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告訴のやり方を徹底解説!告訴状の書き方・費用・流れ

告訴のやり方を徹底解説!告訴状の書き方・費用・流れ
最終更新:2026年1月7日

被害届を出しても警察が動いてくれない、名誉毀損や器物損壊の被害を受けた
――そんなとき、「告訴」という手続きを検討する方も多いのではないでしょうか。

告訴は、単なる被害の届出ではなく、加害者の処罰を求める正式な意思表示です。

特に「親告罪」と呼ばれる犯罪では、被害者の告訴がなければ検察官は起訴できません。

この手続ガイドでは、告訴のやり方を徹底解説します。

告訴状の書き方、費用、手続きの流れ、そして告訴が受理されないときの対処法まで、わかりやすくお伝えします。

告訴とは?被害届・告発との違いを解説

まずは「告訴とは何か」を正しく理解しましょう。

被害届や告発との違いを知ることで、どの手続きを選ぶべきかが明確になります。

告訴とは何か

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告訴とは、犯罪の被害者やその法定代理人が、警察や検察などの捜査機関に対して犯罪事実を申告し、加害者の処罰を求める意思表示です。

刑事訴訟法230条では、「犯罪により害を被った者は、告訴をすることができる」と定められています。

告訴には以下の法的効果があります。

  • 検察官への送付義務
    告訴を受理した司法警察員は、書類や証拠物を速やかに検察官へ送付しなければならないとされています(刑事訴訟法242条)。
    そのため、被害届に比べて手続きが進みやすくなる場合があります。

  • 親告罪の起訴要件
    名誉毀損罪や器物損壊罪などの「親告罪」は、被害者の告訴がなければ検察官は起訴できません。

被害届との違い

告訴と被害届は似ているようで、法的な意味が大きく異なります。

項目被害届告訴
目的被害の事実を届け出る加害者の処罰を求める
法的効果捜査のきっかけとなる
実際に捜査されるかは警察の判断による
検察官への送付義務が発生+親告罪の起訴要件
処分結果の通知なし検察官の処分後に通知(刑事訴訟法260条)
提出できる人被害者被害者・法定代理人・一定の親族
受理義務なし(実務上は受理)あり(犯罪捜査規範63条)
ポイント

被害届は「こんな被害がありました」という報告にすぎませんが、告訴は「犯人を処罰してください」という正式な意思表示です。

親告罪(後述)の被害を受けた場合、被害届だけでは起訴されません。

告訴が必要になります。

被害届の詳細と出し方については、「 被害届の出し方 - 警察での手続きと告訴との違い 」で詳しく解説しています。

告発との違い

告訴と告発も混同されやすい手続きです。

項目告訴告発
できる人被害者・法定代理人・親族誰でも(第三者でも可)
対象自分が被害を受けた犯罪自分以外が被害を受けた犯罪も含む

告発は、被害者ではない第三者が捜査機関に犯罪を申告し、処罰を求める手続きです。

たとえば、友人が詐欺被害に遭っているのを知った場合、あなたは告発をすることができます。

ただし、告訴ができるのは被害者自身(またはその法定代理人・親族)に限られます。

告訴を選ぶべきケース

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以下のようなケースでは、被害届ではなく告訴を検討すべきです。

  • 加害者を確実に処罰してほしい場合
    告訴を受理すると検察官への送付義務が発生するため、被害届に比べて手続きが進みやすくなる場合があります。

  • 親告罪の被害を受けた場合
    名誉毀損罪、侮辱罪、器物損壊罪などは告訴がなければ起訴されません。

  • 被害届では警察が動いてくれない場合
    告訴には法的な受理義務があるため、対応が変わる可能性があります。

告訴できる人(告訴権者)

