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国民年金の追納はいつまで?損益分岐と手続きを解説

国民年金の追納はいつまで?損益分岐と手続きを解説
最終更新:2026年6月20日

「学生時代に猶予していた年金の追納のお知らせが届いたけど、払うべき?」
「数十万円も払って、本当に元が取れるの?」
「NISAや投資に回した方がいいのでは?」

学生納付特例や免除・猶予を受けた人のもとには、ある日「追納のお知らせ」が届きます。

しかし、追納には「10年」という期限があり、放置すると将来の年金額が増やせなくなることはあまり知られていません。

この手続きガイドでは、追納できる期間や増える年金額の目安、損益分岐(何歳で元が取れるか)のシミュレーション、申込書の出し方までを、公的な情報にもとづいてわかりやすく解説します。

1. 国民年金の追納制度とは?まず仕組みを理解する

追納の検討を始める前に、まず「そもそも追納とは何か」「自分は対象になるのか」を押さえておきましょう。

ここを誤解したまま手続きに進むと、年金事務所の窓口で「対象外です」と言われてしまうことがあります。

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追納とは「免除・猶予・学生納付特例」を後から納める制度

追納とは、国民年金保険料の免除・納付猶予・学生納付特例の承認を受けた期間について、後から保険料を納めることで、将来の老齢基礎年金を満額に近づける制度です。

老齢基礎年金は、20歳から60歳までの40年間(480か月)すべての保険料を納めて満額になります。

猶予や免除を受けた期間があると、その分だけ年金額が少なくなりますが、追納すればその穴を埋められます。

ポイント

追納できるのは、あくまで「免除・納付猶予・学生納付特例」という手続きを取って承認された期間です。
手続きをせずに放置した「未納」期間は対象が異なるため、次の項目で詳しく説明します。

「未納」は追納できない(最も多い誤解)

ここが、追納でもっとも多い誤解です。

「未納」とは、免除などの手続きをせずに保険料を払わないまま放置した期間を指します。

未納の保険料は、納期限から2年で時効により納められなくなります。

つまり、2年より前の未納は、追納制度を使っても納めることはできません。

一方、免除・納付猶予・学生納付特例は、きちんと申請して承認を受けた期間なので、10年以内であれば追納できます。

「未納」と「免除・猶予」は別物

追納制度で後から納められるのは、免除・納付猶予・学生納付特例を「申請して承認された」期間だけです。
無申請のまま放置した未納期間は、2年の時効を過ぎると追納できません。
そもそも免除や猶予の申請をしていない期間がある人は、まず免除・猶予の申請を検討してください。

転職や退職の空白期間に納付書を放置して未納になっているケースの対処法は、次の手続きガイドも参考にしてください。

免除と猶予・学生納付特例で「追納しないとどうなる」が違う

追納するかどうかを判断する前に、知っておきたい重要な違いがあります。

免除と、納付猶予・学生納付特例とでは、「追納しなかった場合」の年金額への反映が異なります。

区分受給資格期間への算入追納しない場合の年金額への反映
全額免除算入される国庫負担分(2分の1)が反映される
納付猶予算入される反映されない(0)
学生納付特例算入される反映されない(0)

納付猶予や学生納付特例は、年金を受け取る資格(受給資格期間)には数えられますが、追納しないかぎり年金額そのものには1円も反映されません。

一方、全額免除の期間は、追納しなくても国庫が負担する2分の1が年金額に反映されます。

重要

「学生納付特例は免除と同じ」と思っている人が多いですが、学生納付特例は「猶予」です。
放置したままでは年金額に反映されないため、満額に近づけたいなら追納が必要になります。

2. 追納はいつまでできる?10年の期限と加算額

追納で最も大切なのが「期限」と「タイミング」です。

追納は早く手続きするほど金額が安くなる仕組みになっているため、お知らせが届いたら先延ばしにしないことが肝心です。

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追納できるのは「承認された月の前10年以内」

追納ができるのは、追納が承認された月の前10年以内の免除等期間に限られます。

たとえば学生時代に学生納付特例を受けた人なら、社会人になってからおおむね10年が一つの目安になります。

10年を過ぎた期間は、追納制度では納められなくなります(期限を過ぎた場合の代替策は「6. 10年の追納期限を過ぎたら?任意加入で挽回する」で解説します)。

期限直前の申し込みは間に合わないことがある

追納申込書を追納期限の直前に提出すると、納付書が届く前に期限が来てしまい、追納できなくなる場合があります。
期限が近い期間がある人は、できるだけ早めに申し込んでください。

