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ひとり親控除と寡婦控除の違い 年末調整・確定申告の申請方法

ひとり親控除と寡婦控除の違い 年末調整・確定申告の申請方法
最終更新:2026年6月10日

「自分は寡婦控除とひとり親控除のどっちが使えるの?」
「申告すると、いくら税金が安くなるんだろう?」
「年末調整で書き忘れたけど、もう手遅れ?」

——離婚や死別でひとり親になった方の多くが、こうした疑問でつまずきます。

寡婦控除とひとり親控除は、シングル家庭の税負担を軽くする所得控除です。

ところが、どちらも自分から申告しないと受けられないため、「該当するのに使っていない」人が少なくありません。

この手続きガイドでは、2つの控除の違いと、自分がどちらに当てはまるかの判定方法、年末調整・確定申告での申請手順、そして申告し忘れたときに過去5年分までさかのぼって取り戻す方法まで、まとめて解説します。

寡婦控除とひとり親控除とは?まずは早わかり比較

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寡婦控除(かふこうじょ)とひとり親控除は、どちらも一定の要件を満たすシングル家庭の人が受けられる所得控除です。

所得控除とは、税金を計算するときに所得から一定額を差し引けるしくみで、差し引いた後の金額(課税所得)に税率をかけて税額が決まります。

控除を使えば課税所得が小さくなり、所得税と住民税が安くなります。

両者の違いを一覧にすると、次のとおりです。

項目ひとり親控除寡婦控除
控除額(所得税)35万円27万円
控除額(住民税)30万円26万円
婚姻歴不問(未婚でも可)必要(離婚・死別)
性別不問(父・母どちらも)女性のみ
子の扶養生計を一にする子が必須離婚は扶養親族が必須/死別は不要
本人の合計所得金額500万円以下500万円以下
事実婚の相手いると対象外いると対象外

ざっくり言えば、ひとり親控除のほうが控除額が大きく、対象も広い制度です。

婚姻歴がなくても、男性でも、子を育てていれば対象になります。

一方の寡婦控除は、離婚・死別を経験した女性のための控除です。

ポイント

「控除額35万円」とは、税金が35万円安くなるという意味ではありません。
所得から35万円を差し引けるという意味で、実際に減る税額は「控除額 × 税率」です。
具体的にいくら安くなるかは、後述の減税額シミュレーターで計算できます。

重要

寡婦控除もひとり親控除も、自分から申告しないと適用されません
会社や税務署が自動で計算してくれるわけではないため、年末調整や確定申告で必ず自己申告してください。

どっちが使える?3ステップで判定

自分がどちらの控除に当てはまるかは、次の3つのステップで判定できます。

なお、判定はすべてその年の12月31日時点の状況で行います。

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ステップ1: 生計を一にする子がいるか

まず、生活費をともにしている子ども(生計を一にする子)がいるかを確認します。

  • 子がいる場合
    ひとり親控除の候補になります(婚姻歴・性別は問いません)。
  • 子はいないが、親や祖父母など子以外の扶養親族がいる、または死別している場合
    寡婦控除の候補になります。

ここでいう「子」は、その年の総所得金額等が58万円以下(給与収入だけなら年123万円以下)で、ほかの人の扶養親族などになっていない人に限られます。

ステップ2: 婚姻歴と性別を確認する

次に、婚姻歴と性別で枝分かれします。

  • 未婚のまま子を育てている場合
    ひとり親控除のみが対象です(寡婦控除は使えません)。
  • 離婚・死別した女性の場合
    子を扶養していればひとり親控除、子がいなければ(または子以外の扶養親族のみなら)寡婦控除が候補です。
  • 離婚・死別した男性の場合
    子を扶養していればひとり親控除が対象です。
    子がいない場合、男性には寡婦控除に相当する控除はありません。

