iDeCoとは?始め方・掛金上限・デメリットまでわかりやすく解説
「老後のお金が不安…でも何から始めればいいかわからない」
「iDeCo(イデコ)って節税になるって聞くけど、本当にお得なの?」
「NISAとの違いは?どっちを優先すべき?」
このような疑問を抱えていませんか?
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分で積み立てて運用し、老後に受け取る「自分で作る年金」です。
掛金(かけきん)が全額所得控除になるため、毎年の税金が安くなる大きなメリットがあります。
この手続ガイドでは、iDeCoの基本から始め方、掛金の上限、デメリット、受け取り方まで、初心者の方にもわかりやすく解説します。
1. iDeCoとは?基本をわかりやすく解説
1-1. iDeCoは「自分で作る年金」
iDeCo(イデコ)は「Individual-type Defined Contribution pension plan」の略で、日本語では「個人型確定拠出年金」といいます。
簡単にいうと、自分で掛金を積み立て、自分で運用し、60歳以降に受け取る私的年金制度です。
国民年金や厚生年金といった公的年金に上乗せして、老後の資産を自分で準備できる仕組みとして国が用意しています。
なお、厚生年金に20年以上加入した方で年下の配偶者や子がいる場合は、「加給年金」という上乗せ制度もあります。公的年金の上乗せを最大限活用したうえで、iDeCoでさらに資産を上乗せするのが効果的です。
iDeCoの基本的な仕組み
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 運営主体 | 国民年金基金連合会 |
| 掛金 | 月5,000円〜(1,000円単位で設定可能) |
| 運用方法 | 自分で運用商品を選択(定期預金・投資信託など) |
| 受取開始 | 60歳以降(加入期間により異なる) |
| 引き出し | 60歳まで原則不可 |
iDeCoの最大の特徴は、自分で運用商品を選べる点です。
安全重視の定期預金から、リターンを狙う投資信託まで、自分のリスク許容度に合わせて選択できます。
1-2. iDeCoの3つの税制メリット
iDeCoには、3つの段階で税制優遇があります。
これがiDeCoが「節税になる」と言われる理由です。
メリット1: 掛金が全額所得控除
iDeCoに拠出した掛金は、全額が「小規模企業共済等掛金控除」の対象となります。
つまり、課税所得が減るため、所得税と住民税が安くなります。
例えば、月23,000円(年間276,000円)を拠出している会社員の場合、年収に応じて年間数万円の節税になります。
| 年収(目安) | 所得税率 | 年間節税額(月23,000円拠出時) |
|---|---|---|
| 330万円〜695万円 | 20% + 住民税10% | 約82,800円 |
| 695万円〜900万円 | 23% + 住民税10% | 約91,000円 |
| 900万円〜1,800万円 | 33% + 住民税10% | 約118,600円 |
メリット2: 運用益が非課税
通常、投資で得た利益(運用益)には約20%の税金がかかります。
しかし、iDeCoで運用して得た利益は非課税です。
例えば、30年間の運用で100万円の利益が出た場合、通常は約20万円の税金がかかりますが、iDeCoなら税金はゼロ。
この差は、長期運用するほど大きくなります。
メリット3: 受取時も税制優遇
iDeCoの資産を受け取るときにも、税制優遇があります。
-
一時金で受け取る場合
「退職所得控除」が適用され、大きな控除を受けられます。 -
年金として受け取る場合
「公的年金等控除」が適用されます。
ただし、退職金と合わせて受け取ると控除枠を超える場合があるため、「出口戦略」が重要です(詳しくは「6. iDeCoの受け取り方と出口戦略」のセクションで解説します)。
1-3. iDeCoとNISAの違い
「iDeCoとNISA、どっちを始めればいいの?」という疑問は非常に多いです。
どちらも税制優遇のある投資制度ですが、目的や特徴が異なります。
iDeCoとNISAの比較表
| 項目 | iDeCo | NISA(新NISA) |
|---|---|---|
| 目的 | 老後資金の準備 | 資産形成全般 |
| 所得控除 | あり(全額控除) | なし |
| 運用益非課税 | あり | あり |
| 受取時の税金 | 退職所得控除等の適用 | なし |
| 引き出し | 60歳まで原則不可 | いつでも可能 |
| 年間拠出上限 | 14.4万〜81.6万円(加入者区分による) | 360万円 |
| 生涯投資枠 | なし | 1,800万円 |
どちらを優先すべき?
