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固定資産税が払えない時の対処法〜分割・猶予・減免

固定資産税が払えない時の対処法〜分割・猶予・減免
最終更新:2026年7月10日

「固定資産税を4回の分割で納めているけれど、2回目からが払えない」
「このまま払わずにいたら、家や土地を差し押さえられてしまうの?」
——そんな不安を抱えていませんか?

固定資産税が払えなくなっても、放置さえしなければ打つ手はあります。

支払いを待ってもらう「猶予」、税額そのものを軽くする「減免」、そして納期を分けて少しずつ払う「分割納付」など、地方税法に定められた救済制度があるからです。

一番やってはいけないのは、督促を無視して放っておくことです。

この手続きガイドでは、固定資産税が払えないときの3つの対処法と、滞納を続けた場合の督促から差し押さえまでの流れを、申請の手順とあわせてわかりやすく解説します。

1. 固定資産税の分割払いの仕組み〜なぜ払えなくなるのか

固定資産税は、土地や家屋を所有している人に市町村(東京23区は都)が課税する税金です。

多くの自治体では、都市計画税もあわせて課税され、1枚の納税通知書でまとめて納めます。

分割払いとは「年4回の納期に分けて納める」こと

固定資産税は、原則として年4回の納期に分けて納付します。

ここでいう「分割」は、ローンのような割賦(かっぷ)ではなく、法律で定められた納期ごとに約4分の1ずつを納めるという意味です。

ポイント

分割にしても、1年分の税額の合計は変わりません。
かつては一括で前納すると割引(前納報奨金)がある自治体もありましたが、現在はほとんど廃止されています。分割にしても損得はないので、資金繰りに合わせて選んで問題ありません。

納期がいつになるかは、市町村の条例で定められているため自治体によって異なります。

たとえば東京都(23区)の場合、第1期6月・第2期9月・第3期12月・第4期翌年2月が納期です。

お住まいの地域の納期は、納税通知書または市区町村のサイトで確認してください。

「2期目から払えない」が起きる理由

分割払いは負担を軽くしてくれますが、納期が来るたびに支払いが発生するため、次のような状況で払えなくなるケースが目立ちます。

  • 収入の減少・失業・病気
    第1期は払えても、その後に収入が減って2期目以降が払えなくなる。
  • 相続した空き家・実家の負担
    住んでいない不動産にも固定資産税はかかり続けるため、相続をきっかけに負担が重くのしかかる。
  • まとまった他の出費と重なった
    自動車税や住民税など、他の税金の納期と重なって資金が足りなくなる。

いずれの場合も、「払えないまま放置する」のではなく、次に説明する対処法を早めに検討することが大切です。

2. 払えないときにまずやるべきこと〜放置が最悪の選択

固定資産税が払えないとき、絶対に避けるべきなのは督促を無視して放置することです。

放置すると、延滞金が上乗せされ、最終的には財産の差し押さえに進みます。

「払えないから放置」は状況を悪化させる

滞納を放置すると、延滞金(年最大9.1%)が日々上乗せされ、督促のあとに給与や預貯金、不動産が差し押さえられます。
一方で、払えない事情を自分から役所に相談すれば、分割・猶予・減免といった救済につながります。まず動くことが最大の防御です。

まずは市区町村の納税窓口に相談する

払えない、または払えそうにないと分かった時点で、市区町村(東京23区は都税事務所)の納税を担当する課に相談してください。

窓口では、あなたの収入や生活の状況を聞いたうえで、分割納付・猶予・減免のどれが使えそうかを案内してくれます。

「相談したら取り立てが厳しくなるのでは」と不安に思うかもしれませんが、逆です。

誠実に相談して納める意思を示すことが、差し押さえを避ける近道になります。

3つの対処法の全体像

固定資産税が払えないときの対処法は、大きく分けて次の3つです。

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対処法内容こんな人に向く税額そのもの
分割納付納期ごと、または納期後に少しずつ分けて払う一時的に資金繰りが苦しいだけ変わらない
猶予(徴収猶予・換価の猶予)最長1年(延長で2年)支払い・売却を待ってもらい、分割で納める災害・病気・失業・事業不振で一時的に払えない変わらない(延滞金は軽減・免除)
減免税額そのものを減額・免除してもらう生活保護・重い障害・災害などで担税力がない減る・ゼロになる

