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予防接種健康被害救済制度とは?対象・申請方法・給付内容を解説

予防接種健康被害救済制度とは?対象・申請方法・給付内容を解説
最終更新:2026年4月21日

「予防接種のあと、体調がずっと優れない…」
「子どもがワクチンを打ったあと、思いがけない症状が出てしまった…」

予防接種は感染症から身を守るためにとても大切なものですが、極めて稀に、接種を受けた方に重い副反応(健康被害)が生じることがあります。

実は、日本には予防接種による健康被害を受けた方を救済するための公的制度「予防接種健康被害救済制度」があります。

この手続きガイドでは、制度の対象となる方・給付の種類と金額・申請方法・必要書類まで、わかりやすく解説します。

1. 予防接種健康被害救済制度とは

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予防接種健康被害救済制度は、予防接種法に基づく予防接種を受けた方に健康被害が生じた場合、その健康被害と予防接種の因果関係が認定されたときに、市町村から医療費や年金などの給付が行われる公的な救済制度です。

この制度の大きな特徴は、次の2点です。

  • 無過失補償
    医療機関や行政の過失の有無にかかわらず、救済の対象になります。
  • 因果関係の認定基準
    厳密な因果関係の証明は求められません。
    「予防接種と健康被害との因果関係が否定できない」場合に認定されます。

認定の審査は、厚生労働省に設置された第三者機関である「疾病・障害認定審査会」が行います。

「副反応疑い報告制度」との違い

「副反応疑い報告制度」は、医師が予防接種後の副反応を厚生労働省に報告する制度です。
一方、「予防接種健康被害救済制度」は、被害を受けた本人や家族が市町村に申請して給付を受ける制度です。
この2つは全く別の制度ですので、混同しないようにしましょう。

2. どんな場合に対象になるか

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対象となる予防接種

予防接種健康被害救済制度の対象は、予防接種法に基づく定期接種です。

定期接種は「A類疾病」と「B類疾病」に分かれており、給付の内容が異なります。

A類疾病(主に小児の定期接種)

ワクチン対象年齢の目安
B型肝炎1歳未満
ロタウイルス生後6〜32週
小児肺炎球菌2か月〜5歳
五種混合(ジフテリア・破傷風・百日せき・ポリオ・ヒブ)2か月〜7歳6か月
BCG(結核)1歳未満
麻しん風しん混合(MR)1歳、小学校入学前
水痘1〜3歳
日本脳炎3歳〜13歳未満
子宮頸がん(HPV)小6〜高1の女子
RSウイルス(母子免疫)妊婦・妊娠28〜36週(2026年4月〜定期接種化)

B類疾病(主に高齢者の定期接種)

ワクチン対象者の目安
高齢者インフルエンザ65歳以上
高齢者肺炎球菌65歳
帯状疱疹65歳以上
A類とB類で給付内容が異なります

A類疾病は集団予防の観点から国民に努力義務が課されているため、給付内容が手厚くなっています。
B類疾病は個人予防が中心のため、医療費は入院に限定されるなど、一部制限があります。
詳しくは「3. 給付の種類と金額」をご確認ください。

任意接種は別の制度

予防接種法に基づかない任意接種(自費で受ける予防接種)で健康被害が生じた場合は、この制度の対象外です。

任意接種の場合は、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)が運営する「医薬品副作用被害救済制度」の対象となります。

任意接種の主な例は次のとおりです。

  • 高齢者以外のインフルエンザ
  • おたふくかぜ
  • 定期接種の対象年齢外で受けた予防接種
定期接種と任意接種で申請先が違います

定期接種の健康被害 → お住まいの市町村に申請
任意接種の健康被害 → PMDA(医薬品副作用被害救済制度)に申請
間違えると手続きがやり直しになるため、ご注意ください。

新型コロナワクチンの取扱い

新型コロナワクチンは、接種した時期によって対象となる制度が異なります。

接種時期予防接種法上の区分対象となる救済制度申請先
2024年3月31日以前臨時接種予防接種健康被害救済制度(A類相当の給付)市町村
2024年4月1日〜9月30日任意接種医薬品副作用被害救済制度PMDA
2024年10月1日以降(定期接種の対象者)B類の定期接種予防接種健康被害救済制度(B類の給付)市町村
2024年10月1日以降(定期接種の対象外)任意接種医薬品副作用被害救済制度PMDA

