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宝くじの当せん金は非課税でも分けたら贈与税!正しい分け方

宝くじの当せん金は非課税でも分けたら贈与税!正しい分け方
最終更新:2026年7月16日

「宝くじが当たったら、まず親と子どもに分けてあげたい」
「当せん金は非課税って聞いたから、いくら配っても大丈夫だよね」
——そう考えている方は少なくありません。

ところが、当せん金が非課税なのは受け取った本人だけです。

家族に分けた瞬間、受け取った側に贈与税がかかり、税率は最高55%に達します。

しかも防ぐ手立ては、当せん金を受け取る前にしか打てません。

この手続きガイドでは、非課税の法的根拠から、贈与税を避ける3つの受け取り方、証明のための手続きまでを解説します。

宝くじの当せん金が非課税である理由と法的根拠

まず前提を確認しておきましょう。

宝くじの当せん金に税金がかからないのは、慣習でも税務署の温情でもなく、法律にはっきり書かれているからです。

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根拠は当せん金付証票法第13条

宝くじは「当せん金付証票」という名称で法律に定められています。

その当せん金付証票法の第13条が、非課税の根拠です。

当せん金付証票の当せん金品については、所得税を課さない。

条文はこれだけです。

1億円が当たっても、7億円が当たっても、源泉徴収されることなく全額をそのまま受け取れます。

所得税も住民税もかからず確定申告も不要

条文が名指ししているのは所得税ですが、個人住民税の所得割は地方税法第32条第2項によって、所得税法その他の所得税に関する法令の規定による計算の例により算定するものとされています。

そのため当せん金は住民税の対象にもならず、確定申告も必要ありません。

住民税を課税する自治体自身も、この扱いを明示しています。

ポイント

会社員の方が高額当せんしても、勤務先に知られることはありません。
当せん金は給与所得でも一時所得でもないため、住民税額が跳ね上がって会社に気づかれる、といったことは起こらないためです。

条文が定めているのは「所得税」だけ

ここがこの手続きガイドの核心です。

第13条をもう一度読んでください。書かれているのは「所得税を課さない」であり、「贈与税を課さない」とはどこにも書かれていません。

つまり非課税が保証されているのは、「当せん者本人が当せん金を受け取る」という行為だけです。

受け取った当せん金を他人に渡せば、それはもう当せん金の受取ではなく、個人から個人への財産の移転、すなわち贈与になります。

「非課税」が守ってくれる範囲はここまで

当せん金付証票法が非課税と定めているのは、当せん者本人が受け取るところまでです。
そこから先、家族や友人に分けた瞬間に、その分配は贈与税の対象になります。
「宝くじは非課税だから何をしても税金はかからない」という理解は誤りです。

当せん金を分けた瞬間に贈与税がかかる仕組み

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「家族で出し合って買ったのだから、分けるのは当然」と感じるかもしれません。

しかし税務上は、誰が当せん金を受け取ったかがすべてです。

たとえ家族3人でお金を出し合って買った宝くじでも、あなたが一人で窓口に行き、あなた一人の当せん金として受け取ってしまえば、その時点で当せん金はあなたの財産になります。

その後で家族に渡せば、それはあなたから家族への贈与です。

贈与税を払うのは「もらった側」

見落とされがちですが、贈与税の納税義務者は財産をもらった人です。

分けてあげたあなたではありません。

申告と納税をするのも、税務署に申告書を出すのも、受け取った家族の側です。

よかれと思った分配が家族に納税義務を生む

あなたが1,000万円を配偶者に渡すと、納税義務を負うのは配偶者です。
配偶者は翌年3月15日までに自分で申告し、231万円の贈与税を自分の財布から納めることになります。
「あげた側が払う」と誤解したまま分配すると、家族に思わぬ負担を負わせてしまいます。

贈与税はいくらかかる?税率と計算例

贈与税は、1年間(1月1日〜12月31日)にもらった財産の合計額から基礎控除110万円を差し引いた残額に、税率をかけて計算します。

税率には一般税率特例税率の2種類があり、誰から誰への贈与かで使い分けます。

  • 一般税率(一般贈与財産用)
    特例税率に該当しない場合に使います。
    夫婦間の贈与、兄弟間の贈与、友人からの贈与、親から未成年の子への贈与などが該当します。
  • 特例税率(特例贈与財産用)
    直系尊属(父母や祖父母など)から、贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上の子や孫への贈与に使います。
    配偶者の父母からの贈与には使えません。
夫婦の間の贈与は「一般税率」です

