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遺族年金は再婚したらどうなる?失権届の手続きと注意点

遺族年金は再婚したらどうなる?失権届の手続きと注意点
最終更新:2026年5月5日

「再婚したいけど、遺族年金がなくなるのが心配…」
「届出をしないまま受給し続けたらどうなるの?」
「事実婚でも遺族年金はもらえなくなるの?」
——配偶者を亡くして遺族年金を受給中の方が、新たなパートナーとの生活を考えるとき、年金への影響は大きな不安材料です。

この手続きガイドでは、再婚(事実婚を含む)による遺族年金の失権の仕組み、届出の手続き方法、子供の遺族年金への影響、届出を怠った場合のリスクまで、必要な情報をまとめて解説します。

1. 遺族年金の基本をおさらい

遺族年金には遺族基礎年金遺族厚生年金の2種類があります。

  • 遺族基礎年金
    国民年金の加入者が亡くなったときに支給される年金です。
    受給できるのは「子のある配偶者」または「子」に限られます。
    ここでいう「子」とは、18歳になった年度の3月31日までの間にある子(障害等級1〜2級の場合は20歳未満)です。
  • 遺族厚生年金
    厚生年金の加入者が亡くなったときに支給される年金です。
    受給できるのは、配偶者・子・父母・孫・祖父母のうち最も優先順位の高い遺族です。
    遺族基礎年金より受給対象が広く、子がいない配偶者でも受給できます。

遺族年金の受給条件や金額の詳細は、以下の手続きガイドで解説しています。

2. 再婚すると遺族年金はどうなる?

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受給権は「消滅」する

再婚すると、遺族基礎年金・遺族厚生年金のどちらも受給する権利が消滅します。

「停止」ではなく「消滅」である点が重要です。

一度消滅した受給権は、どのような事情があっても復活しません。

たとえば再婚した後に再び離婚しても、元の配偶者の遺族年金を再度受け取ることはできません。

法的根拠

遺族年金の失権は、以下の法律で定められています。

  • 国民年金法 第40条(遺族基礎年金の失権)
    「婚姻をしたとき」に受給権が消滅
  • 厚生年金保険法 第63条(遺族厚生年金の失権)
    「婚姻(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含む。)をしたとき」に受給権が消滅
注意

再婚後に再び離婚しても、元の配偶者の遺族年金は復活しません。
再婚する前に、経済面への影響を十分に検討しましょう。

3. 事実婚・内縁関係でも遺族年金は失権する

法律婚でなくても失権する

厚生年金保険法第63条では、「届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含む」と明記されています。

つまり、婚姻届を出していなくても、事実婚(内縁関係)と認められれば遺族年金の受給権は消滅します

「籍を入れなければ遺族年金はもらい続けられる」というのは誤解です。

事実婚と判断される基準

日本年金機構では、以下のような要素を総合的に判断して事実婚かどうかを認定します。

  • 同居しているかどうか
    住民票の住所が同じ場合は事実婚と推定されやすくなります。
  • 生計を共にしているかどうか
    家計を一つにしている、または一方が他方を経済的に支えている場合です。
  • 社会的に夫婦と認められているかどうか
    親族や近隣住民から夫婦として扱われている場合です。
ポイント

住民票の住所が異なっていても、実態として同居・生計共有の関係であれば事実婚と判断される可能性があります。
形式的に住民票を別にしているだけでは、事実婚の認定を避けることはできません。

「同棲」との違い

単なる交際関係や一時的な同居は、直ちに事実婚とはみなされません。

事実婚と判断されるかどうかは、上記の基準を総合的に考慮して決まります。

ただし、長期間にわたって同居し生計を共にしている場合は、事実婚と判断される可能性が高くなります。

判断に迷う場合は、年金事務所に相談することをおすすめします。

4. 再婚時に必要な「失権届」の手続き

再婚(事実婚を含む)により遺族年金の受給権が消滅した場合は、「遺族年金失権届」を提出する必要があります。

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4-1. 届出期限

年金の種類届出期限
遺族基礎年金失権事由に該当した日から14日以内
遺族厚生年金失権事由に該当した日から10日以内

遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方を受給している場合は、それぞれの届出が必要です。

注意

遺族厚生年金は「10日以内」と非常に短い期限です。
再婚が決まったら、届出の準備を早めに進めましょう。

4-2. 届出先

以下のいずれかに届け出ます。

  • 最寄りの年金事務所
  • 街角の年金相談センター
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4-3. 届出に必要なもの

