旧NISAどうする?非課税期間終了前に知るべき3つの選択肢
「旧NISAで投資していた株や投資信託、非課税期間が終わったらどうなるの?」
と不安に思っていませんか?
2024年から新NISA制度がスタートし、旧制度の一般NISAやつみたてNISAは新規投資ができなくなりました。
さらに、以前は可能だったロールオーバー(非課税枠への移管)も廃止されたため、非課税期間終了後の対応に悩む方が増えています。
この手続ガイドでは、旧NISAの非課税期間終了を控えた方に向けて、以下の内容をわかりやすく解説します。
- 非課税期間はいつ終わるのか
- 終了後に何が起きるのか
- 3つの選択肢と判断のポイント
- 具体的な税金の計算例
読み終える頃には、ご自身の状況に合った最適な選択ができるようになります。
1. 旧NISAの非課税期間はいつ終わる?
まずは、ご自身の保有銘柄の非課税期間がいつ終了するかを確認しましょう。
1-1. 一般NISAは購入から5年間
旧制度の一般NISAで購入した商品の非課税期間は、購入年から5年間です。
具体的には、購入年の年末から起算して5年後の年末までが非課税期間となります。
| 購入年 | 非課税期間終了 |
|---|---|
| 2019年 | 2023年末 ※終了済 |
| 2020年 | 2024年末 ※終了済 |
| 2021年 | 2025年末 |
| 2022年 | 2026年末 |
| 2023年 | 2027年末 |
例えば、2021年に一般NISAで購入した株式は、2025年12月末をもって非課税期間が終了しています。
証券会社からは、非課税期間終了前にお知らせが届くことが一般的です。
届いた通知を確認して、ご自身の保有銘柄の終了時期を把握しておきましょう。
1-2. つみたてNISAは購入から20年間
旧制度のつみたてNISAで購入した商品の非課税期間は、購入年から20年間です。
| 購入年 | 非課税期間終了 |
|---|---|
| 2018年 | 2037年末 |
| 2019年 | 2038年末 |
| 2020年 | 2039年末 |
| 2021年 | 2040年末 |
| 2022年 | 2041年末 |
| 2023年 | 2042年末 |
つみたてNISAの場合、非課税期間終了まではまだ余裕があります。
ただし、旧NISA共通のルールとして「新NISAへのロールオーバーができない」点は同じです。
今のうちに仕組みを理解しておくことをおすすめします。
1-3. ロールオーバーはできなくなった
「非課税期間が終わっても、また非課税枠に移せるんでしょ?」と思っている方は要注意です。
以前の制度では、一般NISAの非課税期間終了時に、翌年の一般NISA枠へ移管するロールオーバーが可能でした。
しかし、2024年からの新NISA制度開始に伴い、ロールオーバー制度は廃止されました。
金融庁の公式サイトでは、以下のように明記されています。
非課税期間終了後、NISAに移管(ロールオーバー)することはできません。
つまり、旧NISAで保有している商品を新NISAの非課税枠に直接移すことはできません。
新NISAで保有を継続したい場合は、一度売却してから買い直す必要があります。
2. 非課税期間が終了するとどうなる?
「非課税期間が終わったら、保有している株はどうなるの?」という疑問にお答えします。
2-1. 何もしないと特定口座に自動移管される
非課税期間が終了しても、保有している株式や投資信託が消えてしまうわけではありません。
何もしなければ、自動的に「特定口座」(または一般口座)に移管されます。
- 手続きは不要
- 売却せずにそのまま保有を継続できる
- 証券会社が自動的に処理してくれる
つまり、「放置」していても大きな問題は起きません。
ただし、課税口座に移管されるため、今後の取り扱いが変わる点には注意が必要です。
2-2. 移管時の時価が新しい「取得価格」になる
特定口座への移管で最も重要なポイントは、取得価格が変わることです。
NISA口座で購入したときの価格ではなく、移管時の時価(終値)が新しい取得価格として記録されます。
具体例で見てみましょう
- 購入時の価格: 1株 1,000円
- 非課税期間終了時(移管時)の時価: 1株 3,000円
この場合、特定口座では「取得価格3,000円で購入した」として管理されます。
なぜこれが重要かというと、将来売却したときの課税対象となる利益が変わるからです。
例えば、その後2,500円で売却した場合:
- 本当の利益:
2,500円 - 1,000円= 1,500円(購入時基準) - 税務上の損益:
2,500円 - 3,000円= -500円(移管時基準)
税務上は500円の「損失」として扱われます。
2-3. 移管後の売却益は課税される
NISA口座では売却益に税金がかかりませんでしたが、特定口座に移管後は課税口座となります。
- 売却益に対して約20%(所得税15.315%+住民税5%)の税金がかかる
- 配当金・分配金も課税対象に
ただし、非課税期間中の値上がり分は非課税のまま確定しています。
先ほどの例(1,000円で購入→3,000円で移管)の場合:
- NISA期間中の値上がり分: 2,000円