「家族なのだから優遇される特例税率だろう」と考えるのは誤りです。
特例税率が使えるのは、親や祖父母から18歳以上の子・孫へ贈与する場合に限られます。
夫から妻へ、妻から夫への分配は一般税率となり、税負担は重くなります。

一般税率の速算表

夫婦間・兄弟間・友人などへの贈与に使います。

基礎控除後の課税価格税率控除額
200万円以下10%
300万円以下15%10万円
400万円以下20%25万円
600万円以下30%65万円
1,000万円以下40%125万円
1,500万円以下45%175万円
3,000万円以下50%250万円
3,000万円超55%400万円

特例税率の速算表

親・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与に使います。

基礎控除後の課税価格税率控除額
200万円以下10%
400万円以下15%10万円
600万円以下20%30万円
1,000万円以下30%90万円
1,500万円以下40%190万円
3,000万円以下45%265万円
4,500万円以下50%415万円
4,500万円超55%640万円

出典: 国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」

計算例

配偶者に1,000万円を分けた場合、一般税率で次のように計算します。

  1. 基礎控除を引く
    1,000万円 − 110万円 = 890万円
  2. 速算表に当てはめる(890万円は「1,000万円以下」の行)
    890万円 × 40% − 125万円 = 231万円

1,000万円を渡したつもりが、配偶者の手元に残るのは769万円ということです。

贈与税額シミュレーション

分ける金額と相手によって、贈与税がいくらになるかを試算できます。

一般税率と特例税率の両方を表示するので、渡す相手による差も確認してください。

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現金を渡さなくても課税される「みなし贈与」

「現金を振り込まなければ大丈夫」と考えるのも誤りです。

当せん金で家族名義の家を買ってあげる、家族の住宅ローンを代わりに返済する、車を買ってあげる。

これらはすべて贈与とみなされます。

根拠は相続税法の第9条です。

(前略)対価を支払わないで、又は著しく低い価額の対価で利益を受けた場合においては、当該利益を受けた時において、当該利益を受けた者が、当該利益を受けた時における当該利益の価額に相当する金額(対価の支払があつた場合には、その価額を控除した金額)を当該利益を受けさせた者から贈与(当該行為が遺言によりなされた場合には、遺贈)により取得したものとみなす。

つまり、お金を出してもらって利益を受けた人は、その利益の分だけ贈与を受けたものとして扱われます。

親孝行のつもりで実家を建て替えてあげたら、親に多額の贈与税が課される、ということが実際に起こります。

贈与税を避けるなら当せん金を受け取る「前」に手続きする

ここからが本題です。

贈与税を防げるかどうかは、当せん金を受け取る前に手続きをしたかどうかでほぼ決まります。

一度あなた一人の当せん金として受け取ってしまうと、そのお金は法的にあなたの財産です。

「銀行に返金して、家族それぞれの口座に振り込み直してもらえばいい」と考える方がいますが、これはできません。

受け取った後に家族へ渡せば、それがどんな経路であっても贈与になります。

宝くじ公式サイトが高額当せん者に配布している「その日から読む本」(当せん者ハンドブック)は、この点を明確に書いています。

もしも、あなたがグループ買いで当せんした場合、当せん金を受け取る際にはメンバーの委任状が必要になります。家族や親戚でのグループ買いも同様です。委任状なしにひとりで当せん金を受け取ると、「当せん証明書」はあなただけのものとして発行されます。すると当せん金をメンバーに分配した場合、贈与税の対象になってしまいます。

裏を返せば、受け取る時点で「全員の当せん金」にしておけば、贈与は発生しません

その方法は3つあります。

方法手間確実性こんな人に
1. 公式サイトのネット共同購入これから買う人
2. 購入者全員で窓口へ行く売り場で共同購入した人
3. 代表者が委任状を持参する全員の予定が合わない人
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方法1: 宝くじ公式サイトの共同購入で買う