ざっくり言えば、猶予は「待ってもらう」制度、減免は「減らしてもらう」制度です。

自分の状況に近いものから、次の章で詳しく見ていきましょう。

3. 対処法① 分割納付でやりくりする

まず検討したいのが、分割納付です。

一時的に資金が足りないだけで、少し時間をかければ払えそうな場合に向いています。

納期内での納付・前倒しのまとめ払い

前述のとおり固定資産税は年4回の納期に分かれているので、それぞれの納期までに納めれば問題ありません。

資金に余裕があるときに、後の納期分を前倒しでまとめて納めることもできます(この場合も総額は変わりません)。

納期を過ぎた分は「分納」を相談する

すでに納期を過ぎてしまった分については、役所に相談して「分納(ぶんのう)」という形で、毎月少しずつ納める計画を立てられる場合があります。

分納は正式な猶予制度とは別に、実務上の運用として認められることが多い方法です。

分納の約束を破ると差し押さえに直結する

役所と分割納付の約束をしたのに支払いが滞ると、「約束不履行」として差し押さえに進むことがあります。
無理のない金額で計画を立て、決めた分は必ず納めることが重要です。難しくなったら、放置せず早めに再相談してください。

4. 対処法② 納税の猶予で支払いを待ってもらう

災害や病気、失業、事業の不振などで一時的に払えない場合は、地方税法に定められた正式な「納税の猶予」を申請できます。

猶予には、大きく「徴収猶予」と「換価の猶予」の2種類があります。

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4-1. 徴収猶予(地方税法第15条)

徴収猶予は、次のような事情で税金を一度に納められないと認められる場合に、申請によって原則1年以内の範囲で徴収を猶予してもらう制度です。

  • 財産が震災・風水害・火災などの災害を受けた、または盗難にあったとき
  • 本人や生計を同じくする家族が病気にかかった、または負傷したとき
  • 事業を廃業・休業したとき
  • 事業に著しい損失があったとき

猶予が認められると、猶予期間内で分割して納めることができ、やむを得ない事情があれば期間の延長も申請できます(すでに猶予した期間と合わせて最長2年まで)。

徴収猶予なら延滞金が軽くなる

徴収猶予が認められると、猶予期間中の延滞金の全部または一部が免除されます。
放置して延滞金がかさむ前に、要件に当てはまりそうなら早めに申請しましょう。

4-2. 換価の猶予(地方税法第15条の6)

換価(かんか)の猶予は、税金を一度に納めることで事業の継続や生活の維持が困難になるおそれがあり、かつ納税に誠実な意思がある場合に、申請によって原則1年以内、財産の換価(差し押さえた財産の売却)を猶予してもらう制度です。

換価の猶予が認められると、次のような効果があります。

  • 新たな差し押さえや換価(売却)を受けない
    滞納処分がストップし、生活や事業を立て直す時間ができる。
  • すでに差し押さえられた財産の換価が猶予される
    差し押さえられた財産がすぐに売却されるのを防げる。
  • 猶予期間中の延滞金が軽減される
    通常より低い割合で計算される。

こちらも分割納付が可能で、延長すれば最長2年まで猶予を受けられます。

重要

「徴収猶予」は主に災害・病気・廃業などの特定の事情がある場合、「換価の猶予」は一度に納めると生活や事業が立ち行かなくなる場合に使う、と整理すると分かりやすいです。
どちらに当てはまるか判断が難しいときは、窓口で「猶予を利用したい」と伝えれば、担当者が適切な制度を案内してくれます。

4-3. 猶予の申請の流れと必要書類

猶予は自動では受けられません。必ず自分で申請する必要があります。

申請の流れは自治体によって異なりますが、東京都(都税事務所)の場合は次のとおりです(東京都主税局「納税が困難な方に対する猶予制度について」参照)。

  1. 徴収猶予または換価の猶予の申請書を記入し、都税事務所などへ郵送する(eLTAXによる電子申請も可能)。
  2. 財産や収支の状況を示す書類を添付する(猶予を受けたい金額に応じて、財産収支状況書や財産目録などの様式が変わる)。
  3. 都税事務所で審査が行われる(審査にかかる日数は数日〜20日程度が目安)。
  4. 猶予の決定通知書と、新しい納付書が郵送される。
  5. 通知された納付計画のとおりに納付する。
100万円を超える猶予には担保が必要な場合がある

猶予を受けようとする金額が100万円を超える場合は、担保の提供を求められることがあります。
また、口座振替を利用している場合は、事前に口座振替を止める手続きが必要になることがあります。詳しくは申請前に窓口へ確認してください。

猶予・分納の相談窓口は自治体ごとに異なります。お住まいの市区町村の窓口を以下で調べられます。

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5. 対処法③ 減免で税額そのものを軽くする

猶予が「支払いを待ってもらう」制度なのに対し、減免は税額そのものを減らす、または免除してもらう制度です。

生活が困窮していて、待ってもらっても払える見込みが立たない場合に検討します。

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5-1. 減免が認められる人(地方税法第367条)