対象にならないケース

予防接種で通常起こりうる軽い副反応(一時的な発熱、接種部位の腫れや痛みなど)は、救済の対象にはなりません。

医療機関での治療が必要な程度の健康被害が対象です。

3. 給付の種類と金額

認定を受けると、以下の給付を受けることができます。

給付額は接種した予防接種がA類疾病かB類疾病かで異なります。

A類疾病の定期接種・臨時接種の場合

給付の種類内容金額(2026年4月時点)
医療費自己負担分(保険適用の医療費から健康保険給付を除いた額)および入院時食事療養費標準負担額等実費
医療手当(月額)通院・入院に必要な諸経費39,100〜41,100円
障害児養育年金(年額)18歳未満で一定の障害が残った場合1級:1,768,800円 / 2級:1,414,800円
障害年金(年額)18歳以上で一定の障害が残った場合1級:5,656,800円 / 2級:4,525,200円 / 3級:3,393,600円
死亡一時金予防接種が原因で死亡した場合49,500,000円
葬祭料葬儀を行う方に支給222,000円

障害年金の1級・2級には介護加算(年額:1級909,600円 / 2級606,400円)もあります。

B類疾病の定期接種の場合

給付の種類A類との主な違い
医療費入院を要すると認められる場合に限定(外来通院は対象外)
障害年金1級:3,142,800円 / 2級:2,514,000円(3級はなし)
死亡一時金なし
遺族年金(年額)2,748,000円(10年間限度)
遺族一時金8,244,000円
葬祭料222,000円
B類疾病には請求期限があります

B類疾病の定期接種には請求期限があります。

  • 医療費: 費用の支払いから5年
  • 医療手当: 医療が行われた月の翌月初日から5年
  • 遺族年金・遺族一時金・葬祭料: 死亡時から5年(ただし医療費等の支給決定があった場合は2年)

A類疾病の定期接種・臨時接種には請求期限はありません。

4. 申請方法と必要書類

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申請先

予防接種を受けた時点で住民票を登録していた市町村に申請します。

引っ越しをして現在の住所が異なる場合でも、接種時の住所地の市町村が申請先です。

まずは市町村の予防接種担当窓口(保健センター等)に相談してください。

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必要書類

申請に必要な書類は、給付の種類によって異なります。

ここでは、最も申請が多い医療費・医療手当の申請に必要な書類を紹介します。

医療費・医療手当の申請に必要な書類

  • 医療費・医療手当請求書
    市町村窓口で入手できます。
    厚生労働省のサイトからもダウンロード可能です。
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  • 受診証明書
    治療を受けた医療機関や薬局で作成してもらいます。
  • 領収書等の写し
    医療にかかった費用の額と日数を証明するものです。
  • 接種済証または母子健康手帳の写し
    接種した予防接種の種類と年月日を証明します。
  • 診療録(カルテ)の写し
    疾病の発病年月日・症状を証明する医師作成の記録です。
    サマリー、検査結果報告、写真等を含みます。
  • 住民票等
    障害児養育年金の場合に必要です。
書類準備のコツ
  • カルテ開示や受診証明書の取得費用は自費です。
    事前に費用を医療機関に確認しておきましょう。
  • 接種済証(接種券)や領収書は、日頃から保管しておくことが大切です。
  • 接種後4時間以内に発症し7日以内に治癒したアナフィラキシー等の即時型アレルギーは、受診証明書のみで診療録の提出が不要になる場合があります。

障害年金・死亡一時金等の申請

障害年金や死亡一時金等を申請する場合は、上記に加えて以下の書類が必要です。

  • 障害の状態に関する医師の診断書
  • 死亡診断書または死体検案書の写し(死亡の場合)
  • 埋葬許可証等の写し(葬祭料の場合)
  • 戸籍謄本の写し

詳しくは市町村窓口にお問い合わせください。

5. 申請から認定・給付までの流れ

申請してから認定・給付を受けるまでの流れは以下のとおりです。

  1. 市町村に相談・申請
    必要書類を揃え、接種時の住民票がある市町村に提出します。
  2. 市町村の調査委員会で審議
    市町村に設置された「予防接種健康被害調査委員会」が申請内容を確認します。
  3. 都道府県を経由して厚生労働省へ送付
    市町村から都道府県を経由して、厚生労働省に書類が送られます。
  4. 疾病・障害認定審査会で審議
    厚生労働省の第三者機関「疾病・障害認定審査会」が、予防接種と健康被害の因果関係を審議します。
  5. 認定(または否認)の通知
    審議結果が市町村を通じて申請者に通知されます。
  6. 認定された場合、市町村から給付
    認定された給付の種類に応じて、市町村から支給されます。
認定までにかかる期間

申請から認定結果の通知まで、概ね半年〜1年半程度かかります。
国が申請を受理してから審議結果を通知するまでに4か月〜12か月程度かかるため、できるだけ早めの申請をおすすめします。