3年度目以降は「加算額」が上乗せされる

追納する保険料は、当時の保険料額そのままではなく、時間が経つほど高くなります。

免除・納付猶予の承認を受けた期間の翌年度から起算して、3年度目以降に追納する場合は、当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされます。

裏を返せば、承認の翌年度から2年度以内に追納すれば加算額はかかりません。

以下は、全額免除・納付猶予・学生納付特例の期間を追納する場合の1か月あたりの金額の例です(加算額が反映される年度もあります)。

対象年度(全額免除・納付猶予・学生納付特例)1か月あたりの追納額
令和7年度の月分17,510円(加算額なし)
令和6年度の月分16,980円(加算額なし)
令和5年度の月分16,770円
令和4年度の月分16,990円
令和3年度の月分17,110円
令和2年度の月分17,070円

4分の3免除・半額免除・4分の1免除の期間を追納する場合は、免除割合に応じて上表とは異なる金額になります。

ポイント

加算額は、長期の住宅ローンの利息のように、放っておくほど少しずつ膨らみます。
「いずれ払うつもり」なら、加算額がつく前の早い段階で納めるほどお得です。

お知らせハガキが届いたら期限を確認

日本年金機構からは、追納できる期間がある人に対して、追納の案内が郵送で届くことがあります。

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「払う気がしない」と引き出しにしまってしまう人も多いですが、まず確認したいのは「いつまでに追納できるか」という期限です。

期限が近い古い期間から先に消えていくため、放置するほど追納できる範囲が狭まっていきます。

3. 追納するといくら増える?メリットと損益分岐

ここが、多くの人がいちばん知りたいポイントです。

「数十万円を払って、年金はいくら増えるのか」「元は取れるのか」を、具体的な数字で見ていきましょう。

追納には、大きく分けて「年金が増える」「税金が軽くなる」という2つのメリットがあります。

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1年分の追納で増える年金額の目安

日本年金機構によると、1年間分を追納した場合に増える老齢基礎年金の目安は次のとおりです。

  • 全額免除の期間を追納した場合
    老後の年金が年間で約1万円増えます。
  • 納付猶予・学生納付特例の期間を追納した場合
    老後の年金が年間で約2万円増えます。

全額免除のほうが増額が小さいのは、追納しなくても国庫負担分(2分の1)がすでに年金額に反映されているためです。

増えた年金は、原則として亡くなるまで一生涯受け取れます。

なお、老齢基礎年金の満額は年度ごとに改定され、令和8年度(2026年度)は月額70,408円(年額およそ84万5千円)です(昭和31年4月2日以後生まれの人は月額70,608円)。

追納した保険料は全額が社会保険料控除

追納のもう一つの大きなメリットが、税金の軽減です。

追納した保険料は、その年の所得から差し引ける「社会保険料控除」の対象になります。

しかも、生命保険料控除のような上限はなく、納めた全額が控除されます。

これにより、追納した年の所得税と翌年度の住民税が軽くなります。

控除証明書を年末調整・確定申告で使う

追納した保険料は「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」で確認できます。
会社員は年末調整、自営業の人などは確定申告でこの証明書を使って申告すると、所得税・住民税が軽減されます。

年末調整での社会保険料控除の書き方は、次の手続きガイドも参考になります。

損益分岐シミュレーター(何歳で元が取れる?)

「追納額に対して、何年受け取れば元が取れるのか」を、以下のシミュレーターで試算できます。

追納する月数・区分・1か月あたりの保険料・受給を始める年齢を入力してください。

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たとえば学生納付特例の24か月分を1か月17,510円で追納すると、追納額は約42万円、増える年金は年約4万円です。

65歳から受け取り始めると、受給開始から約11年、おおむね76歳ごろに元が取れる計算になり、長生きするほど得になります。

追納とNISA・iDeCo、どちらを優先すべきか

「追納するくらいなら、その分をNISAやiDeCoで運用したい」という声は少なくありません。

どちらが正解かは、その人の価値観や家計の状況によって変わります。

比較項目追納(国民年金)NISA・iDeCoでの運用
リターン増額分を一生涯受け取れる(長生きに強い)運用成績しだい(上振れも下振れもある)
元本受給期間が短いと「払い損」もありうる元本保証はない
税制追納額の全額が所得控除NISAは運用益が非課税、iDeCoは掛金が所得控除
受け取り原則65歳から終身NISAはいつでも、iDeCoは原則60歳以降

