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RSウイルスワクチン(アブリスボ)妊婦の定期接種ガイド

RSウイルスワクチン(アブリスボ)妊婦の定期接種ガイド
最終更新:2026年5月14日

「RSウイルスのワクチン、打ったほうがいいですか?」
「副作用が心配で迷っている…」
「定期接種って無料なの?どこで打てるの?」

妊婦健診でRSウイルスワクチンの案内を受けて、このような疑問を持った方も多いのではないでしょうか。

2026年4月から、妊婦を対象としたRSウイルスワクチン(アブリスボ)が予防接種法に基づく定期接種となり、原則無料で接種できるようになりました。

この手続きガイドでは、RSウイルスワクチンの対象者や接種スケジュール、費用、手続きの流れ、副反応まで、妊婦さんが知っておきたい情報をまとめて解説します。

RSウイルスとは?なぜ妊婦がワクチンを打つのか

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RSウイルス感染症の基本

RSウイルス(respiratory syncytial virus)は、乳幼児の肺炎や気管支炎を引き起こす代表的なウイルスです。

生後1歳までに50%以上、2歳までにほぼすべての子どもが少なくとも1度は感染するとされています。

初めて感染した乳幼児の約7割は軽症で数日のうちに治りますが、約3割では咳が悪化し、喘鳴(ゼーゼーと呼吸しにくくなること)や呼吸困難など重い症状が出ることがあります。

厚生労働省によると、2010年代には年間3万〜5万人の2歳未満の乳幼児が入院を要したとされています。

重要

特に生後6か月未満の赤ちゃんが感染すると重症化しやすく、入院や人工呼吸器が必要になることもあります。
しかし、生まれたばかりの赤ちゃんは自分でワクチンを打つことができません。

「母子免疫」の仕組み

RSウイルスワクチンは、妊婦さん自身を守るためのものではなく、生まれてくる赤ちゃんを守るためのワクチンです。

妊娠中にワクチンを接種すると、お母さんの体内でRSウイルスに対する抗体が作られます。

この抗体が胎盤を通じて赤ちゃんに届き、生後すぐからRSウイルス感染症の重症化を防ぐ効果が期待できます。

臨床試験(MATISSE試験)では、重症RSウイルス下気道疾患に対する予防効果は、生後90日以内で約82%、生後180日以内で約69%と報告されています。

特にRSウイルスの重症化リスクが高い生後2〜3か月の時期に、強い予防効果を発揮します。

これが「母子免疫ワクチン」と呼ばれる理由です。

2026年4月からの定期接種化

2026年4月1日から、このRSウイルス母子免疫ワクチンが予防接種法に基づく定期接種に追加されました。

これまでは任意接種で3万円以上の自己負担が必要でしたが、定期接種化により原則無料(公費負担)で接種できるようになっています。

日本の予防接種の歴史上、母子免疫ワクチンが定期接種に組み込まれるのは初めてのことです。

定期接種の対象者と接種スケジュール

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対象者

定期接種の対象は、接種時点で妊娠28週0日から36週6日までの妊婦です。

以下の方も対象になります。

  • 2回目以降の妊娠の方
    過去の妊娠時にRSウイルスワクチンを接種済みでも、あらためて定期接種の対象です。
  • 里帰り出産を予定している方
    住民票のない自治体でも接種できる体制が整備されています(詳しくは後述)。

接種スケジュール

  • 回数
    1回のみ
  • 接種期間
    妊娠28週0日〜36週6日の間
  • 推奨タイミング
    出産予定日の2週間以上前に接種を完了すること
出産予定日に注意

ワクチン接種後14日以内に出生した場合、赤ちゃんへの抗体移行が十分でない可能性があります。
妊娠38週6日までに出産を予定している場合は、早めに医師に相談してください。

