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50代からの住み替え〜売却・購入と税金ガイド

50代からの住み替え〜売却・購入と税金ガイド
最終更新:2026年6月29日

子どもが独立し、夫婦2人には広すぎる家。

「駅から遠くて将来が不安」
「庭や階段の手入れがつらくなってきた」
——50代を迎え、そんな思いから住み替えを考える方が増えています。

ただ、いざ動き出すと、わからないことばかりです。
「今の家を売るのが先?新居を買うのが先?」
「ローンが残っていても買い替えられる?」
「売って利益が出たら税金はいくら?」

この手続きガイドでは、50代からの住み替えでつまずきやすい「タイミング」「お金」「税金」の3つを軸に、売却と購入を同時に進めるコツと、使える税金の特例をわかりやすく整理します。

50代からの住み替えで先に押さえる3つのこと

住み替えは「家を売る」と「家を買う」を同時に進める手続きです。

それぞれ単独の売却・購入とは違う、住み替えならではの注意点があります。

まずは全体像として、次の3つを頭に入れておきましょう。

  • タイミング
    売却と購入の順番をどうするかで、仮住まいの費用や二重ローンのリスクが変わります。
  • お金(手元に残る額)
    「いくらで売れるか」より「ローンや諸費用を引いて手元にいくら残るか」が、新居の予算を左右します。
  • 税金(特例の選択)
    売却益が出たとき、3,000万円特別控除などの特例と新居の住宅ローン控除は、原則としてどちらか一方しか使えません。
ポイント

住み替えで失敗する典型は「査定額をそのまま予算にしてしまう」ことです。
査定額は確定した売却価格ではありません。
残債と諸費用を引いた「手残り額」を基準に、新居の資金計画を立てましょう。

住み替えの全体の流れ〜売却と購入を同時に動かす

住み替えは、大きく分けると次のステップで進みます。

  1. 今の家の相場・査定額を調べ、ローン残債を確認する
  2. 売却と購入のどちらを先行させるか方針を決める
  3. 今の家を売りに出す(媒介契約・販売活動)
  4. 新居を探し、住宅ローンの事前審査を受ける
  5. 売買契約(売却・購入)を結ぶ
  6. 決済・引き渡し、引っ越し、住所変更などの手続き
  7. 売却益が出た場合は、翌年に確定申告をする
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売却そのものの詳しい流れ(査定・媒介契約・引き渡し)や、購入時の住宅ローン契約・登記の手続きは、それぞれ次の手続きガイドで詳しく解説しています。

この手続きガイドでは、2つを「同時に」進める住み替え特有のポイントに絞って説明します。

売却が先か購入が先か〜住み替えのタイミングの選び方

住み替えで最初に決めるのが、売却と購入の「順番」です。

売却が先なら「売り先行」、購入が先なら「買い先行」と呼びます。

それぞれにメリットと注意点があります。

進め方向いている人メリット注意点
売り先行残債が多い・資金に余裕がない人売却額が確定し資金計画が立てやすい。高く売りやすい新居が決まる前に引き渡すと仮住まいが必要
買い先行自己資金に余裕がある人新居をじっくり探せる。仮住まい不要売却前に二重ローンになるリスク。売り急いで安くなりがち
同時進行条件が合えばベスト仮住まい・二重ローンを避けられる売却と購入の決済日の調整が難しく、運も絡む
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50代以降で住宅ローンの残債がある場合や、老後資金を大きく取り崩したくない場合は、資金計画が立てやすい「売り先行」が基本的に安全です。

注意

「買い先行」で新居を購入したあと今の家がなかなか売れないと、2つの住宅ローンを同時に返済する期間が発生します。
売却を焦って値下げすると、結果的に大きく損をすることもあります。
自己資金に余裕がない場合は、買い先行は慎重に判断してください。

