墓じまいの手続きと費用完全ガイド - 改葬・永代供養の流れ
「お墓を維持するのが難しくなってきた…」
「子どもに負担をかけたくない…」
とお悩みではありませんか?
遠方に住んでいて墓参りに行けない、後継者がいない、経済的な負担が大きいなど、墓じまいを検討する理由はさまざまです。
この手続ガイドでは、墓じまいの具体的な流れ、かかる費用、よくあるトラブルとその対処法まで、わかりやすく解説します。
墓じまいは決して先祖を軽んじることではなく、現代の生活に合った形で供養を続けるための選択肢です。
この手続きガイドを参考に、後悔のない墓じまいを進めてください。
墓じまいとは?
墓じまいとは、先祖代々のお墓を処分し、遺骨を別の場所に移すことを指します。
正式には「改葬」と呼ばれ、墓地埋葬法に基づいた法的な手続きが必要です。
墓じまいと改葬の違い
- 墓じまい
お墓を撤去・処分すること全般を指す一般的な呼び方 - 改葬
遺骨を別の場所に移すことの法律上の正式名称
実際には、墓じまいの中に改葬の手続きが含まれます。
墓じまいが増えている背景
近年、墓じまいを選択する人が急増しています。
厚生労働省の「衛生行政報告例」によると、2024年度の改葬件数は176,105件と過去最多を更新しました。
この10年で件数は約2倍にまで増加しており、墓じまいはもはや特別な決断ではなく、お墓の維持における一般的な選択肢のひとつになりつつあります。
鎌倉新書の「改葬・墓じまいに関する実態調査(2026年)」でも、実施経験者は45.2%に達しています。
墓じまいを検討する主な理由は以下の通りです。
- 後継者不在
少子化により、お墓を継ぐ人がいない - 遠方居住
実家から離れて暮らしており、墓参りや管理が困難 - 経済的負担
管理費や法要の費用が家計を圧迫 - 価値観の変化
お墓よりも、より手軽な供養方法を望む人の増加
墓じまいへの罪悪感について
「先祖に申し訳ない」
「親族から批判されるのでは」
という罪悪感を抱く方も少なくありません。
しかし、墓じまいは先祖を軽んじることではなく、現実的に供養を続けるための選択です。
放置して無縁墓になるよりも、きちんと手続きをして永代供養などに移すことが、むしろ先祖への誠実な対応と言えます。
供養の心があれば、形にこだわる必要はありません。自分たちの生活に合った方法で、先祖を大切にすることが何より重要です。
墓じまいが必要になる理由
墓じまいを検討する理由は人それぞれですが、実態調査(2026年)では以下の理由が上位に挙がっています。
- お墓が遠方にある(52.0%)
- お墓の継承者がいない(44.1%)
以下のチェックリストで、あなたに墓じまいが必要か確認してみましょう。
あなたに墓じまいが必要かチェック
- 後継者(子どもや親族)がいない、または継ぐ意思がない
- 遠方に住んでおり、墓参りに年に1回も行けない
- 管理費の支払いが経済的に厳しい
- 高齢で墓の清掃や管理ができなくなった
- 子どもに墓の管理負担をかけたくない
- 墓地が山奥や不便な場所にあり、危険を感じる
- すでに無縁墓に近い状態になっている
複数の項目に当てはまる場合は、墓じまいを検討する良いタイミングかもしれません。
後継者がいない・継がない
少子化や未婚率の上昇により、お墓を継ぐ人がいないケースが増えています。
また、子どもがいても「お墓は継がない」と明言されることも珍しくありません。
後継者がいない場合、放置すれば無縁墓となり、最終的には自治体が撤去・合葬することになります。
それよりも、自分たちで計画的に墓じまいをする方が望ましいでしょう。
遠方に住んでいて管理が難しい
進学や就職で故郷を離れ、実家の墓が遠方にあるケースです。
年に1回墓参りに行くことさえ困難で、墓地の清掃や管理が行き届かなくなります。
遠方の墓を維持するために、交通費や宿泊費もかかり、経済的にも時間的にも負担が大きくなります。
経済的な負担
お墓の維持には、以下のような費用が継続的にかかります。
- 年間管理費:
5,000円〜20,000円程度 - 法要のお布施:
3万円〜10万円程度 - 墓地の清掃・修繕費:
数万円〜数十万円
年金生活や収入が不安定な状況では、これらの費用が大きな負担となります。
子どもに負担をかけたくない
「自分が亡くなった後、子どもに墓の管理で苦労させたくない」という親心から、生前に墓じまいを決断する方も増えています。
特に、子どもが遠方に住んでいる場合や、経済的に自立していない場合は、墓の維持が大きな負担になることが予想されます。
価値観の変化
ひ 「お墓は必要ない」「自然に還りたい」という考え方も広がっています。
樹木葬や散骨など、従来のお墓にとらわれない供養方法を選ぶ人も増加中です。
お墓を持たないことが「先祖を大切にしていない」ことではなく、時代に合った供養の形として認知されつつあります。
墓じまいしないとどうなる?