結論から言うと、両方活用するのがベストです。
ただし、資金に限りがある場合の優先順位の考え方は以下のとおりです。
iDeCoを優先したほうがいい人
- 所得税率が高い(年収が高い)
- 60歳まで資金を使う予定がない
- 節税効果を最大化したい
NISAを優先したほうがいい人
- 近い将来に使う可能性がある資金
- まだ収入が少なく、所得控除のメリットが小さい
- 資金の流動性を重視したい
両方できるなら両方やる
- NISAで資産形成しつつ、iDeCoで節税と老後資金を確保
NISAについて詳しくは、「 証券口座開設の完全ガイド - NISA対応の始め方と必要書類 」の手続きガイドで解説しています。
2. iDeCoのデメリット・注意点
iDeCoにはメリットだけでなく、注意すべきデメリットもあります。
始める前にしっかり理解しておきましょう。
2-1. 60歳まで原則引き出せない
iDeCoの最大のデメリットは、60歳になるまで積み立てた資産を引き出せないことです。
病気、失業、住宅購入など、どんな理由があっても原則として引き出しできません。
そのため、以下の点に注意が必要です。
- 生活費に余裕がない状態で始めない
- 教育費など近い将来必要な資金は別で確保する
- 「絶対に使わない老後資金」として割り切る
掛金の減額・停止は可能
資金繰りが厳しくなった場合は、掛金を減額したり、一時的に拠出を停止することはできます。
- 減額
1,000円単位で減額でき、最小で月5,000円まで設定可能です。 - 停止
月5,000円未満にしたい場合は、拠出を停止して「運用指図者」になります。
運用指図者とは、新たな掛金を拠出せず、これまでの資産の運用のみを行う状態です。
停止・再開はいつでも可能です。
ただし、すでに積み立てた資産は60歳まで引き出せません。
2-2. 手数料がかかる
iDeCoには、加入時・毎月・給付時に手数料がかかります。
iDeCoの手数料一覧
| タイミング | 手数料の内訳 | 金額 |
|---|---|---|
| 加入時 | 国民年金基金連合会への手数料 | 2,829円 |
| 毎月 | 国民年金基金連合会への手数料 | 105円 |
| 毎月 | 事務委託先金融機関への手数料 | 66円 |
| 毎月 | 運営管理機関への手数料 | 0円〜数百円 |
| 給付時 | 事務委託先金融機関への手数料 | 440円/回 |
毎月の手数料は最低でも171円かかります(105円 + 66円)。
運営管理機関への手数料は金融機関によって異なり、SBI証券や楽天証券など大手ネット証券では0円のところもあります。
金融機関選びで手数料に差が出るため、しっかり比較しましょう。
2-3. 元本割れリスクがある
iDeCoで投資信託を選んだ場合、元本割れのリスクがあります。
つまり、運用次第では積み立てた金額より資産が減る可能性があるということです。
リスクを抑える方法
-
元本確保型商品を選ぶ
定期預金や保険商品は原則として元本が確保されます。
ただし、利回りが低く、手数料負けする可能性もあります。 -
長期・分散投資を心がける
投資信託を選ぶ場合は、長期間コツコツ積み立てることでリスクを軽減できます。
バランス型投資信託を選ぶのも一つの方法です。
2-4. 受取時に課税される場合がある
iDeCoは「受取時も税制優遇」とお伝えしましたが、退職金と合わせると課税される場合があります。
会社からの退職金とiDeCoを同じ年に一時金で受け取ると、退職所得控除の枠を超えて課税対象になることがあります。
詳しい受け取り方は、「6. iDeCoの受け取り方と出口戦略」のセクションで解説します。
3. iDeCoの掛金上限と節税効果
3-1. 加入者区分別の掛金上限
iDeCoの掛金上限は、あなたの働き方(加入者区分)によって異なります。
2024年12月の制度改正で、公務員や企業年金に加入している会社員の上限額が引き上げられました。
以下のドロップダウンから、あなたの働き方を選んで上限額を確認してください。
3-2. いくらから始めるべき?