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  • 年金証書
  • 戸籍謄本(法律婚の場合、再婚の事実を確認できるもの)
ポイント

事実婚(内縁関係)で失権届を提出する場合は、戸籍に記載されないため、住民票(「妻(未届)」等の記載があるもの)や申立書などが必要になることがあります。
事前に年金事務所に問い合わせて、必要書類を確認しましょう。

4-4. 届出の流れ

  1. 日本年金機構のホームページから「遺族年金失権届」の様式をダウンロードする
  2. 必要事項を記入する(「失権の事由に該当した年月日」欄には再婚日を記入)
  3. 年金証書・戸籍謄本とあわせて年金事務所に提出する
ポイント

届出の際は事前に年金事務所へ電話で予約をすると、スムーズに手続きできます。
予約なしでも受付は可能ですが、混雑時は待ち時間が長くなることがあります。

5. 再婚したら子供の遺族年金はどうなる?

配偶者が再婚して遺族年金の受給権を失っても、子供の遺族年金が消滅するわけではありません

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配偶者の失権後、子供が受給できるケース

遺族年金は「配偶者」と「子」の両方に受給権が発生しますが、配偶者が受給している間は子への支給は停止されています。

配偶者が再婚して失権すると、この支給停止が解除され、子供が直接遺族年金を受給できるようになります。

ただし、子供が以下のすべての条件を満たす必要があります。

  • 18歳になった年度の3月31日までの間にある(障害等級1〜2級の場合は20歳未満)
  • 婚姻していない
  • 父または母と生計を同じくしていない(遺族基礎年金のみの条件)

子供が再婚相手と養子縁組した場合

子供が再婚相手(直系姻族)と養子縁組をしても、遺族年金の受給権は消滅しません

法律上、「直系血族または直系姻族以外の方の養子となったとき」に受給権が消滅すると定められているためです。

再婚した親の再婚相手は「直系姻族」にあたるため、養子縁組しても失権事由には該当しません。

ただし、遺族基礎年金については、再婚した両親と生計を同じくしている場合は支給されません。

子供が再婚した両親とは別に祖父母と暮らしているなど、生計同一でない場合は受給可能です。

重要

再婚しても子供の遺族年金は一定の条件下で継続します。
お子さんの年金に関しては、年金事務所で個別のケースを確認しましょう。

6. 届出を怠るとどうなる?不正受給のリスク

返還義務と罰則

失権届を提出せずに遺族年金を受給し続けると、不正受給とみなされます。

不正受給が発覚した場合は、以下のペナルティを受ける可能性があります。

  • 受給した年金の全額返還
    失権事由に該当した日以降に受け取った年金は、すべて返還しなければなりません。
  • 加算金の支払い
    不正受給額に対して加算金が課されることがあります。
  • 罰則(刑事罰)
    詐欺罪(刑法第246条)に該当する可能性があり、10年以下の懲役に処されることがあります。

事実婚でも不正受給になる

法律婚をしていなくても、事実婚(内縁関係)の状態で遺族年金を受給し続けることは不正受給にあたります。

「籍を入れていないから届出は不要」と考えるのは危険です。

注意

事実婚の状態で遺族年金を受給し続けた場合、再婚の届出をしていなくても不正受給となります。
年金機構の調査で発覚した場合、数年〜数十年分の返還を求められるケースもあります。
速やかに年金事務所へ相談してください。