「墓じまいしたいけど費用が高い…」「面倒だからこのまま放置でいいのでは?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、お墓を放置し続けると、以下のような問題が発生します。
管理費未払いによる使用権消滅
多くの墓地・霊園では、年間管理費を一定期間(一般的に3年〜5年)滞納すると、墓地の使用権が消滅します。
使用権が消滅すると、墓地管理者が墓石を撤去し、遺骨を合葬墓に移す権利を持ちます。
この場合、撤去費用を後から請求される可能性もあります。
無縁墓として行政処分される
使用権が消滅した後、墓地管理者は以下の手続きを経て「無縁墓」として処分できます。
-
官報への掲載
無縁墓であることを官報で公告 -
墓地への立札掲示
墓地内に1年間の立札を設置 -
1年間の公告期間
縁故者の申し出を待つ -
改葬(合葬)
期間内に申し出がなければ、遺骨は合葬墓へ移される
最終的に、先祖の遺骨は見知らぬ方々と一緒に合葬されることになります。
放置のリスクまとめ
- 管理費を滞納しても「放置」は問題の先送りにすぎない
- 最終的に無縁墓として強制撤去・合葬される
- 撤去費用を相続人に請求される可能性がある
- 自分の意思で改葬先を選べなくなる
- 周囲の墓地利用者に迷惑をかける(雑草・倒壊など)
墓じまいは確かに費用がかかりますが、放置した場合は自分たちで改葬先を選ぶ権利を失うことになります。
計画的に墓じまいを進めることで、先祖の遺骨を自分たちが納得できる場所に安置できます。
墓じまいの手続きの流れ(全体像)
墓じまいは、以下の8つのステップで進めます。
全体で3ヶ月〜6ヶ月程度かかることが一般的です。
墓じまいの手続きステップ
-
家族・親族との話し合い
墓じまいの意向を共有し、合意を得る -
墓じまい後の受け入れ先を決定
永代供養、樹木葬、散骨など、遺骨の移転先を決める -
寺・霊園に墓じまいの相談
現在の墓地管理者に墓じまいの意向を伝える -
改葬許可証の取得
市区町村役場で必要書類を揃え、改葬許可証を申請 -
閉眼供養(魂抜き)
僧侶にお経をあげてもらい、墓石から魂を抜く -
遺骨の取り出し
石材店に依頼し、墓石の下から遺骨を取り出す -
墓石の撤去・更地化
墓石を解体し、墓地を元の更地に戻す -
改葬先での納骨・供養
新しい墓地や永代供養施設に遺骨を納める
各ステップの詳細は、次の章で解説します。
墓じまいの具体的な手続き
4-1. 家族・親族との話し合い
墓じまいを進める上で、最も重要なのが家族・親族との合意形成です。
後から「聞いていない」「反対だった」というトラブルを避けるため、早い段階でしっかりと話し合いましょう。
なぜ合意形成が重要か
お墓は家族や一族の共有財産という意識が強く、独断で進めると親族間の不和を招く恐れがあります。
特に、以下のような方には必ず相談しましょう。
- 配偶者
- 子ども
- 兄弟姉妹
- 叔父・叔母など、お墓に関わりのある親族
話し合いのポイント
1. 墓じまいを考えている理由を正直に伝える
経済的な理由、健康上の理由、後継者不在など、具体的な事情を説明しましょう。
2. 墓じまい後の受け入れ先を複数提案する
「永代供養にする」「散骨する」など、選択肢を示すことで、話し合いがスムーズに進みます。
3. 費用負担について明確にする
誰が費用を負担するのか、親族で分担するのかを事前に決めておくと、後のトラブルを防げます。
4. 時間をかけて理解を得る
一度の話し合いで合意が得られない場合もあります。
焦らず、何度か話し合いの機会を設けましょう。
反対された時の対処法
親族から反対された場合は、以下のような対応を検討しましょう。
- 反対理由を丁寧に聞く
- 代替案を提示する(例: 一部の遺骨だけ手元供養にする)
- 専門家(行政書士や寺院)に相談し、第三者の意見を仰ぐ
- 時間を置いて、再度話し合いの場を設ける
最終的には、お墓を実際に管理している人の意見を尊重する方向で合意を目指しましょう。
4-2. 墓じまい後の受け入れ先を決める
遺骨をどこに移すかは、墓じまいの重要な決断です。主な選択肢は以下の4つです。
受け入れ先を決める際は、以下の点を総合的に考慮しましょう。
- 予算
- 後継者の有無
- 自宅からのアクセス
- 家族の意向
- 供養に対する考え方
複数の施設を見学し、説明を聞いた上で決めることをおすすめします。
4-3. 寺・霊園への墓じまい相談
墓じまいの意思が固まったら、現在の墓地を管理している寺院や霊園に相談します。
相談のタイミング
受け入れ先を決めた後、改葬許可証の申請前に相談するのが理想的です。
寺院によっては、墓じまいに難色を示したり、時間がかかったりする場合があるためです。
伝え方のポイント
寺院や霊園への相談は、丁寧かつ誠実に行いましょう。
良い伝え方の例
いつもお世話になっております。大変心苦しいのですが、経済的な事情と遠方に住んでいることから、お墓の維持が難しくなってまいりました。
ご先祖様には申し訳ないのですが、墓じまいを検討しております。お手続きについてご相談させていただけますでしょうか
避けるべき伝え方
お金がかかりすぎるので、墓じまいします
もう管理できないので、すぐに墓じまいしたいです
相手の立場を考えた丁寧な言葉遣いが、スムーズな墓じまいにつながります。
離檀料について
離檀料とは
檀家を離れる際に寺院に支払う謝礼のことです。
法的な義務はありませんが、慣習として支払いを求められることがあります。
費用相場
- 10万円〜30万円程度
ただし、地域や寺院との関係性により大きく異なります。
高額な離檀料を請求された場合
