UR賃貸と公営住宅の違いは?収入基準・申し込み方法を比較
「家賃をもう少し抑えたい」
「保証人がいなくて民間の賃貸を借りにくい」
——そんなとき候補に挙がるのが、UR賃貸住宅と公営住宅(都営・市営・県営住宅)です。
どちらも民間の賃貸とは異なる仕組みを持っていますが、運営主体も対象者も申し込み方法もまったく違います。
「URは公営住宅でしょ?」と思っている方もいるかもしれませんが、実はURは公営住宅ではありません。
この手続きガイドでは、UR賃貸住宅と公営住宅の違いを比較表で整理したうえで、収入基準・入居条件・申し込み手続きの流れを詳しく解説します。
1. UR賃貸住宅と公営住宅の違い — 比較表で一目でわかる
まずは両者の違いを一覧で確認しましょう。
| 項目 | UR賃貸住宅 | 公営住宅(都営・市営・県営住宅) |
|---|---|---|
| 運営主体 | 独立行政法人 都市再生機構 | 地方公共団体(都道府県・市区町村) |
| 対象者 | 一定の収入がある方(収入の下限あり) | 低所得で住宅に困窮している方(収入の上限あり) |
| 家賃の仕組み | 周辺相場を参考にした定額制 | 入居者の収入に応じて変動(応能応益) |
| 礼金 | なし | 自治体による(なしが多い) |
| 仲介手数料 | なし | なし |
| 更新料 | なし | なし |
| 保証人 | 不要 | 自治体による(必要な場合あり) |
| 敷金 | 家賃の2か月分 | 家賃の1〜3か月分(自治体による) |
| 申し込み方式 | 先着順(空きがあればすぐ) | 抽選制(定期募集、年に数回) |
| 物件数(全国) | 約70万戸 | 約200万戸(公営住宅全体) |
UR賃貸住宅は公営住宅ではありません。
URは独立行政法人が運営する賃貸住宅で、収入が一定以上ある方が対象です。
一方、公営住宅は自治体が運営し、低所得者の住まいを確保する目的で設置されています。
2. UR賃貸住宅の入居条件と収入基準
UR賃貸住宅に申し込むには、以下の5つの条件をすべて満たす必要があります。
- 申込者本人の平均月収額が基準月収額以上であること
- 日本国籍の方、またはURが定める在留資格を持つ外国籍の方
- 単身者、または同居する親族がいること
- 入居開始可能日から1か月以内に入居できること
- 暴力団員などでないこと
2-1. 収入基準の詳細
UR賃貸住宅では「月収が家賃の4倍以上」が基本の考え方です。
ただし、家賃額に応じて基準月収額は段階的に設定されています。
世帯で申し込む場合
| 家賃額 | 基準月収額 |
|---|---|
| 82,500円未満 | 家賃額の4倍 |
| 82,500円以上〜20万円未満 | 33万円(固定額) |
| 20万円以上 | 40万円(固定額) |
単身で申し込む場合
| 家賃額 | 基準月収額 |
|---|---|
| 62,500円未満 | 家賃額の4倍 |
| 62,500円以上〜20万円未満 | 25万円(固定額) |
| 20万円以上 | 40万円(固定額) |
家賃6万円の物件に単身で申し込む場合、基準月収額は6万円×4=24万円です。
年収に換算すると約288万円以上あればクリアできます。
2-2. 収入が基準に足りないときの3つの方法
月収が基準に届かなくても、以下のいずれかの条件を満たせば申し込みできます。
- 貯蓄基準制度
貯蓄額が家賃の100倍以上あれば、収入要件に代えることができます。
家賃6万円なら600万円の貯蓄が必要です。 - 家賃等の一時払い制度
1年〜10年分の家賃と共益費を前払いすることで、収入要件が不問になります。
前払い期間に応じて家賃の割引もあります。 - 収入合算
申込者本人の月収が基準の1/2以上ある場合、同居親族の収入と合算して基準を満たすことができます。
2-3. 高齢者・障がい者・ひとり親世帯の特例
以下に該当する方は、収入が基準の1/2に満たない場合でも、扶養親族の収入・貯蓄で申し込めます。
- 高齢者
申込日時点で満60歳以上の方 - 障がい者
身体障がい者手帳1〜4級の方、または療育手帳(重度)の交付を受け常時介護を要する方 - ひとり親世帯
満20歳未満の子と同居・扶養している配偶者のいない方、または妊娠中の単身者 - 学生
大学・高等専門学校・専修学校に在学する満18歳以上の方
3. 公営住宅(市営・都営・県営住宅)の入居条件と収入基準
公営住宅は、住宅に困っている低所得者を対象とした住宅です。
自治体ごとに細かい条件は異なりますが、共通する主な入居条件は以下のとおりです。
- その自治体の区域内に住所または勤務地があること
- 同居する親族がいること(単身入居は一部の募集に限定)
- 世帯の収入が基準以下であること
- 住宅に困窮していること(持ち家がない等)
- 税金を滞納していないこと
- 暴力団員でないこと
UR賃貸住宅は収入の「下限」が条件ですが、公営住宅は収入の「上限」が条件です。