iDeCoは月5,000円から始められます。
掛け金設定のポイント
-
無理のない金額から
60歳まで引き出せないため、生活に影響しない範囲で設定しましょう。 -
上限まで出す必要はない
上限はあくまで「最大」です。
まずは月5,000〜10,000円から始めて、余裕が出てきたら増額するのがおすすめです。 -
掛け金は年1回変更可能
12月〜翌年11月を1年として、年1回まで掛け金を変更できます。
3-3. 年末調整での控除申請
会社員の方は、年末調整でiDeCoの掛け金控除を申請できます。
申請の流れ
-
10月〜11月頃
国民年金基金連合会から「小規模企業共済等掛金払込証明書」が届く -
年末調整時
会社から配られる「給与所得者の保険料控除申告書」に記入し、払込証明書を添付して提出
- 12月の給与または1月
年末調整で還付される
自営業の方は、確定申告で控除を申請します。
4. iDeCoの始め方(口座開設の手順)
ここからは、実際にiDeCoを始める手順を解説します。
4-1. 加入資格を確認する
まず、自分がiDeCoに加入できるか確認しましょう。
iDeCoに加入できる人
| 対象者 | 年齢条件 |
|---|---|
| 国民年金の第1号被保険者(自営業者等) | 20歳以上60歳未満 |
| 国民年金の第2号被保険者(会社員・公務員) | 65歳未満 |
| 国民年金の第3号被保険者(専業主婦・主夫) | 20歳以上60歳未満 |
| 国民年金の任意加入被保険者 | 60歳以上65歳未満 |
iDeCoに加入できない人
- iDeCoの老齢給付金を受給したことがある方
- 老齢基礎年金を繰り上げ受給している方
- 国民年金保険料の納付を免除されている方(第1号被保険者の場合)
- 農業者年金の被保険者(第1号被保険者の場合)
4-2. 金融機関(運営管理機関)を選ぶ
iDeCoは、金融機関(運営管理機関)で口座を開設します。
金融機関によって、手数料と運用商品のラインナップが異なるため、しっかり比較しましょう。
金融機関選びのポイント
-
運営管理機関手数料
毎月かかる手数料です。
0円の金融機関を選ぶのがおすすめです。 -
運用商品のラインナップ
投資信託の種類や信託報酬(運用コスト)を確認しましょう。
低コストのインデックスファンドが揃っているかがポイントです。 -
使いやすさ・サポート
Webサイトやアプリの使いやすさ、問い合わせ対応なども考慮しましょう。
主要金融機関の比較
| 金融機関 | 運営管理手数料(月額) | 運用商品数 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| SBI証券 | 0円 | 約38本 | 低コストファンドが充実 |
| 楽天証券 | 0円 | 約36本 | 楽天ポイント連携 |
| マネックス証券 | 0円 | 約27本 | 商品厳選でわかりやすい |
| 松井証券 | 0円 | 約40本 | サポートが充実 |
※商品数・手数料は2025年12月時点の情報です。最新情報は各社サイトでご確認ください。
証券会社の選び方について詳しくは、「 証券口座開設の完全ガイド - NISA対応の始め方と必要書類 」の手続ガイドもご参照ください。
4-3. 口座開設を申し込む
金融機関が決まったら、iDeCo口座の開設を申し込みます。
申込みの流れ
-
金融機関のWebサイトで申込み
必要事項を入力し、申込書類を請求します。
多くの金融機関ではオンラインで申込みが完結できます。
※2025年10月から「e-iDeCoサービス」が開始され、加入後の各種届出がオンラインでできるようになりました。 -
届いた書類に記入・返送
本人確認書類のコピーを同封して返送します。
※オンライン申込みの場合は、書類の郵送不要で完結する金融機関もあります。 -
国民年金基金連合会による審査
加入資格の確認が行われます(1〜2ヶ月程度)。 -
