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海外転出届の手続きガイド — 届出時期・必要書類・帰国後の転入届

海外転出届の手続きガイド — 届出時期・必要書類・帰国後の転入届
最終更新:2026年5月22日

「海外赴任が決まったけど、役所の届出はどうすればいい?」
「留学で1年以上海外に行くなら、転出届を出すべき?」
「帰国後の転入届には何が必要?」

海外への引越しでは、国内の転出届とは異なる「海外転出届(国外転出届)」の手続きが必要になるケースがあります。

この手続きガイドでは、海外転出届を出すべきかどうかの判断基準から、届出の方法、帰国後の転入届まで、海外渡航にともなう住民票の手続きをわかりやすく解説します。

1. 海外転出届(国外転出届)とは

海外転出届とは、日本から海外へ引越す際に、現在住んでいる市区町村の役所に提出する届出です。

正式には「国外転出届」と呼ばれ、届出を提出すると住民票が除票(住民登録から外れる)となります。

通常の転出届との違い

国内で別の市区町村に引越す場合は、旧住所の役所に転出届を出し、新住所の役所に転入届を出します。

一方、海外への転出では「転出証明書」は発行されず、帰国時に必要な書類も異なります。

また、海外転出届を出すと住民税・国民健康保険・国民年金などの取り扱いが変わるため、届出を出すかどうかは慎重な判断が必要です。

届出が必要な人

海外転出届が必要なのは、おおむね1年以上海外に滞在する予定がある人です。

以下のようなケースが該当します。

  • 海外赴任(駐在員とその家族)
  • 長期留学(1年以上)
  • ワーキングホリデー(1年以上滞在予定)
  • 国際結婚による海外移住
  • 海外での長期就労
届出が不要なケース

1年未満の海外旅行、短期出張、短期留学など、日本に生活の本拠を置いたまま一時的に海外に滞在する場合は、原則として届出は不要です。

2. 海外転出届を出すメリット・デメリット

海外転出届を出すかどうかで、社会保険料や税金の負担が大きく変わります。

判断の参考になるよう、メリットとデメリットを整理します。

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メリット

  • 住民税が非課税になる
    1月1日時点で日本に住民登録がなければ、その年度の住民税は課税されません。
  • 国民健康保険料の支払いが不要になる
    住民登録がなくなると国民健康保険の資格を喪失し、保険料の負担がなくなります。
  • 国民年金が任意加入になる
    強制加入から任意加入に切り替わり、保険料を払わない選択も可能になります。
  • 在外選挙に参加できる
    海外転出届を提出していないと、在外選挙人名簿に登録できません。

デメリット

  • 日本の健康保険が使えなくなる
    一時帰国時に病院にかかると全額自己負担になります。
  • 国民年金を払わない期間は将来の受給額が減る
    任意加入で保険料を払い続けることもできますが、払わなければ老齢基礎年金の受給額が減少します。
  • 銀行口座・証券口座が制限される場合がある
    金融機関によっては非居住者の口座利用を制限しています。NISA口座は原則として利用できなくなります。
  • マイナンバーカードが利用制限される(※国外継続利用しない場合)
    国外継続利用の手続きをしないと、カードは返納(廃止)となります。

メリット・デメリット比較表

項目届出を出す届出を出さない
住民税非課税(※1月1日基準)課税される
国民健康保険脱退(保険料なし)継続(保険料あり)
国民年金任意加入(払わなくてもよい)強制加入(支払い義務あり)
一時帰国時の医療全額自己負担保険適用
将来の年金受給額払わなければ減少影響なし
銀行口座制限される場合あり通常どおり
NISA口座原則利用不可継続利用可能
在外選挙登録可能登録不可
判断のポイント

1年以上の渡航が確実な場合は届出を出すのが原則です。
1年未満の場合や、一時帰国時に日本の医療を使いたい場合は、出さない選択肢もあります。
ただし届出を出さずに長期間海外に滞在し続けると、住民税や保険料を本来支払う必要がない期間も負担し続けることになります。

3. 海外転出届の届出方法

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いつ出す?届出期間

海外転出届の届出期間は、出国予定日のおおむね14日前から出国日の当日までです。

出国後の届出は自治体によって対応が分かれます(郵送で受付する自治体もあれば、受理しない自治体もあります)。

確実に手続きを済ませるため、出国前に届出を完了させておくことを強くおすすめします。

どこに出す?届出先

現在住民登録をしている市区町村の役所窓口で届出をします。

区役所や市役所の市民課(住民記録係)のほか、出張所でも受付可能な自治体があります。

また、郵送での届出に対応している自治体もありますので、窓口に行けない場合は事前に確認しましょう。

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誰が届出できる?