告訴は誰でもできるわけではありません。

法律で「告訴権者」として定められた人だけが告訴できます。

被害者本人

もっとも基本的な告訴権者は、犯罪により害を被った者(被害者本人)です(刑事訴訟法230条)。

未成年であっても、自分の判断で告訴することができます。

親の同意は法律上必要ありません。

法定代理人

被害者が未成年者や成年被後見人の場合、その法定代理人(親権者や後見人)も告訴できます(刑事訴訟法231条1項)。

法定代理人は、被害者本人の意思とは独立して告訴する権限を持っています。

つまり、被害者本人が「告訴したくない」と言っても、法定代理人が単独で告訴することは法律上可能です。

被害者が死亡した場合

被害者が死亡した場合は、以下の親族が告訴できます。

  • 配偶者
  • 直系親族(親、子、孫、祖父母など)
  • 兄弟姉妹

ただし、被害者が生前に「告訴しない」という意思を表明していた場合は、告訴できません(刑事訴訟法231条2項)。

また、死者の名誉が毀損された場合は、死者の親族または子孫が告訴できます(刑事訴訟法233条)。

告訴状の書き方

告訴は書面(告訴状)で行うのが一般的です。

口頭での告訴も法律上は可能ですが、実務上は書面が求められます。

告訴状の用紙・書式

告訴状の用紙や書式について、法律上の決まりはありません

ただし、捜査機関で使用される文書に合わせて作成するのが一般的です。

項目推奨される形式
用紙サイズA4サイズ
用紙の向き縦向き
文字の向き横書き
印刷片面印刷
綴じ方左綴じ
フォント明朝体(MS明朝など)
文字サイズ12ポイント
余白左側25〜30mm(綴じしろ用)

用紙の質について

  • 特別な高級紙を使う必要はありません
  • 安すぎるコピー用紙は折れやすいため、中程度の厚さの用紙がおすすめです

手書きか印刷か

  • パソコンで作成・印刷するのが一般的です
  • 手書きでも問題ありませんが、読みやすさの観点から印刷を推奨します
  • 署名欄は直筆の方が好まれる傾向があります
ポイント

警察署に「告訴状の用紙をください」と言っても、専用の用紙はもらえません。
自分で用紙を用意して作成する必要があります。

告訴状の必須記載事項

告訴状には以下の項目を記載します。

1. 告訴人の情報

  • 氏名
  • 住所
  • 連絡先(電話番号)

2. 被告訴人の情報

  • 氏名(不明の場合は「氏名不詳」と記載)
  • 住所(不明の場合は「住所不詳」と記載)
  • 身体的特徴など、識別できる情報

3. 告訴の趣旨

「被告訴人を〇〇罪で処罰されたく告訴する」という意思表示を明確に記載します。

記載例:

告訴人は、被告訴人の下記行為について、器物損壊罪として処罰されたく告訴する。

4. 告訴事実

犯罪の内容を具体的に記載します。

  • いつ(日時)
  • どこで(場所)
  • 誰が(被告訴人)
  • 何をしたか(犯罪行為の態様)
  • どんな被害を受けたか(被害内容)
ポイント

犯罪の構成要件に沿った記述が重要です。
「〇〇罪」に該当することがわかるよう、具体的な事実を記載しましょう。

5. 署名押印

告訴状には、告訴人の署名と押印が必要です(刑事訴訟規則60条)。

提出先(○○警察署長 殿)の下に、告訴人の氏名を直筆で署名し、押印します。

告訴状のサンプル

実際の告訴状の書き方を、2つのパターンでご紹介します。

告訴状例1:器物損壊罪

駐車場で車を傷つけられた場合のサンプルです。

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告 訴 状

令和○年○月○日

○○警察署長 殿

告訴人 山田太郎 印

告訴人
 住 所 東京都○○区○○町1-2-3
 氏 名 山田太郎
 生年月日 昭和○○年○月○日
 電話番号 090-○○○○-○○○○

被告訴人
 住 所 東京都○○区○○町4-5-6
 氏 名 鈴木一郎
 職 業 会社員
 電話番号 不詳

第1 告訴の趣旨

被告訴人の下記告訴事実に記載の行為は,刑法第261条の器物損壊罪に
該当すると思料しますので,捜査の上,厳重に処罰されたく告訴致します。

第2 告訴事実

被告訴人は,令和○年○月○日午後3時頃,東京都○○区○○町1-2-3の
月極駐車場において,告訴人が所有する普通乗用自動車(登録番号:
品川○○○あ○○○○,トヨタ プリウス,白色)の左側面を,鋭利な
金属様の物で故意に引っ掻き,約30センチメートルにわたる傷を付け,
もって告訴人所有の器物を損壊したものである。