口座開設完了の通知
審査完了後、「加入者資格通知書」などが届きます。 -
掛金の引き落とし開始
指定した口座から毎月掛金が引き落とされます。
必要書類
- マイナンバーカードがある場合
マイナンバーカード1枚で本人確認とマイナンバー確認の両方が完了します。 - マイナンバーカードがない場合
本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)と、マイナンバー確認書類(通知カード、マイナンバー記載の住民票など)の両方が必要です。 - 掛金引落口座の届出書
4-4. 会社員・公務員の手続き
2024年12月の大きな改正ポイントがあります。
事業主証明書が原則不要に
以前は、会社員・公務員がiDeCoに加入する際、勤務先に「事業主証明書」を記入してもらう必要がありました。
2024年12月から、個人払込(口座振替)の場合は事業主証明書が不要になりました。
これにより、勤務先に書類作成を依頼する手間がなくなり、手続きが簡単になりました。
事業主払込(給与天引き)の場合
掛金を給与から天引きしてもらう「事業主払込」を選ぶ場合は、勤務先の対応が必要です。
事業主払込を希望する場合は、加入前に勤務先の人事・総務部門に確認しましょう。
その他の届出が必要な場合
以下の場合は、引き続き届出が必要です。
- 転職した場合(登録事業所の変更届)
- 企業型DCに加入した場合
- 掛金の上限に影響する変更があった場合
年末調整で控除を申請する際には、会社に「小規模企業共済等掛金払込証明書」を提出するため、その時点でiDeCo加入は伝わります。
5. 運用商品の選び方
iDeCo口座を開設したら、次は運用商品を選びます。
5-1. 元本確保型と投資信託の違い
iDeCoで選べる運用商品は、大きく2種類あります。
元本確保型
- 定期預金・保険商品など
- 原則として元本が保証される
- 利回りは低い(年0.01%程度のことも)
- 手数料負けの可能性がある
投資信託
- 株式・債券などに分散投資する商品
- 元本保証なし(元本割れリスクあり)
- 長期的には高いリターンが期待できる
- 信託報酬(運用コスト)がかかる
5-2. リスク許容度別の選び方
リスク許容度に応じた商品選びの考え方です。
安全重視タイプ
- 元本確保型を中心に
- 投資信託を入れるなら債券型やバランス型
- 大きなリターンは期待しない
バランス重視タイプ
- バランス型投資信託がおすすめ
- 株式と債券に分散投資される
- 中程度のリスクで安定した運用
積極運用タイプ
- 株式型投資信託を中心に
- 国内株式型、外国株式型、全世界株式型など
- リスクは高いが、長期ではリターンが期待できる
商品選びのポイント
-
信託報酬(運用コスト)を確認
年0.1〜0.2%程度の低コストインデックスファンドがおすすめです。 -
長期投資を前提に
iDeCoは60歳まで運用するため、短期的な値動きに一喜一憂しないことが大切です。
5-3. スイッチング(運用商品の変更)
運用を始めた後でも、商品の変更は可能です。
スイッチングとは
今持っている商品を売却し、別の商品を購入することです。
- 手数料:
基本的に無料(一部商品で信託財産留保額がかかる場合あり) - 回数制限:
基本的になし - 反映時期:
申込みから数日〜1週間程度
配分変更とは
今後の掛け金で購入する商品の割合を変更することです。
スイッチングとは異なり、すでに持っている商品は変わりません。
6. iDeCoの受け取り方と出口戦略
iDeCoは「始め方」だけでなく、「受け取り方」も重要です。
6-1. 3つの受け取り方法
iDeCoの資産は、以下の3つの方法で受け取れます。
一時金として受け取る
- 60歳〜75歳の間に一括で受け取る
- 「退職所得控除」が適用される
- 勤続年数(加入期間)に応じた控除額
年金として受け取る
- 5年以上20年以下の有期年金(金融機関により異なる)
