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被害届の出し方 - 警察での手続きと告訴との違い

被害届の出し方 - 警察での手続きと告訴との違い
最終更新:2026年1月6日

「空き巣に入られた」
「財布をすられた」
「暴行を受けた」
——このような犯罪被害に遭ったとき、まず思い浮かぶのが「警察に届け出る」ことではないでしょうか。

しかし、いざ届け出ようとすると
「被害届と告訴って何が違うの?」
「どこに行けばいいの?」
「なかなか受理されないって聞いたけど本当?」
など、疑問が次々と湧いてきます。

この手続ガイドでは被害届の出し方を中心に、告訴・告発との違いや、万が一受理されなかった場合の対処法まで詳しく解説します。

被害届とは?告訴・告発との違い

まず、被害届の基本的な意味と、よく混同される「告訴」「告発」との違いを確認しましょう。

被害届の定義と法的効果

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被害届とは、犯罪被害に遭ったことを警察に届け出る書面です。

「窃盗に遭った」「暴行を受けた」「詐欺に遭った」など、被害の事実を警察に伝えるためのもので、犯罪捜査規範第61条により警察には被害届を受理する義務があります。

ただし、被害届を出しただけでは、積極的な捜査が行われるとは限らず、検察への送致も保証されていません

被害届はあくまで「犯罪があった」という事実を届け出るものであり、「犯人を処罰してほしい」という意思表示ではないためです。

刑事訴訟法や犯罪捜査規範には、被害届による捜査義務や送致義務を定めた規定がありません。

「捜査」と「検察への送致」の関係

被害届の受理 → 捜査 → 検察への送致 → 起訴/不起訴の判断 という流れで進みます。

検察への送致とは

警察が捜査した事件を検察官に引き継ぐ手続きのこと。
検察官が事件を受け取り、起訴(裁判にかける)するかどうかを判断します。
ニュースでよく聞く「書類送検」は、被疑者を逮捕せず書類だけを送る「書類送致」の俗称です。
被害届の場合、捜査するかどうか、送致するかどうかは警察の判断に委ねられています。

被害届・告訴・告発の違い【比較表】

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警察への届出には「被害届」「告訴」「告発」の3種類があります。

それぞれの違いを表で確認しましょう。

項目被害届告訴告発
届出できる人被害者本人被害者本人または法定代理人誰でも(第三者も可)
捜査警察の判断によるすみやかに行うよう努める義務ありすみやかに行うよう努める義務あり
検察への送致警察の判断による送致義務あり(刑事訴訟法242条)送致義務あり(刑事訴訟法242条)
処分結果の通知なしありあり
法的根拠犯罪捜査規範刑事訴訟法230条刑事訴訟法239条
難易度低い中程度中程度
処罰意思の表明含まない含む含む
犯人不明時提出可能提出可能(犯人不詳)提出可能(犯人不詳)
  • 告訴
    被害者が「犯人を処罰してほしい」という意思を明確に示すもの

    • 告訴を受けた警察には、捜査書類を検察へ送付する送致義務がある(刑事訴訟法242条)
    • 送致義務があるため、結果的に捜査も行われる(微罪処分として警察だけで処理することはできない)
    • 検察官は起訴・不起訴の処分結果を告訴人に通知しなければならない
  • 告発
    被害者以外の第三者が犯罪事実を届け出て、処罰を求めるもの

    • 例:隣人が虐待を目撃した場合などに告発できる

告訴の詳細については以下の手続きガイドで詳しく解説しています。

どれを選ぶべき?ケース別の判断基準

あなたの状況に応じて、被害届と告訴のどちらを選ぶべきかを確認しましょう。

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まず被害届を出すケース

以下のような被害に遭った場合は、まず被害届を出すことをおすすめします。

  • 財布やスマホを盗まれた
  • 自転車が盗まれた
  • 空き巣に入られた
  • 器物を壊された
  • 詐欺に遭った

被害届を出すことで、警察が事件を認知し、捜査のきっかけとなります。

手続きの詳細は「被害届の出し方【手順を解説】」セクションで解説しています。

告訴を検討するケース

以下のような場合は、被害届ではなく告訴を検討することをおすすめします。

  • 被害届を出したが捜査が進まない
  • 犯人を確実に処罰してほしい
  • 親告罪の被害に遭った
    ※親告罪とは、告訴がなければ起訴できない犯罪のこと。名誉毀損罪、侮辱罪、器物損壊罪などが該当する