6. 知っておきたい5つのポイント

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ポイント1: 接種後に異変を感じたら早めに受診する

予防接種後に普段と異なる症状が現れたら、早めに医療機関を受診してください。

「気のせいかもしれない」「そのうち治るだろう」と受診を先延ばしにすると、接種から受診までの期間が長くなり、因果関係の認定が難しくなる場合があります。

受診時には「いつ、どのワクチンを接種したか」を必ず医師に伝えましょう。

ポイント2: 接種証明書と領収書は必ず保管する

申請には接種済証(接種券)や医療費の領収書が必要です。

特に領収書は大量に必要になることがあるため、予防接種を受けた後は日常的に保管しておきましょう。

ポイント3: 医師が因果関係を認めなくても申請できる

「主治医がワクチンとの因果関係を認めてくれない」という声がありますが、医師が因果関係を認める必要はありません

因果関係の判断は厚生労働省の「疾病・障害認定審査会」が行うものであり、医師の診断書は症状や治療経過を記載するものです。

ポイント4: 公的障害年金との併給が可能

予防接種健康被害救済制度の障害年金と、年金機構の障害基礎年金別の制度です。

両方の受給要件を満たす場合は、それぞれ申請して両方を受け取ることができます。

ただし、予防接種健康被害救済制度の障害年金からは障害基礎年金等の額が差し引かれます。

ポイント5: ワクチン接種自体は大切な予防手段

予防接種は、感染症の発症や重症化を防ぐためにとても有効なものです。

救済制度は「万が一」の健康被害に備えた安全ネットであり、接種をためらう理由ではありません。

不安がある場合は、かかりつけ医に相談したうえで接種を受けることをおすすめします。

よくある質問(FAQ)

Q. 接種から時間が経っていても申請できますか?

A. A類疾病の定期接種・臨時接種には請求期限がありません。

ただし、B類疾病の定期接種には請求期限があります(医療費は支払いから5年、遺族年金等は死亡から5年)。

また、接種から受診までの期間が長いと因果関係の認定が難しくなる傾向があるため、できるだけ早めの受診・申請をおすすめします。

Q. 否認された場合はどうすればいいですか?

A. 「審査請求(不服申し立て)」や「再申請」を行うことができます。

否認された場合、以下の方法で対処できます。

  • 審査請求
    不支給決定の通知を受けた日の翌日から3か月以内に、都道府県知事に対して審査請求を行えます。
  • 再申請
    新たな医学的証拠(主治医の意見書、追加検査結果など)を添えて、市町村に再度申請できます。

どちらも並行して進めることが可能です。

お住まいの市町村窓口や弁護士、患者会などに相談することもおすすめします。

Q. 任意接種のインフルエンザワクチンも対象になりますか?

A. 予防接種健康被害救済制度の対象外ですが、別の制度(医薬品副作用被害救済制度)で救済を受けられる場合があります。

65歳以上の方のインフルエンザは定期接種(B類)として本制度の対象ですが、それ以外の方は任意接種となるため、PMDA(医薬品副作用被害救済制度)への申請が必要です。

Q. 書類準備にかかる費用は戻ってきますか?

A. カルテ開示や受診証明書の取得にかかる費用は自己負担です。

申請に必要な書類(カルテの写し、受診証明書など)の取得にかかる費用は、救済制度の給付対象には含まれていません。

ただし、認定された場合に受け取れる医療手当(月額39,100〜41,100円)が、通院等にかかる諸経費をカバーする目的の給付です。

Q. 申請から認定までどのくらいかかりますか?

A. 概ね半年〜1年半程度です。

市町村の調査委員会、都道府県への進達、国の疾病・障害認定審査会での審議と、複数の段階を経るため時間がかかります。

国が申請を受理してから審議結果を通知するまで、4か月〜12か月程度が目安です。

まとめ

予防接種は感染症から身を守るために大切なものですが、極めて稀に健康被害が起こることがあります。

そのような場合に、予防接種健康被害救済制度を利用することで、医療費や障害年金などの給付を受けることができます。

この手続きガイドのポイントを振り返ります。

  • 予防接種法に基づく定期接種が対象(任意接種は別制度)
  • 因果関係が否定できない場合に認定される(厳密な証明は不要)
  • A類疾病は給付が手厚く、B類疾病は一部制限がある
  • 申請先は接種時の住民票がある市町村
  • 申請から認定まで半年〜1年半程度かかる
  • 接種後の異変は早めに受診し、接種証明書や領収書を保管しておく

万が一のとき、この制度があることを知っておくだけでも安心感が違います。

予防接種後に気になる症状がある方は、まずはかかりつけ医に相談し、市町村の窓口に問い合わせてみてください。

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