- 「公的年金等控除」が適用される
- 毎年の受取額に応じて控除が適用される
年金の受取回数は選択可能
金融機関によって選べる回数は異なりますが、一般的には以下から選択できます。
| 受取回数 | 受取月(例) |
|---|---|
| 年1回 | 12月 |
| 年2回 | 6月・12月 |
| 年4回 | 3月・6月・9月・12月 |
| 年6回 | 2月・4月・6月・8月・10月・12月 |
※毎月受け取れる金融機関は少数です。詳細は加入先の金融機関にご確認ください。
一時金と年金の併用
- 一部を一時金、残りを年金で受け取る
- 両方の控除を使い分けられる
- 受取計画を立てる必要がある
6-2. 受給開始年齢
iDeCoの受給開始年齢は、通算加入者等期間によって異なります。
| 通算加入者等期間 | 受給開始可能年齢 |
|---|---|
| 10年以上 | 60歳から |
| 8年以上10年未満 | 61歳から |
| 6年以上8年未満 | 62歳から |
| 4年以上6年未満 | 63歳から |
| 2年以上4年未満 | 64歳から |
| 1年以上2年未満 | 65歳から |
60歳以上で初めてiDeCoに加入した場合は、加入から5年経過後に受給可能です。
6-3. 退職金がある場合の注意点
会社から退職金を受け取る予定がある方は、iDeCoとの受け取りタイミングに注意が必要です。
退職所得控除の基本
一時金で受け取る場合、「退職所得控除」が適用されます。
| 勤続年数(加入期間) | 退職所得控除額 |
|---|---|
| 20年以下 | 40万円 × 勤続年数(最低80万円) |
| 20年超 | 800万円 + 70万円 ×(勤続年数 - 20年) |
例えば、iDeCoに30年加入した場合の控除額は:
800万円 + 70万円 ×(30年 - 20年)= 1,500万円
退職金とiDeCoを同時に受け取ると
退職金とiDeCoの一時金を同じ年に受け取ると、控除枠を共有することになります。
その結果、控除枠を超えた分に課税される可能性があります。
受け取り時期をずらして節税する
退職所得控除には「重複排除期間」というルールがあります。
-
退職金を先に受け取る場合
退職金受取から20年以内にiDeCoを一時金で受け取ると、iDeCo側の退職所得控除が調整(減額)されます。
→ 20年を超えてからiDeCoを受け取れば、それぞれ満額の控除を使える可能性があります。 -
iDeCoを先に受け取る場合
iDeCo受取から5年以内に退職金を受け取ると、退職金側の退職所得控除が調整されます。
→ 5年を超えてから退職金を受け取れば、それぞれ満額の控除を使える可能性があります。
例えば、60歳でiDeCoを一時金で受け取り、65歳以降に退職金を受け取る(5年超経過)という方法が考えられます。
ただし、このルールは複雑で、制度変更の可能性もあるため、受取時には税理士やFPに相談することをおすすめします。
7. 転職時の手続き
iDeCoはポータビリティ(持ち運び)ができる制度です。
転職しても資産は引き継げます。
7-1. 転職先に企業型DCがある場合
転職先で企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入する場合、以下の選択肢があります。
-
iDeCoを企業型DCに移換
iDeCoの資産を企業型DCに移し、一本化する -
iDeCoと企業型DCを併用
両方で積み立てを続ける(掛金上限に注意)
転職先の人事部門に確認し、どちらが有利か検討しましょう。
7-2. 転職先に企業型DCがない場合
転職先に企業型DCがない場合は、iDeCoを継続できます。
ただし、以下の届出が必要な場合があります。
- 登録事業所の変更届(2024年12月以降は簡素化)
- 掛金上限の変更届
7-3. 手続きを放置するとどうなる?