告訴状の作成は専門的な知識が必要なため、弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士に依頼すると、法的に正確な告訴状を作成でき、警察も受理を拒否しにくくなります。

被害届が受理されなかった場合

被害届を出しに行ったのに受理されなかった場合でも、諦める必要はありません。

以下の対処法を検討してください。

  • 別の警察署や警察本部に相談する
  • 弁護士に相談して告訴状を作成する
  • 警察相談専用電話「#9110」に相談する
  • 検察庁に直接告訴する
  • 公安委員会に苦情を申し立てる

詳しくは「被害届が受理されない場合の対処法」セクションで解説しています。

被害届の出し方【手順を解説】

ここからは、被害届の具体的な出し方を解説します。

注意

被害届は、原則として警察署・交番での対面手続きが必要です。
インターネット上の「相談窓口」や「通報フォーム」は被害届の提出とは別の扱いになります。
まずは最寄りの警察署に連絡して案内を受けてください。

被害届はどこで出せる?交番vs警察署

被害届は、交番でも警察署でも提出できます

ただし、交番では「警察署に行ってください」と案内されるケースもあるため、確実に手続きを進めたい場合は警察署の刑事課に直接行くことをおすすめします。

警察署は24時間体制で運営されているため、土日祝日や夜間でも相談は可能です。

ただし、担当者の状況によっては後日改めて聴取となる場合もあります。

緊急性が高い場合は110番、それ以外は事前に電話で確認してから訪問するとスムーズです。

  • 交番・駐在所
    近くて便利だが、対応できない場合は警察署を案内される
  • 警察署(刑事課)
    確実に対応してもらえる(24時間相談可能)
ポイント

被害発生場所と住んでいる場所が異なっていても、どこの交番・警察署でも受理してもらえます。
受理後、管轄の警察署に移送されます。

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被害届に必要なもの・持ち物チェックリスト

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被害届を出す際には、以下のものを持参しましょう。

  • 本人確認書類
    マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど
  • 印鑑
    認印でOK(シャチハタは不可の場合あり)
  • 被害の証拠となるもの
    被害状況の写真、診断書(暴行の場合)、メッセージのスクリーンショット、防犯カメラ映像など
  • 被害のメモ
    いつ、どこで、誰に、何をされたかを整理したメモ
  • 被害品のリスト
    盗まれたものの品名、特徴、購入価格など
ポイント

被害届の用紙は警察署・交番に用意されているため、事前にダウンロードなどして準備する必要はありません。
警察官が聞き取りをしながら記入してくれる場合も多いです。

また、証拠は必須ではありませんが、あればあるほど捜査が進みやすくなります。

被害に遭ったら、できるだけ早く証拠を保全しておきましょう。

被害届の記載事項

被害届には、以下の内容を記載します。

警察署によっては、警察官が聞き取りながら記入してくれる場合もあります。

  1. 被害者の情報
    氏名、住所、連絡先(電話番号)
  2. 被害発生日時
    何月何日の何時頃か(分からない場合は推定でも可)
  3. 被害発生場所
    住所、建物名、具体的な場所
  4. 被害の内容
    何をされたか(窃盗、暴行、詐欺など)を具体的に
  5. 被害品・被害金額
    盗まれたもの、壊されたもの、金銭被害の金額
  6. 犯人の特徴
    分かる範囲で(性別、年齢、服装、特徴など)

被害届提出の流れと所要時間

被害届を提出する際の一般的な流れは以下のとおりです。

  1. 警察署・交番に行く
    事前に電話で連絡すると、担当者が対応しやすくなる
  2. 受付で「被害届を出したい」と伝える
    警察署では刑事課に案内される(交番ではその場で対応、または警察署を案内されることもある)
  3. 被害状況を説明する
    いつ、どこで、何が起きたかを詳しく説明
  4. 被害届の用紙に記入する
    警察官が聞き取りながら記入してくれる場合も多い
  5. 内容を確認し、署名・押印する
    記載内容に間違いがないか必ず確認
  6. 受理番号を控える
    後日の問い合わせに必要なので必ずメモを
🕑所要時間

被害内容にもよりますが、30分〜1時間程度が目安です。

被害届が受理されない場合の対処法

「被害届を出しに行ったのに受理してもらえなかった」という声は少なくありません。

ここでは、受理されないケースと、その対処法を解説します。

被害届が受理されないケースとは

犯罪捜査規範第61条により、警察には被害届の受理義務があります。

しかし実際には、以下のような理由で受理を渋られるケースがあります。

  • 「民事不介入」と判断される場合
    個人間の金銭トラブル、ネット売買のトラブルなど
  • 証拠が不十分と判断される場合
    「証拠がないと捜査できない」と言われる
  • 被害内容が軽微と判断される場合
    少額の窃盗、軽い暴行など
  • 時間が経過している場合
    「今さら届け出ても」と言われる