公的年金は「長生きしても尽きない終身の収入」という性格があり、長寿リスクへの備えとして優れています。

一方で、手元資金の流動性や期待リターンを重視するなら運用という選択もあります。

両者は二者択一ではなく、家計に余裕があれば併用するのも現実的です。

iDeCoの仕組みやメリット・デメリットは、次の手続きガイドで詳しく解説しています。

4. 追納の手続きの流れと必要なもの

追納すると決めたら、実際の手続きに進みます。

追納は、申込書を出してから納付書が届く流れになるため、思い立ってすぐコンビニで払えるわけではない点に注意しましょう。

ステップで見る追納の流れ

追納の手続きは、大きく次の流れで進みます。

  1. 自分の免除・猶予期間を確認する
    ねんきんネットや「ねんきん定期便」で、追納できる期間と金額を確認します。
  2. 追納申込書を準備する
    「国民年金保険料追納申込書」を入手し、必要事項を記入します。
  3. 年金事務所に申し込む
    申込書を年金事務所へ窓口または郵送で提出します(街角の年金相談センターでは手続きできません)。
  4. 納付書が届く
    申し込みが承認されると、日本年金機構から納付書が送られてきます。
  5. 保険料を納付する
    届いた納付書で保険料を納めます。
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申込時の本人確認書類

マイナンバーで申し込む場合、窓口ではマイナンバーカードを提示します。
お持ちでない場合は、マイナンバーが確認できる書類(通知カードなど)と、運転免許証などの身元確認書類が必要です。
郵送のときは、これらのコピーを添付します。

追納申込書の入手方法

「国民年金保険料追納申込書」は、次の方法で入手・作成できます。

  • 日本年金機構のサイトからダウンロードする
    日本年金機構「国民年金保険料の追納制度」のページから申込書を入手できます。
  • 「ねんきんネット」の画面上で作成する
    基礎年金番号などが自動表示されるため入力の手間が省け、入力エラーも防げます。
    ただし電子申請ではないため、印刷して年金事務所へ提出する必要があります。

納付方法(口座振替・クレカは不可)