毎回の妊娠で接種が必要

RSウイルスワクチンは、妊娠するたびに接種することが推奨されています。

1人目の妊娠時に接種していても、2人目・3人目の妊娠時にもあらためて接種することで、生まれてくる赤ちゃんに十分な抗体を届けることができます。

費用と手続きの流れ

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費用

定期接種のため、原則無料(全額公費負担)です。

以前は3万円以上かかっていた

2026年3月までは任意接種だったため、3万〜3.5万円程度の自己負担が必要でした。
4月以降は対象期間内であれば費用はかかりません。

接種までの流れ

  1. 自治体から予診票(接種券)が届く
  2. 接種可能な医療機関を確認・予約する
  3. 予約日に医療機関を受診し接種を受ける

予診票(接種券)の入手方法

自治体によって届け方が異なります。

  • 郵送で届く場合
    妊娠届出後、自治体から対象時期に合わせて送付される
  • 窓口で受け取る場合
    保健センターや市区町村の窓口で母子手帳を提示して受け取る

届かない場合や届く時期が分からない場合は、お住まいの自治体の保健センターに問い合わせてください。

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接種場所

RSウイルスワクチンは、以下の医療機関で接種できます。

  • 産婦人科
    妊婦健診を受けているかかりつけ医での接種が最も一般的です。
  • 内科・小児科など
    産婦人科以外でも接種可能です。ただし、産婦人科主治医との連携が推奨されています。
産婦人科以外で接種する場合のポイント

産婦人科以外で接種する場合は、事前に産婦人科の主治医に「接種して問題ないか」を確認しておくと安心です。
妊娠高血圧症候群などのリスクがないかを共有してもらいましょう。

医療機関によってはアブリスボの在庫を取り寄せる必要がある場合があります。

接種可能な期間(妊娠28〜36週)は限られているため、接種を希望する場合は早めに医療機関に確認・予約しておきましょう。

当日の持ち物

  • 母子健康手帳
  • 予診票(接種券)
  • 健康保険証
  • 本人確認書類(マイナンバーカードなど)

里帰り出産の場合

里帰り先で接種を受けることも可能です。

住民票のある自治体と里帰り先の自治体で手続きが異なる場合があるため、事前に両方の自治体に確認しておきましょう。

一般的な流れは以下のとおりです。

  1. 住民票のある自治体で「依頼書」を発行してもらう
  2. 里帰り先の医療機関で依頼書と予診票を提示して接種
  3. 費用は後日、住民票のある自治体から償還されるケースが多い

接種当日の流れ

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ステップ1: 受付・問診票の記入

医療機関の受付で予診票を提出し、体調や既往歴を記入します。

ステップ2: 医師による問診

医師が問診票の内容を確認し、接種の可否を判断します。

妊娠高血圧症候群に関する項目が確認されます。

ステップ3: ワクチン接種

上腕に筋肉内注射を1回行います。

接種自体は数秒で終わります。

ステップ4: 経過観察(15〜30分)

接種後、医療機関内で15〜30分ほど体調に変化がないか様子を見ます。

アナフィラキシーなどの急性反応に備えるための時間です。

ステップ5: 母子手帳への記録

接種した記録を母子健康手帳に記載してもらいます。

母子手帳への記録は必ず確認を

接種の記録は、出産後に赤ちゃんが抗体製剤(シナジスやベイフォータスなど)を使用するかどうかの判断に使われます。
「予防接種の記録(5) その他の予防接種」のページに接種シールが貼られていることを確認してください。

副反応と安全性

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主な副反応

RSウイルスワクチン(アブリスボ)の接種後に起こりうる副反応は以下のとおりです。

症状頻度発現率の目安
接種部位の痛み非常に多い約41%
接種部位の腫れ・赤み多い約10%
頭痛多い約31%
筋肉痛多い約27%
疲労感あり数%程度

いずれも数日以内に自然に治まることがほとんどです。

妊娠高血圧症候群について

海外の一部の報告で、ワクチン接種後に妊娠高血圧症候群の発症リスクが増加する可能性が示唆されています。

ただし、薬事承認で用いられた臨床試験ではリスクの増加は認められていません

現時点では因果関係は確立していないものの、以下に該当する方は医師と相談のうえ接種を判断してください。

  • 過去に妊娠高血圧症候群と診断されたことがある方
  • 妊娠高血圧症候群のリスクが高いと医師に判断された方

早産リスクについて

「RSウイルスワクチンで早産になるのでは」という不安の声がありますが、これはGSK社が妊婦向けに開発を進めていた別の候補ワクチンの治験で早産リスクが認められ、開発が中止されたことに由来します。