これらはあくまで警察の判断であり、法律上は受理しなければなりません。

受理されない場合は、以下の対処法を検討してください。

受理されない場合の具体的な対処法

被害届が受理されなかった場合、いくつかの対処法があります。

  • 別の警察署や警察本部に相談する
    担当者によって対応が異なることがあるため、別の窓口に相談する
  • 警察相談専用電話「#9110」に相談する
    被害届の受理について相談できる。政府広報オンラインでも案内されている
  • 弁護士に相談し、告訴状を作成する
    告訴状を受理した警察には検察への送致義務が発生する
  • 検察庁に直接告訴する
    警察だけでなく、検察官に対しても告訴できる
  • 公安委員会に苦情を申し立てる
    警察の対応に問題がある場合、都道府県公安委員会に苦情を申し立てられる

弁護士同伴で告訴状を提出するメリット

被害届が受理されない場合や、確実に捜査を求めたい場合は、弁護士に相談して告訴状を作成することをおすすめします。

弁護士同伴で告訴状を提出するメリットは以下のとおりです。

  • 法的に正確な告訴状が作成できる
    要件を満たした告訴状は受理されやすい
  • 警察も受理を拒否しにくくなる
    弁護士が同席することで、対応が丁寧になることが多い
  • 検察への送致義務が発生する
    告訴を受理した警察は、事件を検察に送致しなければならない(刑事訴訟法242条)
  • 処分結果の通知を受けられる
    起訴・不起訴の結果が通知される

弁護士費用は事件の内容によって異なりますが、告訴状の作成で10万円〜30万円程度が目安です。

初回相談無料の法律事務所も多いため、まずは相談してみることをおすすめします。

被害届を出した後の流れ

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被害届を提出した後、どのような流れで捜査が進むのか気になる方も多いでしょう。

ここでは、被害届提出後の一般的な流れを解説します。

被害届受理後の警察の対応

被害届が受理されると、警察は事件を認知し、捜査の端緒(きっかけ)とします。

ただし、前述のとおり被害届だけでは積極的な捜査が行われるとは限らず、検察への送致も保証されていません

被害届には捜査義務や送致義務を定めた法的規定がないため、捜査を進めるかどうかは警察の判断に委ねられています。

そのため、以下のような対応になることがあります。

  • 重大事件・証拠が明確な場合
    すぐに捜査が開始される
  • 軽微な事件・証拠が不十分な場合
    積極的な捜査が行われないこともある
  • 類似事件が多発している場合
    他の事件と合わせて捜査されることがある

被害届と捜査の流れ

被害届から裁判までの一般的な流れは以下のとおりです。

  1. 被害届の受理
    警察が事件を認知
  2. 捜査
    任意捜査または令状に基づく強制捜査
  3. 被疑者の特定・逮捕
    または在宅のまま捜査を継続
  4. 検察への送致(書類送検とも呼ばれる)
    捜査書類一式が警察から検察に送られる
  5. 起訴・不起訴の判断
    検察官が起訴するかどうかを判断
  6. 裁判
    起訴された場合、刑事裁判が行われる
注意

軽微な事件や証拠不十分な事件は、途中で捜査が終結することもあります。

連絡はいつ来る?受理番号と進捗確認の方法

被害届を出した後、「警察から連絡が来ない」と不安になる方も多いです。

実際には、以下のような状況が一般的です。

  • 進展がなければ連絡は来ないことが多い
    特に捜査が進んでいない場合は、警察からの連絡はない
  • 犯人が逮捕された場合は連絡がある
    被害者に連絡が入ることが多い
  • 自分から問い合わせることは可能
    被害届の受理番号を伝えれば、進捗を確認できる

被害届を出す際に受け取った受理番号は必ず控えておきましょう。

後日、警察に問い合わせる際に必要になります。

被害届の取り下げについて

被害届を出した後、「やっぱり取り下げたい」と考えることもあるかもしれません。

ここでは、被害届の取り下げについて解説します。

被害届は取り下げできる?