これから買うなら、もっとも確実で手間もかからない方法です。

宝くじ公式サイトには共同購入の機能があり、グループを作ってメンバーと一緒に宝くじを購入できます。

当せんした場合、当せん金はグループとして受け取ることになります。

  • 分配率
    グループ全体で購入した枚数のうち、自分が購入した枚数の割合が分配率になります。
  • 分配金
    当せん金が分配率に応じて分配され、各メンバーが受け取る金額が決まります。
    分配金は各メンバーが登録した当せん金受取口座に振り込まれます。

つまり、誰か一人が全額を受け取ってから配る、という構図そのものが発生しません

各メンバーは最初から自分の分配金を直接受け取るため、贈与のしようがないのです。

ネット共同購入で買える宝くじは限られています

共同購入できるのは、ジャンボ宝くじ(ジャンボミニ含む)と全国通常宝くじだけです。
ロト7・ロト6・ミニロト・ナンバーズ・ビンゴ5・スクラッチは共同購入できません。
また、あらかじめ会員情報・支払方法・当せん金受取口座の登録が必要です。

なお分配金の計算では、円未満は切り捨てられます。

端数が生じた場合は、グループに参加した順に1円ずつ割り当てられます。

方法2: 購入者全員でみずほ銀行の窓口に行く

宝くじ売り場でお金を出し合って買った場合は、購入者全員そろって受け取りに行きます。

全員で手続きをすれば、それぞれが自分の持ち分を当せん者として直接受け取れるため、贈与になりません。

1当せん金または1口あたり5万円を超える当せん金は、宝くじ売り場では受け取れず、みずほ銀行の本支店(一部を除く)での手続きになります。

なお、売り場によっては1当せん金または1口あたり1万円以下しか取り扱っていない場合があります。

高額当せんの場合は必ずみずほ銀行に行くことになるため、事前に最寄りの店舗を確認しておきましょう。

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方法3: 代表者が全員の委任状を持参する

「全員の予定がどうしても合わない」という場合は、代表者がメンバー全員の委任状を持って窓口に行きます。

ただし、委任状の様式や記載事項は、宝くじ公式サイト・みずほ銀行公式サイトのいずれにも案内がありません。

受け取りに行く前に、手続きをするみずほ銀行の本支店へ「共同購入の委任状には何を書けばよいか」「銀行に用紙があるか」を電話で確認してください。

宝くじ全般については、宝くじコールセンター(TEL 0570-01-1192 ナビダイヤル・有料 / 受付時間 10:30〜18:30・土日祝日と年末年始を除く)でも確認できます。

委任状なしで一人で受け取ると取り返しがつきません

公式ハンドブックは「委任状なしにひとりで当せん金を受け取ると、『当せん証明書』はあなただけのものとして発行されます」と明記しています。
あなた一人の当せん金として確定してしまうと、後からメンバーに分配した分はすべて贈与税の対象です。
家族や親戚でのグループ買いであっても、この扱いは変わりません。

実態のない共同購入は認められない

ここで、はっきりお伝えしておかなければならないことがあります。

「一人で買ったけれど、共同購入だったことにすれば贈与税を逃れられるのでは」という発想は通用しません。

共同購入として認められるのは、実際に複数人がお金を出し合って購入した場合だけです。

実態のない申告は虚偽の申告です。

誰がいくら出したかを説明できる記録がなければ、後から共同購入だったと主張しても通りません。

「共同購入したことにする」は脱税です

実際には単独で購入したものを共同購入と偽って申告する行為は、贈与税の脱税にあたります。
発覚すれば本来の贈与税に加えて重加算税や延滞税が課され、負担はかえって重くなります。
この手続きガイドで紹介しているのは、あくまで実態を伴う共同購入を正しく手続きする方法です。

だからこそ、買う前の準備が意味を持ちます。

家族や仲間と分け合いたいなら、当たってから考えるのではなく、購入の段階で共同購入にしておくことが唯一の確実な方法です。

当せん金の受け取りと分配を証明する手続き

正しく共同購入していても、それを説明できなければ意味がありません。

受け取りの手順と、証明を残す方法を確認しておきましょう。

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金額別の受取場所と必要なもの

宝くじ売り場やコンビニで購入した場合、当せん金額によって受取場所と必要なものが変わります。

1当せん金または1口あたりの金額受取場所必要なもの
5万円以下のみ宝くじ売り場 / みずほ銀行本支店(一部を除く)
5万円超を含むみずほ銀行本支店(一部を除く)
100万円超を含むみずほ銀行本支店(一部を除く)印鑑
200万円超を含むみずほ銀行本支店(一部を除く)本人確認書類(運転免許証など) / 印鑑