100万円を超えるような高額な離檀料を請求された場合は、以下の対応を検討しましょう。
- 支払いの根拠を丁寧に尋ねる
- 複数回に分けての支払いを相談する
- 専門家(行政書士、弁護士)に相談する
離檀料に法的な根拠はないため、払えない場合は払わなくても違法ではありません。
ただし、円満に進めるためには、可能な範囲での謝礼を検討すると良いでしょう。
トラブル回避のコツ
1. 早めに相談する
急に「来月墓じまいします」と伝えると、寺院側も対応に困ります。
数ヶ月前から相談しましょう。
2. 感謝の気持ちを伝える
これまでお世話になったことへの感謝を言葉にすることで、関係が良好に保たれます。
3. 書面で記録を残す
口頭だけでなく、相談内容や合意事項を書面やメールで残しておくと、後のトラブル防止になります。
4. 親族を同伴する
一人ではなく、親族と一緒に相談することで、寺院側も真剣に受け止めてくれます。
4-4. 改葬許可証の取得
改葬許可証は、遺骨を別の場所に移すために必要な公的書類です。
この許可証がないと、法的に改葬ができません。
改葬許可証とは
「墓地、埋葬等に関する法律(墓地埋葬法)」に基づき、現在の墓地がある市区町村の役場が発行する許可証です。
申請先
現在のお墓がある市区町村の役場で申請します。
- 戸籍課
- 市民課
- 環境課
※自治体により担当課が異なるため、事前に確認しましょう。
必要書類
改葬許可証の申請には、以下の書類が必要です。
| 書類名 | 取得先 | 備考 |
|---|---|---|
| 改葬許可申請書 | 市区町村役場 | 役場で入手、またはHPからダウンロード |
| 埋葬証明書(納骨証明書) | 現在の墓地管理者(寺院・霊園) | 遺骨が埋葬されていることの証明 |
| 受入証明書(使用許可証) | 新しい墓地管理者 | 遺骨の受け入れ先が決まっている証明 |
| 申請者の本人確認書類 | - | 運転免許証、マイナンバーカードなど |
※遺骨の数だけ改葬許可証が必要です(1体につき1枚)。
申請の流れ
1. 新しい墓地・永代供養先を決定
受入証明書を発行してもらいます。
1-1. 受入証明書(受入許可証)の取得方法
受入証明書は、新しい納骨先が遺骨を受け入れることを証明する重要な書類で、改葬許可証を発行してもらうために必要です。
発行元
受入証明書は、これから納骨する予定の新しい墓地・霊園・納骨堂などの管理者から発行してもらいます。
-
寺院
寺院墓地の場合は、お寺の住職または管理事務所に依頼 -
民営霊園
霊園の管理事務所に依頼 -
公営墓地
市区町村の管理事務所に依頼 -
納骨堂・永代供養墓
運営している寺院や霊園の管理者に依頼
取得手順
-
墓地使用契約の締結
まず、新しい納骨先と墓地使用契約を結びます。
契約が完了しないと受入証明書は発行されません。 -
必要書類の準備
以下の書類が必要になることが一般的です。- 墓地使用許可証または契約書
- 申請者の身分証明書
- 納骨する方の戒名・俗名がわかるもの
-
受入証明書の発行依頼
墓地管理者に対して、受入証明書(または受入許可証)の発行を依頼します。 -
書類の受け取り
通常は即日〜数日で発行されます。
公営墓地や大規模霊園では1週間程度かかる場合もあります。
1-2. 受入証明書の発行費用
- 無料〜数千円程度
多くの場合は無料ですが、霊園や寺院によっては事務手数料として数百円〜数千円を求められることがあります。
1-3. 注意点
-
契約前には発行されない
受入証明書は、新しい墓地との契約が成立していることが前提です。
まだ契約していない段階では発行してもらえません。 -
複数の遺骨がある場合
複数のご遺骨をまとめて納骨する場合は、それぞれの遺骨について受入証明書が必要になることがあります。
納骨先の管理者に確認しましょう。 -
書類の名称が異なる場合
地域や施設によって「受入証明書」「受入許可証」「埋蔵許可証」「使用許可証」など、名称が異なる場合があります。
内容は同じですので、管理者に「改葬のための受入を証明する書類」と伝えれば対応してもらえます。 -
永代供養の場合
永代供養墓や合葬墓の場合も、同様に受入証明書の発行を依頼できます。
管理者に改葬の旨を伝え、必要書類について確認しましょう。
2. 現在の墓地管理者に相談
埋葬証明書を発行してもらいます。
2-1. 埋葬証明書(納骨証明書)の取得方法
埋葬証明書は、現在ご遺骨が埋葬されていることを証明する重要な書類です。
発行元
埋葬証明書は、現在お墓がある墓地を管理している以下の機関から発行してもらいます。
-
寺院
寺院墓地の場合は、お寺の住職に依頼 -
霊園
民営霊園の場合は、霊園の管理事務所に依頼 -
公営墓地
公営墓地の場合は、管理事務所に依頼
取得手順
-
事前に連絡を入れる
突然訪問するのではなく、まず電話などで連絡を取り、改葬の意向と埋葬証明書が必要である旨を伝えましょう。 -
必要な情報を準備
以下の情報を手元に用意しておくとスムーズです。- 埋葬されている方の氏名
- 埋葬年月日(わかる範囲で)
- 墓地の区画番号や所在地
- 申請者(あなた)と故人との続柄
-
申請書の記入
墓地管理者が用意している申請書に記入します。
管理者によっては書式がない場合もあり、その場合は口頭での申請で対応してもらえることもあります。 -
発行を依頼
通常は即日〜数日で発行されます。寺院や小規模な霊園では即日対応も多いですが、公営墓地や大規模霊園では数日かかる場合があります。
2-2. 埋葬証明書の発行費用
- 無料〜3,000円程度
多くの場合は無料ですが、寺院によっては手数料として数百円〜3,000円程度を求められることがあります。