  • 本人(15歳未満の場合は親権者)
  • 世帯主または同一世帯の方
  • 上記以外の場合は委任状が必要

海外赴任で本人が先に出国し、後から家族が届出に行くケースでは、同一世帯の家族であれば委任状なしで届出が可能です。

オンライン申請は可能?

マイナポータルを使った転出届のオンライン提出は2023年2月から全市区町村で対応していますが、国外転出については自治体によって対応状況が異なります

事前にお住まいの自治体のWebサイトで確認するか、窓口に問い合わせてください。

必要書類

必要なもの補足
本人確認書類運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど
マイナンバーカード交付を受けている異動者全員分(国外継続利用の手続きに必要)
住民異動届窓口で記入、または自治体のWebサイトからダウンロード
国民健康保険証国保加入者のみ(資格喪失届の提出に使用)
印鑑自治体によって必要な場合あり
届出後はコンビニ交付が使えなくなります

海外転出届を提出すると、マイナンバーカードを使った住民票や印鑑証明のコンビニ交付サービスが利用できなくなります。
必要な証明書がある場合は、届出前に取得しておきましょう。

4. 海外転出届と一緒に済ませたい手続き

海外転出届の提出にあわせて、以下の手続きも同時に行うとスムーズです。

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国民健康保険の資格喪失届

国民健康保険の加入者は、転出届と同時に資格喪失届を提出します。

保険証は返却が必要です。

会社の社会保険に加入している場合は、会社側で手続きを行うため個人での届出は不要です。

国民年金の手続き

海外転出届を出すと、国民年金は強制加入から任意加入に切り替わります。

任意加入を希望する場合は、市区町村の国民年金窓口で手続きをしてください。

任意加入しない場合は特に届出は不要ですが、海外滞在期間は年金の「合算対象期間(カラ期間)」として受給資格期間にはカウントされます(ただし年金額には反映されません)。

マイナンバーカードの国外継続利用

2024年5月27日の法改正により、海外転出後もマイナンバーカードを継続して利用できるようになりました。

転出届を提出する際に「国外継続利用」の手続きをあわせて行います。

継続利用を申請すると、海外でもマイナポータルやe-Taxの利用が可能です。

在外選挙人名簿への登録

海外で国政選挙(衆議院・参議院)に投票するには、在外選挙人名簿への登録が必要です。

転出届を提出する際に、あわせて選挙管理委員会に申請できます(出国時申請)。

出国後に在外公館(大使館・領事館)で申請することも可能です。

納税管理人の届出

海外転出後に確定申告が必要な場合(不動産所得がある場合など)は、税務署に「納税管理人の届出書」を提出します。

納税管理人は、本人に代わって確定申告書の提出や税金の納付を行います。

5. 海外から帰国したときの転入届

海外転出届を出して住民票を抜いた状態から日本に帰国し、再び日本に住む場合は「転入届」の提出が必要です。

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いつ出す?届出期間

新しい住所に住み始めてから14日以内に届出をしてください。

帰国前(日本に住み始める前)に届出をすることはできません。

どこに出す?届出先

帰国後に住む予定の市区町村の役所窓口で届出をします。

国外からの転入届はオンラインでの提出ができません

必ず窓口に来庁して手続きを行う必要があります。

必要書類

必要なもの補足
パスポート帰国日のスタンプがあるもの(異動者全員分)
本人確認書類運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど
住民異動届窓口で記入 or ダウンロード
戸籍謄本・戸籍の附票本籍地が転入先と異なる場合に必要(全員分)
マイナンバーカード国外継続利用中の場合(国内利用への切替)
自動化ゲート利用時の注意

空港の自動化ゲートを利用すると、パスポートに帰国日のスタンプが押されません。
転入届の手続きには帰国日の証明が必要なため、自動化ゲート通過後に入国審査官にスタンプを押してもらうか、航空券の半券(搭乗券)を保管しておきましょう。

