同居している方に児童手当が支給されます。
このとき、別居している相手から生活費を受け取っていても、相手が子どもと定期的に面会していても、支給されるのは子どもと同居している方です。
父母が同意したとしても、別居している側(子どもと同居していない親)が児童手当を受給することはできません。
あくまで「子どもと同居し、監護・生計同一の関係にある親」が受給者になります。
「別居しただけ」では受給者は変わらない
注意したいのは、単に別居しただけでは受給者が自動的に切り替わらない点です。
同居優先ルールが適用されるのは、離婚協議中(離婚成立を含む)で生計が別になっている場合です。
「まだ離婚の話は始めていないが、別居している」という段階では、原則として受給者を変更できないことがあります。
受給者を自分に変えたい場合は、離婚協議中であることを示す書類が必要になるため、早めにお住まいの市区町村に相談しましょう。
受給者を変更する手続き
離婚・別居にともなって受給者を変更するには、次の2つの手続きが必要です。
- 現受給者(元配偶者)が「受給事由消滅届」を提出する
これまで受給していた親が、子どもを養育しなくなったことを届け出ます。 - 新受給者(同居する親)が「認定請求書」を提出する
新たに受給する親が、自分を受給者とする申請を行います。
児童手当は原則として申請した月の翌月分から支給されるため、条件が整ったら早めに手続きすることが大切です。
離婚協議中であることを示す書類
離婚が成立する前に受給者を変更したい場合は、離婚協議中であることを確認できる書類を提出します。
具体的には、次のような書類が該当します。
- 離婚協議申し入れにかかる内容証明郵便の謄本
- 調停期日呼出状の写し
- 家庭裁判所における事件係属証明書
- 調停不成立証明書
- 弁護士など第三者が作成した離婚協議の進捗に関する報告書
これらの書類の入手や提出が難しい場合は、配偶者から「離婚協議中である旨の申立書」を提出し、市区町村が内容を配偶者に確認できれば、離婚協議中として取り扱われることがあります。
住民票が同じ・世帯分離のとき
実際には別居していても、住民票の異動が済んでおらず同じ住所のままというケースもあります。
- 同じ住所でも世帯分離している場合
別居しているものとして取り扱われるため、離婚協議中であれば子どもと同居している方が受給できます。 - 世帯分離もしていない場合
原則は住所を分けることが必要ですが、配偶者が子どもを監護していないなど、個別の事情によって受給できる可能性があります。
まずは住民票担当と児童手当担当の窓口に相談してみましょう。
「養育費を受け取っているか」「相手が面会しているか」は、児童手当を誰が受け取るかには影響しません。
判断の基準は、あくまで子どもと同居し、監護・生計を同じくしているかどうかです。
離婚そのものの進め方や必要書類については、次の手続きガイドも参考にしてください。
DVで避難したとき〜住民票を移さなくても受給できる
配偶者からの暴力(DV)を理由に子どもと一緒に避難している場合、住所を知られる危険から住民票を動かせないことがあります。
このようなときでも、児童手当を受給できる特例があります。
住民票を動かせなくても受給できる特例
配偶者に住所を知られると危害が加えられるおそれが強く、やむを得ず住民票を異動できない場合には、次の資料などを提出することで、現在住んでいる市区町村から児童手当を受給できます。
- 配偶者からの暴力について確認できる資料
- 申請者と子どもが、社会保険上、配偶者の扶養に入っていないことがわかる資料
暴力を確認できる資料の例
暴力を確認できる資料としては、次のようなものが挙げられます。
- 配偶者に対する保護命令(接近禁止命令や退去命令)が出ていることがわかる資料
- 女性相談支援センターによる「配偶者からの暴力の被害者の保護に関する証明書」
- 住民基本台帳の閲覧等の制限(支援措置)の対象であることがわかる資料
これらの資料の提出が難しい場合でも、母子生活支援施設などに入所している、子どもへの接近禁止命令が出ているなど、客観的に事情を確認できるときは受給者を変更できることがあります。
DVからの避難や相談先については、次の手続きガイドで詳しく解説しています。
単身赴任で子と別居したとき〜生計同一なら受給は続く
「単身赴任で子どもと離れて暮らすことになったら、児童手当は止まるの?」という心配もよく聞かれます。
結論から言うと、単身赴任のように生計を同じくしたままの別居であれば、支給は止まりません。
生計同一が続く限り同居優先ルールは適用されない
単身赴任などで別居していても、家計を同じくしていれば、引き続き「生計を維持する程度が高い人」に支給されます。
離婚協議中の別居とは異なり、生計が一体である限り同居優先ルールは適用されないためです。
受給者が転居したときは新しい市区町村で申請
単身赴任で受給者自身が別の市区町村へ引っ越した場合は、児童手当は引っ越し先の市区町村から支給されることになります。
そのため、転入先の市区町村で申請手続きが必要です。
転出予定日の翌日から数えて15日以内に転入先の市区町村で申請しないと、原則として遅れた月分の手当が受け取れなくなります。
引っ越しの前後は忘れずに手続きしましょう。
また、受給者と子どもが別居する形になる場合は、子どもを養育していることを確認するための書類の提出を求められることがあります。