出典: 宝くじ公式サイト「当せん金のお受け取り」

本人確認書類は100万円超から持って行くのが安全です

上の表は宝くじ公式サイトの記載にもとづくものですが、支払窓口であるみずほ銀行の公式サイトは「100万円を超える当せん金を含む場合」に本人確認書類が必要と案内しており、公式サイト間で説明が分かれています。
100万円を超える当せん金は受け取りに1週間程度かかるため、書類が足りずに出直すと手間が大きくなります。
100万円を超える場合は、印鑑と本人確認書類の両方を持って行くことをおすすめします。

受け取りには期限と日数があります

当せん金は支払開始日から1年以内に受け取らないと権利が消滅します(スクラッチは券面記載の支払期限まで)。
また、1当せん金または1口あたり100万円を超える場合は、手続きの都合上、受け取りに1週間程度かかります。
「今日行けば今日もらえる」わけではないため、余裕を持って手続きしてください。

宝くじ公式サイトやインターネット販売金融機関の販売サイト、ATM宝くじサービスで購入した場合は、登録済みの口座に自動で振り込まれます。

宝くじ当せん金支払証明書を必ず発行してもらう

高額当せんしたら、窓口で「宝くじ当せん金支払証明書」(当せん証明書)の発行を依頼してください。

公式ハンドブックはその理由をこう説明しています。

この先、当せん金で住宅を購入した場合などに、税務署から資金の元手について問い合わせがあるかもしれません。そんな時に「当せん証明書」が必要になります。その証明書を見た税務署員も、あなたの当せんを他言することはありません。

当せん証明書は、みずほ銀行の窓口で当せん金の支払い手続きを案内する場合に発行されます。

共同購入で全員そろって手続きをすれば、公式ハンドブックのいう「あなただけのものとして発行される」状態を避けられます。

証明書にメンバーがどのように記載されるかは、窓口で確認してください。

ポイント

ATMで購入して当せんした場合(1口あたり300万円を超える場合)は、購入した金融機関から「当せん通知書」が親展で郵送されます。
また、通帳等の記帳によって当せん金の入金を確認できます。

購入前にグループのルールを決めておく

グループで買うなら、当たってからではなく買う前に決めておくことが大切です。

公式ハンドブックも「グループ買いでは、購入前に当せんした場合の決まりを作っておくのがベター」としています。

決めておきたいのは次の点です。

  • 誰がいくら出したか
    出資額は分配割合の根拠になります。
    記録がないと、後から割合を説明できません。
  • 分配の割合
    出資額に応じた割合にするのが原則です。
    公式サイトのネット共同購入も、購入枚数の比率で自動的に分配されます。
  • 当せんを知らせる範囲
    誰にいつ伝えるかを決めておくと、混乱を防げます。
出資額と違う割合で分けると差額が贈与になります

3人が同額ずつ出したのに、一人だけ多く受け取るような分け方をすると、出資割合を超えた部分が贈与とみなされる可能性があります。
分配割合は出資額に沿って決めるのが原則です。
職場など人数が多い場合は、誰がいくら出したかの一覧や購入明細を残しておきましょう。

すでに一人で受け取ってしまった場合の手続き

「もう受け取ってしまった」という場合、打てる手は大きく限られます。

前述のとおり、銀行に返金して分け直すことはできません

それでも、贈与税の負担を抑える方法はいくつかあります。

使える制度は「誰に渡すか」で変わります。

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年110万円の基礎控除の範囲内で贈与する

贈与税の基礎控除は、もらう人ごと・1年ごとに110万円です。

1年間にもらった財産の合計が110万円以下なら、贈与税はかからず、申告も不要です。

基礎控除は「あげる人ごと」ではなく「もらう人ごと」に判定されるため、複数人に分ければそれぞれ110万円ずつ非課税で渡せます。

たとえば子ども2人と親2人に110万円ずつ渡せば、合計440万円を贈与税なしで移せます。

「最初にまとめて約束した」と見られると課税されます

国税庁は、定期金給付契約に基づくものではなく毎年その都度贈与契約を結んで贈与していれば、各年110万円以下である限り贈与税はかからず申告も不要としています。
ただし「毎年100万円を10年間渡す」と最初に約束していた場合は、その約束をした年に、定期金に関する権利の贈与を受けたものとして贈与税がかかります。
分かれ目は金額や時期が同じかどうかではなく、総額をまとめて約束していたかどうかです。