→ 非課税 - 移管後の値上がり分のみ課税対象
「移管されたから全部に税金がかかる」というわけではないので、ご安心ください。
3. 非課税期間終了前にできる3つの選択肢
非課税期間終了を迎える前に、以下の3つの選択肢があります。
それぞれのメリット・デメリットを理解して、ご自身に合った方法を選びましょう。
3-1. 非課税期間中に売却する
非課税期間が終わる前に売却してしまう方法です。
-
メリット:
- 売却益は完全に非課税
- 利益を確定できる
- 現金化して別の投資に回せる
-
デメリット:
- 売却タイミングの判断が必要
- 値上がりの途中で売ることになる可能性
-
こんな方におすすめ:
- 含み益があり、利益を確定させたい
- 現金化して新NISAで別の銘柄を買いたい
- 相場の先行きに不安がある
3-2. そのまま特定口座へ移管する
何もせずに非課税期間終了を迎え、特定口座に自動移管させる方法です。
-
メリット:
- 手続き不要
- 売却タイミングを考えなくてよい
- 保有を継続できる
-
デメリット:
- 今後の売却益には課税される
- 取得価格が移管時の時価に変わる
-
こんな方におすすめ:
- 長期保有を予定している
- 売却タイミングを決められない
- 判断に迷っている(いったん保留)
3-3. 売却して新NISAで買い直す
非課税期間中に売却し、その資金で新NISA口座で同じ銘柄を購入し直す方法です。
-
メリット:
- 新NISAなら非課税期間が無期限
- NISA非課税枠を最大限活用できる
- 売却益も非課税で確定
-
デメリット:
- 売却と買い直しの間に価格が変動するリスク
- 買い直しの手間がかかる
- 新NISA枠を使う
-
こんな方におすすめ:
- 新NISAの投資枠(年間360万円・生涯1,800万円)に余裕がある
- 同じ銘柄を長期で持ち続けたい
- 永久に非課税で保有したい
買い直した分は新NISAの非課税枠を消費します。
枠の残りを確認してから実行しましょう。
3つの選択肢のまとめ
| 選択肢 | 手続き | 今後の課税 | おすすめな人 |
|---|---|---|---|
| 非課税期間中に売却 | 売却注文が必要 | なし(売却完了) | 利益確定したい人 |
| 特定口座へ移管 | 不要(自動) | 課税される | 長期保有予定の人 |
| 新NISAで買い直し | 売却→購入 | なし(新NISA) | 非課税継続したい人 |
4. どの選択肢を選ぶべき?判断のポイント
「結局、どの選択肢が一番いいの?」という疑問にお答えします。
状況によって最適な選択は異なります。
以下のポイントを参考に判断してください。
5. 具体的な税金の計算例
「税金がどれくらいかかるのか」を具体的な数字で見てみましょう。
5-1. 非課税期間中に売却した場合
例: 1,000円で購入 → 3,000円で売却(100株保有)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 購入時の投資額 | 100,000円 |
| 売却時の受取額 | 300,000円 |
| 利益 | 200,000円 |
| 税金 | 0円 |
非課税期間中の売却なら、20万円の利益に対して税金はゼロです。
通常の特定口座であれば、約4万円(20万円×約20%)の税金がかかるところです。
5-2. 特定口座移管後に売却した場合(値上がり)
例: 1,000円で購入 → 移管時3,000円 → 4,000円で売却(100株保有)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 移管時の取得価格 | 300,000円 |
| 売却時の受取額 | 400,000円 |
| 税務上の利益 | 100,000円 |
| 税金(約20%) | 約20,000円 |
移管後の値上がり分(10万円)に対してのみ課税されます。
NISA期間中の値上がり分(20万円)は非課税のまま確定しています。
5-3. 特定口座移管後に売却した場合(値下がり)
例: 1,000円で購入 → 移管時3,000円 → 2,500円で売却(100株保有)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 移管時の取得価格 | 300,000円 |
| 売却時の受取額 | 250,000円 |
| 税務上の損失 | -50,000円 |
| 税金 | 0円 |
税務上は5万円の「損失」となるため、税金はかかりません。
さらに、この損失は特定口座内の他の利益と損益通算できます。
5-4. 損益通算について
特定口座で発生した損失は、同じ特定口座内の利益と相殺できます。
例:
- 銘柄A:
10万円の利益 - 銘柄B(旧NISA移管):
5万円の損失 - 課税対象:
10万円 - 5万円= 5万円
ただし、NISA口座と特定口座の損益通算はできません。
NISA口座内で発生した損失は、税務上は「なかったこと」として扱われます。
6. よくある質問(Q&A)
旧NISAの非課税期間終了に関して、よくある質問をまとめました。
Q: 証券会社で何か手続きが必要ですか?