2-3. 注意点
-
複数のお墓がある場合
ご遺骨が複数の墓地に分骨されている場合は、それぞれの墓地から埋葬証明書を取得する必要があります。 -
古い記録の場合
埋葬から長い年月が経っている場合、管理者側に記録が残っていないケースもあります。
その場合は、埋葬の事実を示す他の書類(過去の法要の記録など)を用意することで対応できる場合があります。 -
墓地管理者が不在・廃業の場合
まれに墓地管理者が不在だったり、事業を廃止していることがあります。
その場合は、市区町村の担当課に相談し、代替手段について指示を仰ぎましょう。 -
離檀料の請求
寺院墓地の場合、埋葬証明書の発行時に離檀料を求められることがあります。
金額は寺院によって異なりますが、一般的には3万円〜20万円程度です。(詳細は後述のトラブル事例を参照)
3. 市区町村役場で改葬許可申請書を入手
窓口で取得、またはHPからダウンロードします。
4. 必要書類を揃えて申請
窓口に提出、または郵送します。
5. 改葬許可証を受け取る
即日〜1週間程度で発行されます。
5-1. 改葬許可証の発行費用
- 無料〜数百円程度
自治体により異なりますが、多くの場合は無料か、数百円の手数料です。
5-2. 改葬許可証の発行期間
- 即日〜1週間程度
書類が揃っていれば、即日発行される自治体もあります。
4-5. 閉眼供養(魂抜き・お性根抜き)
閉眼供養とは、墓石に宿っている魂を抜くための儀式です。
「魂抜き」「お性根抜き」とも呼ばれます。
閉眼供養とは
仏教では、墓石には故人の魂が宿っていると考えられています。
墓じまいの際には、墓石を単なる石に戻すため、僧侶にお経をあげてもらい、魂を抜く儀式を行います。
必要性
宗教的には重要な儀式ですが、法的な義務はありません。
ただし、多くの寺院や霊園では、閉眼供養を行わないと墓石の撤去を許可しないことがあります。
また、遺族の心の整理としても意味のある儀式です。
宗派による違い
浄土真宗の場合
浄土真宗では、墓石に魂が宿るという考え方がないため、閉眼供養は行いません。
代わりに「遷座法要(せんざほうよう)」を行います。
費用は他の宗派の閉眼供養と同程度(3万円〜5万円程度)です。
曹洞宗・臨済宗(禅宗系)の場合
「撥遣供養(はっけんくよう)」と呼ぶことがあります。
通常の閉眼供養と同様に、僧侶にお経をあげてもらいます。
日蓮宗の場合
「魂抜き」「閉眼供養」と呼び、題目(南無妙法蓮華経)をお唱えして行います。
神道の場合
神道では「遷霊祭(せんれいさい)」を行います。
神職に依頼し、祝詞を奏上して魂を抜きます。
閉眼供養の服装
閉眼供養に参列する際の服装は、以下を目安にしてください。
- 基本は平服(略喪服)
黒・紺・グレーなど地味な色の服装 - 男性
ダークスーツ、白シャツ、黒ネクタイ - 女性
黒や紺のワンピース、またはアンサンブル - 注意点
華美なアクセサリーは避ける。暑い時期でも肌の露出は控えめに
寺院によってはカジュアルな服装でも問題ない場合もあります。
事前に確認するのが安心です。
費用相場
- お布施: 3万円〜10万円程度
地域や寺院との関係により異なります。
檀家として長く付き合ってきた場合は、やや高めのお布施を包むことが一般的です。
お布施の包み方
表書き
- 「御布施」または「閉眼供養御布施」
金額の目安
- 一般的:
3万円〜5万円 - 檀家として長く付き合ってきた場合:
5万円〜10万円
包み方
- 白い封筒または奉書紙に包む
- 新札を用意する
- 表書きは薄墨ではなく、普通の黒墨で書く
閉眼供養の流れ
-
僧侶に日程を相談
法要の日取りを決める(平日でも問題ない) -
当日、墓前に集合
家族や親族が立ち会う -
僧侶がお経をあげる
10分〜30分程度 -
お布施を渡す
終了後、僧侶にお布施を手渡す -
墓石撤去の準備
閉眼供養後、石材店が作業を開始できる
4-6. 遺骨の取り出し
閉眼供養が終わったら、墓石の下から遺骨を取り出します。
石材店への依頼
遺骨の取り出しは、石材店に依頼するのが一般的です。
墓石の撤去と同時に行われることが多いです。
作業内容
- 墓石を一時的に移動
- カロート(納骨室)を開ける
- 遺骨を取り出す
- 骨壺を清掃
立ち会いの有無
立ち会うことをおすすめします。
- 遺骨の数を確認できる
- 骨壺の状態を確認できる
- 大切な儀式として、家族で見守る意味がある
遺骨の状態
長年埋葬されていた遺骨は、以下のような状態になっていることがあります。
- 骨壺が破損している
- 遺骨が土に還りかけている
- 複数の遺骨が混ざっている
状態が悪い場合でも、石材店が適切に清掃・整理してくれます。
遺骨の数が分からない場合
古いお墓では、何体の遺骨が埋葬されているか分からないこともあります。
その場合、石材店と相談しながら、取り出した遺骨の数を確認します。
改葬許可証は遺骨の数だけ必要なので、予想より多い場合は追加で申請が必要になることがあります。
4-7. 墓石の撤去・更地化
遺骨を取り出したら、墓石を撤去し、墓地を元の更地に戻します。
石材店の選び方
石材店は自由に選ぶことができます。
寺院から「この石材店を使ってください」と指定されることがありますが、法的には自由に選ぶことができます。
複数社から見積もりを取る
墓石の撤去費用は、石材店によって大きく異なります。
最低でも3社から見積もりを取ることをおすすめします。
見積もりのチェックポイント
| 項目 | 確認ポイント |
|---|---|
| 撤去費用 | 墓石の大きさ、立地条件による |
| 処分費用 | 墓石の処分方法と費用 |