つまり、後から「渡し続けた合計額」にまとめて課税されるのではなく、約束をした年に課税されるという扱いです。

贈与のたびに個別の贈与契約書を残しておけば、まとめて約束したものではないことを示せます。

実務上は、金額や時期を毎年変えておくとより安全です。

出典: 国税庁「No.4402 贈与税がかかる場合」Q&A

暦年贈与を安全に行う具体的な手順や、贈与契約書の書き方は次の手続きガイドで詳しく解説しています。

生活費・教育費は「都度・直接」なら非課税

扶養義務者(夫婦、親子、兄弟姉妹など)から生活費や教育費に充てるために受け取った財産で、通常必要と認められるものには贈与税がかかりません。

ここでいう生活費には治療費や養育費なども含まれ、教育費には学費・教材費・文具費などが含まれます。

ただし、ここには大きな落とし穴があります。

国税庁は次のように明記しています。

贈与税がかからない財産は、生活費や教育費として必要な都度直接これらに充てるためのものに限られます。したがって、生活費や教育費の名目で贈与を受けた場合であっても、それを預金したり株式や不動産などの買入資金に充てている場合には贈与税がかかることになります。

つまり「生活費として1,000万円まとめて渡す」は非課税になりません。

必要になった都度、実際にその用途に充てる分だけを渡す必要があります。

出典: 国税庁「No.4405 贈与税がかからない場合」

婚姻20年以上なら配偶者控除で2,000万円まで

配偶者に分けたいのであれば、贈与税の配偶者控除(おしどり贈与)を使える可能性があります。

婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭を贈与した場合、贈与税の申告をすることにより、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除できます。

合わせて2,110万円まで、贈与税をかけずに移せる計算です。

適用を受けるには、次の要件をすべて満たす必要があります。

  • 婚姻期間
    夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたことが必要です。
  • 対象になる財産
    贈与された財産が、居住用不動産であること、または居住用不動産を取得するための金銭であることが必要です。
    現金をそのまま渡して自由に使ってもらう形では使えません。
  • 居住の要件
    贈与を受けた年の翌年3月15日までに、その居住用不動産に贈与を受けた人が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであることが必要です。
同じ配偶者からは一生に一度しか使えません

配偶者控除は、同じ配偶者からの贈与については一生に一度しか適用を受けられません。
また、適用を受けるには一定の書類を添付した贈与税の申告が必要です。基礎控除110万円と違い、税額がゼロでも申告しなければ適用されません。

出典: 国税庁「No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」

相続時精算課税制度という選択肢

贈与をした年の1月1日時点で60歳以上の父母・祖父母から、贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上の子・孫へ贈与する場合は、相続時精算課税制度を選べます。

  • 特別控除
    累計2,500万円まで贈与税がかかりません。
  • 基礎控除
    令和6年(2024年)1月1日以後の贈与から、年110万円の基礎控除が適用されます。

まとまった金額を移すには有効ですが、一度選択するとその贈与者からの贈与について暦年課税に戻せません。

相続税まで含めた検討が必要なため、慎重に判断してください。

制度の詳細と「相続時精算課税選択届出書」の提出手続きは、名義預金の手続きガイドで解説しています。

子や孫の住宅資金なら最大1,000万円が非課税

子や孫が家を建てる、または買う予定があるなら、住宅取得等資金の贈与の非課税を使えます。

父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自分が住む住宅用の家屋の新築・取得・増改築等の対価に充てるための金銭を取得した場合、一定の要件を満たせば非課税になります。

  • 非課税限度額
    贈与を受けた人ごとに、省エネ等住宅の場合は1,000万円まで、それ以外の住宅の場合は500万円までです。
  • 基礎控除との併用
    年110万円の基礎控除と併用できます。

相続時精算課税と違い、贈与した時点で税負担がなくなる点が大きな利点です。

適用できるのは2026年12月31日までの贈与です

この非課税の特例が使えるのは、令和6年1月1日から令和8年(2026年)12月31日までの間の贈与に限られます。
省エネ等住宅として1,000万円の枠を使うには、住宅性能証明書など一定の書類を贈与税の申告書に添付して証明する必要があります。