仮住まいが必要になるケース

売り先行で、新居の引き渡しが今の家の引き渡しより後になる場合は、その間の「仮住まい」が必要になります。

賃貸住宅の家賃に加えて、引っ越しが2回分(今の家→仮住まい→新居)になる点も予算に入れておきましょう。

最近は、自宅に住みながら売却活動を行い、買主への引き渡し日を新居の入居日に合わせることで、仮住まいを避ける進め方も一般的です。

ローンが残る家でも住み替えできる?〜残債と住み替えローン

「今の家の住宅ローンが残っているけれど、住み替えられる?」という不安はとても多く聞かれます。

結論から言うと、住み替えは可能です。

ただし、売却時に住宅ローンを完済し、家に設定された抵当権を抹消できることが前提になります。

売却額がローン残債を上回るか下回るかで変わる

ポイントは、売却額でローンを完済できるかどうかです。

  • アンダーローン(売却額がローン残債を上回る)
    売却代金でローンを完済でき、余ったお金を新居の頭金に回せます。
  • オーバーローン(売却額がローン残債を下回る)
    売却代金だけでは完済できず、不足分を預貯金から手出しするか、後述の「住み替えローン」を利用することになります。
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まずは金融機関でローンの残高証明書などを確認し、今の残債と売却相場を比べてみましょう。

住み替えローン(買い替えローン)とは

住み替えローンは、売却してもローンが残ってしまう場合に、その残債と新居の購入資金をまとめて借りられるローンです。

オーバーローンでも住み替えを進められるのがメリットですが、注意点もあります。

注意

住み替えローンは、今の家の売却(完済・抵当権抹消)と新居購入の決済を、原則として同じ日に行う必要があります。
そのためスケジュール調整が難しく、売却と購入のどちらかが遅れると計画全体が崩れることがあります。
また、物件価値を超えて借りるため審査は厳しく、金利も通常の住宅ローンより高めになりやすい点に注意してください。

返済額の見直しや、今のローンの借り換えと合わせて検討したい場合は、次の手続きガイドも参考にしてください。

売却で手元にいくら残る?〜手残り額シミュレーション

新居の予算は、「いくらで売れるか」ではなく「売却額からローン残債と諸費用を引いて、手元にいくら残るか」で考えます。

売却には、仲介手数料や印紙税、抵当権抹消の費用などがかかります。

下のシミュレーターで、おおよその手残り額を確認してみましょう。

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手残り額がマイナス、つまりオーバーローンになる場合は、不足分の手出しか住み替えローンの利用を前提に資金計画を立てる必要があります。

住み替えでかかる税金と特例〜売却益が出たとき

長く住んだ家を売って利益(譲渡所得)が出ると、その利益に税金がかかります。

ただし、マイホームの売却には税負担を大きく減らせる特例がいくつも用意されています。

50代以降の住み替えでは、これらの特例を正しく選ぶことが、手元に残るお金を増やす最大のポイントです。

譲渡所得税の基本

売却益(譲渡所得)は、次の式で計算します。

譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)

取得費は、その家を買ったときの購入代金や建築費(建物は減価償却後)に、購入時の諸費用を加えたものです。

税率は、売った年の1月1日時点での所有期間によって変わります。

区分所有期間(売った年の1月1日時点)税率(所得税+住民税)
短期譲渡所得5年以下39.63%
長期譲渡所得5年超20.315%

※税率には復興特別所得税2.1%が含まれています。

50代以降で長く住んだ自宅を売る場合は、ほとんどが「長期譲渡所得」に該当します。

3,000万円特別控除

マイホームを売ったときは、所有期間の長さに関係なく、譲渡所得から最高3,000万円を差し引ける特例があります。

これが「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」です。

譲渡所得が3,000万円以内なら、税金がかからない計算になります。

3,000万円特別控除の主な要件

・現に住んでいる家屋、または住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
・売った年の前年・前々年に同じ特例や買い替え特例を受けていないこと
・親子や夫婦など特別の関係がある人への売却でないこと
詳しくは国税庁のNo.3302 マイホームを売ったときの特例で確認できます。

所有10年超なら軽減税率も使える

売った年の1月1日時点で、家屋と敷地の所有期間がともに10年を超えている場合は、「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」も使えます。