| 整地費用 | 更地に戻す作業の費用 |
| 交通費・出張費 | 遠方の場合は別途かかることがある |
| 追加費用の有無 | 傾斜や擁壁がある場合の追加費用 |
費用相場
一般的な費用相場は30万円〜80万円です。
費用を左右する要素:
- 墓石の大きさ
大きいほど高額 - 立地条件
傾斜、擁壁、狭い通路などがあると高額 - アクセス
重機が入れない場所は手作業になり高額 - 処分方法
リサイクルか産業廃棄物かで異なる
作業内容
-
墓石の解体
墓石を細かく砕く、または重機で撤去 -
基礎の撤去
コンクリート基礎を取り除く -
残土の処分
掘り起こした土を処分 -
整地
墓地を平らに均し、元の更地に戻す -
周囲の清掃
隣接する墓地に迷惑をかけないよう清掃
作業期間
- 1日〜3日程度
墓石の大きさや立地条件により異なります。
トラブル事例と回避方法
トラブル事例1: 高額な追加費用を請求された
「傾斜があるので追加で30万円かかります」と、作業後に請求されるケース。
対処法
- 見積もり時に現地を必ず確認してもらう
- 追加費用が発生する条件を事前に確認
- 契約書に「追加費用なし」と明記
トラブル事例2: 隣の墓を傷つけた
作業中に隣接する墓石を傷つけてしまうケース。
対処法
- 養生をしっかり行う石材店を選ぶ
- 作業前に隣の墓の状態を写真で記録
- 石材店の損害保険加入を確認
トラブル事例3: 住職指定の石材店しか認めないと言われた
寺院から「うちの石材店でないと許可しない」と言われるケース。
対処法
- 法的には自由に選べることを伝える
- どうしても譲らない場合は、専門家(行政書士)に相談
- 複数の石材店の見積もりを見せて交渉
墓石の処分方法
撤去した墓石は、以下のいずれかの方法で処分されます。
- 産業廃棄物として処分
最も一般的 - リサイクル
砕いて建設資材などに再利用 - 供養塔
寺院によっては、墓石を集めて供養塔を建てている
環境に配慮したい場合は、リサイクル対応の石材店を選びましょう。
4-8. 改葬先での納骨・供養
墓石の撤去が完了したら、取り出した遺骨を新しい墓地や永代供養施設に納めます。
開眼供養(魂入れ)
新しいお墓に納骨する場合は、開眼供養(魂入れ)を行います。
これは、新しい墓石に魂を入れる儀式です。
永代供養や散骨の場合は、施設や業者が供養を行うため、個別の開眼供養は不要なことが多いです。
納骨の流れ
-
日程を決める
改葬先の管理者と日程を調整 -
改葬許可証を提出
納骨時に改葬許可証を提出(これで正式に改葬完了) -
納骨式を行う
僧侶がお経をあげ、遺骨を納める -
お布施を渡す
永代供養の場合、お布施は初回費用に含まれることが多い
費用
- 開眼供養のお布施
3万円〜5万円程度 - 納骨式の費用
永代供養料に含まれることが多い
納骨後の供養
永代供養の場合、以後の管理・供養は施設が行ってくれます。
お墓参りは自由にできますが、年間管理費が不要なプランが一般的です。
墓じまいにかかる費用
墓じまいには、さまざまな費用がかかります。
総額を事前に把握しておくことで、計画的に進められます。
鎌倉新書の実態調査(2026年)によると、「31万円〜70万円」が最多(31.3%)で、約半数が70万円以下で墓じまいを完了しています。
ただし、墓地の広さや改葬先のグレードによって費用には大きな幅があり、151万円以上の高額層も14.0%存在します。
費用の内訳
| 項目 | 費用相場 | 備考 |
|---|---|---|
| 閉眼供養(お布施) | 3万円〜10万円 | 僧侶への謝礼 |
| 墓石撤去・更地化 | 30万円〜80万円 | 石材店への支払い |
| 遺骨取り出し | 撤去費用に含まれることが多い | 別途請求される場合は数万円 |
| 改葬許可証 | 無料〜数百円 | 自治体により異なる |
| 離檀料(必要な場合) | 10万円〜30万円 | 寺院との関係による |
| 永代供養・新しい墓地 | 10万円〜200万円 | 選択肢により大きく異なる |
| 交通費・宿泊費 | 数万円 | 遠方の場合 |
| 総額目安 | 50万円〜200万円 | - |
選択肢別の費用例
例1: 永代供養(合祀墓)に改葬
- 閉眼供養: 5万円
- 墓石撤去: 50万円
- 改葬許可証: 無料
- 永代供養(合祀墓): 10万円
- 総額: 65万円
例2: 樹木葬に改葬
- 閉眼供養: 5万円
- 墓石撤去: 50万円
- 離檀料: 20万円
- 樹木葬: 40万円
- 総額: 115万円
例3: 散骨
- 閉眼供養: 5万円
- 墓石撤去: 50万円
- 粉骨・散骨: 10万円
- 総額: 65万円
費用を抑えるポイント
墓じまいの費用を少しでも抑えたい場合は、以下のポイントを実践しましょう。
1. 石材店は複数社から見積もりを取る
同じ作業内容でも、石材店によって20万円〜30万円の差が出ることがあります。
最低3社から見積もりを取り、比較検討しましょう。
2. 永代供養を選ぶ
新しいお墓を建てるより、永代供養の方が大幅に費用を抑えられます。
特に合祀墓なら10万円〜30万円程度で済みます。
3. 公営霊園を利用する
公営霊園は、民間霊園より費用が安い傾向にあります。
ただし、抽選や条件があることが多いので、早めに確認しましょう。
4. 家族で作業を手伝う
墓地の清掃や荷物の運搬など、できる作業は家族で行うことで、石材店への依頼費用を減らせます。
5. 離檀料は無理のない範囲で
離檀料は法的な義務ではありません。
経済的に厳しい場合は、正直に事情を説明し、可能な範囲での金額を相談しましょう。
6. 自治体の補助金を確認する