この書類は「別居監護申立書」などと呼ばれ、名称や様式は市区町村によって異なるため、事前に確認しておくと安心です。
子どもが施設入所・里親委託になったとき〜施設・里親に支給
子どもが児童養護施設などに入所したり、里親に委託されたりした場合は、児童手当の受給者が保護者から施設側へと切り替わります。
原則として施設の設置者や里親に支給される
子どもが次のような施設に入所している場合や里親などに委託されている場合、児童手当は原則としてその施設の設置者や里親などに支給されます(児童手当法第4条)。
- 乳児院、児童養護施設、児童心理治療施設、児童自立支援施設
- 障害児入所施設、指定発達支援医療機関
- 母子生活支援施設
- 里親、小規模住居型児童養育事業(ファミリーホーム)
施設や里親に支給される場合の金額は、3歳未満が月15,000円、3歳以上〜高校生年代が月10,000円の一律で、出生順による第3子以降の加算はありません。
施設や里親に支給された児童手当は、その子どもの健やかな成長のために使われ、原則として子ども名義の口座で管理されます。
保護者は受給事由消滅届を提出する
子どもが施設に入所すると、保護者にとっては支給対象となる子どもがいなくなるため、受給事由消滅届を提出します。
これまで受け取っていた児童手当は、施設入所した月の翌月分から支給されなくなるのが原則です。
入所しても、施設に通所している場合や、2か月以内の期間を定めた短期の入所・委託の場合は、一定の要件を満たせば引き続き保護者に支給されることがあります。
入所の形態によって取り扱いが変わるため、市区町村や施設に確認しましょう。
子ども・親が海外に移るとき〜原則不支給と留学の例外
海外赴任や子どもの留学など、家族が国外に移る場合も、児童手当の取り扱いに注意が必要です。
児童手当は原則として、子どもが日本国内に住んでいる場合に支給されるためです。
子どもが海外に住むと原則は支給されない
子どもが海外に住み、日本国内に住所を有しなくなった場合、その子どもの分の児童手当は原則として支給されません。
この場合は、受給事由消滅届などの手続きが必要です。
留学のときは例外的に受給できる
子どもが留学を理由に海外に住んでいて、次の要件をすべて満たす場合は、例外として児童手当を受け取れることがあります。
- 日本国内に住所を有しなくなった前日までに、日本国内に継続して3年を超えて住所があったこと
- 教育を受けることを目的として海外に住み、父母(未成年後見人がいる場合はその未成年後見人)と同居していないこと
- 日本国内に住所を有しなくなった日から3年以内であること
親が海外・子どもが国内なら「父母指定者」
反対に、父母が海外に住み、子どもが日本国内の祖父母などに預けられている場合もあります。
このときは、海外にいる父母のうち子どもの生計を維持している人が、国内で子どもと同居している人を「父母指定者」として指定すれば、その父母指定者に児童手当が支給されます。
なお、受給者が単身赴任で国外へ転出し、配偶者と子どもが国内に残る場合は、配偶者が新たに受給者として申請する必要があります。
海外への転出手続きそのものについては、次の手続きガイドを参考にしてください。
受給停止・受給者変更の手続きの流れと必要書類
ここまで見てきたケースで共通して使う届出を整理します。
状況に応じて、次の届出をお住まいの市区町村(受給者が公務員の場合は勤務先)に提出します。
| 届出の種類 | 提出するタイミング |
|---|---|
| 受給事由消滅届 | 子どもを養育しなくなった・支給対象の子どもがいなくなったとき |
| 額改定届 | 対象となる子どもの人数が減った(増えた)とき |
| 認定請求書 | 新たに受給者になるとき(受給者変更・転入など) |
| 現況届 | 毎年6月1日時点の状況を確認するとき(原則不要だが一部の人は必要) |
現況届の提出が引き続き必要な人
現況届は令和4年6月分以降、原則として提出が不要になりました。
ただし、次のような方は引き続き提出が必要です。
- 離婚協議中で配偶者と別居している方
- DVなどにより、住民票の住所地と異なる市区町村で受給している方
- 施設等受給者
- そのほか、市区町村から提出の案内があった方
現況届の提出がないと、6月分以降の手当が受けられなくなるため注意しましょう。
手続きは市区町村ごとに違いがある
必要書類や具体的な取り扱いは市区町村によって異なります。
お住まいの自治体での児童手当の手続き方法を確認したい場合は、次のツールを使って調べてみましょう。
状況が戻ったとき〜受給の再開・再申請
いったん児童手当の受給が止まっても、状況が変われば、あらためて受給できる場合があります。
たとえば、海外から帰国して子どもが再び国内に住むようになった場合や、施設を退所して家庭に戻った場合などです。
このようなときは、自動的に再開されるわけではなく、あらためて認定請求書を提出する必要があります。
児童手当は、原則として申請した月の翌月分から支給されます。
再申請が遅れると、その分の手当を受け取れなくなるため、状況が変わったら早めに手続きしましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 別居中で住民票がまだ同じです。自分に受給者を変えられますか?