3,000万円特別控除を差し引いた後の課税長期譲渡所得のうち、6,000万円以下の部分の税率が下がります。

課税長期譲渡所得(3,000万円控除後)税率(所得税+住民税)
6,000万円以下の部分14.21%
6,000万円を超える部分20.315%

この軽減税率は、3,000万円特別控除と重ねて使えるのが大きなメリットです。

国税庁のNo.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例もあわせて確認してください。

買い替え特例〜課税を将来に繰り延べる

売却益が3,000万円を大きく超えるような場合は、「特定の居住用財産の買換えの特例」という選択肢もあります。

これは、売ったマイホームの譲渡益への課税を、買い替えた新居を将来売るときまで先送り(繰り延べ)にできる制度です。

ただし、税金が非課税になるわけではなく、あくまで「先送り」である点に注意が必要です。

注意

買い替え特例は、3,000万円特別控除や軽減税率とは併用できず、どちらか一方を選ぶことになります。
居住期間10年以上かつ所有期間10年超、売却代金1億円以下などの細かい要件もあります。
この特例の適用期限は、税制改正で延長が続いており、2027年(令和9年)12月31日までの売却が対象です(2026年6月時点)。

多くのケースでは、繰り延べよりも3,000万円特別控除+軽減税率を使う方が有利になりやすいため、買い替え特例を検討する場合は税理士や税務署に相談することをおすすめします。

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譲渡所得税のシミュレーション

3,000万円特別控除を使った場合の、おおよその譲渡所得税額を計算してみましょう。

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売却の特例と住宅ローン控除は併用できない

住み替えの税金で、もっとも見落とされやすいのがこのポイントです。

売却で3,000万円特別控除・軽減税率・買い替え特例のいずれかを使うと、新居で住宅ローン控除を受けられません。

具体的には、新居に入居した年とその前年・前々年に売却の特例を使うと、住宅ローン控除は使えなくなります。

入居した年の翌年から3年目までに売却の特例を使う場合も同様です。

つまり、売却の特例と住宅ローン控除は、住み替えのタイミングではどちらか一方しか選べないのが原則です。

どちらが得かを試算して選ぶ

どちらが有利かは、人によって変わります。

  • 売却の特例(3,000万円控除など)が有利になりやすい人
    長く住んだ家を売って、まとまった売却益が出る人。
    控除によって譲渡所得税がゼロ、または大きく減らせます。
  • 住宅ローン控除が有利になりやすい人
    売却益がほとんど出ない(または損が出る)一方、新居で大きな住宅ローンを長く組む人。
ポイント

「売却益にかかる税金(特例を使わない場合の額)」と「新居で受けられる住宅ローン控除の総額」を比べ、減る金額が大きい方を選ぶのが基本です。
判断に迷うときは、売買契約を結ぶ前に税務署や税理士へ相談しましょう。

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2026年以降の住宅ローン控除の概要

参考として、新居の購入で住宅ローン控除を選ぶ場合の制度概要も押さえておきましょう。

  • 控除の仕組み
    年末の住宅ローン残高の0.7%を、所得税(控除しきれない分は住民税の一部)から控除します。
  • 控除期間
    新築・買取再販住宅は原則13年です。
    中古(既存)住宅は、省エネ基準を満たす住宅なら13年、それ以外は10年です。
  • 対象期間
    2026年(令和8年)1月1日から2030年12月31日までの入居が対象です。
  • 主な要件
    床面積40平方メートル以上(合計所得1,000万円超の人などは50平方メートル以上)、その年の合計所得2,000万円以下、返済期間10年以上などです。
注意

住宅ローン控除には、省エネ性能に応じた借入限度額が設けられています。
借入限度額の上乗せ措置がある「子育て世帯(19歳未満の子がいる世帯)」「若者夫婦世帯(夫婦のいずれかが40歳未満)」に該当しない50代以降の世帯は、上乗せのない区分になる点に注意してください。
制度の詳細は国土交通省の住宅ローン減税のページで確認できます。

新居の購入と50代の資金計画の注意点

50代以降の住み替えでは、新居の購入とローンの組み方に、現役世代とは違う注意点があります。

老後の暮らしを見据えた、無理のない資金計画を心がけましょう。

  • 完済年齢を意識する
    多くの金融機関で住宅ローンの完済年齢の上限は80歳程度です。
    借入期間が短くなり毎月の返済額が大きくなりやすいため、退職金や年金収入を踏まえた返済計画が必要です。
  • 団体信用生命保険(団信)の健康状態
    年齢が上がると、団信の加入条件(健康状態)が厳しくなることがあります。
    持病がある場合は、引受基準が緩やかなワイド団信なども検討しましょう。
  • 中古マンションは管理費・修繕積立金を確認する
    購入後に管理費や修繕積立金が上がったり、大規模修繕で一時金を求められたりすることがあります。
    購入前に長期修繕計画と積立金の状況を必ず確認してください。
  • 退職金を頭金に使いすぎない
    老後資金まで頭金に回すと、その後の生活が苦しくなります。
    手元資金とのバランスを見て、頭金の額を決めましょう。