出典: 国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」

贈与税の申告手続き

年間110万円を超える贈与を受けた場合、受け取った人が申告と納税をします。

項目内容
申告期間贈与を受けた年の翌年2月1日〜3月15日
申告先贈与を受けた人の住所地を所轄する税務署
申告方法窓口提出 / 郵送 / e-Tax(電子申告)

出典: 国税庁「No.4429 贈与税の申告と納税」

贈与税は金銭で一度に納めるのが原則です。

ただし贈与税額が10万円を超え、納期限までに金銭で納付することが困難な場合は、何年かに分けて納める延納制度があります。

延納を希望する場合は、申告書の提出期限までに税務署へ申請書などを提出して許可を受ける必要があります。

延納は5年以内の年賦で、原則として担保の提供が必要です(延納税額が100万円以下で延納期間が3年以下なら担保は不要)。

また、延納できることになった税金には年6.6%の利子税がかかります(市中金利の水準に応じて、これより低い特例割合が適用される場合があります)。

税務調査で問われたときの対処法と見落としやすい落とし穴

当せん金そのものは非課税でも、その後の使い方しだいで税務署の関心を引くことがあります。

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資金の出どころを聞かれたら当せん証明書で説明する

会社員が突然、数千万円の住宅を現金で購入すれば、収入と支出のつり合いが取れません。

このようなとき、税務署から資金の出どころを確認する「お尋ね」が届くことがあります。

ここで役に立つのが当せん証明書です。

資金の元手が非課税の当せん金であることを示せれば、説明はそれで完了します。

証明できなければ、申告していない所得を疑われかねません。

ポイント

公式ハンドブックは「その証明書を見た税務署員も、あなたの当せんを他言することはありません」と説明しています。
当せんを知られたくないという理由で証明書の発行をためらう必要はありません。

家族名義の口座に入れておくと名義預金になる

「とりあえず妻名義の口座に移しておこう」「子ども名義で貯めておこう」という発想は危険です。

口座の名義人と実質的なお金の持ち主が違う預金は名義預金と判定され、名義人の財産ではなく、お金を出した人の財産として扱われます。

贈与のつもりでも贈与が成立しておらず、将来の相続時に相続税の課税対象になります。

判定基準や解消方法は次の手続きガイドで詳しく解説しています。

増えた分には税金がかかる

非課税なのは当せん金そのものだけです。

当せん金を元手にして得た利息・配当金・売却益には、通常どおり所得税・住民税がかかります。

銀行預金の利息には原則20.315%(所得税15.315% + 住民税5%)が課され、株式の配当金や譲渡益も原則20.315%です。

「宝くじのお金だから、増えた分も非課税」ということはありません。

使い切らずに亡くなると相続税の対象になる

当せん金は受け取る時点では非課税ですが、使い切らずに残した現金や預金は、ほかの財産と同じように相続財産になります。

高額当せん金をそのまま置いておけば、将来の相続税は確実に重くなります。

興奮状態での「口約束」に注意

公式ハンドブックは、当せん直後の心理状態について率直に書いています。

当せん直後の人のほとんどは、軽躁状態と呼ばれる一種の興奮状態に置かれていると言ってさしつかえないと思います。

そして、この時期に避けるべき行動として「当せん金の贈与について口約束を交わす」ことを挙げています。

分配の約束をする前に、まず受け取り方の手続きを確認してください。

順番を間違えると、約束を守るために多額の贈与税を払うことになります。

よくある質問(FAQ)

Q. 夫婦の間でも贈与税がかかりますか?

A. かかります。しかも税率は「一般税率」です。

夫婦は生計を共にしていても、税法上は別々の個人として扱われます。

夫が受け取った当せん金を妻に渡せば、妻に贈与税がかかります。

さらに、優遇された特例税率が使えるのは親・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与に限られるため、夫婦間の贈与には一般税率が適用され、税負担はより重くなります。