転職・退職後、6ヶ月以内に手続きをしないと、資産が国民年金基金連合会に自動移換されます。
自動移換のデメリット
- 運用ができない(現金のまま放置)
- 毎月の管理手数料がかかる(月98円)
※2026年4月1日に手数料が改定されました(月52円→月98円)。
詳細はiDeCo公式サイトでご確認ください。 - 受給開始が遅れる可能性(自動移換期間は加入期間に算入されない)
転職・退職したら、必ず6ヶ月以内に手続きを行いましょう。
8. よくある質問(FAQ)
Q1. iDeCoとNISA、どちらを先に始めるべき?
A. どちらも活用するのが理想ですが、資金に限りがある場合は以下のように考えましょう。
- 年収が高い方(所得税率20%以上):
→ iDeCoの節税効果が大きいのでiDeCo優先 - まだ収入が少ない方:
→ NISAの自由度を活かしてNISA優先 - 両方できる余裕がある方:
→ 両方やるのがベスト
Q2. 会社にバレずにiDeCoを始められる?
A. 個人払込(口座振替)であれば、加入時の会社への届出は不要です。
2024年12月から、個人払込の場合は「事業主証明書」が不要になりました。
ただし、年末調整で控除を申請する際には、払込証明書を会社に提出するため、その時点で加入していることは伝わります。
Q3. 途中で掛金を変更・停止できる?
A. 可能です。
- 掛金の変更:
年1回まで変更可能(12月〜翌年11月の期間で1回) - 掛金の停止:
いつでも可能(「運用指図者」になる) - 掛金の再開:
いつでも可能
ただし、すでに積み立てた資産は60歳まで引き出せません。
Q4. iDeCoで損をすることはある?
A. 投資信託を選んだ場合、元本割れのリスクはあります。
ただし、以下の点を理解しておきましょう。
- 元本確保型商品を選べば、元本割れは基本的にない
- 長期投資では、短期的な値下がりは回復する傾向がある
- 節税効果を考慮すると、多少の元本割れでもトータルでプラスになることが多い
Q5. 専業主婦でもiDeCoのメリットはある?
A. 所得控除のメリットはありませんが、以下のメリットがあります。
- 運用益が非課税
- 受取時に退職所得控除・公的年金等控除が使える
- 自分名義の老後資産を持てる
ただし、所得控除がない分、NISAを優先したほうが有利なケースが多いです。
Q6. 転職が多い場合、iDeCoは面倒?
A. 以前より大幅に手続きが簡素化されています。
- 2024年12月から事業主証明書が不要に(個人払込の場合)
- 企業型DCがない会社への転職なら、ほぼ継続可能
- 資産はポータビリティで引き継げる
転職のたびに6ヶ月以内の届出は必要ですが、資産が消えることはありません。
Q7. 掛金の引き落としができなかった月は追納できる?
A. 追納はできません。
残高不足などで口座振替ができなかった場合、その月は未納扱いとなります。
- 後からまとめて納付する「追納」の制度はありません
- 未納月は通算拠出期間にも含まれません
- 所得控除も受けられません
毎月の引き落とし日(原則26日)には、口座残高に余裕を持たせておきましょう。
Q8. 運用益(売却益)はいつ確定する?
A. 受け取り方法によって異なります。
一時金で受け取る場合
受取時に運用商品を一括で売却するため、その時点で運用益が確定します。
- 受取日の基準価額で全資産が売却される
- 相場が良いタイミングで受け取れば利益が大きくなる
- 逆に相場が悪いタイミングだと損失が確定するリスクも
年金で受け取る場合
毎回の受取時に、その都度売却が行われ、運用益が分割で確定します。
- 受取回数は金融機関によって年1回、年2回、年4回、年6回などから選択可能
- 例えば年6回受取なら、2ヶ月ごとに必要な分だけ売却
- 各回の受取時点の基準価額で評価される
- まだ受け取っていない部分は引き続き運用が継続
どちらが有利?