第3 告訴に至る経緯

1.告訴人と被告訴人は同じマンションの住人であり,以前から駐車位置
 をめぐるトラブルがあった。
2.令和○年○月○日,告訴人が駐車場に戻ったところ,車の左側面に
 傷があることを発見した。
3.駐車場に設置された防犯カメラを確認したところ,被告訴人が告訴人
 の車に近づき,何らかの物で車体を引っ掻く様子が録画されていた。
4.修理費用の見積もりは約15万円である。

被告訴人の行為は,告訴人の財産権を侵害する悪質な犯罪であり,
厳重な処罰を求めるものである。

なお,告訴人は本件に関し,捜査に全面的に協力することをお約束致します。

以上

証拠資料
1.防犯カメラの録画データ(DVDに記録) 1枚
2.車両の損傷部分の写真 5枚
3.修理費用の見積書 1通
4.車検証の写し 1通

添付書類
1.証拠資料写し 各1通

告訴状例2:名誉毀損罪

SNSで誹謗中傷を受けた場合のサンプルです。

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告 訴 状

令和○年○月○日

○○警察署長 殿

告訴人 佐藤花子 印

告訴人
 住 所 大阪府○○市○○町1-2-3
 氏 名 佐藤花子
 生年月日 平成○年○月○日
 電話番号 080-○○○○-○○○○

被告訴人
 住 所 不詳
 氏 名 不詳(X(旧Twitter)アカウント名:@example_user)
 職 業 不詳

第1 告訴の趣旨

被告訴人の下記告訴事実に記載の行為は,刑法第230条第1項の名誉毀損罪
に該当すると思料しますので,捜査の上,厳重に処罰されたく告訴致します。

第2 告訴事実

被告訴人は,令和○年○月○日から同年○月○日までの間,X(旧Twitter)
上にアカウント名「@example_user」で開設したアカウントにおいて,

「佐藤花子は会社の金を横領して解雇された」
「佐藤花子は不倫相手と駆け落ちした」
「佐藤花子は詐欺まがいの商売をしている」

などという虚偽の事実を複数回にわたり投稿し,不特定多数の者に閲覧
させ,もって公然と事実を摘示し,告訴人の名誉を毀損したものである。

第3 告訴に至る経緯

1.告訴人は○○市内で飲食店を経営している。
2.令和○年○月頃から,X上で告訴人を名指しした誹謗中傷の投稿が
 繰り返されるようになった。
3.投稿内容はすべて虚偽であり,告訴人は横領・不倫・詐欺のいずれ
 にも関与していない。
4.これらの投稿により,告訴人の社会的評価は著しく低下し,店舗の
 客足も減少するなど,営業上の損害を被っている。
5.投稿は現在も削除されておらず,被害が継続している。

被告訴人の行為は悪質であり,告訴人の名誉と営業を著しく侵害する
ものであるため,厳重な処罰を求めるものである。

なお,告訴人は本件に関し,捜査に全面的に協力することをお約束致します。

以上

証拠資料
1.X上の投稿のスクリーンショット 10枚
2.投稿の日時とURLをまとめた一覧表 1通
3.告訴人の経歴を証明する書類(在籍証明書等) 1通
4.営業への影響を示す売上推移表 1通

添付書類
1.証拠資料写し 各1通
注意

これらはあくまで参考例です。
実際の告訴状は、事件の内容に応じて適切に作成する必要があります。
弁護士や行政書士に相談することをおすすめします。

添付すべき証拠資料

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告訴状と一緒に証拠資料を提出すると、受理されやすくなります。