住み替え手続きの流れとチェックリスト

最後に、住み替え全体で必要になる手続きを時系列のチェックリストで確認しておきましょう。

  • 今の家の住宅ローン残債を確認する
  • 複数の不動産会社に査定を依頼し、相場を把握する
  • 売り先行・買い先行など進め方の方針を決める
  • 不動産会社と媒介契約を結び、売却活動を始める
  • 新居を探し、住宅ローンの事前審査を受ける
  • 売買契約(売却・購入)を結ぶ
  • 決済・引き渡し(住み替えローンの場合は同日決済)
  • 引っ越し・ライフラインの手続き
  • 転出届・転入届など住所変更の手続き
  • 売却益が出た場合は翌年に確定申告をする

引き渡し後の引っ越しや、役所・ライフラインの住所変更手続きは抜け漏れが起きやすいため、時系列のやることリストで確認すると安心です。

よくある質問(FAQ)

Q. 住んでいない実家や前の家でも、3,000万円特別控除は使えますか?

A. 住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売れば使えます。

たとえば2023年3月に引っ越して空き家になった家なら、2026年12月31日までに売却すれば対象になります。

この期限を過ぎると特例が使えなくなるため、空き家になっている家を売る予定がある場合は、早めに動くことが大切です。

Q. 売却と購入の決済を同じ日にすることは本当にできますか?

A. 可能ですが、調整は簡単ではありません。

住み替えローンを使う場合は、売却の決済(ローン完済・抵当権抹消)と新居購入の決済を同日に行う必要があります。

買主・売主・それぞれの金融機関のスケジュールを合わせる必要があるため、住み替えの実績が豊富な不動産会社に間に入ってもらうのが現実的です。

Q. 家を買ったときの契約書がなく、取得費がわかりません。

A. 売却価格の5%を取得費とみなして計算できます(概算取得費)。

購入時の金額がわからない場合は、売却価格の5%を取得費として譲渡所得を計算できます。

ただし、実際の取得費の方が高い場合は税金が増えてしまうため、まずは売買契約書や当時の通帳の記録などを探してみることをおすすめします。

Q. 50代でも住宅ローンの審査は通りますか?

A. 収入や健康状態などの条件を満たせば、組むことは可能です。

ただし完済年齢の上限(多くは80歳程度)から逆算するため、借入期間が短くなり、毎月の返済額は大きくなりがちです。

退職金や年金収入を踏まえ、無理のない借入額にすることが重要です。

団信の健康状態が不安な場合は、ワイド団信なども検討しましょう。

Q. 売却で損が出た場合も確定申告は必要ですか?

A. 税金はかかりませんが、特例を使うなら申告した方が得になることがあります。

マイホームの売却で損失(譲渡損失)が出た場合、一定の要件を満たせば、その損失を給与所得などと相殺して税金を軽減できる特例があります。

特例を使うには確定申告が必要なので、損が出た場合も申告を検討しましょう。

まとめ

50代からの住み替えは、「タイミング」「お金」「税金」の3つを押さえれば、落ち着いて進められます。

  • タイミング
    資金に余裕がなければ「売り先行」が基本。
    売却と購入のズレによる二重ローンや仮住まいに注意する。
  • お金
    査定額ではなく、残債と諸費用を引いた「手残り額」で新居の予算を考える。
  • 税金
    売却益が出たら3,000万円特別控除と軽減税率の活用を検討する。
    ただし売却の特例と新居の住宅ローン控除は併用できないため、有利な方を試算して選ぶ。

住み替えは、売却と購入という大きな手続きを同時に進める、人生でも数少ない大仕事です。

不安な点は、住み替えに強い不動産会社や、税金については税務署・税理士に早めに相談しながら、後悔のない「人生の後半戦の住まい」を選んでいきましょう。

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