日本で定期接種に使用されるアブリスボ(ファイザー社製)では、早産リスクの有意な増加は認められていません

接種を受けられない方

以下に該当する方は接種できません。

  • アブリスボの成分によりアナフィラキシーを起こしたことがある方
  • 発熱している方
  • 重篤な急性疾患にかかっている方

接種に注意が必要な方(医師に要相談)

以下に該当する方は、事前に医師と相談のうえ接種を判断してください。

  • 心血管・腎臓・肝臓・血液の疾患など基礎疾患がある方
  • 血小板減少症や凝固障害のある方
  • 免疫機能に異常がある疾患を持っている方やステロイド等の免疫抑制薬を使用している方
  • 過去の予防接種で2日以内に発熱や全身発疹などのアレルギーが出た方

万一の副反応が出た場合

定期接種で健康被害が生じた場合は、予防接種法に基づく予防接種健康被害救済制度の対象となります。

医療費や障害年金などが給付される制度ですので、気になる症状が出た場合は速やかに医師に相談してください。

よくある質問(FAQ)

Q. RSウイルスワクチンは赤ちゃんに直接打つものではないの?

A. 赤ちゃんには打ちません。妊婦さんに打つワクチンです。

生まれたばかりの赤ちゃんは免疫機能が未熟で、自分で十分な抗体を作ることができません。

そのため、妊娠中のお母さんにワクチンを接種し、胎盤を通じて赤ちゃんに抗体を届ける「母子免疫」という仕組みを利用しています。

Q. 接種しなかった場合、赤ちゃんはどうなりますか?

A. すぐに問題が起きるわけではありませんが、重症化リスクに備えがなくなります。

RSウイルスは非常に感染力が強く、ほぼすべての子どもが2歳までに感染します。

ワクチンを接種していない場合、生後早期にRSウイルスに感染した際に重症化するリスクが残ります。

接種するかどうかは、メリット・デメリットを理解したうえで医師と相談して決めてください。

Q. 他のワクチンと同時に接種できますか?

A. 医師が必要と認めた場合、同時接種は可能です。

インフルエンザワクチンや新型コロナワクチンなど、妊婦に接種可能なワクチンとの同時接種は認められています。

ただし、三種混合ワクチン(百日咳ワクチン)との同時接種については、免疫応答が低下する可能性が報告されているため、間隔を空けることが推奨される場合があります。

接種スケジュールについては医師に相談してください。

Q. 定期接種が始まる前に自己負担で接種しました。返金されますか?

A. 自治体によっては「償還払い」で費用が戻る場合があります。

2026年4月より前に自己負担で接種した方に対して、一部の自治体では償還払い(後から費用を返還する制度)を実施しています。

お住まいの自治体の保健センターに問い合わせてみてください。

Q. 使用するワクチンは選べますか?

A. 定期接種で使用できるのはアブリスボ(ファイザー社)のみです。

同じRSウイルスワクチンでも、アレックスビー(GSK社)は高齢者向けであり、母子免疫ワクチンとしては使用できません。

まとめ

RSウイルスワクチン(アブリスボ)の定期接種について、要点をまとめます。

  • 対象者
    妊娠28週0日〜36週6日の妊婦(毎回の妊娠で接種推奨)
  • 費用
    定期接種のため原則無料
  • 接種場所
    産婦人科やかかりつけ医(内科でも接種可能)
  • 持ち物
    母子手帳、予診票(接種券)、保険証
  • 効果
    生まれてくる赤ちゃんのRSウイルス重症化を予防
  • 接種後の記録
    母子手帳への記録を忘れずに

妊婦健診の際に主治医と相談しながら、対象期間内に接種を受けるようにしましょう。

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