7. 再婚後の年金・社会保険の手続き

遺族年金の失権届とあわせて、再婚に伴う以下の手続きも確認しておきましょう。

国民年金の種別変更

再婚相手が会社員や公務員(厚生年金加入者)の場合、扶養に入ることで国民年金の第三号被保険者になれます。

第三号被保険者になると、国民年金の保険料を自分で負担する必要がなくなります。

再婚相手の勤務先を通じて手続きします。

健康保険の扶養加入

再婚相手の健康保険の被扶養者になることで、保険料の負担なく健康保険に加入できます。

こちらも再婚相手の勤務先を通じて手続きします。

氏名変更届

再婚により氏名が変わった場合、年金事務所への氏名変更届は原則不要です(マイナンバーと基礎年金番号が結びついている場合は自動反映)。

ただし、マイナンバーが未登録の場合は手続きが必要ですので、年金事務所で確認してください。

よくある質問(FAQ)

Q. 事実婚(内縁)でも遺族年金は失権しますか?

A. はい、事実婚でも失権します。

厚生年金保険法第63条で「事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含む」と明記されています。

婚姻届を出していなくても、同居・生計共有・社会的認知などから事実婚と判断されれば、遺族年金の受給権は消滅します。

Q. 再婚後に離婚したら遺族年金は復活しますか?

A. 復活しません。

遺族年金の受給権は再婚した時点で「消滅」するため、その後に離婚しても元の遺族年金を再度受け取ることはできません。

再婚する前に、経済面への影響を慎重に検討することが大切です。

Q. 再婚したら子供の遺族年金はどうなりますか?

A. 条件を満たせば、子供が直接受給できるようになります。

配偶者が再婚して失権した後、子供が18歳の年度末まで(障害等級1〜2級の場合は20歳未満)であれば、支給停止が解除されて子供が直接遺族年金を受給できます。

詳しくは「5. 再婚したら子供の遺族年金はどうなる?」をご覧ください。

Q. 同棲しているだけでも失権しますか?

A. 事実婚と判断される場合は失権します。

短期間の同棲や単なる交際関係であれば直ちに失権とはなりませんが、長期間にわたって同居し生計を共にしている場合は、事実婚と判断される可能性があります。

判断に迷う場合は、年金事務所に相談することをおすすめします。

Q. 失権届を出さずに受給し続けるとどうなりますか?

A. 不正受給として返還義務・罰則が課される可能性があります。

失権事由に該当した日以降に受け取った年金は全額返還する義務があり、加算金の支払いや刑事罰(詐欺罪)の対象になることもあります。

速やかに年金事務所へ届出をしてください。

Q. 復氏届や死後離婚(姻族関係終了届)を出したら遺族年金はどうなりますか?

A. 復氏届や姻族関係終了届を提出しても、遺族年金の受給権は消滅しません。

旧姓に戻す「復氏届」や、亡くなった配偶者の親族との姻族関係を終了させる「姻族関係終了届」は、遺族年金の失権事由に該当しません。

これらの届出をしても遺族年金は引き続き受給できます。

Q. 2028年4月の遺族年金改正で何が変わりますか?

A. 一定の条件に該当する方の遺族厚生年金が、原則5年の有期給付に変わります。

2028年4月施行予定の改正では、60歳未満で配偶者を亡くした方のうち、18歳年度末までの子供がいない場合、遺族厚生年金が原則5年の有期給付になります。

すでに遺族厚生年金を受給している方や、60歳以降に受給権が発生する方には影響ありません。

詳しくは厚生労働省「遺族厚生年金の見直しについて」をご確認ください。

まとめ

遺族年金を受給中の方が再婚した場合のポイントを整理します。

  • 再婚(事実婚・内縁関係を含む)すると遺族年金の受給権は消滅する
  • 「消滅」であり、再婚後に離婚しても復活しない
  • 失権届の提出期限は遺族基礎年金が14日以内、遺族厚生年金が10日以内
  • 届出先は年金事務所または街角の年金相談センター
  • 子供の遺族年金は、条件を満たせば配偶者の失権後に子供が直接受給できる
  • 届出を怠ると不正受給として返還義務や罰則の対象になる
  • 再婚後は国民年金の種別変更、健康保険の扶養加入なども確認する

遺族年金は残されたご家族の生活を支える大切な制度です。

再婚を考える際は、経済面への影響を十分に検討し、再婚が決まったら速やかに届出を行いましょう。

手続きに不安がある場合は、最寄りの年金事務所や街角の年金相談センターにご相談ください。

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