この点がUR賃貸と公営住宅の最大の違いです。
3-1. 政令月収の基準
公営住宅の収入基準は「政令月収」で判定されます。
政令月収とは、世帯全員の年間所得合計から扶養控除などを差し引き、12で割った月額のことです。
一般階層(本来階層)
- 政令月収 158,000円以下(収入分位25%以下)
- 年間粗収入の目安: 3人世帯で約400万円以下
裁量階層(収入基準が緩和される世帯)
- 政令月収 214,000円以下(収入分位40%以下)
- 年間粗収入の目安: 3人世帯で約510万円以下
3-2. 裁量階層の対象となる世帯
以下のいずれかに該当する世帯は、収入基準が緩和されます。
- 高齢者世帯
申込者が60歳以上で、同居親族全員が60歳以上または18歳未満 - 障がい者世帯
身体障がい者手帳1〜4級、精神障がい者保健福祉手帳1〜3級などの交付を受けている方がいる世帯 - 子育て世帯
小学校就学前の子どもがいる世帯 - ひとり親世帯
配偶者のいない方が子を扶養している世帯
3-3. 家賃の決まり方 — 応能応益家賃制度
公営住宅の家賃は、以下の要素をかけ合わせて算出されます。
家賃 = 家賃算定基礎額 × 市町村立地係数 × 規模係数 × 経過年数係数 × 利便性係数
- 家賃算定基礎額
入居者の収入(政令月収)に応じて決まる金額です。
収入が低いほど基礎額が低く、家賃も安くなります。 - 市町村立地係数
土地の価格水準を反映する係数です。 - 規模係数
住宅の広さを反映する係数です。 - 経過年数係数
建築からの年数で減額する係数です。
古い住宅ほど安くなります。 - 利便性係数
駅からの距離などの利便性を反映する係数です。
一般的に、公営住宅の家賃は月額1万円〜5万円程度が多く、同じ地域の民間賃貸やUR賃貸に比べて大幅に安くなります。
ただし、収入が増えると家賃も上がり、基準を超え続けると退去を求められることもあります。
4. UR賃貸住宅の申し込み手続き
UR賃貸住宅の申し込みは、先着順が基本です。
気に入った物件が見つかったら、すぐに行動しましょう。
4-1. 申し込みの流れ
- 物件を探す
UR都市機構の公式サイトで空き物件を検索します。
エリア・家賃・間取りなどの条件で絞り込めます。 - 内見・現地確認
UR営業センターに連絡し、希望物件の内見を予約します。 - 仮申込(申し込み)
入居したい物件が決まったら、UR営業センターで仮申込を行います。
仮申込はオンラインでも可能です。 - 必要書類の提出(本申込)
仮申込の翌日から1週間以内に、UR営業センターに必要書類を提出します。 - 入居審査
提出書類に基づいて収入基準や資格要件を確認されます。 - 契約
審査通過後、仮申込の翌日から10日以内に契約を行います。
契約時に敷金(家賃2か月分)+日割り家賃・共益費を支払います。 - 入居
入居開始可能日から1か月以内に入居します。
4-2. 必要書類
- 住民票の写し(入居予定者全員分、続柄記載)
- 収入証明書(源泉徴収票、確定申告書の控え、年金証書など)
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど)
平均月収額は「過去1年間の収入合計額を12で割った額」で計算されます。
給与・事業所得・年金など、継続的な収入が対象です。
一時的な収入(退職金など)は含まれません。
5. 公営住宅の申し込み手続き
公営住宅は基本的に抽選制です。
募集時期が限られているため、こまめに情報を確認することが大切です。
5-1. 申し込みの流れ
- 募集情報を確認する
自治体の住宅担当課や住宅供給公社のホームページで、募集時期・対象住宅・応募条件を確認します。
都営住宅の場合、年に4回程度(5月・8月・11月・2月)の定期募集があります。 - 申し込む
募集期間中にオンラインまたは郵送で申し込みます。
申し込み時点では詳細な書類は不要な場合が多いです。 - 抽選
応募者多数の場合は公開抽選で入居順番が決まります。
人気物件は倍率が数十倍〜数百倍になることもあります。 - 入居資格審査
当選した方に対して、収入や住宅困窮の状況を書類で確認します。 課税証明書・住民票・勤務先証明書などの提出が必要です。 - 入居
審査通過後、指定された期日までに入居します。
5-2. 必要書類(入居資格審査時)
自治体により異なりますが、一般的に以下の書類が求められます。
- 住民票の写し(世帯全員分)
- 課税証明書(市区町村が発行する住民税額決定通知書など)
- 勤務先証明書(在職証明書、給与証明書)
- 住宅困窮を証明する書類(賃貸借契約書の写し、立ち退き通知など)
- その他(障がい者手帳、ひとり親の証明書類など該当する場合)
公営住宅の募集時期・申し込み方法・必要書類は自治体ごとに異なります。
必ずお住まいの自治体の最新情報を確認してください。
5-3. 随時募集(先着順)もチェック