| 受取方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 一時金 | 好相場なら利益を最大化できる | 受取時の相場に左右されやすい |
| 年金 | 相場変動リスクを分散できる | 受取期間中の下落で総額が減る可能性 |
相場のタイミングを読むのは難しいため、併用(一部を一時金、残りを年金)でリスク分散する方法もあります。
まとめ
iDeCoは、節税しながら老後資金を準備できるお得な制度です。
iDeCoのポイントまとめ
- 掛金が全額所得控除:
→ 毎年の税金が安くなる - 運用益が非課税:
→ 効率よく資産を増やせる - 60歳まで引き出せない:
→ 確実に老後資金になる(デメリットでもある)
iDeCoを始めるステップ
- 加入資格を確認する
- 金融機関(運営管理機関)を選ぶ
- 口座開設を申し込む
- 運用商品を選ぶ
- 掛金の引き落としが始まる
iDeCoは早く始めるほど複利効果で有利になり、節税効果も長く享受できます。
まずは無理のない金額から始めて、老後の安心を積み立てていきましょう。
APPENDIX: e-iDeCoサービスとは
2025年10月から、iDeCoの各種変更届をオンラインで行える「e-iDeCoサービス」がスタートしました。
これまで紙の届出書を郵送する必要があった手続きが、スマホやパソコンから簡単にできるようになっています。
e-iDeCoサービスでできること
1. 控除証明書の電子データ受け取り
年末調整や確定申告で使う「小規模企業共済等掛金払込証明書」を電子データで受け取れます。
- お勤め先の年末調整で電子データが使える場合に便利
- e-Tax(国税電子申告・納税システム)での確定申告にも対応
- 紙のハガキを紛失しても、電子データで代用可能
2. 各種変更届のオンライン申請(2025年10月〜順次対応)
以下の届出がオンラインで申請できます。
| 届出の種類 | 内容 |
|---|---|
| 住所・氏名変更 | 住所・氏名・電話番号の変更。マイナンバーカードから情報を取得して登録も可能 |
| 掛金額変更 | 毎月の掛金額の変更。画面上で拠出限度額を確認しながら設定可能 |
| 掛金引落金融機関変更 | 掛金が引き落とされる銀行口座の変更 |
| 掛金の納付方法変更 | 個人払込(口座振替)と事業主払込(給与天引き)の切り替え |
※運営管理機関(金融機関)によっては、まだ対応していない場合があります。順次拡大中です。
e-iDeCoサービスのメリット
-
24時間いつでも手続き可能
紙の届出書を取り寄せて記入・郵送する手間が不要 -
現在の登録状況を確認しながら変更できる
今の掛金額や住所などを画面上で確認してから変更可能 -
手続きの進捗状況がわかる
申請が「処理中」なのか「完了」したのか、メールとログイン画面で確認可能
e-iDeCoサービスの利用に必要なもの
e-iDeCoサービスを利用するには、以下の準備が必要です。
- マイナンバーカード
- スマートフォンまたはICカードリーダー付きパソコン
- 利用者証明用電子証明書パスワード(数字4桁)
- 券面事項入力補助用パスワード(数字4桁)
届出の種類によっては、添付書類の画像ファイルが必要になる場合もあります。
e-iDeCoサービスの利用手順
-
アカウントを作成する
iDeCo公式サイトの「e-iDeCoについて」からアクセスし、アカウントを作成 -
マイナンバーカードで本人確認
スマホまたはICカードリーダーでマイナンバーカードを読み取り -
必要な届出を選択して申請
画面の案内に従って入力・申請 -
完了通知を確認
メールまたはログイン後の画面で手続き完了を確認
e-iDeCoサービスへのアクセス
e-iDeCoサービスは、iDeCo公式サイトからアクセスできます。
e-iDeCoサービス:
e-iDeCoサービス
サービス利用の手引き(PDF):
iDeCo公式サイト ライブラリページから「e-iDeCoサービス サービス利用の手引き」をダウンロード
問い合わせ先
e-iDeCoサービスについてわからないことがあれば、以下にお問い合わせください。
国民年金基金連合会 コールセンター
電話: 0570-003-105
受付時間: 平日 9:00〜17:00(土日祝日、年末年始は利用不可)
または、ご加入の運営管理機関(金融機関)の問い合わせ窓口でも対応しています。