  • 写真・動画
    被害状況、現場の様子など

  • 録音・録画データ
    犯行の様子、脅迫の音声など

  • メール・SNSのスクリーンショット
    誹謗中傷、脅迫などの証拠

  • 時系列経緯書
    事件の経過をまとめた書面

  • 診断書
    傷害を受けた場合

  • その他の書類
    契約書、請求書、領収書など

データで証拠を提出する場合

録音・録画データなどの電子データを提出する場合は、記録媒体に保存して提出します。

媒体特徴
DVD-R最も一般的。警察・検察で広く対応している
CD-R容量が少ないデータ向け
USBメモリ便利だが、返却手続きが必要な場合あり
ポイント

動画データはMP4形式が推奨される場合が多いです。
録音データは、内容を文字に起こした反訳書を添付すると、捜査機関が内容を把握しやすくなります。

SNS・メール・LINEの証拠

  • スクリーンショットを印刷して紙で提出するのが基本
  • URL投稿日時がわかる状態で保存する
  • 投稿が削除される前に証拠を確保しておく

告訴状作成のポイント

告訴状が受理されやすくなるポイントをまとめます。

  • 客観的事実を時系列で記載する
    感情的な表現は避け、事実を淡々と記述します。

  • 5W1Hを明確にする
    いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように。

  • 該当する罪名を明示する
    「〇〇罪」にあたることを記載します。

  • 証拠との対応を示す
    どの証拠がどの事実を裏付けるか整理します。

告訴の流れ

告訴状を作成したら、捜査機関に提出します。

告訴の流れを順番に見ていきましょう。

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告訴状の作成

まず告訴状を作成します。

自分で作成する場合

  • インターネット上のテンプレートを参考にする
  • 弁護士会の法律相談で書き方を教えてもらう
  • 警察の相談窓口でアドバイスを受ける

弁護士に依頼する場合

  • 法的に正確な告訴状が作成できる
  • 受理率が大幅に向上する
  • 費用は3万〜10万円程度(作成のみ)

提出先の選択

告訴状の提出先は、警察署または検察庁です。

提出先特徴
警察署一般的な提出先。犯罪発生場所・被害者居住地・加害者居住地のいずれかを管轄する警察署
検察庁複雑な事件、知能犯罪、警察で受理されない場合に有効

基本的には、犯罪発生場所を管轄する警察署に提出します。

警察で受理されない場合や、複雑な事件(詐欺、横領などの知能犯)は、検察庁への直接提出も検討しましょう。

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告訴状の提出

告訴状は、以下の方法で提出できます。

  • 持参
    警察署の刑事課窓口に持っていく

  • 郵送
    配達証明付き郵便で送付

注意

口頭での告訴も法律上は可能(刑事訴訟法241条1項)ですが、実務上は書面での提出が求められます。

告訴受理後の流れ

告訴が受理されると、以下の流れで手続きが進みます。

  1. 警察による捜査
    被告訴人(加害者)への事情聴取、証拠収集など

  2. 検察への送致
    警察は捜査結果を検察官に送致(書類送検)

  3. 検察による判断
    検察官が起訴するか不起訴とするかを決定

  4. 起訴された場合
    刑事裁判が開かれ、有罪・無罪が判断される

重要

告訴しても必ず起訴されるとは限りません。
証拠不十分や情状酌量により、不起訴となるケースもあります。

逮捕された場合のスケジュール

被告訴人が逮捕された場合、起訴・不起訴の判断までには最大23日間かかります。

段階期間
逮捕後、検察送致まで48時間以内
送致後、勾留請求まで24時間以内
勾留期間原則10日(延長で最大20日)