ステップ3: 事実婚と所得をチェックする

最後に、次の2つをどちらの控除でも共通で確認します。

  • 事実婚の相手がいないこと
    住民票の続柄に「夫(未届)」「妻(未届)」と記載される事実婚状態の相手がいる場合は、両方の控除とも対象外です。
  • 本人の合計所得金額が500万円以下であること
    給与収入だけなら、おおよそ年収677万円以下が目安です。

この3ステップを満たした上で、ひとり親控除の要件を満たす人はひとり親控除が優先されます。

寡婦控除は「ひとり親控除に該当しない人」のための控除であり、2つを同時に併用することはできません。

事実婚は見落としやすい落とし穴

離婚や死別をしていても、新しいパートナーと事実婚状態にある場合は、ひとり親控除も寡婦控除も受けられません。
事実婚かどうかは住民票の続柄欄などで判断されます。判定に迷う場合は、次の手続きガイドもあわせて確認してください。

ひとり親控除の要件をくわしく

ひとり親控除は、令和2年分の所得税から設けられた控除で、婚姻歴や性別を問わず、1人で子を育てている人が対象です。

控除額は所得税で35万円、住民税で30万円です。

その年の12月31日時点で、婚姻をしていない(または配偶者の生死が明らかでない)人のうち、次の3つの要件をすべて満たす必要があります。

要件1: 事実上の婚姻関係にある人がいない

事実婚の相手がいないことが条件です。

離婚・死別・未婚のいずれであっても、住民票上で事実婚と認められるパートナーがいる場合は対象外になります。

要件2: 生計を一にする子がいる

生活費をともにしている子がいることが必要です。

同居していなくても、進学のために一人暮らしする子へ仕送りをしているなど、生活費を共有していれば「生計を一にする」と認められます。

その子には、次の2つの条件があります。

  • 総所得金額等が58万円以下
    給与収入だけなら年123万円以下です(令和6年分以前は48万円以下・給与103万円以下)。
  • ほかの人の同一生計配偶者や扶養親族になっていない
    たとえば、子が離婚した元配偶者の扶養に入っている場合は対象外です。

要件3: 本人の合計所得金額が500万円以下

申告する本人の合計所得金額が500万円以下であることが必要です。

給与収入だけなら、おおよそ年収677万円以下が目安になります。

ポイント

遺族年金は非課税のため、合計所得金額には含めません。
死別して遺族年金を受け取っている方でも、ほかの所得が500万円以下であれば要件を満たせます。

寡婦控除の要件をくわしく

寡婦控除は、離婚・死別を経験した女性のための控除です。

控除額は所得税で27万円、住民税で26万円です。

その年の12月31日時点で「ひとり親」に該当せず、事実上の婚姻関係にある人がいない、次のいずれかに当てはまる女性が対象です。

  • 離婚した後、婚姻をしていない人
    扶養親族がいて、合計所得金額が500万円以下であることが条件です。
  • 死別した後、婚姻をしていない人(または夫の生死が明らかでない人)
    合計所得金額が500万円以下であれば対象です。
    この場合、扶養親族がいるかどうかは問われません。

ここでいう「夫」は民法上の婚姻関係にあった人を指すため、寡婦控除は女性のみが対象です。

離婚と死別で条件が違う

同じ寡婦控除でも、離婚の場合は「扶養親族がいること」が必要ですが、死別の場合は扶養親族がいなくても合計所得金額500万円以下なら対象になります。
子が成人して扶養を外れた離婚女性は、扶養親族の有無を確認してください。

なお、令和元年分以前にあった「特別の寡婦(控除額35万円)」や、男性向けの「寡夫控除」は、令和2年分から廃止・整理されています。

現在は、子を育てる男性はひとり親控除で対応します。

いくら税金が安くなる?減税額シミュレーター

控除額は「所得から差し引ける金額」であって、税額がそのまま安くなるわけではありません。

実際の減税額は、おおよそ次の式で計算できます。

  • 所得税の軽減額
    所得税の控除額 × 自分の所得税率
  • 住民税の軽減額
    住民税の控除額 × 10%(住民税の税率は原則一律10%)