一部の自治体では、管理されなくなったお墓(無縁墓)の撤去や、墓じまいに対して補助金や助成金を交付している場合があります。
対象となる条件の例
- 自治体が管理する公営墓地であること
- 一定期間管理料が未納であること
- 承継者がいないこと
金額や条件は自治体によって大きく異なるため、まずはお墓がある市区町村の役場(環境課や都市整備課など)に問い合わせてみましょう。
補助金制度があれば、墓石撤去や遺骨の改葬費用の一部を補助してもらえることがあり、費用負担を大幅に軽減できます。
墓じまいでよくあるトラブルと対処法
墓じまいを進める中で、トラブルに遭遇することがあります。
事前に知っておくことで、適切に対処できます。
トラブル1: 住職が墓じまいに難色を示す
状況
墓じまいの相談をしたところ、住職が不機嫌になり、「もう一度考え直してほしい」と引き留められる。
原因
- 檀家が減ることで寺院の収入が減る
- 先祖を大切にしていないと感じる
- 急な相談で対応に困っている
対処法
-
丁寧に事情を説明する
経済的な理由、遠方居住、後継者不在など、具体的な事情を伝える -
時間をかけて理解を得る
一度で納得してもらえない場合は、何度か相談の機会を設ける -
感謝の気持ちを伝える
これまでのお世話への感謝を言葉にする -
親族を同伴する
複数人で相談することで、真剣さが伝わる -
専門家に相談する
どうしても難しい場合は、行政書士や弁護士に相談
注意点
住職の許可がなくても、法的には墓じまいは可能です。
ただし、円満に進めるためには、できる限り理解を得る努力をしましょう。
トラブル2: 石材店を指定される
状況
寺院から「この石材店でないと墓じまいを認めない」と言われる。
指定された石材店の見積もりが高額。
原因
- 寺院と石材店の間にバックマージンの関係がある
- 長年付き合いのある石材店を信頼している
対処法
-
法的には自由に選べることを伝える
「申し訳ありませんが、複数社から見積もりを取りたいと考えております」と丁寧に伝える -
複数の見積もりを見せて交渉
他社の見積もりを提示し、価格の妥当性を説明 -
どうしても譲らない場合
専門家(行政書士)に相談し、第三者を介して交渉
注意点
寺院の指定石材店でなくても、法的には問題ありません。
ただし、関係を悪化させないよう、丁寧な対応を心がけましょう。
トラブル3: 高額な離檀料を請求される
状況
墓じまいの相談をしたところ、100万円を超える離檀料を請求された。
原因
- 檀家としての貢献度を金額で求められる
- 寺院の運営が苦しく、高額な離檀料を要求
対処法
-
支払いの根拠を尋ねる
「なぜこの金額なのか」を丁寧に確認 -
適正価格を調べる
一般的な離檀料の相場(10万円〜30万円)を知っておく -
分割払いを相談する
一括が難しい場合、分割払いを提案 -
専門家に相談する
弁護士や消費生活センターに相談
注意点
離檀料に法的な根拠はありません。
支払いを拒否しても違法ではありませんが、円満に解決するためには、可能な範囲での謝礼を検討しましょう。
トラブル4: 親族が反対する
状況
墓じまいを進めようとしたところ、親族から「先祖に申し訳ない」「勝手なことをするな」と強く反対される。
原因
- お墓に対する価値観の違い
- 相談なしに進めたことへの不満
- 経済的な負担を心配している
対処法
-
時間をかけて説明する
墓じまいの理由、改葬先、費用などを丁寧に説明 -
代替案を提示する
例: 一部の遺骨を手元供養にする、年に一度は墓参りをする -
親族会議を開く
全員で話し合いの場を設け、合意を目指す -
専門家に同席してもらう
行政書士や寺院の住職に同席してもらい、客観的な意見を聞く
注意点
最終的には、墓を実際に管理している人の意見を尊重するべきです。
ただし、できる限り親族の理解を得る努力をしましょう。
トラブル5: 費用の見積もりが不透明
状況
石材店の見積もりに「諸経費」「その他費用」など、不明瞭な項目が多く、総額が分かりにくい。
原因
- 悪質な業者による不当請求
- 見積もりの作成が雑
対処法
-
内訳を詳しく確認する
各項目の内容を具体的に説明してもらう -
追加費用の有無を確認
「この金額で全て込みですか?」と念押し -
契約書に明記してもらう
「追加費用は一切発生しない」と契約書に記載 -
複数社の見積もりを比較
不透明な見積もりを出す業者は避ける
注意点
見積もりが不明瞭な業者は、後から高額請求してくる可能性があります。
信頼できる業者を選びましょう。
墓じまい後の供養方法
墓じまい後、遺骨をどのように供養するかは、家族の価値観や状況により異なります。
永代供養
合祀墓(ごうしぼ)
他の方の遺骨と一緒に埋葬される共同墓です。
メリット
- 費用が安い(5万円〜30万円)
- 後継者不要
- 寺院が永代にわたり供養
デメリット
- 一度合祀すると遺骨を取り出せない
- 個別のお墓ではない
納骨堂
屋内の棚やロッカーに個別に納骨する方法です。
メリット
- 天候に左右されずお参りできる
- 個別に納骨されるため、家族の墓という実感がある
- アクセスの良い都市部に多い
デメリット
- 費用がやや高い(30万円〜100万円)
- 期限付きの場合、期限後は合祀される
期限付き永代供養の注意点
「永代供養」という名前でも、実は期限が設定されていることがあります。
- 3回忌、7回忌、13回忌
- 17回忌、23回忌、33回忌
期限後は、個別安置から合祀墓に移されます。
契約前に必ず確認しましょう。
樹木葬
墓石の代わりに樹木を墓標とする方法です。
種類
- 公園型
霊園内の整備された区画に植樹 - 里山型