在宅事件(逮捕なし)の場合は、送致から起訴・不起訴の判断までに数ヶ月かかることもあります。

告訴の費用

告訴の手続きにかかる費用について解説します。

手続き自体は無料

告訴状を警察や検察に提出すること自体には、費用はかかりません。

印紙代や手数料も不要です。

弁護士に依頼する場合

弁護士に告訴状の作成や提出を依頼する場合は、以下の費用がかかります。

依頼内容費用目安
告訴状作成のみ3万〜10万円
作成+提出代理10万〜30万円
刑事告訴全般のサポート20万〜50万円以上

※弁護士事務所や事件の内容により異なります。

初回相談無料の法律事務所も多いので、まずは相談してみることをおすすめします。

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弁護士に依頼するメリット

費用はかかりますが、弁護士に依頼することで以下のメリットがあります。

  • 受理率の向上
    弁護士が作成した告訴状は、法的に正確で受理されやすい

  • 警察との交渉
    弁護士が同席することで、対応が変わることも

  • 精神的負担の軽減
    複雑な手続きを任せられる

  • 法的アドバイス
    告訴以外の選択肢(示談、民事訴訟など)も含めてアドバイスを受けられる

親告罪と告訴期間

告訴が特に重要になるのが「親告罪」です。

親告罪の被害を受けた場合、告訴期間内に手続きを行う必要があります。

親告罪とは

親告罪とは、被害者等の告訴がなければ検察官が起訴できない犯罪のことです。

親告罪が設けられている理由は、主に以下の3つです。

  • 被害者のプライバシー保護
    事件が公になることで、かえって被害者が傷つくことを防ぐ

  • 軽微な犯罪への配慮
    被害者が許しているなら、処罰しなくてもよいと考える

  • 親族間トラブルへの配慮
    家庭内の問題に国家が介入しすぎないようにする

主な親告罪一覧

親告罪には「絶対的親告罪」と「相対的親告罪」があります。

絶対的親告罪

どのようなケースでも、告訴がなければ起訴できない犯罪です。

犯罪刑法
名誉毀損罪230条SNSでの誹謗中傷
侮辱罪231条公然と人を侮辱する
器物損壊罪261条車や窓ガラスを壊す
過失傷害罪209条うっかり人にケガをさせる
信書開封罪133条他人の手紙を勝手に開ける
秘密漏示罪134条医師・弁護士などが秘密を漏らす
私用文書毀棄罪259条他人の文書を破棄する
リベンジポルノ-私的な画像を無断で公開

相対的親告罪

犯人と被害者が一定の親族関係にある場合にのみ、告訴が必要となる犯罪です。

犯罪刑法
窃盗罪235条
詐欺罪246条
横領罪252条
恐喝罪249条
背任罪247条

たとえば、親族間の窃盗は親告罪ですが、他人による窃盗は非親告罪(告訴なしでも起訴可能)です。

非親告罪に改正されたもの

以前は親告罪だったが、法改正で非親告罪になった犯罪もあります。

犯罪改正時期
不同意性交等罪(旧・強制性交等罪)平成29年7月13日〜
不同意わいせつ罪(旧・強制わいせつ罪)平成29年7月13日〜
ストーカー規制法違反平成29年1月3日〜

これらの犯罪は、現在は被害者の告訴がなくても起訴されます。

告訴期間の計算方法

親告罪には告訴期間があります。

この期間を過ぎると、告訴ができなくなります。

原則として、犯人を知った日から6ヶ月以内が目安です(刑事訴訟法235条1項)。

「犯人を知った日」とは

告訴権者が、犯人が誰であるかを知った日を指します。

犯人の氏名や住所まで詳しく知っている必要はありません。

「この人が犯人だ」と他の人と区別できれば、「犯人を知った」ことになります。

期間の計算方法

  • 起算点
    一般的には、犯罪行為が終了した後に犯人を知った日とされます

  • 初日不算入
    犯人を知った日は期間に含まない(翌日から計算)

  • 末日が土日祝日の場合
    翌平日が期限日となる

例:
4月1日に犯人を知った場合
→ 告訴期限は10月1日(初日不算入で翌日から6ヶ月)

起算点の判断が難しいケース

以下のようなケースでは、起算点の判断が複雑になる可能性があります。

  • 継続的な行為(SNSへの複数回の投稿など)
  • 犯人特定の経緯が複雑な場合
  • 投稿が削除されずに残っている場合
注意

起算点の判断に迷う場合は、早めに警察・検察・弁護士へ相談してください。
6ヶ月を過ぎてから「実はまだ期間内だった」と判明しても、取り返しがつきません。

告訴期間を過ぎたらどうなる?