A: 基本的に手続きは不要です。
非課税期間が終了すると、自動的に特定口座(または一般口座)に移管されます。
証券会社側で処理されるため、ご自身で特別な手続きをする必要はありません。
Q: 移管先を「一般口座」にできますか?
A: 証券会社によっては設定変更が可能です。
ただし、一般口座に移管すると確定申告が必要になります。
特別な理由がなければ、特定口座(源泉徴収あり)への移管がおすすめです。
設定を変更したい場合は、お使いの証券会社のマイページやコールセンターで確認してください。
Q: いつまでに売却すれば非課税になりますか?
A: 非課税期間の最終日(12月末)までに売却が「約定」すればOKです。
注意点として:
- 「約定日」が年内であれば非課税
- 「受渡日」は翌年になっても問題なし
- 年末ギリギリは取引が混み合うため、余裕を持って判断を
12月下旬はクリスマス休暇で海外市場が休場になったり、国内市場も最終取引日(大納会)が早まったりするため、取引できる日が限られます。
最終取引日間際は注文が集中し、予期せぬ価格変動も起こりやすいため、12月中旬頃までには手続きを終えると安心です。
Q: 配当金・分配金はどうなりますか?
A: 非課税期間中は非課税、移管後は課税対象になります。
- 非課税期間中に受け取った配当金・分配金
→ 非課税 - 特定口座移管後に受け取った配当金・分配金
→ 約20%課税
配当金の受取方法を「株式数比例配分方式」に設定している場合、NISA口座での非課税が適用されます。
別の受取方法にしている場合は課税される可能性があるので、設定を確認しておきましょう。
Q: 新NISAへのロールオーバーはできないの?
A: できません。ロールオーバー制度は廃止されました。
2024年からの新NISA制度では、旧NISAからのロールオーバー(非課税枠への移管)はできなくなりました。
新NISAで保有を続けたい場合は:
- 旧NISAで売却
- 新NISAで買い直し
という手順が必要です。
Q: 旧NISAの保有分は新NISAの1,800万円枠に含まれますか?
A: 含まれません。別枠で管理されます。
旧NISAで保有している商品は、新NISAの非課税保有限度額(1,800万円)の外枠で管理されます。
例えば:
- 旧NISAで100万円分保有中
- 新NISAで1,800万円まで投資可能(旧NISAとは別)
旧NISAの保有分があっても、新NISAの投資枠が減ることはありません。
Q: つみたてNISAも同じルールですか?
A: 基本的に同じルールです。
- ロールオーバーできない
- 非課税期間終了後は特定口座に移管
- 新NISAへの直接移管は不可
ただし、つみたてNISAの非課税期間は20年間と長いため、すぐに対応が必要な方は少ないでしょう。
2018年に開始した方でも、非課税期間終了は2037年末です。
Q: ジュニアNISAも同じルールですか?
A: 基本的なルールは同じですが、18歳になるまで非課税が継続される特別な仕組みがあります。
ジュニアNISAの非課税期間(5年)終了後は、自動的に「継続管理勘定」という非課税の勘定に移され、18歳になる年の年末まで非課税で保有し続けることができます。
- ロールオーバーはできない(一般NISAと同様)
- 18歳になる前に払い出すことも可能
ただし、一部のみの払い出しは不可(全額払い出しが必要) - 18歳になった後は、課税口座(特定口座等)に移管されるか、売却するかを選択
詳しくは金融庁のジュニアNISA解説ページをご確認ください。
まとめ
旧NISAの非課税期間終了に向けて、知っておくべきポイントをおさらいします。
非課税期間終了時期
| 制度 | 非課税期間 | 終了時期の例 |
|---|---|---|
| 一般NISA | 購入から5年 | 2021年購入分→2025年末 |
| つみたてNISA | 購入から20年 | 2018年購入分→2037年末 |
3つの選択肢
-
非課税期間中に売却
売却益は非課税で確定。 -
特定口座へ自動移管
手続き不要。
今後の売却益は課税されるが、保有継続は可能。 -
売却して新NISAで買い直し
永久に非課税で保有可能。
新NISAの枠を活用。
判断のポイント
- 含み益がある
→ 新NISAで買い直しがおすすめ - 含み損がある
→ 状況により判断が分かれる - 迷っている
→ いったん特定口座移管でもOK
最後に
ロールオーバーは廃止されたため、以前のように「何もしなくても非課税が続く」ということはありません。
ただし、非課税期間終了を迎えても、保有銘柄が消えたり、すぐに損をするわけではありません。
焦らず、ご自身の投資方針に合わせて判断しましょう。
