不登校の出席扱い制度とは?フリースクール・自宅学習の要件と手続き
「フリースクールに通っているけど、出席日数はどうなるの?」
「自宅学習でも出席扱いにできるって本当?」
「出席扱いの手続きはどこに相談すればいいの?」
——不登校のお子さんを持つ保護者にとって、出席日数や進路への影響は大きな不安です。
出席扱い制度は、フリースクールや自宅でのICT学習を在籍校の出席日数に加算できる文部科学省の通知に基づく仕組みです。
この手続きガイドでは、出席扱い制度の要件・手続きの流れ・内申や高校受験への影響まで、はじめての方にもわかるように解説します。
1. 出席扱い制度とは?文部科学省が認める仕組み
出席扱い制度とは、不登校の児童生徒が学校外の施設や自宅で学習活動を行った場合に、一定の要件を満たせば指導要録上の出席日数として加算できる制度です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 根拠 | 文部科学省通知(令和元年10月25日) |
| 対象 | 義務教育段階(小学校・中学校)の不登校児童生徒 |
| 判断者 | 在籍校の校長 |
| 出席扱いの種類 | 学校外施設での活動 / 自宅でのICT学習 |
| 成績評価 | 要件を満たせば指導要録への反映も可能 |
| 高校生 | 対象外(別の取扱い通知あり) |
出席扱いには2つのパターンがあります。
- 学校外施設での活動
教育支援センターやフリースクールに通所して相談・指導を受けるケース - 自宅でのICT学習
ICT教材やオンライン授業を活用して自宅で学習するケース
それぞれ要件が異なるため、次のセクションから詳しく解説します。
文部科学省は2026年4月9日、出席扱い・成績評価に関する保護者向けリーフレットを公開しました。
要件や相談先がわかりやすくまとめられています。
文部科学省「不登校児童生徒の出席扱い・成績評価について」(保護者等向けPDF)から確認できます。
2. 学校外施設(フリースクール等)で出席扱いになる要件
フリースクールや教育支援センターなどの学校外施設に通っている場合、以下の要件を満たせば出席扱いとして認められます。
2-1. 4つの要件
- 保護者と学校の連携
保護者と在籍校との間に十分な連携・協力関係が保たれていること - 公的機関が原則
対象施設は教育委員会が設置する教育支援センター(適応指導教室)などの公的機関が原則です。
公的機関に通えない場合や指導の機会が得られない場合は、本人・保護者の希望もあり適切と判断されれば、民間施設(フリースクール等)も対象になります - 通所・入所が前提
施設に通所または入所して相談・指導を受けることが前提です - 学習の計画・内容が適切
学校外施設での学習の計画や内容が、在籍校の教育課程に照らして適切と判断されること
出席扱いにするかどうかは、在籍校の校長が教育委員会と連携して判断します。
フリースクールに通えば自動的に出席扱いになるわけではありません。
まずは在籍校に相談することが第一歩です。
2-2. 教育支援センターとフリースクールの違い
| 項目 | 教育支援センター(適応指導教室) | フリースクール |
|---|---|---|
| 設置主体 | 教育委員会(公的機関) | 民間団体・NPO等 |
| 費用 | 無料 | 月額数千円〜数万円(施設による) |
| 出席扱い | 認められやすい | 校長・教育委員会の判断が必要 |
| カリキュラム | 学校の教育課程に準拠 | 施設ごとに異なる |
| 相談先 | 教育委員会・在籍校 | 各施設に直接問い合わせ |
教育支援センターは公的機関のため、出席扱いが比較的認められやすい傾向にあります。
一方、フリースクールの場合は、文部科学省が示す「民間施設についてのガイドライン(試案)」を参考に、校長が教育委員会と連携して個別に判断します。
3. 自宅でのICT学習で出席扱いになる要件
外出が難しい場合は、自宅でのICT学習でも出席扱いが認められる場合があります。
ただし、学校外施設の場合よりも要件が多く設定されています。
3-1. 7つの要件
-
保護者と学校の連携
保護者と在籍校との間に十分な連携・協力関係が保たれていること -
ICT等を活用した学習活動
コンピュータ、インターネット、遠隔教育システム、郵送、FAXなどを活用した学習であること -
対面指導が定期的かつ継続的
訪問等による対面指導が定期的かつ継続的に行われることが前提です -
計画的な学習プログラム
児童生徒の学習理解の程度を踏まえた計画的な学習プログラムであること -
校長が学習状況を把握
校長は、対面指導の報告や連絡会などにより学習状況を十分に把握すること -
公的機関・民間施設に通えない場合が前提
ICT学習による出席扱いは、学校外の公的機関や民間施設に通えないような場合に行うものです -
成績評価に反映する場合は教育課程に照らし適切
学習の成果を評価に反映する場合には、教育課程に照らして適切であること
「不登校対応の教材を使えば自動的に出席扱いになる」という誤解がありますが、教材を使うだけでは出席扱いにはなりません。
学校との連携、定期的な対面指導、校長の承認など、すべての要件を満たす必要があります。