親告罪の場合

  • 告訴期間(6ヶ月)を過ぎると告訴できなくなる
  • 告訴がなければ検察官は起訴できない
  • つまり、加害者は刑事処罰を受けない

非親告罪の場合

  • 告訴期間の制限はない
  • 公訴時効が完成するまでは告訴可能

親告罪の被害を受けた場合は、6ヶ月という期限を強く意識してください。

迷っている間に期限を過ぎてしまうと、取り返しがつきません。

告訴が受理されないときの対処法

「告訴状を持っていったのに受理してもらえなかった」というケースは少なくありません。

対処法を知っておきましょう。

よくある受理拒否の理由

警察が告訴状の受理を渋る理由として、以下のようなものがあります。

  • 「まず被害届を出してください」
  • 「証拠が不十分です」
  • 「民事で解決した方がいいのでは」
  • 「犯罪に該当するか微妙です」
  • 「相手の連絡先がわからないと難しい」
重要

法律上、警察には告訴を受理する義務があります(犯罪捜査規範63条1項)。

しかし実際には、上記のような理由で受理を断られることがあります。

対処法

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告訴が受理されない場合、以下の対処法を検討してください。

1. 証拠を補強する

警察が「証拠不十分」と言う場合、追加の証拠を集めましょう。

  • 写真、録音、メール、SNSの記録
  • 目撃者の証言
  • 診断書(傷害の場合)
  • 時系列をまとめた経緯書

2. 弁護士に依頼する

弁護士が同席すると、告訴の受理率は大幅に向上します。

弁護士が法的に正確な告訴状を作成し、警察との交渉も代行してくれます。

費用はかかりますが、確実に受理させたい場合は弁護士への依頼を検討しましょう。

3. 検察庁に直接提出する

警察で受理されない場合、検察庁に直接告訴状を提出することもできます。

刑事訴訟法241条1項では、告訴は「検察官又は司法警察員」に対して行うと定められており、検察庁への提出は法律上認められています。

4. 公安委員会に苦情を申し立てる

警察が正当な理由なく告訴を受理しない場合、都道府県公安委員会に文書で苦情を申し立てることができます(警察法79条)。

苦情申出書には、以下の事項を記載する必要があります。

  • 申出人の氏名・住所
  • 職務執行の日時・場所
  • 具体的な不利益・不満の内容

公安委員会は警察を管理する機関であり、苦情があれば警察に対応を求めます。

苦情を申し立てた後、警察の対応が変わったというケースも報告されています。

告訴の取り消し・取り下げ

一度行った告訴を取り消すことはできるのでしょうか。

取り消しの条件

告訴は、公訴提起(起訴)前まで取り消すことができます(刑事訴訟法237条1項)。

起訴された後は、告訴を取り消すことはできません。

取り消しの方法

告訴を取り消すには、「告訴取消書」を捜査機関に提出します。

告訴取消書には以下を記載します。

  • 告訴人の氏名・住所
  • 告訴を取り消す旨の意思表示
  • 署名押印

取り消し後の再告訴

一度告訴を取り消すと、同じ事件について再び告訴することはできません(刑事訴訟法237条2項)。

これは、国家の刑罰権が個人の意向で何度も左右されることを防ぐためです。

告訴の取り消しは、取り返しのつかない決断です。

慎重に判断してください。

示談と告訴取り消し

加害者との示談交渉では、示談の条件として告訴の取り消しを求められることがあります。

親告罪の場合

  • 告訴を取り消すと、検察官は起訴できなくなる
  • つまり、示談で告訴を取り消せば、加害者は刑事処罰を免れる

非親告罪の場合

  • 告訴を取り消しても、検察官の起訴判断には直接影響しない
  • ただし、被害者の処罰感情がないことは、不起訴の一因となりうる

示談を受け入れるかどうかは、慎重に判断してください。

弁護士に相談することをおすすめします。

よくある質問(FAQ)