ただし婚姻期間が20年以上あり、居住用不動産またはその取得資金として贈与する場合は、配偶者控除で最高2,000万円まで控除できる可能性があります。

Q. 一度に分けず、毎年110万円ずつ渡せば贈与税はかかりませんか?

A. 原則かかりませんが、最初に総額を約束していると課税されます。

毎年その都度贈与契約を結んで贈与し、もらう人ごとに年間110万円以下であれば、贈与税はかからず申告も不要です。

ただし「毎年100万円を10年間渡す」と最初に約束していた場合は、その約束をした年に、定期金に関する権利の贈与を受けたものとして贈与税がかかります。

分かれ目は金額や時期が同じかどうかではなく、総額をまとめて約束していたかどうかです。

贈与のたびに個別の贈与契約書を残しておきましょう。

Q. 当せん金を一人で受け取ったあとに、銀行に返金して分け直せますか?

A. できません。

当せん金を受け取った時点で、そのお金はあなたの財産として確定します。

いったん銀行に返して家族それぞれの口座に振り込み直す、といった手続きは用意されていません。

その後に家族へ渡せば、経路にかかわらず贈与として扱われます。

だからこそ、受け取る前の手続きが決定的に重要です。

Q. 共同購入した当せん金を、出資額と違う割合で分けられますか?

A. 出資額に応じた割合が原則です。

共同購入の分配は、誰がいくら出したかに基づいて決めるのが原則です。

宝くじ公式サイトのネット共同購入でも、購入枚数の比率(分配率)に応じて自動的に分配されます。

出資割合を大きく超えて受け取る人がいる場合、その超過分は贈与とみなされる可能性があります。

Q. 子どもや孫と共同購入したことにすれば贈与税を避けられますか?

A. 実態がなければ認められません。

共同購入として認められるのは、実際に複数人がお金を出し合って購入した場合だけです。

一人で購入したものを後から「共同購入だった」と偽ることはできません。

誰がいくら出したかを説明できる記録がなければ主張は通らず、虚偽の申告が発覚すれば重加算税などのペナルティが課されます。

家族と分け合いたいのであれば、購入の段階で共同購入にしておいてください。

Q. 当せん金の受け取りに期限はありますか?

A. 支払開始日から1年以内です。

期限を過ぎると当せん金を受け取る権利が消滅します(スクラッチは券面に記載の支払期限まで)。

また、1当せん金または1口あたり100万円を超える場合は、受け取りの手続きに1週間程度かかります。

期限のぎりぎりに窓口へ行くのは避けてください。

Q. 高額当せんすると会社に知られてしまいますか?

A. 知られません。

当せん金は所得税・住民税ともに非課税で、確定申告も不要です。

住民税額の変動から会社に気づかれるということも起こりません。

また、公式ハンドブックによれば、当せんや手続きに関することを金融機関の職員が許可なく他言することもありません。

まとめ

宝くじの当せん金が非課税なのは、当せん金付証票法第13条が「所得税を課さない」と定めているからです。

しかしこの条文が守ってくれるのは、当せん者本人が受け取るところまでです。

家族に分けた瞬間、それは個人間の贈与となり、受け取った家族に最高55%の贈与税がかかります。

そして防ぐ手立ては、当せん金を受け取る前にしか打てません。

以下のチェックリストで、自分がとるべき行動を確認してください。

  • 家族や仲間と分け合いたいなら、買う前に共同購入にしておく
  • これから買うなら、宝くじ公式サイトのネット共同購入を使う(ジャンボ・全国通常宝くじのみ)
  • 売り場でグループ買いしたら、購入者全員でみずほ銀行の窓口に行く
  • 全員の予定が合わないときは、代表者が全員の委任状を持参する
  • 誰がいくら出したかを記録し、分配は出資額の割合に沿って決める
  • 窓口で「宝くじ当せん金支払証明書」の発行を依頼する
  • すでに一人で受け取ってしまったら、年110万円の基礎控除の範囲で渡す
  • 配偶者へは、婚姻20年以上なら配偶者控除(最高2,000万円)が使えないか検討する
  • 子や孫の住宅資金なら、住宅取得等資金の非課税(最大1,000万円)を検討する
  • 年110万円を超えて渡したら、受け取った人が翌年3月15日までに申告する
  • 実態のない共同購入を装わない

当せん直後は誰もが興奮状態にあります。

分配を約束する前に、まず受け取り方を確認してください。

分配額が大きい場合や判断に迷う場合は、税務署または相続税・贈与税に強い税理士に相談することをおすすめします。

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