所得税率は課税所得に応じて5%〜45%に分かれます。

たとえば課税所得が195万円以下なら5%、195万円超330万円以下なら10%です。

以下のシミュレーターで、控除の種類を選び、年収(額面)を入力すると、年間でおよそいくら税金が軽くなるかの目安がわかります。

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たとえば年収600万円ほどでひとり親控除を受ける人なら、所得税率はおよそ10%となり、所得税が3万5,000円、住民税が3万円、合わせて年間およそ6万5,000円の軽減になります。

毎年使える控除なので、申告漏れがないようにしましょう。

年末調整での申請手続き

会社員やパートで給与をもらっている人は、勤務先の年末調整で控除の申請ができます。

申告に使うのは「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」です。

この用紙の「C 障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生」の欄に、自分が該当する区分にチェックを入れます。

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  • ひとり親に該当する場合
    「ひとり親」にチェックを入れます。
  • 寡婦に該当する場合
    「寡婦」にチェックを入れます。
「ひとり親」欄は親がチェックする欄

同じ「ひとり親」の欄でも、これは子を育てている親の立場の人がチェックする欄です。
学生アルバイトの本人が記入する場合の「勤労学生」とは別の欄なので、混同しないようにしてください。

添付書類は原則として不要ですが、勤務先によっては扶養の状況がわかる資料の提示を求められることがあります。

記入方法に迷ったら、勤務先の担当者に確認しましょう。

年末調整の書き方全体については、次の手続きガイドもあわせて確認してください。

確定申告での申請手続き

自営業・フリーランスの人や、年金収入で確定申告をする人は、確定申告で控除を申請します。

会社員でも、年末調整で申告し忘れた場合は確定申告で申請できます。

確定申告書では、第一表の所得控除欄にある「寡婦、ひとり親控除」の金額欄に控除額を記入し、第二表の該当欄に区分を記載します。

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国税庁の確定申告書等作成コーナーやe-Taxを使う場合は、所得控除の入力画面で「寡婦控除」「ひとり親控除」の項目を選ぶと自動的に反映されます。

  • 自営業・フリーランスの人
    毎年の確定申告で、忘れずに区分を選択します。
  • 年金受給者の人
    公的年金等の収入がある人も、確定申告で寡婦控除・ひとり親控除を申告できます。
  • 年末調整で申告し忘れた会社員
    翌年に確定申告(還付申告)をすれば、控除を受けて税金を取り戻せます。
ポイント

確定申告では、寡婦控除・ひとり親控除のチェックを入れ忘れる人がよくいます。
e-Taxの入力画面でも、該当する区分を選んだか最後にもう一度確認しましょう。

申告し忘れた・過去の分を取り戻すには

「該当していたのに、何年も申告していなかった」というケースは珍しくありません。

その場合でも、後から控除を受けて税金を取り戻せます。

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年末調整・確定申告をしていない場合は還付申告

年末調整で申告し忘れ、確定申告もしていない人は、還付申告で控除を受けられます。

還付申告は、対象となる年の翌年1月1日から5年間さかのぼって行えます。

たとえば、5年前から寡婦控除に該当していたのに申告していなかった場合、5年分まとめて還付申告すれば、その分の税金が戻ってくる可能性があります。

すでに確定申告した内容を直すなら更正の請求

すでに確定申告をしていて、控除の記入を忘れていた場合は「更正の請求」で訂正します。

更正の請求も、原則として法定申告期限から5年以内であれば可能です。

住民税にも影響する

寡婦控除・ひとり親控除は所得税だけでなく住民税にも適用されます。
控除が反映されると、住民税が安くなるほか、住民税の非課税判定にも有利になる場合があります。所得税の還付申告をすれば、住民税にも自動的に反映されます。

ひとり親が利用できる他の支援

ひとり親家庭は、税金の控除以外にもさまざまな支援を受けられます。

控除とあわせて確認しておくと安心です。

よくある質問(FAQ)

