日本脳炎ワクチンの打ち忘れ〜実費接種の費用と手続き
母子手帳を見返して、「日本脳炎の3回目、打ってなかったかも」と青ざめていませんか。
「もう時期を過ぎている気がする」
「今から受けたら自費で高いのかな」
「間隔が空きすぎて、最初からやり直し?」
日本脳炎ワクチンは3歳と9歳ごろに分けて受けるため、案内が来ない時期にすっぽり抜け落ちやすいワクチンです。
この手続きガイドでは、打ち忘れ・接種漏れに気づいたときにまず確認することから、無料で受けられる条件、期限を過ぎた場合の実費(任意接種)の費用と手続き、無料で受け直せる特例制度までを、公的な情報にもとづいて整理します。
1. 日本脳炎ワクチンは全4回 忘れやすいのは3歳と9歳
日本脳炎ワクチンの定期接種は、合計4回です。
「第1期」の3回と「第2期」の1回に分かれていて、それぞれ受ける年齢が離れているのが特徴です。
まずは全体像を確認しましょう。
| 区分 | 回数 | 標準的な時期 | 間隔の目安 |
|---|---|---|---|
| 第1期 初回(1回目) | 1回目 | 3歳 | ― |
| 第1期 初回(2回目) | 2回目 | 3歳(1回目の約1か月後) | 6〜28日あけて |
| 第1期 追加 | 3回目 | 4歳(2回目の約1年後) | 概ね1年あけて |
| 第2期 | 4回目 | 9〜10歳 | ― |
第1期は生後6か月から接種でき、標準的には3歳で始めます。
第2期は小学校中学年(9〜10歳ごろ)に1回受けて完了です。
接種スケジュールの詳細は、厚生労働省の日本脳炎ワクチンのページでも確認できます。
1-1. 打ち忘れが起きやすい「2つのタイミング」
接種漏れは、次の2か所に集中します。
- 3回目(第1期追加)の打ち忘れ
2回目から約1年後という長い間隔があくため、次の予約を忘れがちです。
Yahoo!知恵袋でも「追加接種を1年半〜3年忘れていた」という相談が最も多く見られます。 - 4回目(第2期)の打ち忘れ
9歳ごろに受けますが、乳幼児期のように頻繁に小児科へ行かなくなり、自治体や学校からの案内を見落としやすい時期です。
どちらも「自治体からの案内待ち」にしていると抜けやすいポイントです。
1-2. 生年月日から接種時期と期限を確認する
お子さんの生年月日を入れると、各回のおおよその接種時期と定期接種(無料)の期限がわかります。
まず自分の子がどの段階にいるかを把握しましょう。
表示される期限はあくまで目安です。
「7歳6か月未満」「13歳未満」といった対象年齢の最終接種日は、自治体の案内によって扱いが異なる場合があります。
正確な最終接種日は、お住まいの自治体の予防接種担当課で必ず確認してください。
1-3. まず母子手帳で接種歴を確認しよう
「何回受けたか思い出せない」というときは、母子健康手帳の予防接種の記録欄を確認するのが確実です。
厚生労働省も、接種機会を逃していないか母子健康手帳で確認するよう案内しています。
母子手帳を紛失している場合は、再発行と接種記録の照会が必要です。
2. 打ち忘れに気づいたら まず確認する3つのこと
「もう手遅れかも」とあきらめる前に、次の3点を確認してください。
多くの場合、あわてて自費で受け直す必要はありません。
2-1. 定期接種の対象年齢(期限)の中かどうか
日本脳炎ワクチンには、無料で受けられる定期接種の対象年齢が決まっています。
- 第1期(3回)の対象
生後6か月から7歳6か月未満(生後90か月未満)まで。 - 第2期(1回)の対象
9歳以上13歳未満まで。
この年齢の範囲内であれば、打ち忘れていても定期接種として無料で受けられます。
くわしい受け方は「3. 期限内なら「無料」 定期接種の受け方」で解説します。
2-2. 間隔が空いても、多くは「続きから」でよい
「間隔が空きすぎたから、最初からやり直し?」と不安になる方が多いですが、対象年齢の範囲内であれば、原則として残りの回数を続きから受ければ問題ありません。
間隔が空いても、決められた回数を接種すれば免疫は得られるとされています。
「1回分がムダになった」わけではないので、気づいた時点でなるべく早く残りを受けましょう。
ただし例外もあります。
医療機関によっては、1回目と2回目の間が数年単位で空いてしまった場合、免疫がついていないと考えて医師の判断で最初から受け直すことがあります。
最終的な接種方法は、かかりつけ医に母子手帳を見せて相談してください。