告訴に関するよくある質問をまとめました。

Q. 告訴状は自分で書けますか?

A. 書くことはできますが、難易度は高めです。

犯罪の構成要件に沿った記述が求められるため、法律の知識がないと適切な告訴状を作成するのは難しいでしょう。

自分で書いた告訴状は受理されにくいリスクもあります。

可能であれば弁護士に依頼するか、少なくとも弁護士会の法律相談で書き方のアドバイスを受けることをおすすめします。

Q. 匿名で告訴できますか?

A. 原則として匿名での告訴はできません。

告訴状には告訴人の氏名・住所を記載し、署名押印する必要があります(刑事訴訟規則60条)。

Q. 犯人がわからなくても告訴できますか?

A. はい、犯人が不明でも告訴は可能です。

告訴状の被告訴人欄には「氏名不詳」「住所不詳」と記載できます。

ただし、捜査の手がかりとなる情報はできるだけ記載しましょう。

  • 犯行時の身体的特徴(性別、年齢層、体格、服装など)
  • 犯行の日時・場所
  • 使用された車両のナンバーや特徴
  • SNSアカウント名やメールアドレス
  • 防犯カメラの有無

これらの情報をもとに、警察が捜査を行い犯人を特定することになります。

犯人不明のまま告訴しても、証拠が乏しいと捜査が進まない可能性があります。

告訴前に、できる限りの情報・証拠を集めておくことが重要です。

Q. 告訴したら相手に知られますか?

A. 捜査の過程で、相手に告訴の事実は伝わります。

被告訴人(加害者)は取り調べを受ける際に、誰が告訴したのかを知ることになるのが一般的です。

Q. 告訴しても不起訴になることはありますか?

A. あります。

告訴が受理され、捜査が行われても、検察官が起訴しないケースは珍しくありません。

不起訴の理由としては、以下のようなものがあります。

  • 証拠不十分(嫌疑不十分)
  • 犯罪が成立しない(嫌疑なし)
  • 起訴するほどではない(起訴猶予)

不起訴処分に納得できない場合は、検察審査会に審査を申し立てることができます。

Q. 告訴と民事訴訟は別ですか?

A. 別の手続きです。

告訴(刑事手続き)

  • 加害者に刑罰(懲役、罰金など)を科すための手続き
  • 被害者に金銭的な賠償は直接もたらされない

民事訴訟

  • 加害者に損害賠償を請求する手続き
  • 被害の回復(金銭賠償)を目的とする

犯罪被害を受けた場合、加害者の処罰を求めるなら告訴、金銭的な賠償を求めるなら民事訴訟という形で、両方の手続きを並行して進めることも可能です。

Q. 被害届と告訴、どちらを出せばいいですか?

A. 状況によります。

  • 加害者の処罰を強く望む場合:
    → 告訴
  • 親告罪の被害を受けた場合:
    → 告訴(必須)
  • まず事実を届け出たい場合:
    → 被害届
  • 警察に相談しながら決めたい場合:
    → まず被害届を出し、その後告訴を検討

被害届を出した後でも、告訴に切り替えることは可能です。

親告罪の場合は告訴期間(6ヶ月)に注意してください。

まとめ

この手続ガイドでは、告訴のやり方を解説しました。

最後にポイントを整理します。

告訴のポイント

  • 告訴とは
    加害者の処罰を求める意思表示。被害届とは法的効果が異なる

  • 告訴できる人
    被害者本人、法定代理人、被害者死亡時の親族

  • 提出先
    警察署または検察庁

  • 費用
    手続き自体は無料。弁護士に依頼する場合は3万〜50万円程度

親告罪の注意点

  • 名誉毀損罪、侮辱罪、器物損壊罪などは親告罪
  • 告訴期間は犯人を知った日から6ヶ月
  • 期間を過ぎると告訴できず、加害者は処罰されない

告訴を成功させるために

  • 証拠を十分に集める
  • 告訴状を正確に作成する(弁護士への依頼も検討)
  • 受理されない場合は、検察庁や公安委員会を活用

犯罪被害に遭い、加害者を処罰してほしいと考えている方は、早めに行動することが大切です。

特に親告罪の場合は6ヶ月という期限があります。

迷っている方は、まず弁護士会の法律相談を利用してみてください。

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