Q. 子どもが成人・就職して扶養から外れたら、控除はどうなりますか?

A. ひとり親控除は使えなくなりますが、寡婦控除に切り替わる場合があります。

ひとり親控除は「生計を一にする子」がいることが要件のため、子が就職して総所得金額等58万円(給与123万円)を超えると対象外になります。

ただし、離婚・死別した女性で、ほかに扶養親族がいる場合や死別の場合は、寡婦控除に該当することがあります。

子の状況が変わった年は、自分がどちらの控除に当てはまるか改めて確認しましょう。

Q. 事実婚かどうかは、どうやって判断されますか?

A. 主に住民票の続柄欄で判断されます。

住民票で、同居している相手の続柄が「夫(未届)」「妻(未届)」と記載されている場合は、事実婚状態とみなされ、ひとり親控除も寡婦控除も対象外になります。

単に同じ住所に住んでいるだけで自動的に事実婚と判断されるわけではありませんが、住民票の記載には注意が必要です。

Q. 遺族年金は、合計所得金額500万円以下の判定に含まれますか?

A. 含まれません。

遺族年金は非課税所得のため、合計所得金額には算入しません。

死別して遺族年金を受け取っている方でも、給与や事業などほかの所得が500万円以下であれば、控除の所得要件を満たせます。

Q. 寡夫控除(男性向け)はなくなったのですか?

A. 令和2年分から廃止され、ひとり親控除に整理されました。

かつては子を育てる男性向けに「寡夫控除」がありましたが、令和2年分の改正で廃止されました。

現在は、子を育てている男性は性別を問わず使えるひとり親控除の対象になります。

子のいない離婚・死別の男性には、寡婦控除に相当する控除はありません。

Q. パートで働いていますが、税金を払っていなくても申告する意味はありますか?

A. 所得税が非課税でも、住民税の負担軽減につながる場合があります。

そもそも所得が少なく所得税がかからない場合、ひとり親控除・寡婦控除で所得税が戻ることはありません。

ただし、控除を申告することで住民税が安くなったり、住民税の非課税世帯の判定で有利になったりすることがあります。

勤務先の年末調整では、該当するなら忘れずにチェックを入れておきましょう。

Q. 今後、ひとり親控除は拡充されると聞きました。何が変わりますか?

A. 控除額の引き上げが予定されていますが、適用時期は税制改正の動向によります。

近年の税制改正で、ひとり親控除の控除額を所得税35万円から38万円へ、住民税30万円から33万円へ引き上げる方向が示されています。

ただし、適用時期や対象範囲は今後の税制改正で確定するため、最新の内容は国税庁のタックスアンサーで確認してください。

まとめ

寡婦控除とひとり親控除は、シングル家庭の所得税・住民税を軽くする大切な制度です。

最後に要点を整理します。

  • ひとり親控除
    婚姻歴・性別を問わず、生計を一にする子を育てる人が対象。
    控除額は所得税35万円・住民税30万円。
  • 寡婦控除
    離婚・死別した女性が対象。
    控除額は所得税27万円・住民税26万円。
    ひとり親に該当する人はひとり親控除が優先。
  • 共通の要件
    その年の12月31日時点で判定。
    事実婚の相手がいないこと、本人の合計所得金額が500万円以下であること。
  • 申請方法
    会社員は年末調整の扶養控除等申告書C欄でチェック、自営業・年金受給者は確定申告で申告。
  • 申告し忘れても取り戻せる
    還付申告は5年さかのぼって可能。
    確定申告済みの訂正は更正の請求(5年以内)で対応。

「自分も対象だった」と気づいた方は、まずは直近の年末調整や確定申告で申告し、過去に漏れがあれば還付申告で取り戻しましょう。

判定や手続きに迷う場合は、お住まいの地域を管轄する税務署や、自治体の窓口に相談すると確実です。

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