自然の山林に埋葬
費用相場
- 個別埋葬: 50万円〜80万円
- 合祀型: 20万円〜50万円
メリット
- 自然に還る感覚が得られる
- 墓石代がかからない
- 後継者不要のプランが多い
デメリット
- 樹木の種類や場所が選べないことがある
- 里山型は交通の便が悪い場合がある
散骨
遺骨を粉末状にして、海や山に撒く方法です。
種類
- 海洋散骨
海に散骨(最も一般的) - 山林散骨
自分の所有する山林に散骨 - 空中散骨
ヘリコプターから散骨
費用相場
- 業者に依頼(代理散骨):
3万円〜10万円 - 業者に依頼(同行散骨):
10万円〜30万円 - 自分で散骨:
数千円〜(粉骨費用のみ)
メリット
- お墓の管理が不要
- 費用が最も安い
- 自然に還る実感がある
デメリット
- 散骨後は遺骨を取り戻せない
- お墓参りの場所がなくなる
- 親族の理解が得にくい場合がある
法的な注意点
散骨自体は法律で禁止されていませんが、以下のルールを守りましょう。
- 遺骨は必ず粉末状(2mm以下)にする
- 他人の土地や公共の場所では行わない
- 海岸から一定距離離れた場所で行う
全量散骨と分骨
実際に散骨をした方の約75%が「全量散骨」を選んでいます。
残りの方は、一部を手元供養として保管しています。
手元供養
遺骨を自宅で保管する方法です。
種類
- ミニ骨壺
- アクセサリー(遺骨を入れたペンダントなど)
- オブジェ
費用相場
- 1万円〜10万円程度
メリット
- いつでも故人を身近に感じられる
- 費用が安い
- お墓参りに行く必要がない
デメリット
- 遺骨の保管場所に困る
- 自分が亡くなった後、残された遺骨をどうするか問題
- 親族の理解が得にくい場合がある
注意点
手元供養は法的に問題ありませんが、遺骨を放置したり、不適切に扱ったりすると、死体遺棄罪に問われる可能性があります。
適切に保管しましょう。
新しくお墓の購入を検討している方は、以下の手続きガイドも参考にしてください。
墓じまいを成功させるポイント
墓じまいを後悔なく進めるために、以下のポイントを押さえましょう。
墓じまい成功のチェックリスト
- 家族・親族で十分に話し合い、合意を得た
- 複数の受け入れ先を比較検討した
- 費用の総額を事前に把握した
- 石材店は複数社(最低3社)から見積もりを取った
- 寺院との関係を大切にしつつ、毅然と対応した
- 改葬許可証は余裕を持って申請した
- スケジュールに余裕を持ち、焦らず進めた
- 不明点は専門家(行政書士など)に相談した
- 閉眼供養をきちんと行い、心の整理をつけた
- 改葬先で安心して供養できる環境を整えた
専門家への相談も検討する
墓じまいは、法的手続き、寺院との交渉、親族との合意形成など、複雑な要素が絡みます。
以下のような場合は、専門家への相談を検討しましょう。
行政書士
- 改葬許可証の申請代行
- 寺院との交渉サポート
- 親族間の調整
弁護士
- 高額な離檀料を請求された場合
- 親族間でトラブルが発生した場合
- 寺院とのトラブルが深刻化した場合
費用の目安
- 行政書士:
3万円〜10万円程度 - 弁護士:
10万円〜30万円程度(案件による)
専門家に依頼することで、手続きがスムーズに進み、トラブルを未然に防ぐことができます。
墓じまい代行サービス
最近では、墓じまいに関する一連の手続き(書類作成、寺院との交渉、石材店の手配など)をまとめて代行してくれるサービスも増えています。
メリット
- 面倒な手続きを全て任せられる
- 遠方に住んでいてもスムーズに進められる
- 専門家が間に入ることで、寺院や親族とのトラブルを避けやすい
- 改葬許可証の申請から墓石撤去まで一括対応
費用相場
- 20万円〜
費用はかかりますが、時間的・精神的な負担を大幅に軽減できるため、自分で行うのが難しい場合は検討してみる価値があります。
特に、仕事で多忙な方や、寺院との交渉に不安がある方におすすめです。
代行サービスを選ぶ際のポイント
- 実績と評判を確認する
- 費用の内訳が明確かどうか
- アフターフォローの有無
- 複数社から見積もりを取る
主な墓じまい代行サービスの例:
代行サービスは複数の業者が提供しています。以下は代表的な業者の例です。
- イオンライフ
イオングループが運営。墓石・墓じまい・墓リノベなど墓の総合サービスを提供 - 小さなお葬式
葬儀サービス大手。
終活関連サービスの一環として墓じまいサポートも展開 - ライフドット
鎌倉新書が運営する終活総合サイト。
全国の霊園情報と墓じまいサポートを提供
これらの業者は全国対応で実績が豊富ですが、必ず複数社から見積もりを取り、サービス内容と費用を比較検討してください。
よくある質問(Q&A)
Q1. 墓じまいにはどのくらいの期間がかかりますか?
A. 一般的に3ヶ月〜6ヶ月程度かかります。
内訳:
- 家族・親族との話し合い:
1ヶ月〜2ヶ月 - 受け入れ先の決定:
1ヶ月〜2ヶ月 - 改葬許可証の取得:
1週間〜1ヶ月 - 閉眼供養・墓石撤去:
1ヶ月〜2ヶ月 - 納骨:
1日〜1週間
ただし、寺院との交渉が難航したり、親族の合意が得られなかったりすると、さらに時間がかかることがあります。
Q2. 墓じまいは誰がするべきですか?
A. 法的には、お墓の承継者(祭祀承継者)が行います。
一般的には以下の順番で決まります。
- 被相続人(亡くなった方)が指定した人
- その地域の慣習
- 家庭裁判所が決定
実際には、お墓を管理してきた長男・長女が行うことが多いです。
ただし、兄弟姉妹で協力し合うことも一般的です。
Q3. 墓じまいの費用は誰が払うべきですか?