地方税法第367条は、固定資産税の減免について次のように定めています。

市町村長は、天災その他特別の事情がある場合において固定資産税の減免を必要とすると認める者、貧困に因り生活のため公私の扶助を受ける者その他特別の事情がある者に限り、当該市町村の条例の定めるところにより、固定資産税を減免することができる。

つまり、減免できるのは大きく次の3つに当てはまる人です。

  • 天災その他特別の事情がある場合に、減免が必要と認められる人
  • 貧困のため生活の公私の扶助(生活保護など)を受けている人
  • その他特別の事情がある人

5-2. 具体的な減免の対象(自治体によって異なる)

実際にどこまで減免するかは市町村の条例で決まるため、自治体によって対象や割合に差があります。

多くの自治体で対象とされているのは、次のようなケースです。

  • 生活保護(生活扶助)を受けている
    生活扶助を受けている人が所有する固定資産は、減免または全額免除の対象になることが多い。
  • 災害で被害を受けた
    火災・風水害・地震などで家屋や土地が被害を受けた場合。
  • 障害者・ひとり親・高齢者など
    一定の要件を満たす障害者や寡婦・ひとり親、高齢者などを対象にする自治体もある。

自分が対象になるかどうかは、必ずお住まいの市区町村で確認してください。

5-3. 減免の申請は原則「納期限前」に

減免で特に注意したいのが、申請のタイミングです。

減免は、多くの自治体で「納期限前の申請」が原則とされ、申請日以後にまだ到来していない納期分が対象になります。

納期限を過ぎると減免を受けられないことがある

すでに納期限を過ぎた分は、減免の対象外になる自治体が少なくありません。
「減免に当てはまるかも」と思ったら、納期限を待たず、できるだけ早く窓口に相談してください。

お住まいの自治体の減免制度(対象・割合・申請期限・必要書類)は、以下で調べられます。

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6. 滞納を続けるとどうなる〜督促から差し押さえまで

対処法を取らずに滞納を続けると、どうなるのでしょうか。

ここでは、延滞金の仕組みと、督促から差し押さえまでの流れを確認しておきましょう。

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6-1. 延滞金はいくらかかる?

納期限を過ぎると、翌日から納付の日までの日数に応じて延滞金が加算されます。

延滞金の割合は法律で決まっており、令和8年(2026年)は次のとおりです(千葉県「延滞金・加算金」の例。この割合は全国共通です)。

  • 納期限の翌日から1か月を経過する日まで: 年2.8%
  • それ以降、納付する日まで: 年9.1%

つまり、滞納が長引くほど高い割合の延滞金がかかる仕組みです。

少額・短期の延滞では延滞金がかからないことも

延滞金は、計算した金額が1,000円未満のときはかかりません。また、もとの税額が2,000円未満の場合も延滞金は生じません。
うっかり数日払い忘れた程度であれば、延滞金が発生しないケースも多いので、気づいた時点で早めに納めれば過度に心配する必要はありません。

延滞金のおおよその金額は、以下のシミュレーターで確認できます。

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6-2. 督促状と財産調査(勤務先への照会)

納期限までに納めないと、市町村は納期限後20日以内に督促状を送らなければならないと法律(地方税法第371条)で定められています。

督促状が届いても納めない場合、市町村は差し押さえの準備として、あなたの財産の調査を行います。

このとき、勤務先に「給与等の調査について」といった照会の文書が届くことがあります。

勤務先に滞納が知られることがある

給与を差し押さえるかどうかを判断するため、役所から勤務先へ給与の照会が届く場合があります。
会社に滞納を知られたくない場合こそ、その前の段階で役所に相談し、分割や猶予の手続きを進めておくことが大切です。

6-3. 差し押さえの実行

法律(地方税法第373条)では、督促状を発した日から10日を経過した日までに完納しないとき、市町村は滞納者の財産を差し押さえなければならないと定められています。

実際には、督促の直後にいきなり差し押さえられるわけではなく、財産調査などを経て行われますが、放置を続ければ次のような財産が差し押さえの対象になります。

  • 給与(手取りの一部)
  • 預貯金
  • 生命保険の解約返戻金
  • 土地・家屋などの不動産

差し押さえられた財産は、最終的に公売(こうばい)にかけられて売却され、滞納した税金に充てられます。

固定資産税を含む地方税の滞納と差し押さえの流れは、住民税の滞納とほぼ同じ仕組みです。督促から差し押さえまでの流れをより詳しく知りたい方は、あわせて次の手続きガイドも参考にしてください。