納付書が届いたら、次の方法で納められます。

  • 金融機関、郵便局の窓口
  • コンビニエンスストア
  • 電子納付(Pay-easy)
  • スマートフォンアプリ
注意

追納は、口座振替やクレジットカードでは納付できません。
毎月の保険料のようにクレカ払いにはできない点に注意してください。

なお、まとめて一括で払えない場合でも、「1か月分ごと」など分割して納めることもできます。

数十万円の請求に驚いても、無理のないペースで納められるしくみになっています。

ねんきんネットで免除・猶予期間を確認する

追納できる期間や金額は、「ねんきんネット」にログインすると確認できます。

ねんきんネットのIDがない場合は、マイナポータルと連携して利用することもできます。

手続きや相談は、お住まいの地域を管轄する年金事務所で行います。

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5. 学生納付特例を追納するときのポイント

追納を検討する人の多くが、学生時代に「学生納付特例」を利用していたケースです。

学生納付特例ならではの注意点を押さえておきましょう。

学生納付特例は「猶予」。放置で年金額に反映されない

繰り返しになりますが、学生納付特例は「免除」ではなく「猶予」です。

受給資格期間には算入されるものの、追納しないかぎり、その期間は将来の年金額に反映されません。

「未納ではないから大丈夫」と安心して放置すると、満額より少ない年金になってしまいます。

学生納付特例そのものの申請方法やデメリットは、次の手続きガイドで詳しく解説しています。

親が代わりに追納すると控除はどうなる

社会人になりたてで追納する余裕がない場合、親が代わりに納めるケースもあります。

生計を同じくする親などが子の保険料を追納した場合、その保険料は支払った親の社会保険料控除にできます。

つまり、本人ではなく、実際に保険料を負担した親の所得税・住民税が軽くなります。

どちらで控除するかは「誰が払ったか」で決まる

社会保険料控除は、実際に保険料を負担した人が受けられます。
親が払えば親の控除、本人が払えば本人の控除です。所得が高い人が払うほど節税効果は大きくなります。

子どもの国民年金を親が払う場合の控除の考え方や手続きは、次の手続きガイドが参考になります。

6. 10年の追納期限を過ぎたら?任意加入で挽回する

「気づいたら10年を過ぎていた」という人もあきらめる必要はありません。

追納はできなくても、年金額を増やす別の方法があります。

任意加入制度の対象と仕組み

任意加入制度とは、60歳までに保険料の納付済期間が満額(480か月)に達していない人が、60歳以降も国民年金に加入して保険料を納め、年金額を増やせる制度です。

主な対象は次のとおりです。

  • 日本国内に住所がある60歳以上65歳未満の人
  • 老齢基礎年金の繰上げ受給をしていない人
  • 20歳から60歳までの納付済期間が480か月(満額)に達していない人

追納の期限を過ぎてしまっても、60歳から65歳になるまでの間に任意加入で保険料を納めれば、満額に近づけることができます。

任意加入の申し込みは、住所地の市区町村の窓口(国民年金担当)、または年金事務所で手続きできます。

詳しい要件は日本年金機構「任意加入制度」で確認できます。

ポイント

10年の追納期限を過ぎても、「任意加入」という挽回策があります。
ただし任意加入は口座振替が原則など追納とは条件が異なるため、早めに市区町村窓口や年金事務所へ相談しておくと安心です。

よくある質問(FAQ)

Q. 未納期間の保険料も追納できますか?

A. 免除・猶予の手続きをしていない「未納」は、原則追納できません。

未納の保険料は納期限から2年で時効になり、それを過ぎると納められなくなります。

追納制度で後から納められるのは、免除・納付猶予・学生納付特例として承認された期間だけです。

Q. 年金事務所で「追納しない方がいい」と言われたのはなぜですか?

A. 生活再建や家計の状況を優先すべきと判断された可能性があります。

追納は義務ではなく任意です。

目先の生活費や他の支払いを優先した方がよい場合や、長生きしないと元が取れない可能性などをふまえて、窓口でそうした助言がされることがあります。

最終的に追納するかどうかは、損益分岐や家計を考えて自分で判断して問題ありません。

Q. まとめて払えない場合、分割できますか?

A. 分割して納めることができます。

追納申込書では「全部一括」のほか「1か月分ごと」などの区分を選べます。

数十万円をまとめて払えなくても、無理のない範囲で少しずつ納めることが可能です。

Q. 古い期間と新しい期間、どちらから追納しますか?

A. 原則として、古い期間の保険料から納めます。

ただし、免除の期間と納付猶予・学生納付特例の期間がどちらもある場合は、納付する順序について年金事務所に相談してください。

Q. クレジットカードや口座振替で追納できますか?

A. 追納は、口座振替・クレジットカードでは納付できません。

納付書を使い、金融機関・郵便局・コンビニ・電子納付(Pay-easy)・スマートフォンアプリのいずれかで納めます。

Q. 年金を受け取り始めた後でも追納できますか?

A. 老齢基礎年金を受け取ることができる人は、追納できません。

追納を考えている場合は、年金の受給を始める前に手続きを済ませる必要があります。

Q. 学生納付特例を追納しない人も多いと聞きますが、問題ありませんか?

A. 追納は任意のため、追納しないこと自体に手続き上の問題はありません。

ただし、納付猶予・学生納付特例は追納しないかぎり年金額に反映されません。

満額に近づけたい場合や、所得控除による節税メリットを受けたい場合は、期限内の追納を検討する価値があります。

まとめ

国民年金の追納は、免除・納付猶予・学生納付特例を受けた期間を後から納めて、将来の年金を増やせる制度です。

最後に要点を整理します。

  • 対象は「免除・猶予・学生納付特例」の期間
    申請せず放置した未納(2年で時効)は追納できません。
  • 追納できるのは承認された月の前10年以内
    3年度目以降は加算額が上乗せされるため、早く納めるほどお得です。
  • 増える年金額の目安は1年分で約1万〜2万円
    追納額は全額が社会保険料控除になり、所得税・住民税も軽くなります。
  • 手続きは申込書の提出から
    年金事務所に申し込み、届いた納付書で納付します(口座振替・クレカは不可、分割は可能)。
  • 10年を過ぎたら任意加入で挽回
    60歳以上65歳未満などの条件を満たせば、任意加入で満額に近づけられます。

追納のお知らせが届いたら、まずはねんきんネットや年金事務所で「いつまでに、いくら追納できるか」を確認することから始めましょう。

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