届出ができる人

  • 本人(15歳未満の場合は親権者)
  • 世帯主または同一世帯の方
  • 上記以外の場合は委任状が必要

6. 帰国後にあわせて行う手続き

転入届の提出にあわせて、以下の手続きも同時に行いましょう。

国民健康保険の加入

転入届を提出すると、国民健康保険への加入手続きが必要になります(会社の社会保険に加入する場合を除く)。

転入届と同時に市区町村の窓口で手続きできます。

国民年金の再加入

海外転出中に任意加入していなかった場合は、帰国後に国民年金の加入手続きを行います。

会社の厚生年金に加入する場合は、会社が手続きを行うため個人での届出は不要です。

マイナンバーカードの国内利用切替

国外継続利用中のマイナンバーカードを持っている場合は、転入届の提出時または転入から90日以内に「国内利用への切替」手続きを行ってください。

90日を過ぎるとカードが失効するため、早めの手続きが必要です。

海外でカードを紛失した場合や、国外継続利用をせず失効している場合は、転入後にマイナンバーカードの再交付申請を行います。

なお、マイナンバー(個人番号)自体は国外転出や転入で変わることはありません。

児童手当の申請

15歳以下(中学校卒業まで)の子どもがいる場合は、転入届とあわせて児童手当の認定請求を行いましょう。

転入日の翌日から15日以内に申請すれば、転入月の翌月分から支給されます。

7. よくある質問(FAQ)

Q. 1年未満の海外滞在でも届出は必要ですか?

A. 原則として不要です。

おおむね1年以上海外に滞在する予定がある場合に届出が必要とされています。

ただし、「1年未満」は明確な法的基準ではなく、自治体の運用によって判断が分かれることがあります。

3ヶ月程度の短期留学では通常不要ですが、11ヶ月の留学など判断が難しいケースでは、事前に市区町村の窓口に相談することをおすすめします。

Q. 海外転出届を出し忘れたらどうなりますか?

A. 住民税・国保・年金の支払い義務が続きます。

届出を出さないまま海外に滞在し続けると、住民税が課税され、国民健康保険料と国民年金保険料の支払い義務も残ります。

出し忘れに気づいた場合は、帰国時に転出届と転入届をまとめて手続きできる場合があります。

市区町村によって対応が異なるため、窓口に相談してください。

Q. 帰国時にパスポートにスタンプがない場合は?

A. 航空券の半券や搭乗記録で帰国日を証明できます。

自動化ゲートを利用するとパスポートにスタンプが押されません。

帰国日を証明するために、以下のいずれかを持参してください。

  • 航空券の半券(搭乗券)
  • eチケットの控え(搭乗日が記載されたもの)
  • 航空会社の搭乗証明書

なお、自動化ゲートを通過した後でも、入国審査場にいる審査官にパスポートを提示すれば、スタンプを押してもらえます。

Q. 一時帰国のたびに転入届を出す必要がありますか?

A. 原則として不要です。

一時帰国は日本に「生活の本拠」を置くわけではないため、転入届を出す必要はありません。

生活の本拠が海外にある限り、一時帰国時に転入届を出すことはかえって不適切とされています。

Q. 転入届を14日以内に出さないとペナルティはありますか?

A. 正当な理由なく届出が遅れた場合、5万円以下の過料が科される可能性があります。

住民基本台帳法では、転入届は新住所に住み始めてから14日以内に届出することが義務付けられています。

ただし実務上は、数日程度の遅れで過料が科されるケースはまれです。

届出が大幅に遅れた場合は、「簡易裁判所からの通知が届く可能性がある」旨を説明される場合があります。

Q. 海外転出届を出した後に渡航しなくなったら?

A. 転出届の取消(撤回)が可能です。

海外に行かなくなった場合は、転出予定日の前であれば役所の窓口で転出届の取消を申請できます。

転出予定日を過ぎてしまった場合でも、実際に出国していなければ「転入届」を提出することで住民登録を復活できます。

まとめ

海外への引越しにともなう届出のポイントを振り返ります。

  • 海外転出届は、1年以上海外に滞在する予定がある人が対象
  • 届出期間は出国予定日の14日前〜出国日当日
  • 届出により住民税・国保・年金の負担がなくなる一方、健康保険が使えなくなるなどのデメリットもある
  • マイナンバーカードの国外継続利用を忘れずに手続き(2024年5月〜対応)
  • 帰国時は住み始めてから14日以内に転入届を提出
  • 帰国時はパスポートの帰国日スタンプを必ず確認(自動化ゲート利用時は注意)

国内の転出届・転入届との違いや、マイナポータルでのオンライン手続きについて詳しくは、以下の手続きガイドもあわせてご確認ください。

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