3-2. 対面指導を行う人
対面指導を行う者としては、以下が想定されています。
- 在籍校の教員
- スクールカウンセラー
- スクールソーシャルワーカー
- 教育支援センターの職員
- 教育委員会等の事前指導・研修を受けたボランティアスタッフ
3-3. 該当するICT学習の例
- 民間事業者が提供するICT教材(すらら、スタディサプリなど)
- パソコンで個別学習できるシステム
- 教育支援センター作成のICT教材
- 学校のプリントや通信教育
- ICT機器を活用した在籍校の授業配信(同時双方向型・オンデマンド型)
進研ゼミやZ会などの通信教育を自宅で取り組んでいるだけでは、要件3の「対面指導が定期的かつ継続的に行われること」を満たせないため、出席扱いの対象外となることが多いです。
通信教育を活用する場合でも、学校との連携や対面指導の体制を整えることが必要です。
4. 出席扱いの手続きの流れ
出席扱い制度を利用するための手続きを、ステップごとに解説します。
ステップ1: 在籍校の担任に相談
まず、在籍校の担任やスクールカウンセラーに「出席扱い制度を利用したい」と相談します。
学校外施設(フリースクール等)に通う場合は、施設の概要(活動内容、指導体制、学習計画など)を伝えましょう。
自宅でのICT学習の場合は、使用する教材や学習方法を説明します。
ステップ2: 校内での協議
学校側は、担任・管理職・スクールカウンセラー・教育相談担当などで協議します。
フリースクールの場合は、教育委員会とも連携して判断を行います。
ステップ3: 学習計画の作成・すり合わせ
学校と保護者(必要に応じてフリースクール)で、学習計画をすり合わせます。
学習計画に盛り込む内容の例は以下のとおりです。
- 使用する教材・学習ツール
- 1日・1週間の学習時間の目安
- 学習内容と教育課程との対応
- 出席日数の計算方法(通所日数、学習時間など)
- 報告の方法と頻度(活動報告書、振り返りカードなど)
ステップ4: 校長の承認・適用開始
校長が出席扱いを認めれば、適用が開始されます。
承認後は、指導要録の出席日数に出席扱いとした日数が加算されます。
ステップ5: 定期的な報告・振り返り
出席扱いの適用後も、定期的に学校へ報告を行うことが求められます。
- 施設の利用日・活動内容
- 本人の振り返り
- スタッフのコメント
- 学習の進捗状況
学校側が出席扱い制度を十分に把握していないケースもあります。
その場合は、文部科学省の通知ページを提示しながら相談すると、話し合いが進みやすくなります。
5. 出席扱いと成績評価(内申)の関係
出席扱い制度は「出席日数」に関する仕組みであり、成績評価(内申)とは別の判断が必要です。
5-1. 出席扱いでも成績が付かないことがある
出席扱いが認められても、在籍校のテストや課題に取り組めていない場合は、通知表の評定が「斜線(評価なし)」となることがあります。
つまり、出席扱い = 成績が付くではありません。
5-2. 学校外学習の成績評価が可能に
文部科学省の通知により、学校外での学習についても成績評価に反映できる仕組みが整備されています。
成績評価を受けるためには、以下の条件が求められます。
- 学習の計画・内容が在籍校の教育課程に照らして適切であること
- 学校と保護者・教育支援センター等との間に十分な連携協力体制が保たれていること
- 学校が定期的・継続的に学習活動の状況を把握していること
- 学校が訪問等による対面指導で児童生徒本人と直接関わりを継続していること
成績評価の方法は、学習履歴(ICT教材のログ等)、振り返りカード、テスト結果などをもとに判断されます。
成績評価は、すべての教科・観点について記載することが求められているわけではありません。
学習状況を文章で記述するなど、次年度以降の指導改善に生かす観点での記載が重要とされています。
5-3. 指導要録への記載
指導要録には、以下の内容が記載されます。
| 記載内容 | 説明 |
|---|---|
| 出席日数 | 出席扱いとした日数を含めた日数 |
| 備考欄 | 出席扱いとした日数の内数、通所した施設名 |
| 成績評価 | 評価可能な教科について観点別評価等を記載 |
6. 出席扱いが高校受験に与える影響
中学生の保護者にとって最も気になるのが、出席扱いが高校受験にどう影響するかです。
6-1. 調査書には欠席日数が記載される
出席扱いが認められた場合でも、高校受験時に提出する調査書(内申書)には実際の欠席日数が記載されます。
「出席扱い = 欠席がなくなる」というわけではない点に注意してください。
ただし、出席扱いとした日数は出席日数に加算されるため、「出席日数ゼロ」の状態よりは調査書の印象が改善されます。
6-2. 文部科学省は配慮を求めている
文部科学省は高等学校入学者選抜について、欠席日数のみをもって不利益な取扱いをしないよう配慮を求める通知を出しています。
実際に、不登校の生徒を対象とした以下のような配慮措置を設けている高校もあります。
- 不登校枠入試(特別選抜)
- 自己申告書や面接で学習状況を評価
- 別室受験への配慮
6-3. 進路の選択肢を広げるために
高校の進路は全日制だけではありません。