7. よくある質問(FAQ)

Q. うっかり1期分を数日過ぎてしまいました。延滞金はかかりますか?

A. 少額・短期であれば、かからないことが多いです。

延滞金は計算した額が1,000円未満だとかかりません。

数日の遅れであれば延滞金が1,000円未満におさまるケースが多いため、気づいた時点ですぐ納付すれば、過度に心配する必要はありません。

ただし放置すればどんどん増えるので、早めに納めましょう。

Q. 分割払いにすると、固定資産税は安くなりますか?

A. 安くなりません。

分割払いは、1年分の税額を年4回の納期に分けて納めるだけで、合計額は一括で納める場合と変わりません。

税額そのものを減らしたい場合は、前の章で解説した「減免」の制度に当てはまるかを確認してください。

Q. 固定資産税を滞納すると、勤務先(会社)に知られますか?

A. 財産調査の過程で、勤務先に照会が届くことがあります。

差し押さえの準備として、役所から勤務先へ給与の照会文書が届く場合があります。

会社に知られたくないなら、その前の段階で役所に相談し、分割や猶予の手続きを進めておくことが有効です。

Q. 差し押さえるような財産がなければ、逮捕されますか?

A. 逮捕されることはありません。

税金の滞納は、あくまで行政上の手続き(滞納処分)であり、刑事罰の対象ではありません。

差し押さえる財産がない場合でも逮捕されることはなく、生活に必要な最低限の財産や給与は差し押さえが制限されています。

給与は手取りの一定額まで、また生活に欠かせない衣服や家財などは、一定の範囲で差し押さえが禁止されています。

ただし、放置してよいという意味ではありません。状況が改善したら差し押さえに進む可能性があるため、必ず役所に相談してください。

Q. 相続した空き家の固定資産税が払えません。

A. 猶予・減免の相談に加え、売却や解体も選択肢になります。

住んでいない空き家でも固定資産税はかかり続けます。

払い続けるのが難しい場合は、猶予・減免を相談するとともに、売却や解体によって負担そのものをなくすことも検討しましょう。

なお、住宅を取り壊して更地にすると、住宅用地の特例が外れて固定資産税が上がる場合があるため、解体の前に税額の変化を確認することが大切です。

また、取り壊さずに放置していても、空き家が「特定空家等」や「管理不全空家等」に指定されて勧告を受けると、住宅用地の特例が外れて固定資産税が上がる場合があります。空き家は放置せず、早めに活用や処分を検討しましょう。

Q. 自己破産すれば、滞納した固定資産税は帳消しになりますか?

A. 帳消しにはなりません。

税金(地方税)は、自己破産で免責を受けても支払い義務が残る「非免責債権」にあたります。

つまり、自己破産をしても滞納した固定資産税は消えません。

だからこそ、払えないうちに猶予・減免・分納を役所に相談することが大切です。

Q. 時効まで待てば、固定資産税は消えますか?

A. 現実的ではありません。

地方税の徴収権は原則5年で時効になりますが、督促や差し押さえが行われると時効はリセット(法律上は「更新」)されます。

滞納すると督促状が送られ、その後も財産調査や差し押さえが進むため、実際には時効の成立を期待して待つことはできません。

まとめ

固定資産税が払えないときは、放置が最も危険な選択です。

延滞金が上乗せされ、督促のあとには財産の差し押さえが待っています。

大切なのは、払えないと分かった時点で自分から市区町村(東京23区は都税事務所)の窓口に相談することです。

対処法は、次の3つを状況に応じて使い分けます。

  • 分割納付
    一時的に資金が苦しいだけなら、納期ごと、または納期後の分納で少しずつ納める。
  • 猶予(徴収猶予・換価の猶予)
    災害・病気・失業・事業不振などで一時的に払えないなら、申請して支払いを待ってもらい、分割で納める。
    延滞金も軽減される。
  • 減免
    生活保護や災害などで担税力がないなら、税額そのものを減らしてもらう。
    原則、納期限前の申請が必要。

猶予は「待ってもらう」、減免は「減らしてもらう」制度、と覚えておくと選びやすくなります。

いずれの制度も、自分から申請・相談しなければ始まりません。

督促状を放置せず、一歩早く動くことが、あなたの家や財産を守る一番の方法です。

なお、固定資産税に限らず税金が払えないときの考え方は共通しています。他の税金についても知りたい方は、次の手続きガイドも参考にしてください。

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