A. 離婚協議中であることを示せれば、変更できる可能性があります。
住民票が同じ住所でも、世帯分離をしていれば別居として取り扱われ、離婚協議中であれば子どもと同居している方が受給できます。
世帯分離もしていない場合は、配偶者が子どもを監護していないなど個別の事情によって受給できることもあります。
まずは住民票担当と児童手当担当の窓口に相談してみましょう。
Q. 単身赴任で子どもと離れると児童手当は止まりますか?
A. 生計を同じくしていれば止まりません。
単身赴任のように家計を一体にしたままの別居であれば、引き続き受給できます。
ただし、受給者が別の市区町村へ引っ越した場合は、転入先で申請手続きが必要です。
子どもとの別居について、養育を確認する書類の提出を求められることもあります。
Q. 元配偶者が受給事由消滅届を書いてくれない場合はどうすればいいですか?
A. まずはお住まいの市区町村に相談してください。
受給者変更には現受給者からの受給事由消滅届が必要になるのが原則ですが、状況によっては市区町村が個別に対応できる場合があります。
離婚協議中であることを示す書類や事情を伝えたうえで、窓口で取り扱いを確認しましょう。
Q. 子どもが施設に入所したら、手当はいつから止まりますか?
A. 原則として、施設入所した月の翌月分から止まります。
施設入所により支給対象の子どもがいなくなるため、保護者は受給事由消滅届を提出します。
その後の児童手当は、原則として施設の設置者や里親に支給されます。
ただし、通所や2か月以内の短期入所などの場合は、引き続き保護者に支給されることがあります。
Q. 子どもが海外留学します。児童手当は受け取れますか?
A. 一定の要件を満たせば、例外的に受け取れます。
留学のために海外に住む場合、国外転出前に日本国内に継続して3年を超えて住所があったことなど、3つの要件をすべて満たせば受給できます。
要件を満たすかどうかや必要な書類はお住まいの市区町村で確認してください。
Q. 養育費を払っていないと児童手当は止まりますか?
A. 養育費の支払いの有無は、児童手当の受給資格に直接は影響しません。
児童手当を誰が受け取るかは、子どもを監護し生計を同じくしているかどうかで判断されます。
養育費を払っているか受け取っているかは、受給者の判断基準そのものには関係しません。
まとめ
児童手当が止まったり受給者が変わったりするのは、「監護」と「生計同一」という支給要件を満たさなくなったときです。
ケースごとのポイントを整理します。
- 離婚・別居(生計別)
子どもと同居している親に支給されます。
ただし「別居しただけ」では変わらず、離婚協議中であることを示す書類が必要です。 - DVで避難
住民票を移せなくても、確認資料などを提出すれば受給・受給者変更ができます。 - 単身赴任
生計を同じくしていれば止まりません。
受給者が転居したら転入先で申請します。 - 施設入所・里親委託
原則として施設の設置者や里親に支給され、保護者は受給事由消滅届を出します。 - 海外転居
子どもが海外に住むと原則不支給ですが、留学は例外です。
親が海外・子が国内なら父母指定者を指定します。
いずれのケースも、受給事由消滅届・額改定届・認定請求書などの手続きを、お住まいの市区町村(公務員は勤務先)に行うことになります。
必要書類や取り扱いは自治体によって差があるため、状況が変わったら早めに窓口へ相談し、支給の空白期間をつくらないようにしましょう。