2-3. あと何回受ければよいか(接種状況別)
現在の接種状況を選ぶと、残りの接種の目安がわかります。
3. 期限内なら「無料」 定期接種の受け方
定期接種の対象年齢内であれば、費用はかかりません。
打ち忘れに気づいても、まずは定期接種で受けられないかを確認しましょう。
3-1. 費用は無料(予診票の持参が前提)
定期接種の費用は、公費でまかなわれるため原則無料です。
ただし、自治体から届く予診票(または予防接種券)を医療機関に持参することが前提です。
予診票を持たずに受けると、全額自己負担になる自治体もあるため注意してください。
3-2. 予診票が手元にないときは自治体に連絡
案内や予診票を紛失した場合や、そもそも届いていない場合は、お住まいの自治体の予防接種担当課に連絡すれば再発行してもらえます。
自治体ごとに申請方法(窓口・郵送・オンライン)が異なるため、下記で調べてみましょう。
3-3. 接種できる場所と持ち物
日本脳炎ワクチンは、自治体の予防接種協力医療機関(小児科など)で受けられます。
持ち物は次のとおりです。
- 予診票(または予防接種券)
- 母子健康手帳
- 健康保険証やこども医療費受給者証など(本人確認用)
里帰り中などで住民登録のある自治体以外で受ける場合は、事前に「予防接種実施依頼書」の発行手続きが必要になることがあります。
4. 期限を過ぎたら「任意接種(実費)」 費用と手続き
定期接種の対象年齢(第1期は7歳6か月未満、第2期は13歳未満)を過ぎると、日本脳炎ワクチンは任意接種となり、費用は全額自己負担になります。
ただし、後述する特例の対象になる世代は、期限を過ぎても無料で受けられる場合があります。
先に「5. 「特例(キャッチアップ)」で無料になる世代」も確認してください。
4-1. 任意接種の費用の目安
任意接種の費用は医療機関ごとに異なりますが、目安は次のとおりです。
| 項目 | 費用の目安 |
|---|---|
| 1回あたり | 5,000〜8,000円程度 |
| 残り全回分(例: 3回) | 15,000〜24,000円程度 |
金額は施設によって幅があり、8,000円を超える場合もあります。
複数回受けると数万円規模の出費になるため、期限内に定期接種で受けられないかを先に確認することが大切です。
4-2. 任意接種の受け方の流れ
任意接種は、次の流れで受けます。
- ワクチンを扱う医療機関(小児科・内科など)に電話で在庫と料金を確認
- 予約をとる
- 母子健康手帳と本人確認書類を持って受診
- 予診票に記入し、接種を受ける
接種後は、母子健康手帳に記録を残してもらいましょう。
4-3. 「健康被害の救済制度」が変わる点に注意
定期接種と任意接種では、万一の健康被害が生じたときの救済制度が異なります。
- 定期接種の場合
予防接種法にもとづく救済制度の対象です。 - 任意接種の場合
医薬品医療機器総合機構(PMDA)の医薬品副作用被害救済制度が窓口となり、給付内容が定期接種とは異なります。
期限を過ぎて任意接種を受ける前に、特例の対象でないか、定期接種で受けられないかを必ず確認しましょう。
制度上の救済範囲も定期接種とは異なるため、急がない場合は自治体への確認を優先してください。
救済制度のくわしい内容は、次の手続きガイドを参照してください。
5. 「特例(キャッチアップ)」で無料になる世代
過去にワクチンの積極的な案内が一時停止された時期があり、その影響で接種機会を逃した世代には、特例(キャッチアップ)措置が設けられています。
5-1. 「積極的勧奨の差し控え」とは
日本脳炎の予防接種後に重い病気になった事例があったことをきっかけに、2005年度から2009年度にかけて、日本脳炎ワクチンの積極的な接種の案内(勧奨)が差し控えられました。
その後、新しいワクチンが開発され、現在は通常どおり接種できるようになっています。
この時期に接種機会を逃した世代を救済するのが、特例措置です。
5-2. 特例の対象になる人
特例の対象は、主に次のとおりです。
| 対象 | 生年月日 | 受けられる範囲 |
|---|---|---|
| 特例(1) | 1995年4月2日〜2007年4月1日生まれ | 20歳未満までに不足分を定期接種(無料) |
| 特例(2) | 2007年4月2日〜2009年10月1日生まれ | 第1期の不足分を定期接種の年齢内で追加 |