一部の自治体では、空き室が出た場合に随時募集(先着順)を行っています。
定期募集の抽選で当選しなかった場合でも、随時募集なら先着順で申し込める可能性があります。
都営住宅でも単身者向けの随時募集が実施されています。
6. UR賃貸住宅のお得な割引制度
UR賃貸住宅には、家賃が割引になる制度がいくつかあります。
条件に当てはまれば初期費用だけでなく月々の家賃も抑えられるため、必ずチェックしましょう。
- U35割
契約者が35歳以下の場合、対象物件の家賃がお得になります(3年間の定期借家契約)。 - すくすく割
満18歳未満の子どもがいる世帯を対象に、3年間家賃がお得になる制度です(定期借家契約)。 - 子育て割
子育て世帯(18歳未満の子がいる世帯)または新婚世帯(結婚5年以内)を対象に、最大9年間家賃を20%減額する制度です。 - 近居割
親族がUR賃貸住宅に住んでいる場合、新たに入居する世帯の家賃が最大5年間5%減額されます。
2026年4月からは、子育て世帯・若者夫婦世帯は20%減額(5年間)に拡充されています。
U35割・すくすく割・子育て割・近居割はいずれか1つのみ適用可能です。
どの制度が最もお得になるか、申し込み前にUR都市機構の公式サイトで確認しましょう。
7. 自分に合うのはどっち? — チェックリスト
UR賃貸と公営住宅、どちらが自分に向いているか迷ったら、以下のチェックリストで確認してみてください。
UR賃貸住宅が向いている方
- 月収が家賃の4倍以上ある(または十分な貯蓄がある)
- すぐに引っ越したい(抽選を待てない)
- 保証人を用意できない
- 礼金・仲介手数料・更新料の初期費用を抑えたい
- 高齢で民間の賃貸が借りにくい
公営住宅が向いている方
- 収入が少なく、とにかく家賃を安くしたい
- 抽選に時間がかかっても構わない
- 同居する家族がいる(単身者の募集は限定的)
- ひとり親・高齢者・障がい者世帯で福祉枠の募集に申し込みたい
8. よくある質問(FAQ)
Q. URは公営住宅ですか?
A. いいえ、URは公営住宅ではありません。
UR賃貸住宅は独立行政法人「都市再生機構」が運営する賃貸住宅で、公営住宅法に基づく住宅ではありません。
公営住宅は地方自治体が運営し、低所得者向けに家賃を抑えた住宅です。
URは一定の収入がある方が対象で、家賃は周辺相場を参考に設定されています。
Q. 収入が基準に足りない場合、URに住む方法はありますか?
A. はい、3つの代替方法があります。
1つ目は「貯蓄基準制度」で、家賃の100倍以上の貯蓄があれば収入要件は不問です。
2つ目は「家賃等の一時払い制度」で、1〜10年分の家賃を前払いすれば収入要件が免除されます。
3つ目は「収入合算」で、本人の月収が基準の1/2以上あれば同居親族の収入と合算できます。
詳しくは「2-2. 収入が基準に足りないときの3つの方法」をご確認ください。
Q. 公営住宅の倍率はどのくらいですか?
A. 自治体や物件によって大きく異なりますが、人気物件では数十倍〜数百倍になることもあります。
例えば、都心の築浅都営住宅では300倍近い倍率が報告されることもあります。
一方で、郊外や築古の物件は倍率が低く、応募者が定員に満たない場合もあります。
定期募集で当選しなかった場合は、随時募集(先着順)がないか確認するのもひとつの方法です。
Q. 高齢者が入りやすいのはどちらですか?
A. 保証人の観点からはUR賃貸住宅が入りやすいです。
URは保証人が不要で、60歳以上の方には収入基準の特例もあります。
一方、公営住宅も高齢者世帯は「裁量階層」として収入基準が緩和され、福祉目的募集で優先されることがあります。
ただし公営住宅は抽選が必要なため、確実に入居したい場合はURが有利です。
Q. 外国籍でもURや公営住宅に申し込めますか?
A. はい、条件を満たせば申し込み可能です。
URでは、永住者・特別永住者・中長期在留者の方が申し込めます。
公営住宅も、多くの自治体で外国人登録をしている方の申し込みを認めています。
ただし、在留資格の種類によって異なるため、詳細はURの営業センターまたはお住まいの自治体に確認してください。
まとめ
UR賃貸住宅と公営住宅は、どちらも民間の賃貸にはないメリットがありますが、対象者や申し込み方法が大きく異なります。
- UR賃貸住宅は、一定の収入があり、すぐに入居したい方に適しています。
礼金・仲介手数料・更新料・保証人がすべて不要で、先着順で申し込めるのが最大の強みです。 - 公営住宅は、収入が少なく家賃をできるだけ抑えたい方に適しています。
家賃が収入に応じて決まるため非常に安くなりますが、抽選に当選する必要があります。
どちらが自分に合うか判断したら、URならUR都市機構の公式サイトで物件検索、公営住宅ならお住まいの自治体の募集情報を確認するところから始めましょう。
入居が決まったら、引越しに伴う各種手続きも忘れずに進めてください。