A. 法的には祭祀承継者(お墓の管理者)が負担するのが基本ですが、親族で分担するケースが一般的です。
費用負担の考え方:
- 祭祀承継者が全額負担
お墓を管理してきた人が責任を持つ考え方 - 兄弟姉妹で均等に分担
全員の先祖であるため、平等に負担する考え方 - 受益者負担
墓じまい後の永代供養費用は、遺骨に関わる直系が負担する考え方
話し合いのポイント:
- 費用の総額を事前に見積もる
- 各自の経済状況を考慮する
- 「払える人が多く、払えない人は少なく」という柔軟な姿勢で
- 書面で合意内容を記録する
払えない場合の対処法:
- 石材店の分割払いを利用する
- 費用を抑えられる合祀墓を選ぶ
- 自治体の補助金制度を確認する
Q4. 遺骨を全て取り出せなかった場合はどうなりますか?
A. 古いお墓の場合、遺骨が土に還っていたり、破損していたりして、全てを取り出せないことがあります。
その場合:
-
取り出せた遺骨だけを改葬
土に還った部分は、墓地の土として残す -
墓地全体を清めて供養
閉眼供養の際に、取り出せなかった遺骨も含めて供養してもらう
土に還った遺骨を無理に取り出す必要はありません。
できる範囲で丁寧に対応すれば問題ありません。
Q5. 永代供養は本当に永久に供養してもらえますか?
A. 「永代供養」という名前ですが、実は期限が設定されているケースが多いです。
期限付き永代供養の例:
- 3回忌まで個別安置
→ その後合祀 - 33回忌まで個別安置
→ その後合祀
契約前に、以下を必ず確認しましょう。
- 個別安置の期限
- 期限後の扱い(合祀されるのか)
- 真の「永代」なのか、期限付きなのか
「永代」とは、「代々続く限り」という意味ではなく、「寺院が存続する限り」という意味です。
Q6. 生前に墓じまいをすることはできますか?
A. はい、できます。
むしろ生前の墓じまいをおすすめします。
- 生前墓じまいのメリット:
- 自分の意思で改葬先を決められる
- 子どもや親族に負担をかけずに済む
- 費用を自分で負担できる
- 心の整理をつけられる
- 生前墓じまいの手順:
- 自分の遺骨の受け入れ先を決める(生前予約)
- 先祖の遺骨を改葬
- 墓石を撤去
- 自分が亡くなった後、予約した場所に納骨
生前に墓じまいを済ませておくことで、残された家族の負担を大幅に減らせます。
Q7. 墓じまいをしたら先祖を大切にしていないことになりますか?
A. いいえ、そんなことはありません。
墓じまいは、現実的に供養を続けるための選択です。
- 放置して無縁墓になるより、きちんと手続きをする方が誠実
- お墓の形にこだわるより、供養の心が大切
- 永代供養や散骨も、立派な供養の形
時代や生活スタイルが変わる中で、先祖を想う気持ちがあれば、どんな形で供養しても問題ありません。
Q8. 離檀料を払わなくても大丈夫ですか?
A. 離檀料は法的な義務ではありません。
ただし、以下の点を考慮しましょう。
- 払わなくても違法ではない:
- 離檀料に法的根拠はない
- 支払いを拒否しても問題ない
- 円満に進めるためには:
- 可能な範囲で謝礼を検討
- これまでのお世話への感謝の気持ちを形にする
- 高額請求された場合:
- 適正価格(10万円〜30万円)を知っておく
- 支払いの根拠を尋ねる
- 専門家に相談
経済的に厳しい場合は、正直に事情を説明し、可能な範囲での金額を相談しましょう。
Q9. 改葬許可証がないと遺骨を移せませんか?
A. はい、改葬許可証がないと遺骨を移すことは違法です。
墓地埋葬法により、遺骨を別の場所に移す際は、必ず改葬許可証が必要です。
改葬許可証なしで移した場合:
- 墓地埋葬法違反
- 罰金の対象(1,000円以下の罰金または拘留・科料)
改葬許可証の取得は、それほど難しくありません。
市区町村役場で手続きをすれば、数百円で取得できます。
必ず正式な手続きを踏んで、改葬を行いましょう。
まとめ
墓じまいは、後継者不在や経済的負担など、さまざまな理由で選択される時代になりました。
この手続ガイドのポイントをまとめます。
墓じまいの重要ポイント
1. 計画的に進める
- 全体で3ヶ月〜6ヶ月かかることを想定
- スケジュールに余裕を持つ
2. 費用の総額を把握する
- 総額50万円〜200万円を目安に予算を立てる
- 複数社から見積もりを取り、比較する
3. 家族や寺院との関係を大切にする
- 親族の合意を得る努力をする
- 寺院には丁寧に相談し、感謝の気持ちを伝える
4. 墓じまい後の供養方法は多様
- 永代供養、樹木葬、散骨など、選択肢は豊富
- 自分たちの生活に合った方法を選ぶ
5. 後継者がいない場合の有効な選択肢
- 墓じまいは、後継者不在の現実的な解決策
- 放置して無縁墓になるより、計画的に進める
6. 罪悪感を感じる必要はない
- お墓の形よりも、供養の心が大切
- 現代の生活に合った供養の形を選ぶことは、先祖への誠実な対応
7. 困ったら専門家に相談
- 行政書士や弁護士のサポートも検討
- トラブルを未然に防ぎ、スムーズに進められる
最後に
墓じまいは、決して先祖を軽んじることではありません。
むしろ、現実的に供養を続けるための、勇気ある決断です。
この手続ガイドを参考に、後悔のない墓じまいを進めてください。
先祖を想う気持ちがあれば、どんな形で供養しても、それは立派な供養です。
あなたとご家族が、心穏やかに過ごせる日々が訪れることを願っています。