特例(1)に該当する場合、20歳の誕生日を迎える前までなら、第1期の3回と第2期の1回のうち不足している分を無料で受けられます。
特例(1)は「20歳未満」であることが条件です。
20歳未満で接種を始めても、次の接種の時点で20歳を過ぎていると定期接種(無料)になりません。
該当する世代の方は、早めに母子手帳で不足回数を確認しましょう。
5-3. 特例の手続き
特例の予診票は、多くの自治体で申込制です。
対象世代であっても自動では届かないことがあるため、母子手帳で接種歴を確認し、不足があれば自治体に予診票の発行を申請します。
自治体ごとの手続きは下記で確認してください。
6. 他にも忘れやすいワクチンをチェック
日本脳炎の打ち忘れに気づいたときは、同じ時期に受ける他のワクチンも一緒に確認するのがおすすめです。
特に次のワクチンは、日本脳炎と同様に忘れやすいものです。
- 二種混合(DT)第2期
11〜12歳ごろに受ける、破傷風とジフテリアの追加接種です。
日本脳炎の第2期と時期が近く、まとめて忘れやすいワクチンです。 - MR(麻しん風しん)第2期
小学校入学前の1年間(年長)に受けます。
就学前健診の前後で慌ただしく、抜けやすい時期です。 - HPV(子宮頸がん)ワクチン
小学6年〜高校1年相当の女子が定期接種の対象です。
接種を逃した回がないか、母子手帳や接種記録で確認しておきましょう。
お子さんの予防接種全体のスケジュールと受け忘れ時の対応は、次の手続きガイドで確認できます。
よくある質問(FAQ)
Q. 第1期追加(3回目)を1年以上忘れていました。もう受けられませんか?
A. 対象年齢(7歳6か月未満)の範囲内なら、定期接種として無料で受けられます。
3回目(第1期追加)は「2回目からおおむね1年後」が目安ですが、その時期を過ぎても、7歳6か月未満であれば定期接種の対象です。
最初からやり直す必要は原則ありませんので、気づいた時点でなるべく早く受けましょう。
Q. 間隔が空きすぎると、効果がなくなったりやり直しになったりしますか?
A. 多くの場合、残りの回数を受ければ問題ありません。
対象年齢内であれば、間隔が空いても続きから接種してよいとする自治体が一般的です。
ただし、1回目と2回目の間が数年単位で空いた場合など、医師の判断で最初から受け直すケースもあります。
母子手帳を持ってかかりつけ医に相談してください。
Q. 母子手帳をなくして、接種歴がわかりません。
A. 自治体や接種した医療機関に接種記録が残っている場合があります。
母子健康手帳を再発行しても、予防接種の記録は自動では復元されません。
過去に接種した医療機関のカルテや、自治体の予防接種台帳で記録を照会できることがあるため、まずは問い合わせてみましょう。
Q. 大人になってから受けられますか? 費用はかかりますか?
A. 大人でも接種できますが、特例の対象を除いて原則自費です。
定期接種や特例の対象年齢を過ぎた大人は、任意接種(1回5,000〜8,000円程度)になります。
西日本など日本脳炎ウイルスの活動が活発な地域に住む人や渡航する人は、接種を検討するとよいでしょう。
Q. 標準は3歳ですが、生後6か月から早めに受けたほうがよいですか?
A. 流行地域に住む場合などは、生後6か月からの早期接種が推奨されます。
日本脳炎ワクチンは定期接種として生後6か月から接種できます。
ブタの間でウイルスが多く確認される西日本などの流行地域や、流行地への渡航予定がある場合は、3歳を待たずに早めの接種が推奨されています。
まとめ
日本脳炎ワクチンの打ち忘れ・接種漏れに気づいたときのポイントを整理します。
- 定期接種は全4回(第1期3回+第2期1回)。3歳の追加(3回目)と9歳の第2期が忘れやすい
- まず母子手帳で接種歴を確認する
- 第1期は7歳6か月未満、第2期は13歳未満なら、打ち忘れていても定期接種として無料で受けられる
- 間隔が空いても、多くは残りの回数を続きから受ければよい(極端に空いた場合は医師が判断)
- 期限を過ぎると任意接種(1回5,000〜8,000円程度)だが、1995年4月2日〜2007年4月1日生まれなどは特例で20歳未満まで無料
- 自費で受ける前に、特例の対象でないか・定期接種で受けられないかを自治体に確認する
「もう遅いかも」と思っても、年齢の範囲内であれば無料で受けられることが多く、あきらめる必要はありません。
母子手帳を手に、まずはかかりつけの小児科や自治体の予防接種担当課に相談することから始めましょう。