結論から言えば、被害届は取り下げ可能です。

被害届は「犯罪被害の事実を届け出た」という書面であり、被害者の意思で取り下げることができます。

ただし、以下の点に注意が必要です。

  • 取り下げても捜査が続くことがある
    警察が必要と判断すれば、捜査は継続される
  • 再提出が難しくなることがある
    一度取り下げると、再度被害届を出すことに難色を示されることも
  • 告訴の場合は取り消しの効果が異なる
    親告罪の告訴を取り消すと、再度告訴できなくなる

示談と被害届の取り下げ

加害者側(または加害者の弁護士)から、示談交渉の中で「被害届を取り下げてほしい」と求められることがあります。

示談金と引き換えに被害届を取り下げるかどうかは、慎重に検討する必要があります。

考慮すべきポイント

  • 示談金の金額は適正か
    被害の程度に見合った金額かどうか
  • 取り下げ後も処罰を求めたい気持ちはないか
    一度取り下げると、再提出は難しい
  • 再発防止の保証はあるか
    特にストーカーやDVの場合は慎重に

判断に迷う場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

被害届のよくある質問

最後に、被害届に関するよくある質問をまとめました。

Q. 被害届は土日でも出せますか?

A. はい、相談は可能です。

警察署は24時間体制で運営されているため、土日祝日や夜間でも相談できます。

ただし、担当者の状況によっては後日改めて聴取となる場合もあります。

交番も対応可能ですが、時間帯によっては警察署を案内されることがあります。

Q. 交番と警察署、どちらに行くべきですか?

A. 確実に手続きを進めたい場合は、警察署の刑事課に直接行くことをおすすめします。

交番でも受け付けてもらえますが、「警察署で対応します」と案内されるケースもあります。

Q. 被害届に時効はありますか?

A. 被害届自体に提出期限はありません。

ただし、刑事事件には公訴時効があり、時効が完成すると起訴できなくなります。

主な犯罪の公訴時効は以下のとおりです。

犯罪公訴時効
暴行罪3年
窃盗罪7年
詐欺罪7年
傷害罪10年
強盗罪10年

被害に遭ったら、できるだけ早く被害届を出すことをおすすめします。

Q. 犯人・加害者が分からなくても被害届は出せますか?

A. はい、犯人が不明でも被害届は出せます。

被害届の記載事項に「犯人の特徴」がありますが、「不明」と記載しても受理されます。

空き巣やスリなど、犯人を見ていないケースでも問題なく提出できます。

また、告訴の場合も「被告訴人 不詳」として提出可能です。

捜査の過程で犯人が特定されれば、その者が被告訴人となります。

Q. 証拠がなくても被害届は出せますか?

A. はい、証拠がなくても被害届は出せます。

ただし、証拠がないと捜査が進みにくいことがあります。

被害に遭ったら、できるだけ早く以下の証拠を保全しておきましょう。

  • 被害状況の写真・動画
  • 診断書(暴行・傷害の場合)
  • メッセージやメールのスクリーンショット
  • 目撃者の連絡先
  • 防犯カメラの映像(店舗に依頼)

Q. 被害届を出すデメリットはありますか?

A. 基本的に、被害届を出すこと自体にデメリットはありません。

ただし、以下の点には注意が必要です。

  • 虚偽の申告は犯罪になる可能性がある(虚偽告訴等罪など)。必ず事実に基づいて届け出ること
  • 捜査に協力するため、警察から連絡が来ることがある
  • 裁判になった場合、証人として出廷を求められることがある

Q. 被害届と告訴、どちらがいいですか?

A. 状況によって異なります。

  • まず被害を届け出たい場合:
    → 被害届
  • 確実に処罰を求めたい場合:
    → 告訴
  • 親告罪(名誉毀損など)の場合:
    → 告訴が必須

迷う場合は、まず被害届を出し、捜査の状況を見て告訴を検討するという方法もあります。

Q. 被害に遭った場所と住んでいる場所が違う場合は?

A. どこの警察署でも被害届を受理してもらえます。

被害届を受理した警察署が、事件発生地の管轄警察署に事件を移送(移牒)します。

最寄りの警察署で被害届を出して問題ありません。

まとめ

被害届は、犯罪被害に遭ったことを警察に届け出るための書面です。

被害届の出し方のポイント

  • 警察署・交番どちらでも提出可能
  • 用紙は警察に用意されており、事前準備は不要
  • 本人確認書類、印鑑、被害のメモを持参する
  • 受理番号は必ず控えておく

被害届を出しても捜査が進まない場合や、確実に処罰を求めたい場合は「告訴」を検討してください。

迷ったときは、警察相談専用電話「#9110」や弁護士に相談することをおすすめします。

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