通信制高校や定時制高校は、出席日数や内申にとらわれず、自分のペースで学べる環境が整っています。
7. 出席扱いが認められない場合の対処法
校長が出席扱いを認めない場合でも、あきらめる必要はありません。
7-1. まず理由を確認する
出席扱いが認められなかった場合は、具体的にどの要件を満たしていないのかを学校に確認しましょう。
よくある理由には以下があります。
- フリースクールと学校の連携体制が不十分
- 学習計画の内容が教育課程と合っていない
- 学習状況の報告体制が整っていない
7-2. 教育委員会に相談する
学校との話し合いが進まない場合は、教育委員会に相談することも有効です。
教育委員会は、域内の出席扱いに関するガイドラインを策定している場合があり、学校に対して適切な対応を促すことができます。
7-3. 建設的な交渉のポイント
- 文部科学省の通知を根拠として冷静に説明する
- 学習計画書や活動報告書など、具体的な資料を用意する
- フリースクール側にも学校との連携に協力してもらう
- 一度断られても、要件を整えて再度相談する
8. フリースクールの費用と助成金
フリースクールの費用は施設によって大きく異なります。
8-1. フリースクールの費用の目安
一般的なフリースクールの費用は、月額3万円〜5万円程度が多いと言われています。
ただし、入会金やイベント参加費が別途かかる場合もあるため、事前に確認しましょう。
8-2. 自治体の助成金・補助金
フリースクールの利用費を補助する制度を設けている自治体が増えています。
| 例 | 補助内容 |
|---|---|
| 東京都 | 月額上限あり(都と区の補助を併用可能) |
| 大阪市 | 塾代助成をフリースクールにも適用(対象施設に限る) |
| その他の自治体 | 就学援助認定世帯は全額補助の場合も |
助成金の有無や金額は自治体によって大きく異なります。
お住まいの自治体の教育委員会や子育て支援窓口に確認してください。
8-3. 教育支援センターは無料
教育委員会が設置する教育支援センター(適応指導教室)は無料で利用できます。
費用面が心配な場合は、まず教育支援センターの利用を検討してみましょう。
お住まいの自治体にどのような支援施設があるかは、教育委員会に問い合わせると確認できます。
よくある質問(FAQ)
Q. 高校生は出席扱い制度の対象ですか?
A. 義務教育段階(小学校・中学校)が対象であり、高校生は対象外です。
高等学校については別の通知で取扱いが定められています。
詳しくは在籍する高校に相談してください。
Q. 出席扱いの日数はどう計算されますか?
A. 学校や教育委員会が定めた基準に基づいて判断されます。
通所日数や学習活動の時間数などが基準になりますが、文部科学省から全国一律の基準は示されていません。
具体的な計算方法は在籍校に確認してください。
Q. フリースクールに通っていれば自動的に出席扱いになりますか?
A. いいえ、自動的に出席扱いにはなりません。
出席扱いにするかどうかは、在籍校の校長が教育委員会と連携して判断します。
フリースクールと学校の連携体制や、学習内容の適切さなどの要件を満たす必要があります。
Q. 出席扱いを申請して断られることはありますか?
A. はい、要件を満たさない場合は認められないことがあります。
断られた場合は、どの要件を満たしていないかを学校に確認し、改善してから再度相談しましょう。
学校との話し合いが進まない場合は、教育委員会への相談も選択肢です。
Q. 出席扱いは通知表にどう反映されますか?
A. 出席扱いとした日数は指導要録の出席日数に加算されます。
ただし、成績評価(各教科の評定)は別の判断が必要です。
学校外での学習内容が教育課程に照らして適切と判断される場合は、成績評価にも反映できます。
Q. 教育支援センターとフリースクールのどちらが出席扱いに有利ですか?
A. 教育支援センター(適応指導教室)のほうが出席扱いが認められやすい傾向にあります。
教育支援センターは教育委員会が設置する公的機関のため、学校との連携体制が整っており、出席扱いの要件を満たしやすくなっています。
フリースクールの場合は、校長が教育委員会と連携して個別に判断するため、施設によって認められるかどうかが異なります。
まとめ
出席扱い制度の要点をあらためて整理します。
- 対象
義務教育段階(小学校・中学校)の不登校児童生徒 - 2つのパターン
学校外施設(フリースクール等)への通所 / 自宅でのICT学習 - 判断者
在籍校の校長が教育委員会と連携して判断 - 学校外施設の要件
保護者と学校の連携、公的機関が原則(民間も可)、通所が前提、学習内容が適切 - ICT学習の要件
上記に加え、対面指導が定期的・継続的、計画的な学習プログラム、校長が状況把握 - 手続きの第一歩
在籍校の担任に相談 - 成績評価
出席扱いとは別に、要件を満たせば指導要録への反映も可能 - 高校受験
出席扱い日数は出席に加算されるが、調査書には欠席日数も記載される
「学校に行けないから将来が不安」と思い込む前に、出席扱い制度を活用して学びの選択肢を広げましょう。
まずは在籍校の担任やスクールカウンセラーに相談し、お子さんに合った学びの形を一緒に探してみてください。
